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PCって、勝手にパスワード知られたりするのかな…。
僕は昨日お父さんに没収されたPCを心配しながら、担任に頼まれたプリントを風喜と一緒に運んでいるとまた1人でどこかへ行く日向とすれ違った。
風喜「天使ちゃん、移動教室だと思ってる?」
琥太郎「…どうだろ。」
今日は非常勤の尚春先生はいないし、全ての時間割を把握しているはずの日向がそんな凡ミスを犯すわけはない。
けど、なにがあったらあんな猛ダッシュで下の階へ行ってしまうんだろうか。
風喜「…こーたんって、好きな人いる?」
当然、風喜は僕の顔を覗き込みながら聞いてきた。
琥太郎「今のとこいないけど。」
風喜「ふー…ん。ふぅが好きなのは天使ちゃん。」
琥太郎「…は?」
僕は突然のカミングアウトについ足を止めてしまう。
風喜「初めての彼女ならどエロい子がいいじゃん。」
琥太郎「…そんな理由?」
風喜「うん。顔いいし、合同体育の時にバストTOP3に入ってたし。デブのヤナダは抜きね。」
琥太郎「性格とか…、そういうの…気にしないの?」
風喜「中学生の恋愛なんてままごとって兄ちゃん言ってたし、自分もそう思うから内面はどうでもいいかな。」
…こんなに最低なやつだったっけ。
けど、こんな最低のグループに入って、日向のことをいじめ出したのって僕が先頭切ってやってたんだよな。
だから僕が風喜のことを最低だと思う資格も権利もないよな。
琥太郎「そっか。まあ頑張ればいいんじゃん。」
風喜「うん。こーたんも好きな奴出来たら教えてね。」
琥太郎「はーい。」
さらにストレスが増えた僕はそのまま教室に戻り、チャイムが鳴ったので席に座ると1つだけ空席が見えた。
…あれ、日向ってもしかして早退?
僕は体調不良にしては元気過ぎた日向の走る姿を思い出し、出席の返事をすると同時に教室の扉が開いた。
「Oh…、日向さん。Englishの時間はよく遅刻しちゃうわね。」
と、若干嫌味を言ったように聞こえる先生の言葉に日向は真顔のまま軽く一礼した。
天「…すみません。トイレ行ってました。」
日向がそう伝えると、教壇前から2列目に座っている夏來が隣の男子の肩を突いた。
「なに?生理?」
その男子の冗談に教室中のクラスメイトは笑いのスイッチを押されたかのように声を出して笑い出す。
僕はそいつに向かって鏑矢代わりに赤のサインペンを出そうとすると、日向がそいつと夏來のそばをわざと通り教科書とペンケースを落とした。
それに夏來と男子は大きな舌打ちをしたけれど、日向はなにも聞いてないフリをして自分の席に座った。
その様子を見て僕は赤ペンを戻し、ペンケースのファスナーを締める。
…同じことをしても、また自分が嫌になるだけ。
そう自分に言い聞かせていると、先生がグループ学習をすると言って周りの人たちが一斉にペアを作り始めた。
僕は前の席にいる爽太と一緒にやることにすると、窓側の席から風喜がやってきた。
風喜「男は17人だから必然的に1人余るんだけど!」
爽太「どうせ天使ちゃん1人なんだから声かけてくればいいじゃん。」
風喜「やだ!なんかガチギレだったもん!」
爽太「しょうがない。ユイトー?そっち余りいる?」
…女子は14人で誰も余るはずかないけど、夏來の取り巻きが3人グループでやっているからクラスで誰かは1人になるのか。
僕は少し心配になり、横目で日向を確認すると案の定1人で黙々とプリントをこなしていた。
これって僕がどうすればなくなるんだろう。
そう思ったけれど、なにもいい考えが出ないのは2学期始めから分かっていたこと。
みんな踏み台を作りたいからなんでも効率よくやっているように見える日向を踏みつけて、いっときの優越感を感じるためにああいうことをする。
僕もその中の1人だったと言いたいけれど、今見て見ぬフリをしているもっと最低な奴に成り下がってしまっているから今もみんなと同じだ。
爽太「琥太のふぇーばりっとはナニデスカ?」
と、爽太は苦手な英語を日本英語で話し、日本語を片言言葉で喋った。
琥太郎「My favorite thing is movie. The reason is…」
僕は爽太の英語嫌いに付き合いながら、めんどくさいグループワークを過ごした。
