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もやもや
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今日も寝坊しちゃったから日の丸弁当だ…。
2日連続は飽きちゃうけどしょうがないなとお弁当をスクールバッグに入れたことを確認して、ととくんと一緒に玄関を出ると自転車をから漕ぎしながら電子煙草の煙を纏った結心さんがいた。
結心「あ、おはよー。」
と、結心さんは電子煙草を指に挟みながら私たちに手を振った。
愛「なんでここにいるんですか!」
結心「2時間かけて歩くのだるいかなって。」
そう言いながら結心さんはととくんにも挨拶をして、電子煙草をケースに入れた。
結心「こっから学校まで飛ばせば30分で行けるから休ませて。」
愛「え?」
私が止める間もなく結心さんは家に上がり、仕事で誰もいない茶の間にあるTVをつけてダラダラと過ごし始めた。
私はその時間でランチタイムを充実させるためにお弁当に彩りを加えて部屋に戻ると、結心さんと一緒にいたととくんは嫌がりながらも膝枕をしていた。
結心「朝飯?」
愛「いえ、お弁当です。」
結心「あまりもんは?」
愛「食べちゃいました。」
結心「なーんだ。」
と、ため息をつきながら結心さんは体を起こしてととくんの肩を抱いた。
結心「とと丸、今日は俺と一緒に授業受ける?」
とと「やだ。」
愛「ととくん、勉強苦手なので急に飛び級しても分からないですよ。」
結心「ざーんねんっ。じゃあとりあえずノート見せてもらうか。」
結心さんはととくんを抱いたまま外に行き、昨日のようにととくんと私を自転車に乗せて学校前の校門に着くと私と同じクラスの子3人組を見つけてその子たちの道を遮るように自転車を滑り込ませた。
結心「ミシマ セイジくん。昨日のやった英語と数学のノート見せて。」
「えっ…。な、なんで…名前…。」
結心「みんなのこと知ってるよ。後輩だもん。」
そう言った結心さんが穏やかな笑顔を見せると、3人の顔が青ざめていく。
結心「ノート、貸して。」
「…嫌です。そいつに貸すんですよね?」
と、クラスメイトのセイジくんは視線で私を指した。
結心「クラスの仲間でしょ?もう少しで文化祭だし仲良くなるいい機会じゃん。」
「仲良くなんなくていいです…。」
「すみません、遅刻するので。」
「セイジ、行くぞ。」
結心「マユちゃんのイカジュース。」
結心さんは玄関に向かおうとする3人に向けて少し大きめの声で呟いた。
結心「3人で啜って美味しかった?」
その言葉を聞くとその3人は顔を真っ白にして大慌てでカバンを漁りだした。
愛「イカジュースって新発売したんですか?」
結心「ううん。手作りだよ。」
愛「美味しくなさそうです…。」
結心「まあ、嗜好品ってやつだよね。」
どうしても気になってしまったジュースを結心さんから聞き出していると汗だくの3人が私にノートを貸してくれた。
「…だ、誰にも言わないでください。」
結心「じゃあ今後はさっさとノート出してね。」
「は、はいっ。分かりました。」
そう言って3人はそそくさと玄関に走っていった。
結心「今後は授業サボっても大丈夫だねー。」
愛「んー…。でも、出席日数が足りなくなっちゃいます。」
結心「らぶ子の担任って誰だっけ?」
愛「ツカダ先生です。」
結心「ああ!つかっちゃんなら大丈夫。今日からたくさん遊ぼうね。」
と、結心さんは自転車を降りて私の頭を撫でた。
愛「…なんで大丈夫なんですか?」
結心「人の不幸は甘ーい蜜なんだ。その蜜を啜ってる人たちの蜜を啜るのが俺の役目。」
愛「何言ってるか分からないです…。」
結心「分かんなくていいよ。けど、俺と遊ぶなら大丈夫って事。」
…本当に大丈夫なのかな。
私はちょっとモヤモヤしながらととくんと一緒に自転車を降り、駐輪場に行く結心さんについていくとみんながどんどん道を開けてくれて混み合ってるはずの駐輪場に結心さんは難なく自転車を止められた。
とと「モーゼみたいだな。」
愛「人波かき分ちゃうなんてすごいね。」
結心「らぶ子たちもすごいじゃん。この間、2階の吹き抜けから売店見てたら、らぶ子が打ち上がって花火咲かせてたよ。」
愛「え!花火ですか!?」
結心「え?うん。自分で分かってないの?」
愛「んー…、ととくん知ってた?」
とと「中心にいたら咲いた花は見えないよ。」
愛「確かに。じゃあ気づかないわけだ。」
私は自分が花火になっていた事を教えてくれた結心さんにお礼を言って、お昼休みにまた結心さんとランチをするのが楽しみになった。
