3 / 5
消費者
2
しおりを挟む
重い体を無理に動かしながら無計画な奴らが集まるコンビニで俺はフライヤー担当につき、フルでチキンを揚げながらレジをこなしているとフライヤーがまた俺を呼んで揚げたてを教えてくれる。
けれど、無計画で突発的な行動ばかりするコンビニ客は揚げチキン3つと言ったところを5つと言ってまた俺の腕に油はねを負わせて顔を少しほころばせながら帰っていく。
そんな時間が終電間際まで続き、やっとひと段落ついたコンビニ店内はこれからホテルを行くだろうカップル2組とロリワンピースを着てる客が酒やつまみを見て普段以上に楽しげにする。
今日なんてクリスマスイブなんだから、なんの変哲も無い日なのにそんなにイベントに酔いしれられる脳ミソで羨ましいなと思っていると、休憩時間になったのでスタッフルームに入って備え付けのポットのお湯でお茶を入れる。
すると、さっきまで一緒にチキンを受け渡していた長谷川が俺と同じタイミングで休憩に入った。
お互い目を合わせて労いの言葉を交わし、乾燥気味の店内で干からびた喉を潤すと長谷川は俺の明日の予定を聞いてきた。
俺は明日もバイト入ろうとしたけれど、シフトを代わってくれていた斎藤さんの財布事情に合わせて休みになってしまった。
それを伝えると長谷川はとても嬉しそうに目を輝かせながら俺を合コンに誘った。
長谷川「元々メンバーは決まってたんだけど、今日付き合うことになったって連絡入って本当勘弁。」
唯「…何人でやんの?」
長谷川「6対6の12人。店はここで大体1万持っとけば二次会まで保つ。」
一次会の時点で迷ってる俺に二次会があることも教えてしまった長谷川はとても焦っているようで、俺が行かないと言うなら既婚者の兄を呼び出すしかないとまで言い出した。
それはさすがに相手の奥さんに失礼過ぎるので俺は仕方なくその合コンに参加することになり、次の日を迎えた。
俺はあまり乗り気じゃない合コンだったけれど、今日あったはずのデートで着る予定だったニットシャツに気だるけなゆるいパンツで行くと他の男性陣はみんなスーツ姿でしっかりとワックスで髪の毛を整えていた。
それに驚きながらも俺は初めて顔を合わせた長谷川の知り合いと自己紹介をして時間を過ごしていると、軽快なヒールの音がたくさん聞こえてきたと共に俺たちの前の空いていた席に女性陣が座った。
その女性陣たちもカクテルパーティーでも行ってきたのかと思うほどのいい生地のドレスを着ていて、俺は1人だけ場違いを感じているとそばにあったシャンパングラスに酒が注がれた。
それを注いでいる店員も黒服を着こなしていて、俺はシャンパンの中に浮かぶ木苺の気分で周りの乾杯の音頭に合わせてそれぞれ近場の人たちにグラスを合わせてアルコールを体に入れる。
もうこんな爪弾きの人生は嫌だったけれど、自分から合コンのグループメッセージに入るのがめんどくさいと言ったし、まともに長谷川の話を聞かなかった罰だと自分に言い聞かせていつも以上に酒を食らっていると席替えをされて唯一安心出来ていた隣の長谷川はずっと目で追っていた女性の隣に行き、俺の隣にはぼやけた名前しか思い出せない女性が座った。
唯「…笹影 唯です。」
「あ、田中 胡桃です。」
俺の2度目の自己紹介に合わせて名前を言ってくれた胡桃さんは、何度か合コンには参加したことあるという手練れだけれどまだ彼氏がいないらしく、クリスマスだというのにここにいる。
まあ、俺もこれからしばらくは仲間入りするんだろうなと一次会を終えて店を出る前に用を足そうとトイレ前で珍しい順番待ちをしていると、ちょうどメイク直しを終えた胡桃さんが出てきて思わずお互い会釈すると胡桃さんは俺の空いていた隣にやってきて少し背伸びをするようにつま先を今以上に立てて耳打ちをしてきた。
胡桃「一緒に帰りませんか?」
そう言った胡桃さんは背伸びを辞めて、少し視線を落としながら恥ずかしそうに頬を染める。
けれど、手練れなことを知ってしまった俺はその表情を純粋に受け取ることが出来ずに試してみることにした。
唯「1人で帰ります。」
胡桃「えっ…あ、そうですか…。」
だいぶ残念そうな顔をする胡桃さんに俺は持っていた携帯を出し、キーパッド画面を見せる。
唯「冷やかしが入るのは苦手なので後で合流しましょう。」
俺がそう言うと胡桃さんは俯いていた顔上げてとても嬉しそうな笑顔をして自分の電話番号を打ち込むと、一度コールして電話番号を保存させた。
そして俺たちはそれぞれ別々の駅に向かうはずだった足を二次会に行くみんなとはまだ会わないはずのホテル街近くの花壇前で待ち合わせして、改めて呑み直すことにした。
環流 虹向/聖夜は無価値
けれど、無計画で突発的な行動ばかりするコンビニ客は揚げチキン3つと言ったところを5つと言ってまた俺の腕に油はねを負わせて顔を少しほころばせながら帰っていく。
そんな時間が終電間際まで続き、やっとひと段落ついたコンビニ店内はこれからホテルを行くだろうカップル2組とロリワンピースを着てる客が酒やつまみを見て普段以上に楽しげにする。
今日なんてクリスマスイブなんだから、なんの変哲も無い日なのにそんなにイベントに酔いしれられる脳ミソで羨ましいなと思っていると、休憩時間になったのでスタッフルームに入って備え付けのポットのお湯でお茶を入れる。
すると、さっきまで一緒にチキンを受け渡していた長谷川が俺と同じタイミングで休憩に入った。
