18 / 25
12/28
10:00
しおりを挟む
昼過ぎから塾の時間が一緒の風喜と冬休みの宿題を進めながらTVのニュースを流し見していると、週1でオススメの映画を3本紹介しているというコーナー始まった。
そのコーナーが耳に入ってきた僕は宿題そっちのけで見ていると、今でも全シーンの内容を覚えている映画が紹介された。
風喜「…なんか、こーたんに似てる。」
僕はその風喜の言葉に少し冷や汗をかく。
琥太郎「僕に似てる人よくいるし。」
風喜「いないでしょ。この学区1イケメンでモテ男なくせにそんなこと言う?」
と、風喜は呆れながらそばにあったお菓子を取り、糖分を補給する。
風喜「やべぇ…。この映画、見たくなってきた。」
琥太郎「風喜ってお化け屋敷苦手だったじゃん。」
風喜「ホラー映画とお化け屋敷は別もんだよ。塾の後にレンタルしに行こっかな。」
…やばい。
あのレンタルDVD屋には確実にあるし、年末年始で店側が気合を入れてるはずだし、今日TVで紹介されたから在庫を増やす可能性もある。
琥太郎「これより面白いのあるよ。」
風喜「これがいいの。こーたんが似てる子、今どんなになってるかなー。」
琥太郎「子役はすぐ旬じゃなくなるから辞めてるかも。」
風喜「エスター、日本版、子役、現在っと…。」
そう言って風喜はいつのまにか手にしていた携帯で僕のことを検索した。
風喜「紀信 琥太だって。名前丸かぶりじゃん。」
風喜は僕自身にプロフィールを見せながら最初は笑っていたけれど、生年月日や血液型、好きなものがドロドロの甘々ココアというどうしようもならない共通点を見て僕の顔を見つめる。
風喜「…え、これ。こーたんじゃん。」
琥太郎「違うけど…。」
風喜「こーたんって嘘言う前に耳動くんだよね。」
琥太郎「え。」
僕は思わず耳を触り、確認してしまうと風喜はゴシップネタを捕まえて嬉しそうな顔をする。
風喜「こーたんって子役だったの?だから嘘隠すの得意なの?」
琥太郎「なんのことか知らない。」
風喜「こーたんって天使ちゃんのこと、好きなんでしょ?ふぅのことどう思った?嫌い?うざい?ちゅき?」
琥太郎「…今はうざい。」
風喜「あーんっ♡今じゃなくて終業式の時よ♡」
風喜は猫撫で声を出しながら僕をイラつかせる。
けれど、僕が嘘を突き通していると風喜は僕の左目の際を指した。
風喜「こーたんは嘘つく時、ここがほんのすこーしピクって動いちゃうの♡あの時天使ちゃんのこと聞いた時も動いてたぁ♡」
琥太郎「あっそ。なんとでも言えば?風喜がデマ言ってるって言うから。」
風喜「ふーん?淡島ちゃんはいいの?」
琥太郎「え?」
風喜「付き合ってるってそーたんが騒いでたけど。」
…ああ。
そうか、勘違いが行き違ってるんだ。
琥太郎「付き合ってないよ。ただ駄弁ってただけ。」
風喜「けど、淡島ちゃん付き合ってるって言ってたよ?」
琥太郎「…は?そんな覚えないんだけど。」
風喜「初ちゅーしたって教えてくれたよ?これは誰にも公開してないから安心して♡」
だるい。
付き合ってくださいって言われてないし、付き合いましょうとも言ってないんだから付き合ってるわけがない。
琥太郎「したけど、ただの興味本位。マドンナって慣れてるのかなって。」
風喜「こーたんはプリンスだけど慣れてるの?」
琥太郎「ラブシーンでフレンチはしたけど…」
風喜「あはっ♡自分でお墓掘ったね♡」
…やらかした。
こうなったらもうなるようになれって感じだ。
それで本気で国立高校目指してこんなクソ学校転校してやる。
琥太郎「いいよ。言えば?そうしたらみんな見てくれるだろうし、また仕事入るかもしれない。」
風喜「やだっ♡こーたん可愛い♡忙しくなる前にサインもらっていい?」
おばさん化した風喜に今適当に作ったサインを書くと、風喜はサインが書かれた数学のノートを抱きしめて嬉しそうにする。
風喜「まーた、こーたんモテちゃうよ。どうするの?」
琥太郎「知らない。終わった子役でモテるなら今俳優志望でもがいてるフリーターもモテるだろ。」
僕はおしゃべりな風喜がこの噂を流さないように願いつつ、これからの学校生活をどう過ごすか考えた。
