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今日の朝、家に帰ると枕元にはいつも通りあのクリスマスプレゼントがあって僕はそのみふて寝してしまい、こんな時間になってしまった。
きっと日向はあれから適当に逃げ出して僕の衣装を作り直してくれているのに、何も出来ない僕がこんな自堕落なことをしてどうする。
けど、動画編集の練習はPCが壊れて出来なくなったし、セリフの練習はお父さんのシャワー音がなくなったら出来ない。
こんな窮屈な家はもう嫌だなと思った僕は3学期にある修学旅行のために買ってもらったボストンバッグに自分の服や必要なものを詰めて、この家で今年最後の食事をとるためにキッチンに行きまた袋麺を煮る。
すると、風呂上がりのお父さんは冷蔵庫からハイボールの缶を取り出し、僕が作っている醤油ラーメンを覗いた。
父「またラーメン食ってるのか?」
と、お父さんは昨日のことがなかったかのように僕に話しかけてきた。
琥太郎「うん。弁当買うの忘れたし、コンビニ行くのだるいからこれでいいやって。」
父「まだあるか?」
琥太郎「…どうだったかな。」
僕はお父さんの分を作りたくなくて、そのまま火の元を見ているフリをしているとお父さんは自分で棚を探って最後の1個の袋麺を取り出した。
父「お湯だけ作っといてくれ。」
琥太郎「分かった。」
僕は無闇な反抗期を晒さないように自分の気持ちに蓋をしてやかんでお湯を沸かすと同時に自分のラーメンが出来ると、お父さんは乾麺とスープの素をお皿に出してそのままお湯を入れた。
本当に自分が作ると適当過ぎるお父さんのラーメンはいつも緩いし、麺の出汁が出てあんまり美味しくない。
だからなるべく僕自身で作ってるけど、お父さんは味の違いなんか気にすることもなく自分が作った固めのラーメンをすすってお腹を満たす。
父「年末だけど…」
琥太郎「あ、年末っていうか明日から友達の家に泊まることにした。」
僕はまたお父さんの『忙しい』を聞きたくなくて、遮るように嘘を吐く。
父「そうなのか。何日くらいだ?」
琥太郎「んー…と、6日まで。一緒に冬休みの宿題と受験勉強しようってことになってる。」
父「…受験勉強?」
エスカレーター式の学校なのに僕がそう言ったのでお父さんはとても不審そうに僕の顔を見てくる。
琥太郎「うん。まあゲームみたいな感じ。勉強して模試で国立高校のレベルまで脳力アップ出来てるかどうかっていうチャレンジしてみようかなって。」
父「なるほどな…。もし、受かる見込みがあるなら場所にもよるがそっちに入学してもいいぞ。」
琥太郎「え?いいの?」
僕はあの学校を抜け出して別の世界へ行けることに少し魅力的に感じてしまう。
父「上を目指す事はいい事だ。それなら許す。」
と言って、お父さんは財布と2つの封筒を取り出してお札を数枚入れると僕に渡した。
父「こっちが友達の親御さんに渡す食費兼宿代。こっちが参考書や文具を買ったりする金な。今、琥太郎は食費いくら持ってる?」
琥太郎「んー…、1万円は入ってた気がする。」
父「ちゃんと財布の中身は覚えておけ。」
そう小言を言ってお父さんは僕にまた食費を2万円くれた。
父「次の日、連れて行きたい場所があるから予定入れないどいてくれ。」
琥太郎「…わかった。気をつける。」
僕がそう言うとお父さんは一度頷いて自分の寝室に戻っていった。
お父さんの背中を見送った僕は少し伸びてしまったラーメンを1人静かに食べながら、明日までに返すDVDを見まくり夜を明かした。
環流 虹向/てんしとおコタ
きっと日向はあれから適当に逃げ出して僕の衣装を作り直してくれているのに、何も出来ない僕がこんな自堕落なことをしてどうする。
けど、動画編集の練習はPCが壊れて出来なくなったし、セリフの練習はお父さんのシャワー音がなくなったら出来ない。
こんな窮屈な家はもう嫌だなと思った僕は3学期にある修学旅行のために買ってもらったボストンバッグに自分の服や必要なものを詰めて、この家で今年最後の食事をとるためにキッチンに行きまた袋麺を煮る。
すると、風呂上がりのお父さんは冷蔵庫からハイボールの缶を取り出し、僕が作っている醤油ラーメンを覗いた。
父「またラーメン食ってるのか?」
と、お父さんは昨日のことがなかったかのように僕に話しかけてきた。
琥太郎「うん。弁当買うの忘れたし、コンビニ行くのだるいからこれでいいやって。」
父「まだあるか?」
琥太郎「…どうだったかな。」
僕はお父さんの分を作りたくなくて、そのまま火の元を見ているフリをしているとお父さんは自分で棚を探って最後の1個の袋麺を取り出した。
父「お湯だけ作っといてくれ。」
琥太郎「分かった。」
僕は無闇な反抗期を晒さないように自分の気持ちに蓋をしてやかんでお湯を沸かすと同時に自分のラーメンが出来ると、お父さんは乾麺とスープの素をお皿に出してそのままお湯を入れた。
本当に自分が作ると適当過ぎるお父さんのラーメンはいつも緩いし、麺の出汁が出てあんまり美味しくない。
だからなるべく僕自身で作ってるけど、お父さんは味の違いなんか気にすることもなく自分が作った固めのラーメンをすすってお腹を満たす。
父「年末だけど…」
琥太郎「あ、年末っていうか明日から友達の家に泊まることにした。」
僕はまたお父さんの『忙しい』を聞きたくなくて、遮るように嘘を吐く。
父「そうなのか。何日くらいだ?」
琥太郎「んー…と、6日まで。一緒に冬休みの宿題と受験勉強しようってことになってる。」
父「…受験勉強?」
エスカレーター式の学校なのに僕がそう言ったのでお父さんはとても不審そうに僕の顔を見てくる。
琥太郎「うん。まあゲームみたいな感じ。勉強して模試で国立高校のレベルまで脳力アップ出来てるかどうかっていうチャレンジしてみようかなって。」
父「なるほどな…。もし、受かる見込みがあるなら場所にもよるがそっちに入学してもいいぞ。」
琥太郎「え?いいの?」
僕はあの学校を抜け出して別の世界へ行けることに少し魅力的に感じてしまう。
父「上を目指す事はいい事だ。それなら許す。」
と言って、お父さんは財布と2つの封筒を取り出してお札を数枚入れると僕に渡した。
父「こっちが友達の親御さんに渡す食費兼宿代。こっちが参考書や文具を買ったりする金な。今、琥太郎は食費いくら持ってる?」
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父「ちゃんと財布の中身は覚えておけ。」
そう小言を言ってお父さんは僕にまた食費を2万円くれた。
父「次の日、連れて行きたい場所があるから予定入れないどいてくれ。」
琥太郎「…わかった。気をつける。」
僕がそう言うとお父さんは一度頷いて自分の寝室に戻っていった。
お父さんの背中を見送った僕は少し伸びてしまったラーメンを1人静かに食べながら、明日までに返すDVDを見まくり夜を明かした。
環流 虹向/てんしとおコタ
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