お互い目を合わせて労いの言葉を交わし、乾燥気味の店内で干からびた喉を潤すと長谷川は俺の明日の予定を聞いてきた。
俺は明日もバイト入ろうとしたけれど、シフトを代わってくれていた斎藤さんの財布事情に合わせて休みになってしまった。
それを伝えると長谷川はとても嬉しそうに目を輝かせながら俺を合コンに誘った。
長谷川「元々メンバーは決まってたんだけど、今日付き合うことになったって連絡入って本当勘弁。」
唯「…何人でやんの?」
長谷川「6対6の12人。店はここで大体1万持っとけば二次会まで保つ。」
一次会の時点で迷ってる俺に二次会があることも教えてしまった長谷川はとても焦っているようで、俺が行かないと言うなら既婚者の兄を呼び出すしかないとまで言い出した。
それはさすがに相手の奥さんに失礼過ぎるので俺は仕方なくその合コンに参加することになり、次の日を迎えた。
俺はあまり乗り気じゃない合コンだったけれど、今日あったはずのデートで着る予定だったニットシャツに気だるけなゆるいパンツで行くと他の男性陣はみんなスーツ姿でしっかりとワックスで髪の毛を整えていた。
それに驚きながらも俺は初めて顔を合わせた長谷川の知り合いと自己紹介をして時間を過ごしていると、軽快なヒールの音がたくさん聞こえてきたと共に俺たちの前の空いていた席に女性陣が座った。
その女性陣たちもカクテルパーティーでも行ってきたのかと思うほどのいい生地のドレスを着ていて、俺は1人だけ場違いを感じているとそばにあったシャンパングラスに酒が注がれた。
それを注いでいる店員も黒服を着こなしていて、俺はシャンパンの中に浮かぶ木苺の気分で周りの乾杯の音頭に合わせてそれぞれ近場の人たちにグラスを合わせてアルコールを体に入れる。
もうこんな爪弾きの人生は嫌だったけれど、自分から合コンのグループメッセージに入るのがめんどくさいと言ったし、まともに長谷川の話を聞かなかった罰だと自分に言い聞かせていつも以上に酒を食らっていると席替えをされて唯一安心出来ていた隣の長谷川はずっと目で追っていた女性の隣に行き、俺の隣にはぼやけた名前しか思い出せない女性が座った。
唯「…笹影 唯です。」
「あ、田中 胡桃です。」
俺の2度目の自己紹介に合わせて名前を言ってくれた胡桃さんは、何度か合コンには参加したことあるという手練れだけれどまだ彼氏がいないらしく、クリスマスだというのにここにいる。
まあ、俺もこれからしばらくは仲間入りするんだろうなと一次会を終えて店を出る前に用を足そうとトイレ前で珍しい順番待ちをしていると、ちょうどメイク直しを終えた胡桃さんが出てきて思わずお互い会釈すると胡桃さんは俺の空いていた隣にやってきて少し背伸びをするようにつま先を今以上に立てて耳打ちをしてきた。
胡桃「一緒に帰りませんか?」
そう言った胡桃さんは背伸びを辞めて、少し視線を落としながら恥ずかしそうに頬を染める。
けれど、手練れなことを知ってしまった俺はその表情を純粋に受け取ることが出来ずに試してみることにした。
唯「1人で帰ります。」
胡桃「えっ…あ、そうですか…。」
だいぶ残念そうな顔をする胡桃さんに俺は持っていた携帯を出し、キーパッド画面を見せる。
唯「冷やかしが入るのは苦手なので後で合流しましょう。」
俺がそう言うと胡桃さんは俯いていた顔上げてとても嬉しそうな笑顔をして自分の電話番号を打ち込むと、一度コールして電話番号を保存させた。
そして俺たちはそれぞれ別々の駅に向かうはずだった足を二次会に行くみんなとはまだ会わないはずのホテル街近くの花壇前で待ち合わせして、改めて呑み直すことにした。
環流 虹向/聖夜は無価値
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

練習なのに、とろけてしまいました
あさぎ
恋愛
ちょっとオタクな吉住瞳子(よしずみとうこ)は漫画やゲームが大好き。ある日、漫画動画を創作している友人から意外なお願いをされ引き受けると、なぜか会社のイケメン上司・小野田主任が現れびっくり。友人のお願いにうまく応えることができない瞳子を主任が手ずから教えこんでいく。
「だんだんいやらしくなってきたな」「お前の声、すごくそそられる……」主任の手が止まらない。まさかこんな練習になるなんて。瞳子はどこまでも甘く淫らにとかされていく
※※※〈本編12話+番外編1話〉※※※

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる
奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。
だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。
「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」
どう尋ねる兄の真意は……

ある夜の出来事
雪本 風香
恋愛
先輩と後輩の変わった性癖(旧タイトル『マッチングした人は会社の後輩?』)の後日談です。
前作をお読みになっていなくてもお楽しみいただけるようになっています。
サクッとお読みください。
ムーンライトノベルズ様にも投稿しています。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる