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今日は大晦日。
けど、1年が終わる実感は全然湧かないまま、思ったように撮影出来ないショッピングモールを諦めて僕は瑠愛さんと一緒に家へ帰ることにした。
瑠愛「どこもかしこも人ばっかり。みんななんでこんなに外に出るんだろう。」
琥太郎「んー…、やっぱりセール品目当てだったりするんじゃないですか?」
僕はどこも年末特別大セールと宣伝している色あざやかなショーウィンドウを見て目が眩む。
瑠愛「俺たちもなんかいいのあったら買っちゃおうか。」
琥太郎「…じゃあ、電化製品見てもいいですか?」
瑠愛「うん!行こ行こー。」
そう言って瑠愛さんは僕とはぐれないように手を繋いで迷いかけだった僕を電気屋さんに連れてきてくれた。
瑠愛「何見たい?」
琥太郎「…ノートPC見たいです。」
瑠愛「OK。えーっと…、こっちかな?」
「あれ、瑠愛とおこたじゃん。」
と、僕はここで出会うとも思ってなかった人に声をかけられて思わず驚く。
瑠愛「おー…!雷翔じゃん。おひさだね。」
雷翔「ひさひさ。瑠愛っておこたと付き合ってるの?」
そう言って雷翔さんは僕たちが繋いでいる手を指し、ちょっと嫌な笑みを浮かべる。
瑠愛「これは迷子にならないように。てか、俺が彼女いるの知ってるじゃん。」
雷翔「だって、ちょっと前まで男も好きって言ってたじゃん。」
瑠愛「それは前の話でしょ。今はだーいすきな悠ちゃんがいるので浮気なんかしませーん。」
雷翔「うぜぇ。こんな公の場で惚気るなよ。」
…この2人って知り合いだったんだ。
瑠愛さんがすごいたくさんの知り合いがいることは会話してる中で分かってはいたけど、雷翔さんまで知り合いだとは思ってなかった。
雷翔「これから飯食うけど、一緒に来る?風喜に席取らせてるんだ。」
琥太郎「風喜もいるんですか?」
雷翔「おー。ついでに爽太もいる。」
…僕、呼んでもらえなかった?
でも、年末は予定いっぱいって言っといたし、わざわざ呼ばなかったのかも。
瑠愛「風喜って誰?」
雷翔「俺の弟でおこたの友達。」
瑠愛「そうなんだ!じゃあ一緒に食べようよ!」
と、瑠愛さんは僕の友達に会いたいのか目を煌めかせて僕の手を引っ張る。
雷翔「じゃあ決定。買い物は後にするか?」
琥太郎「…はい。急ぎじゃないんで。」
僕は少し心に突っかかりを感じながら雷翔さんが案内してくれた中華料理屋さんに入ると、爽太と風喜は僕が来てとても驚き目を見開く。
雷翔「テーブル席でよかったー。腹減ったしさっさと注文しよ。」
そう言って雷翔さんは風喜の隣に座り、僕と瑠愛さんをテーブル向かい側のソファー席に座らせた。
瑠愛「回鍋肉おいちちょー…。よだれ出てくる…。」
雷翔「俺は坦々麺一択。」
そんな和やかな会話をする2人に対して爽太と風喜は僕に見えない壁を張っているようで、いつもない変な間を空けて僕と話す。
爽太「琥太は何にする?」
琥太郎「んー…、油淋鶏にしようかな。」
風喜「だったらふぅはエビチリにしようかな。」
爽太「俺もエビチリいいなって思ってた。」
琥太郎「…僕もエビチリにしようかな。」
風喜「…やっぱ、棒棒鶏しようかな。」
爽太「悩むなー。」
いつもは即決ですぐ注文してしまう2人が僕の反応を見てわざとハブってくる。
それに腹が立った僕は2人の間のソファーを蹴った。
琥太郎「何?」
爽太「…な、なにって?」
琥太郎「なんか隠してるだろ。言えよ。」
僕がそう言い放つと隣で雷翔さんと話していた瑠愛さんの声が聞こえなくなった。
風喜「…じゃあ、こーたんはふぅたちに隠してることない?」
琥太郎「ないけど。」
爽太「天使ちゃんと手繋いでデートしてたとこ、撮られてるけど。」
そう言って爽太はこの間淡島さんを思いっ切り振った時に日向の手を繋いだまま走り去った僕が写っている写真を見せた。
爽太「…淡島さん、すごい辛そうだったよ。」
と、爽太は風喜に全部教えてもらったのか僕の目を見ずに淡島さんのことだけを考えてそう呟いた。
