子宮が疼く愛が欲しい

環流 虹向

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Fake Friend

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無子は体が大きい割に通らない声でしかも小さく言葉を発するので、ホールにいる人に全く声が届かない。

それを何度も己虎さんに注意される中、秋になると無子は学校に行く意味を感じられなくなってきてサボるようになった。

だって、勉強も嫌い、友達もいない、カースト上位には遠方から言葉のナイフを投げられる。

私立で都立の学校よりもお金がかかってるのは分かってる。

けど、無子の体がついていかない。

いつもと同じ時間に寝ても起きられない。

それでお母さんとお父さんにうるさくされてまた嫌になる。

そういう無子の心が無になれる場所は当時、バイト先かともくんの家しかなかった。

その2つの場所だけが、無子の嫌なところをつついてこなくてただただ優しくしてくれる。

だから、無子は学校が休みだと言うともくんの家に朝から遊び行った。

すると、ともくんは、

「学校は?」

と、聞いてきた。

「あるけど行きたくない。」

「学校は行ってればなんとかなるよ。」

「…嫌いだもん。」

「サボりはよくないよ。」

そう私を諭すともくんは唯一好きになれなかった。

あの日、涙に溺れて友達がいなくなったことを伝えきれなかった、無子の学生ライフなんかともくんは知らない。

ただの学校嫌いなおサボり無子。

膣の具合が自分に合う丁度いい女の子。

呼んだらすぐに来てくれる都合のいい子。

ともくんにはそれだけの子だから深入りなんかしてくれない。 

だから、

「無子はカラオケでなに歌うの?」

と、ヒトカラが主流じゃないあの当時、ともくんはそう聞いてきた。

「カラオケ、あんまり行かない…。」

「そうなの?じゃあ、音楽はなに聞く?」

「色々。中古のCD買って聴いてる。」

無子はその時にハマっていたアーティストを答えてともくんをびっくりさせた。

だってJKがレゲエでオレオレ歌ってるアーティストグループを口に出すと思わないもん。

けど、その時無子はそのアーティストを永遠にリピートしていて、お気に入りだったから男ウケを気にせず正直に答えた。

するとともくんは無子に自分の好きなアーティストを教えてくれた。

それはねねくんも好きと言っていたアーティストで、バンドグループ。

そこから無子はそのバンドを好きになり、今でも聞いていて何度も心を救ってもらった。

そのバンドのボーカルさんは初めてちゃんと付き合った人の事を考えて気持ちが落ちた時、夢枕に出てきてもも枕をしながら耳元で歌ってくれるくらいの神さま的存在になった。

だから、そのバンドをちゃんとまた聞こうと思わせてくれたともくんには今でもすごく感謝してる。

けど、ともくんがしてることはその曲の歌詞を聞いてるとは思えないことばかりだったから、きっと本気で好きと思ってた無子の気持ちを利用して、他の女の子じゃ出来ないことをいっぱい無子で満たしてたんだと思うよ。


環流 虹向/子宮が疼く愛が欲しい
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