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あれから瑠愛さんが別の電気屋さんでとても安いノートPCを見つけてくれたので、僕はクリスマスプレゼントでもらったお金で買い直すことにした。
僕がPCで扱いたいものはネットを使わなくても出来るものばかりだから本体さえあればなんとかなる。
僕はすぐ使えるように1人でPCのアプリを地道に設定し終えて、明日から楽に動画編集出来るように携帯の写真アプリまで連携をしてひと段落したのでみんながいるリビングに行くと、瑠愛さんと悠さんがイチャイチャしているソファーの横で日向は1人で静かに本を読んでいた。
しかも、その隣には10冊近い本の柱が出来ていて、あれが少し前に見たバッグの中身の正体と気づいた僕は自分が大好きなココアを作り日向のそばに座る。
琥太郎「…飲む?」
日向「飲む。ありがとう。」
意外と素直に僕の手作りココアを受け入れてくれた日向に僕は飲みやすいように自分が使う予定だったスプーンを入れて、喉越し抜群のココアを先に飲んでいると日向は本を一旦膝に置いて僕のココアを口に入れると体を固めた。
日向「…え?なにこれ?」
琥太郎「え?ココア。」
日向「もっとまともに作れないの?」
…なんだよ。
せっかく作ったのに。
琥太郎「これが美味しいんだよ。文句言うなら僕が飲む。」
僕はお父さんから教わったレンゲ8杯分のココアを受け入れてくれなかった日向にイラつき、そのままココアを奪おうとするとその手を日向が止めた。
日向「…飲むけど、牛乳持ってきて。」
琥太郎「は?そんなに?」
日向「こんな原液みたいなココア飲む人いないよ。」
琥太郎「カルピスは原液に近い方がいいじゃん。」
日向「美味しいけど、ココアはさすがに違うでしょ。」
…なにが違うんだよ。
乳製品を胃に入れる時点で大体一緒だろ。
琥太郎「なんだよ。せっかく作ったのに。」
僕はどうしても漏らしてしまった言葉をかき消すようにキッチンに行き、日向に頼まれた牛乳を冷蔵庫から取り出して日向のココアの隣に置く。
すると日向はカップ満杯に入っていたココアをちびちびと飲みながらだんだんと薄めて最終的にはサラサラとした僕のココアじゃない飲み物にしてしまった。
やっぱりみんな僕のことなんか受け入れてくれないんだ。
まあ、でも自分がしてきたことがないものに出来ないんだから仕方がない。
しかも自分をいじめた奴を受け入れるなんてそんな寛大な心がある人間なんかこの世にいるわけない。
こうやって話せるだけでもマシな方なんだからこれ以上多くは求めないでおこう。
僕はそう決めて新たな年に備えて自分の気持ちを封じ込めた。
環流 虹向/てんしとおコタ
僕がPCで扱いたいものはネットを使わなくても出来るものばかりだから本体さえあればなんとかなる。
僕はすぐ使えるように1人でPCのアプリを地道に設定し終えて、明日から楽に動画編集出来るように携帯の写真アプリまで連携をしてひと段落したのでみんながいるリビングに行くと、瑠愛さんと悠さんがイチャイチャしているソファーの横で日向は1人で静かに本を読んでいた。
しかも、その隣には10冊近い本の柱が出来ていて、あれが少し前に見たバッグの中身の正体と気づいた僕は自分が大好きなココアを作り日向のそばに座る。
琥太郎「…飲む?」
日向「飲む。ありがとう。」
意外と素直に僕の手作りココアを受け入れてくれた日向に僕は飲みやすいように自分が使う予定だったスプーンを入れて、喉越し抜群のココアを先に飲んでいると日向は本を一旦膝に置いて僕のココアを口に入れると体を固めた。
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日向「もっとまともに作れないの?」
…なんだよ。
せっかく作ったのに。
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僕はお父さんから教わったレンゲ8杯分のココアを受け入れてくれなかった日向にイラつき、そのままココアを奪おうとするとその手を日向が止めた。
日向「…飲むけど、牛乳持ってきて。」
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日向「こんな原液みたいなココア飲む人いないよ。」
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…なにが違うんだよ。
乳製品を胃に入れる時点で大体一緒だろ。
琥太郎「なんだよ。せっかく作ったのに。」
僕はどうしても漏らしてしまった言葉をかき消すようにキッチンに行き、日向に頼まれた牛乳を冷蔵庫から取り出して日向のココアの隣に置く。
すると日向はカップ満杯に入っていたココアをちびちびと飲みながらだんだんと薄めて最終的にはサラサラとした僕のココアじゃない飲み物にしてしまった。
やっぱりみんな僕のことなんか受け入れてくれないんだ。
まあ、でも自分がしてきたことがないものに出来ないんだから仕方がない。
しかも自分をいじめた奴を受け入れるなんてそんな寛大な心がある人間なんかこの世にいるわけない。
こうやって話せるだけでもマシな方なんだからこれ以上多くは求めないでおこう。
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環流 虹向/てんしとおコタ
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