琥太郎「僕は自分の夢を叶えるために日向と一時的に手を組んだだけ。それを勝手にお前らはデートとか恋人とか言って妄想で騒いでる。もうそういうのだるい。」
風喜「だるいって…、お前が1番日向のこといじめてたじゃん。それで自分の夢のために利用するって1番クズじゃない?」
爽太「俺の好きになった奴、全員いじめんのなんなの?お前って本当に何考えてんのか分からなくて怖い。」
…これが僕の友達2人の本音か。
やっぱり、もう後戻りなんか出来ないよな。
全部、自分がやってきた過ちは月日が経っても消えないし、拭いきれない。
琥太郎「…僕は自分が好きなように生きれたらそれでいい。他人のことなんて知ったこっちゃない。」
僕は2人に思いっきり嫌われたくて、本当は謝りたかった口でそう言うと隣にいた瑠愛さんが僕の口を叩くように押さえた。
瑠愛「琥太くんはいい子だよ…。昔はココア1本飲むだけでよだれが出ちゃうほどいい笑顔をする可愛い子だったの。けど、きっと俺がいなかったせいで気持ちがぐちゃぐちゃになったんだね。ごめんね。」
と、瑠愛さんは全く悪くないのに何故かみんなに対して謝った。
瑠愛「全部、俺のせい。義兄弟の兄として琥太くんの面倒を見てなかったからみんなにたくさん迷惑かけちゃった。ごめんね。」
雷翔「…瑠愛っておこたの兄さんなの?」
瑠愛「俺は養子で入ったから血は繋がってないし、琥太くんの父親とも疎遠だったから少し前まで会ってなかった。」
そう嘘をつき続けた瑠愛さんは僕の手を取り、席から立ち上がった。
瑠愛「出来ることならこれからも琥太くんと仲良くしてほしいと思うけど、それは2人が自分自身で決めることだからお願いはしないでおく。せっかくの楽しいお出かけを邪魔しちゃってごめんね。」
そう言って瑠愛さんは足が重い僕を連れて駐車場に行き、助手席に座らせるとすぐに車を出した。
瑠愛「琥太くん、嘘つくの下手だね。嘘つくならもっと細かい設定作らなきゃ。」
琥太郎「…ごめんなさい。」
瑠愛「けど、その嘘を見破れないくらいの友達だったらいなくてもいいのかもね。」
瑠愛さんはそんな冷たいことを言ったけれど、僕もそう思ってしまったから今までの学校生活には戻れないことを覚悟して今だけ楽しい冬休みを思う存分楽しむことにした。
環流 虹向/てんしとおコタ
けど、1年が終わる実感は全然湧かないまま、思ったように撮影出来ないショッピングモールを諦めて僕は瑠愛さんと一緒に家へ帰ることにした。
瑠愛「どこもかしこも人ばっかり。みんななんでこんなに外に出るんだろう。」
琥太郎「んー…、やっぱりセール品目当てだったりするんじゃないですか?」
僕はどこも年末特別大セールと宣伝している色あざやかなショーウィンドウを見て目が眩む。
瑠愛「俺たちもなんかいいのあったら買っちゃおうか。」
琥太郎「…じゃあ、電化製品見てもいいですか?」
瑠愛「うん!行こ行こー。」
そう言って瑠愛さんは僕とはぐれないように手を繋いで迷いかけだった僕を電気屋さんに連れてきてくれた。
瑠愛「何見たい?」
琥太郎「…ノートPC見たいです。」
瑠愛「OK。えーっと…、こっちかな?」
「あれ、瑠愛とおこたじゃん。」
と、僕はここで出会うとも思ってなかった人に声をかけられて思わず驚く。
瑠愛「おー…!雷翔じゃん。おひさだね。」
雷翔「ひさひさ。瑠愛っておこたと付き合ってるの?」
そう言って雷翔さんは僕たちが繋いでいる手を指し、ちょっと嫌な笑みを浮かべる。
瑠愛「これは迷子にならないように。てか、俺が彼女いるの知ってるじゃん。」
雷翔「だって、ちょっと前まで男も好きって言ってたじゃん。」
瑠愛「それは前の話でしょ。今はだーいすきな悠ちゃんがいるので浮気なんかしませーん。」
雷翔「うぜぇ。こんな公の場で惚気るなよ。」
…この2人って知り合いだったんだ。
瑠愛さんがすごいたくさんの知り合いがいることは会話してる中で分かってはいたけど、雷翔さんまで知り合いだとは思ってなかった。
雷翔「これから飯食うけど、一緒に来る?風喜に席取らせてるんだ。」
琥太郎「風喜もいるんですか?」
雷翔「おー。ついでに爽太もいる。」
…僕、呼んでもらえなかった?
