てんしとおコタ

環流 虹向

文字の大きさ
上 下
13 / 25
12/25

20:00

しおりを挟む
僕は生地や必要な手芸用品を買い揃えてから瑠愛さん主催のクリスマスパーティーに来たけれど、どこの視界も刺激的過ぎて日向になんでもと言った代償に僕の熱狂的ファンで日向のお兄さんの彼女さんである音己ねこさんの肩もみをするけれど、たまに漏れる吐息が艶っぽ過ぎて気持ちが持っていかれそうになる。

そんな葛藤をしていると、僕が音己さんの肩もみをしていることに気づいたお兄さんの日向 一ひゅうが ひとさんがこっちにやってきて音己さんの隣に座った。

一「音己ねぇ、なんでこいつに肩揉まれてるの?」

音己「天がやれって命令してた。」

と、音己さんはクリスマスの妖精みたいな真っ赤なドレスで肩と腰と脚を出している日向を指して喧嘩逃れをする。

一「あーなるほど。好感度アップのためか。」

琥太郎「…そんなとこです。」

音己「ん?天のこと好きなの?」

音己さんはまさかの事を言い出し、僕は心の中で焦っていると一さんは吹き出し笑いをした。

一「丸わかりじゃん。気づいてなかった?」

琥太郎「違います。」

音己「紀信くんはどんな子がタイプなの?」

と、ずっと僕を芸名で呼んでくれる音己さんは後ろにいる僕の脚を肘掛にすると体をもたれさせるようにして僕の腹に背中を預け、顔逆さまにしたまま上にある僕の顔をまっすぐ見てくる。

琥太郎「…なんでも頑張る人。」

音己「うんうん。あとは?」

琥太郎「絶対諦めない人。かっこいいと思う。」

音己「へー。可愛いんじゃないんだ?」

琥太郎「可愛いのは照れやすいところとか…、簡単に笑わない所とか…。」

一「具体的すぎる。絶対好きな奴はいるだろ。」

一さんは少し拗ねた顔をしながら音己さんの太ももを枕にして音己さんの胸の向こうから僕を見上げてくる。

琥太郎「いたとしても僕は無理です。」

一「なにが無理?」

琥太郎「…告白とか。」

僕は目で日向を写しそうになったのを寸前で止めて、音己さんの首元にあるピンクのネックレスをじっと見る。

一「おい。俺の彼女だから無駄だぞ。」

と、一さんは何かを勘違いしたらしく体を起こし、音己さんを自分の胸に抱き寄せた。

琥太郎「分かってます。別の人ですよ。」

音己「え?いるんだ?」

琥太郎「あ…。」

僕は自分で墓穴を掘ってしまい、興味津々で輝いている目で僕を追い詰めてくるバカップルから逃げ出してオープンキッチンで作業していた瑠愛さんの元へ走った。

琥太郎「な、ななっ、なにか手伝うことありますか。」

瑠愛「んー…?じゃあ、ちゅーの時間くださーい。」

琥太郎「え?」

僕は意味の分からないことを言う瑠愛さんに驚いていると、奥から出てきた悠さんがおたまを持ったままこちらに来て、しゃがんで作業している瑠愛さんに上下反転キスをするとまた火元がある鍋の前に戻っていった。

瑠愛「天ちゃんとはどう?」

琥太郎「え!?…いや、なにも。」

瑠愛「ん?なになに?なにあったの♡」

と、瑠愛さんはジャンプするように立ち上がると、僕を抱いたまま雪でも降るのかと思うくらい寒いベランダに出て2人の時間を作ってくれた。

瑠愛「衣装のことは天ちゃんも琥太くんのせいって思ってないよ。ちゃんと説明したんでしょ?」

琥太郎「…したけど、一度しか作れない物を壊してしまったキッカケを作ったのは僕なので僕のせいです。」

瑠愛「けど、天ちゃんはもうそんなこと考えずにひたすらに作ってくれてる。だから俺たちが天ちゃんの夢を叶えるためにも頑張ろうよ。大賞取って琥太くんも天ちゃんもやりたいことを出来る環境に飛び出そうよ。」

そう言ってくれた瑠愛さんは僕を温めるように抱きしめて今日の朝にめちゃくちゃされた自分の夢を修復するために心の破片をホウキで集めてくれる。

瑠愛「琥太くんのお父さんがそんなことする人だとは思わなかったけど、自分の子どものことは1番に考えてる人っていうのはちゃんと覚えてる。今は年末年始の特番で忙しくてきっと疲れちゃってるだけだよ。」

…そうならいいけど、年末年始は365日ある間の10日程度しかなくていつも疲れているお父さんの小言は毎日のようにある。

だからきっと疲れてるわけじゃなくて、本当に自分の理想を自分の子どもに押し付けたいだけなんだと思ってしまう。

琥太郎「…疲れてるお父さんと会いたくないので、撮影してる間だけここに泊めてくれませんか。」

僕は衣装もPCも心も壊したお父さんにしばらく一緒にいたくなくて、そう瑠愛さんにお願いしてみる。

瑠愛「いいよ。一緒に年越しジャンプしようね。」

そう言ってくれる瑠愛さんが僕のお父さんだったらいいのにと思ってしまったけれど、それは1番の夢物語で叶いっこない願いなので僕は自分の吐く白い息と一緒に空気に溶けさせてその思いを消した。


環流 虹向/てんしとおコタ
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

処理中です...