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消費者
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クリスマスは金と欲望と期待の消費で成り立っている。
それを手っ取り早く消費したのが今俺の目の前でダージリンティーを静かに飲む彼女の凛奈。
クリスマスイブからクリスマスに掛けてデートをしたいと言われてわざわざバイトを2日間も休ませた上、自分が起きられないから夕方からの待ち合わせと言って30分待ち合わせに遅刻してきた消費の悪魔。
俺はそんな悪魔にこの後のディナー料金もホテル代も搾り取られるんだろうと、時間が出来た30分の間にATM行って下ろした10万をポケットに入っている財布に忍ばせて抹茶ラテで体を温めていると凛奈が携帯をいじり始めた。
それはここ最近、デート中に何回もしている行動で俺との時間をいつも暇そうにしている気がする。
けれど、今日はマナーの範疇を超えて誰かと電話し始めた。
しかもとても楽しげな声で俺はそんな声と自然な笑みを溢れさせる凛奈にプレゼントしようと思っていたヘアクリップが入っているプレゼント袋をジャケットのポケットに入れていたので手探りで探してると、凛奈は携帯を自分の耳から離して大きく手を振りだした。
俺はその行動に驚き、凛奈の笑顔の元凶を見ようと後ろを振り向くと凛奈に手を振り返すように小さく手を広げる男が駆け足でこちらにやってきて凛奈の隣に座った。
凛奈「唯、この人は高峰さん。」
そう俺に男を紹介した凛奈は高峰の腕に抱きついて、頭を肩に置き幸せそうな笑みを浮かべる。
凛奈「今日から私の彼氏。だから別れて。」
唯「…は?」
俺は凛奈が放った言葉の意味が分からず、言葉を発した口を閉じるのを忘れる。
そんな驚いてる俺を前に高峰はテーブルに置いてあった伝票の会計を見ると、パツパツなスーツの胸元から財布を取り出して数枚の札を手に取ると伝票のクリップに挟みテーブルの上に戻した。
高峰「これで楽しいクリスマスを過ごしてください。」
そう言って高峰が立ち上がると同時に凛奈も立ち上がり、カツカツとうるさいハイヒールと革靴の音をさせて2人は去っていった。
俺はあまりの出来事に立ち上がる気力も、声を張り上げる勇気もなくてそばに置かれた伝票に挟まれた札の枚数を数えてみるとちょうどヘアクリップの値段と同じ3万円が挟まれていた。
これが貧富の差かと再認識された俺はヘアクリップ代を財布の中に入れて、小銭入れから出来るだけ小銭をなくすようにして支払いを済ませ、店を出るとちょうど2つ隣にある駐車場から西日をよく反射する真っ白な車が出てきて道を塞がれていると、その窓から凛奈の顔が見えた。
その凛奈の顔は全く悲しげもなく、窓越しでも隣にいる俺なんか見ずに運転席にいる略奪男と楽しげに話しながら唇にグロスを塗りたくる。
そのグロスは2週間前のデートで、無理矢理デパートに連れていかれた時に欲しいと言われて断ったもの。
きっと、今の彼氏に買ってもらったものなんだろうと少し霞む目で眺めているとふと凛奈と目が合った。
すると凛奈は窓を開けて俺に手を振った。
凛奈「やっぱり外見より中身が大切だよ。就職頑張ってね。」
凛奈が捨て台詞を吐くと今彼は凛奈を連れ去るように車を車道に出し、頭の悪そうなエンジン音をふかしながら俺の元を離れてくれた。
俺はその事にやっと張り詰めていた心が解かれて少し目が潤み、そばにあったフェンスに腰掛けてふらつく足元を支える。
すると周りの雑音がやっと耳に入ってくる。
その雑音にはどんな人でも気分が浮かれてしまいそうなクリスマスソングに、楽しげにこれからの予定を話す友人や恋人のワンペア以上の人だかり。
もし、この中にまだワンペアにもなれてないブタがいるなら、俺と一緒にスペアリブになって欲しいけれどそんな人どこにも見つからない。
だから俺は無理にシフトを変わってくれた斎藤さんに連絡を入れて元のシフトに戻してもらうよう頼み、そのまま仕事場に向かった。