でも、年末は予定いっぱいって言っといたし、わざわざ呼ばなかったのかも。
瑠愛「風喜って誰?」
雷翔「俺の弟でおこたの友達。」
瑠愛「そうなんだ!じゃあ一緒に食べようよ!」
と、瑠愛さんは僕の友達に会いたいのか目を煌めかせて僕の手を引っ張る。
雷翔「じゃあ決定。買い物は後にするか?」
琥太郎「…はい。急ぎじゃないんで。」
僕は少し心に突っかかりを感じながら雷翔さんが案内してくれた中華料理屋さんに入ると、爽太と風喜は僕が来てとても驚き目を見開く。
雷翔「テーブル席でよかったー。腹減ったしさっさと注文しよ。」
そう言って雷翔さんは風喜の隣に座り、僕と瑠愛さんをテーブル向かい側のソファー席に座らせた。
瑠愛「回鍋肉おいちちょー…。よだれ出てくる…。」
雷翔「俺は坦々麺一択。」
そんな和やかな会話をする2人に対して爽太と風喜は僕に見えない壁を張っているようで、いつもない変な間を空けて僕と話す。
爽太「琥太は何にする?」
琥太郎「んー…、油淋鶏にしようかな。」
風喜「だったらふぅはエビチリにしようかな。」
爽太「俺もエビチリいいなって思ってた。」
琥太郎「…僕もエビチリにしようかな。」
風喜「…やっぱ、棒棒鶏しようかな。」
爽太「悩むなー。」
いつもは即決ですぐ注文してしまう2人が僕の反応を見てわざとハブってくる。
それに腹が立った僕は2人の間のソファーを蹴った。
琥太郎「何?」
爽太「…な、なにって?」
琥太郎「なんか隠してるだろ。言えよ。」
僕がそう言い放つと隣で雷翔さんと話していた瑠愛さんの声が聞こえなくなった。
風喜「…じゃあ、こーたんはふぅたちに隠してることない?」
琥太郎「ないけど。」
爽太「天使ちゃんと手繋いでデートしてたとこ、撮られてるけど。」
そう言って爽太はこの間淡島さんを思いっ切り振った時に日向の手を繋いだまま走り去った僕が写っている写真を見せた。
爽太「…淡島さん、すごい辛そうだったよ。」
と、爽太は風喜に全部教えてもらったのか僕の目を見ずに淡島さんのことだけを考えてそう呟いた。
琥太郎「僕は自分の夢を叶えるために日向と一時的に手を組んだだけ。それを勝手にお前らはデートとか恋人とか言って妄想で騒いでる。もうそういうのだるい。」
風喜「だるいって…、お前が1番日向のこといじめてたじゃん。それで自分の夢のために利用するって1番クズじゃない?」
爽太「俺の好きになった奴、全員いじめんのなんなの?お前って本当に何考えてんのか分からなくて怖い。」
…これが僕の友達2人の本音か。
やっぱり、もう後戻りなんか出来ないよな。
全部、自分がやってきた過ちは月日が経っても消えないし、拭いきれない。
琥太郎「…僕は自分が好きなように生きれたらそれでいい。他人のことなんて知ったこっちゃない。」
僕は2人に思いっきり嫌われたくて、本当は謝りたかった口でそう言うと隣にいた瑠愛さんが僕の口を叩くように押さえた。
瑠愛「琥太くんはいい子だよ…。昔はココア1本飲むだけでよだれが出ちゃうほどいい笑顔をする可愛い子だったの。けど、きっと俺がいなかったせいで気持ちがぐちゃぐちゃになったんだね。ごめんね。」
と、瑠愛さんは全く悪くないのに何故かみんなに対して謝った。
瑠愛「全部、俺のせい。義兄弟の兄として琥太くんの面倒を見てなかったからみんなにたくさん迷惑かけちゃった。ごめんね。」
雷翔「…瑠愛っておこたの兄さんなの?」
瑠愛「俺は養子で入ったから血は繋がってないし、琥太くんの父親とも疎遠だったから少し前まで会ってなかった。」
そう嘘をつき続けた瑠愛さんは僕の手を取り、席から立ち上がった。
瑠愛「出来ることならこれからも琥太くんと仲良くしてほしいと思うけど、それは2人が自分自身で決めることだからお願いはしないでおく。せっかくの楽しいお出かけを邪魔しちゃってごめんね。」
そう言って瑠愛さんは足が重い僕を連れて駐車場に行き、助手席に座らせるとすぐに車を出した。
瑠愛「琥太くん、嘘つくの下手だね。嘘つくならもっと細かい設定作らなきゃ。」
琥太郎「…ごめんなさい。」
瑠愛「けど、その嘘を見破れないくらいの友達だったらいなくてもいいのかもね。」
瑠愛さんはそんな冷たいことを言ったけれど、僕もそう思ってしまったから今までの学校生活には戻れないことを覚悟して今だけ楽しい冬休みを思う存分楽しむことにした。
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