環流 虹向/てんしとおコタ
僕は昨日お父さんに没収されたPCを心配しながら、担任に頼まれたプリントを風喜と一緒に運んでいるとまた1人でどこかへ行く日向とすれ違った。
風喜「天使ちゃん、移動教室だと思ってる?」
琥太郎「…どうだろ。」
今日は非常勤の尚春先生はいないし、全ての時間割を把握しているはずの日向がそんな凡ミスを犯すわけはない。
けど、なにがあったらあんな猛ダッシュで下の階へ行ってしまうんだろうか。
風喜「…こーたんって、好きな人いる?」
当然、風喜は僕の顔を覗き込みながら聞いてきた。
琥太郎「今のとこいないけど。」
風喜「ふー…ん。ふぅが好きなのは天使ちゃん。」
琥太郎「…は?」
僕は突然のカミングアウトについ足を止めてしまう。
風喜「初めての彼女ならどエロい子がいいじゃん。」
琥太郎「…そんな理由?」
風喜「うん。顔いいし、合同体育の時にバストTOP3に入ってたし。デブのヤナダは抜きね。」
琥太郎「性格とか…、そういうの…気にしないの?」
風喜「中学生の恋愛なんてままごとって兄ちゃん言ってたし、自分もそう思うから内面はどうでもいいかな。」
…こんなに最低なやつだったっけ。
けど、こんな最低のグループに入って、日向のことをいじめ出したのって僕が先頭切ってやってたんだよな。
だから僕が風喜のことを最低だと思う資格も権利もないよな。
琥太郎「そっか。まあ頑張ればいいんじゃん。」
風喜「うん。こーたんも好きな奴出来たら教えてね。」
琥太郎「はーい。」
さらにストレスが増えた僕はそのまま教室に戻り、チャイムが鳴ったので席に座ると1つだけ空席が見えた。
…あれ、日向ってもしかして早退?
僕は体調不良にしては元気過ぎた日向の走る姿を思い出し、出席の返事をすると同時に教室の扉が開いた。
「Oh…、日向さん。Englishの時間はよく遅刻しちゃうわね。」
と、若干嫌味を言ったように聞こえる先生の言葉に日向は真顔のまま軽く一礼した。
天「…すみません。トイレ行ってました。」
日向がそう伝えると、教壇前から2列目に座っている夏來が隣の男子の肩を突いた。
「なに?生理?」
その男子の冗談に教室中のクラスメイトは笑いのスイッチを押されたかのように声を出して笑い出す。
僕はそいつに向かって鏑矢代わりに赤のサインペンを出そうとすると、日向がそいつと夏來のそばをわざと通り教科書とペンケースを落とした。
それに夏來と男子は大きな舌打ちをしたけれど、日向はなにも聞いてないフリをして自分の席に座った。
その様子を見て僕は赤ペンを戻し、ペンケースのファスナーを締める。
…同じことをしても、また自分が嫌になるだけ。
そう自分に言い聞かせていると、先生がグループ学習をすると言って周りの人たちが一斉にペアを作り始めた。
僕は前の席にいる爽太と一緒にやることにすると、窓側の席から風喜がやってきた。
風喜「男は17人だから必然的に1人余るんだけど!」
爽太「どうせ天使ちゃん1人なんだから声かけてくればいいじゃん。」
風喜「やだ!なんかガチギレだったもん!」
爽太「しょうがない。ユイトー?そっち余りいる?」
…女子は14人で誰も余るはずかないけど、夏來の取り巻きが3人グループでやっているからクラスで誰かは1人になるのか。
僕は少し心配になり、横目で日向を確認すると案の定1人で黙々とプリントをこなしていた。
これって僕がどうすればなくなるんだろう。
そう思ったけれど、なにもいい考えが出ないのは2学期始めから分かっていたこと。
みんな踏み台を作りたいからなんでも効率よくやっているように見える日向を踏みつけて、いっときの優越感を感じるためにああいうことをする。
僕もその中の1人だったと言いたいけれど、今見て見ぬフリをしているもっと最低な奴に成り下がってしまっているから今もみんなと同じだ。
爽太「琥太のふぇーばりっとはナニデスカ?」
と、爽太は苦手な英語を日本英語で話し、日本語を片言言葉で喋った。
琥太郎「My favorite thing is movie. The reason is…」
僕は爽太の英語嫌いに付き合いながら、めんどくさいグループワークを過ごした。
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