環流 虹向/聖夜は無価値
それを手っ取り早く消費したのが今俺の目の前でダージリンティーを静かに飲む彼女の凛奈。
クリスマスイブからクリスマスに掛けてデートをしたいと言われてわざわざバイトを2日間も休ませた上、自分が起きられないから夕方からの待ち合わせと言って30分待ち合わせに遅刻してきた消費の悪魔。
俺はそんな悪魔にこの後のディナー料金もホテル代も搾り取られるんだろうと、時間が出来た30分の間にATM行って下ろした10万をポケットに入っている財布に忍ばせて抹茶ラテで体を温めていると凛奈が携帯をいじり始めた。
それはここ最近、デート中に何回もしている行動で俺との時間をいつも暇そうにしている気がする。
けれど、今日はマナーの範疇を超えて誰かと電話し始めた。
しかもとても楽しげな声で俺はそんな声と自然な笑みを溢れさせる凛奈にプレゼントしようと思っていたヘアクリップが入っているプレゼント袋をジャケットのポケットに入れていたので手探りで探してると、凛奈は携帯を自分の耳から離して大きく手を振りだした。
俺はその行動に驚き、凛奈の笑顔の元凶を見ようと後ろを振り向くと凛奈に手を振り返すように小さく手を広げる男が駆け足でこちらにやってきて凛奈の隣に座った。
凛奈「唯、この人は高峰さん。」
そう俺に男を紹介した凛奈は高峰の腕に抱きついて、頭を肩に置き幸せそうな笑みを浮かべる。
凛奈「今日から私の彼氏。だから別れて。」
唯「…は?」
俺は凛奈が放った言葉の意味が分からず、言葉を発した口を閉じるのを忘れる。
そんな驚いてる俺を前に高峰はテーブルに置いてあった伝票の会計を見ると、パツパツなスーツの胸元から財布を取り出して数枚の札を手に取ると伝票のクリップに挟みテーブルの上に戻した。
高峰「これで楽しいクリスマスを過ごしてください。」
そう言って高峰が立ち上がると同時に凛奈も立ち上がり、カツカツとうるさいハイヒールと革靴の音をさせて2人は去っていった。
俺はあまりの出来事に立ち上がる気力も、声を張り上げる勇気もなくてそばに置かれた伝票に挟まれた札の枚数を数えてみるとちょうどヘアクリップの値段と同じ3万円が挟まれていた。
これが貧富の差かと再認識された俺はヘアクリップ代を財布の中に入れて、小銭入れから出来るだけ小銭をなくすようにして支払いを済ませ、店を出るとちょうど2つ隣にある駐車場から西日をよく反射する真っ白な車が出てきて道を塞がれていると、その窓から凛奈の顔が見えた。
その凛奈の顔は全く悲しげもなく、窓越しでも隣にいる俺なんか見ずに運転席にいる略奪男と楽しげに話しながら唇にグロスを塗りたくる。
そのグロスは2週間前のデートで、無理矢理デパートに連れていかれた時に欲しいと言われて断ったもの。
きっと、今の彼氏に買ってもらったものなんだろうと少し霞む目で眺めているとふと凛奈と目が合った。
すると凛奈は窓を開けて俺に手を振った。
凛奈「やっぱり外見より中身が大切だよ。就職頑張ってね。」
凛奈が捨て台詞を吐くと今彼は凛奈を連れ去るように車を車道に出し、頭の悪そうなエンジン音をふかしながら俺の元を離れてくれた。
俺はその事にやっと張り詰めていた心が解かれて少し目が潤み、そばにあったフェンスに腰掛けてふらつく足元を支える。
すると周りの雑音がやっと耳に入ってくる。
その雑音にはどんな人でも気分が浮かれてしまいそうなクリスマスソングに、楽しげにこれからの予定を話す友人や恋人のワンペア以上の人だかり。
もし、この中にまだワンペアにもなれてないブタがいるなら、俺と一緒にスペアリブになって欲しいけれどそんな人どこにも見つからない。
だから俺は無理にシフトを変わってくれた斎藤さんに連絡を入れて元のシフトに戻してもらうよう頼み、そのまま仕事場に向かった。
環流 虹向/聖夜は無価値
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