環流 虹向/桃色幼馴染と煙気王子様
2日連続は飽きちゃうけどしょうがないなとお弁当をスクールバッグに入れたことを確認して、ととくんと一緒に玄関を出ると自転車をから漕ぎしながら電子煙草の煙を纏った結心さんがいた。
結心「あ、おはよー。」
と、結心さんは電子煙草を指に挟みながら私たちに手を振った。
愛「なんでここにいるんですか!」
結心「2時間かけて歩くのだるいかなって。」
そう言いながら結心さんはととくんにも挨拶をして、電子煙草をケースに入れた。
結心「こっから学校まで飛ばせば30分で行けるから休ませて。」
愛「え?」
私が止める間もなく結心さんは家に上がり、仕事で誰もいない茶の間にあるTVをつけてダラダラと過ごし始めた。
私はその時間でランチタイムを充実させるためにお弁当に彩りを加えて部屋に戻ると、結心さんと一緒にいたととくんは嫌がりながらも膝枕をしていた。
結心「朝飯?」
愛「いえ、お弁当です。」
結心「あまりもんは?」
愛「食べちゃいました。」
結心「なーんだ。」
と、ため息をつきながら結心さんは体を起こしてととくんの肩を抱いた。
結心「とと丸、今日は俺と一緒に授業受ける?」
とと「やだ。」
愛「ととくん、勉強苦手なので急に飛び級しても分からないですよ。」
結心「ざーんねんっ。じゃあとりあえずノート見せてもらうか。」
結心さんはととくんを抱いたまま外に行き、昨日のようにととくんと私を自転車に乗せて学校前の校門に着くと私と同じクラスの子3人組を見つけてその子たちの道を遮るように自転車を滑り込ませた。
結心「ミシマ セイジくん。昨日のやった英語と数学のノート見せて。」
「えっ…。な、なんで…名前…。」
結心「みんなのこと知ってるよ。後輩だもん。」
そう言った結心さんが穏やかな笑顔を見せると、3人の顔が青ざめていく。
結心「ノート、貸して。」
「…嫌です。そいつに貸すんですよね?」
と、クラスメイトのセイジくんは視線で私を指した。
結心「クラスの仲間でしょ?もう少しで文化祭だし仲良くなるいい機会じゃん。」
「仲良くなんなくていいです…。」
「すみません、遅刻するので。」
「セイジ、行くぞ。」
結心「マユちゃんのイカジュース。」
結心さんは玄関に向かおうとする3人に向けて少し大きめの声で呟いた。
結心「3人で啜って美味しかった?」
その言葉を聞くとその3人は顔を真っ白にして大慌てでカバンを漁りだした。
愛「イカジュースって新発売したんですか?」
結心「ううん。手作りだよ。」
愛「美味しくなさそうです…。」
結心「まあ、嗜好品ってやつだよね。」
どうしても気になってしまったジュースを結心さんから聞き出していると汗だくの3人が私にノートを貸してくれた。
「…だ、誰にも言わないでください。」
結心「じゃあ今後はさっさとノート出してね。」
「は、はいっ。分かりました。」
そう言って3人はそそくさと玄関に走っていった。
結心「今後は授業サボっても大丈夫だねー。」
愛「んー…。でも、出席日数が足りなくなっちゃいます。」
結心「らぶ子の担任って誰だっけ?」
愛「ツカダ先生です。」
結心「ああ!つかっちゃんなら大丈夫。今日からたくさん遊ぼうね。」
と、結心さんは自転車を降りて私の頭を撫でた。
愛「…なんで大丈夫なんですか?」
結心「人の不幸は甘ーい蜜なんだ。その蜜を啜ってる人たちの蜜を啜るのが俺の役目。」
愛「何言ってるか分からないです…。」
結心「分かんなくていいよ。けど、俺と遊ぶなら大丈夫って事。」
…本当に大丈夫なのかな。
私はちょっとモヤモヤしながらととくんと一緒に自転車を降り、駐輪場に行く結心さんについていくとみんながどんどん道を開けてくれて混み合ってるはずの駐輪場に結心さんは難なく自転車を止められた。
とと「モーゼみたいだな。」
愛「人波かき分ちゃうなんてすごいね。」
結心「らぶ子たちもすごいじゃん。この間、2階の吹き抜けから売店見てたら、らぶ子が打ち上がって花火咲かせてたよ。」
愛「え!花火ですか!?」
結心「え?うん。自分で分かってないの?」
愛「んー…、ととくん知ってた?」
とと「中心にいたら咲いた花は見えないよ。」
愛「確かに。じゃあ気づかないわけだ。」
私は自分が花火になっていた事を教えてくれた結心さんにお礼を言って、お昼休みにまた結心さんとランチをするのが楽しみになった。
環流 虹向/桃色幼馴染と煙気王子様
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