環流 虹向/てんしとおコタ
そのコーナーが耳に入ってきた僕は宿題そっちのけで見ていると、今でも全シーンの内容を覚えている映画が紹介された。
風喜「…なんか、こーたんに似てる。」
僕はその風喜の言葉に少し冷や汗をかく。
琥太郎「僕に似てる人よくいるし。」
風喜「いないでしょ。この学区1イケメンでモテ男なくせにそんなこと言う?」
と、風喜は呆れながらそばにあったお菓子を取り、糖分を補給する。
風喜「やべぇ…。この映画、見たくなってきた。」
琥太郎「風喜ってお化け屋敷苦手だったじゃん。」
風喜「ホラー映画とお化け屋敷は別もんだよ。塾の後にレンタルしに行こっかな。」
…やばい。
あのレンタルDVD屋には確実にあるし、年末年始で店側が気合を入れてるはずだし、今日TVで紹介されたから在庫を増やす可能性もある。
琥太郎「これより面白いのあるよ。」
風喜「これがいいの。こーたんが似てる子、今どんなになってるかなー。」
琥太郎「子役はすぐ旬じゃなくなるから辞めてるかも。」
風喜「エスター、日本版、子役、現在っと…。」
そう言って風喜はいつのまにか手にしていた携帯で僕のことを検索した。
風喜「紀信 琥太だって。名前丸かぶりじゃん。」
風喜は僕自身にプロフィールを見せながら最初は笑っていたけれど、生年月日や血液型、好きなものがドロドロの甘々ココアというどうしようもならない共通点を見て僕の顔を見つめる。
風喜「…え、これ。こーたんじゃん。」
琥太郎「違うけど…。」
風喜「こーたんって嘘言う前に耳動くんだよね。」
琥太郎「え。」
僕は思わず耳を触り、確認してしまうと風喜はゴシップネタを捕まえて嬉しそうな顔をする。
風喜「こーたんって子役だったの?だから嘘隠すの得意なの?」
琥太郎「なんのことか知らない。」
風喜「こーたんって天使ちゃんのこと、好きなんでしょ?ふぅのことどう思った?嫌い?うざい?ちゅき?」
琥太郎「…今はうざい。」
風喜「あーんっ♡今じゃなくて終業式の時よ♡」
風喜は猫撫で声を出しながら僕をイラつかせる。
けれど、僕が嘘を突き通していると風喜は僕の左目の際を指した。
風喜「こーたんは嘘つく時、ここがほんのすこーしピクって動いちゃうの♡あの時天使ちゃんのこと聞いた時も動いてたぁ♡」
琥太郎「あっそ。なんとでも言えば?風喜がデマ言ってるって言うから。」
風喜「ふーん?淡島ちゃんはいいの?」
琥太郎「え?」
風喜「付き合ってるってそーたんが騒いでたけど。」
…ああ。
そうか、勘違いが行き違ってるんだ。
琥太郎「付き合ってないよ。ただ駄弁ってただけ。」
風喜「けど、淡島ちゃん付き合ってるって言ってたよ?」
琥太郎「…は?そんな覚えないんだけど。」
風喜「初ちゅーしたって教えてくれたよ?これは誰にも公開してないから安心して♡」
だるい。
付き合ってくださいって言われてないし、付き合いましょうとも言ってないんだから付き合ってるわけがない。
琥太郎「したけど、ただの興味本位。マドンナって慣れてるのかなって。」
風喜「こーたんはプリンスだけど慣れてるの?」
琥太郎「ラブシーンでフレンチはしたけど…」
風喜「あはっ♡自分でお墓掘ったね♡」
…やらかした。
こうなったらもうなるようになれって感じだ。
それで本気で国立高校目指してこんなクソ学校転校してやる。
琥太郎「いいよ。言えば?そうしたらみんな見てくれるだろうし、また仕事入るかもしれない。」
風喜「やだっ♡こーたん可愛い♡忙しくなる前にサインもらっていい?」
おばさん化した風喜に今適当に作ったサインを書くと、風喜はサインが書かれた数学のノートを抱きしめて嬉しそうにする。
風喜「まーた、こーたんモテちゃうよ。どうするの?」
琥太郎「知らない。終わった子役でモテるなら今俳優志望でもがいてるフリーターもモテるだろ。」
僕はおしゃべりな風喜がこの噂を流さないように願いつつ、これからの学校生活をどう過ごすか考えた。
環流 虹向/てんしとおコタ
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる