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17:レンドン侯爵家の没落
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「聞いたか?」
「あぁ、色恋に現を抜かした侯爵ももうおしまいだな」
「没落貴族様か。楽しみだな」
市井で人々が口々に噂をするのはレンドン侯爵家の事だ。
マルス家が婚約を解消したと知った家から水に小石を投げ入れた波紋のように噂はたちどころに広がり、あっという間に取引をする家が無くなった。
使用人達は我先にと追剝のように屋敷にある金目の物を持ち出し逃げていった。
「他にはないのか?」
「わたくしではなく、愛人として囲ってやった女の宝飾品を売れば良いでしょう?」
「お前には関係ない。さぁ他にもあるだろう?出せ」
レンドン侯爵は夫人と相思相愛で結ばれたはずだった。
だが、美人は3日で飽きると言われるが妻となってしまえば魅力が半減した。
手に入れる事の出来ない関係だったからこそ燃え上った恋心だったのだ。バレリオが生まれたあたりからは困窮する家の経済状況に愚痴を溢す事も多くなったが、反故にしたのは王女殿下との婚約。
今更後悔していますとは口が裂けても言えなかった。
だからではないがご多分に漏れず男爵家の令嬢を愛人として囲った。
マルス家からの金は教育費だけでなく事業資金もこの愛人に流れていたため本当の事は明かせなかった。マルス家に手を切られてからは金策だと偽り、男爵令嬢にあてがった家に寝泊まりをしている。借金取りが押しかける侯爵家では気も休まらないし、古女房はもう見たくもない。
「やめてよ!これはわたくしの指輪でしょう!?」
「元々は私が買った物だろう!読み書きも出来なかったお前を拾い上げ、いい思いをさせてやっただろうが。誰のおかげでいい生活が出来たと思っているんだ。いいから寄越せ!」
残り少ない宝飾品を奪うレンドン侯爵と、手放すものかと離さない侯爵夫人。バレリオはそんな両親を視界に映しながらも頭の中では別の事を考えていた。
もう幾ばくもしないうちにこの屋敷も人手に渡る。
レンドン侯爵家はもうおしまいだ。名前だけは残るだろうがそれ以外は何も残らない。いっそのこと廃家にしてくれた方がまだ気が楽だ。下手に名前だけ残るからこそ逃げるが勝ちだ。
金のあるうちになんとかせねばならないと、母の部屋に行き隠している宝飾品を手に取る。まだ祖父が当主であった頃に父が母に買った宝飾品を母は隠してあるのだ。
父と母が取り合いをしているのは、手にした宝飾品の10分の1にも満たない安物。
階下の2人の声に「真実の愛」とは何だと笑いがこみあげてくる。
このままでは両親と共に爪に火を点すような落ちぶれた生活を送る事になると考えたバレリオはレンドン侯爵家にはもう見切りを付け、トルデリーゼとの復縁を思案した。
プリシラの元に転がり込む事も考えたが、田舎の子爵で代官職を失ったスブレ子爵家など行ったところでどうなるものでもない。
今後の生活を考えればマルス子爵家以外は論外だ。
今までに見たこともない強気な発言をしたトルデリーゼだったが、会わない期間に子爵夫妻や姉達に吹き込まれたに違いないと信じて疑わない。
自発的なものではなく、言わされているのだとしか思えなかった。
これを渡せばトルデリーゼも考えを改めるだろう。そう考えた。
手にした宝飾品はマルス家からの金で買ったものではないし、プリシラに買い与えたものよりも遥かに高価で希少価値の有るものだ。
やはり自分の事が一番なのだと判らせる事が出来れば、本来のトルデリーゼを取り戻すだろうと宝石を手のひらに乗せ、バレリオは肩を揺らしながらも声を押し殺し笑った。
――誰の下なら一番輝けるのか。判らせる必要がある――
手のひらの宝石を一つ指で抓み、陽の光に当てて揺らした。
「もういいわ!貴方は貴方であの女の所にでも行けばいいわ!」
母の声が響いてくる。
部屋にいてはまずいと考えたバレリオは宝飾品をポケットに詰め込められるだけ詰め込み、向かいにある自室に入ると廊下の気配を伺った。
先にバタンと聞こえてきた音は父が玄関を出て行った音。
ドスドスと音を立てて歩いてくるのは母である。
向かいの部屋の扉がけたたましく閉じる音にバレリオは部屋を飛び出しそのまま屋敷の外へ逃げた。着の身着のままではあるが、ポケットの中には金にすれば数年は豪遊出来る宝飾品がある。
1つ、2つをトルデリーゼに手渡し、残りを売り払ってマルス家に「持参金」だと持ち込めばマルス子爵夫妻も溜飲を下ろすに違いない。
「いやぁぁぁ!!」
背に受ける金切声に近い悲鳴は母の声だ。間違いなく叫んでいる理由はバレリオのポケットの中にある宝飾品である。啖呵を切って父に好きなようにしろと言ったものの、当てにしていた宝飾品はない事に気が付いたのだろう。
――元は平民なんだ。雨露でも啜り生きて行けばいい――
バレリオには両親の事などどうでも良かった。
父の愛人である男爵令嬢はバレリオも見たことはある。お世辞にも品が良いとは言えない女で盛り場を牛耳る破落戸の情婦だと聞いた事もある。
病気をうつされるか、金を吸い上げられるだけ吸い上げられて川に浮くかどちらかだろう。家を傾かせてまで思い人と添い遂げたのに結局は色恋で身を亡ぼす父親が滑稽に思えた。
――私は違う。あんな愚かな生き方はしない――
馬も既に抵当に取られていて頼りになるのは自分の足と体力だけ。
バレリオは必死に屋敷の門道を駆け抜け外門を飛び出すとマルス子爵家までの道のりを走った。
3つ目の角を曲がったところで、既視感のある馬を恰幅の良い男が引いていた。
そのすぐ先には人だかり。
中心で喚いている声は父の声だった。
――ざまぁだな。いい気味だ――
早めに屋敷を出たことは僥倖だ。彼らはこの後屋敷に向かい…居合わせたら無傷では済まなかっただろう。
文字通り身に着けている下着すら身ぐるみ剥がされ、道端に転がる石になるであろう父を想像し笑いがこみ上げた。そう、父はイキって屋敷を出たものの借金取りに囲まれたのだ。
馬なんかに騎乗するからだ。どうあっても騎乗すれば人の頭より高い位置に顔が来るのでバレてしまう。自業自得だと走り抜けようとしたが馬の手綱を握っている男と目が合いそうになりバレリオは路地に駆け込んだ。
ドンッ!
「あんだ?てねぇ?」
バレリオがぶつかったのは涎を垂らし呂律の回らない言葉を発するジャンキー。薬で思考も目も飛んでいる男だった。マズイと感じたが後ろにも人の気配がある。狭い路地に逃げ込んてしまったが故の出来事だ。
貴族の家が並んではいても少し離れて通りを1本違えれば別世界。
そこにある路地など無法地帯に等しい。
「なにをするッ!」
肩を掴もうとした男の手を振り解くのに身をよじるとポケットに入れた宝飾品がポトリと落ちた。バレリオは目の前の男がニタァと歯の数本残る口を開けヌルく笑う顔に戦慄を覚えた。
が、貴族として平民の前で膝をつき物を拾うなどあり得ない行為だ。
「すまない。拾ってくれないか」
バレリオは本当の下町など経験がなかった。
侯爵家の次期当主として生きて行くのに知る必要のない情報だったからだ。
身構える間もなくバレリオに数人の男の手が伸びてきた。
羽交い絞めにされ、ポケットは引き千切られる。散らばった宝飾品にまた別の男達が群がった。
「やめろ!それは私のモノだ!触れるな!離せっ!」
抵抗などないに等しい。
彼らには転がり散らばった宝飾品は食べ物よりも大事な薬を買える貴重な「財源」なのだ。
路地に小さな騒ぎが起こるのは日常茶飯事。
覗く者も助けに入る者もいない。
気に留めるものすらそこにはいなかった。
「こひつ、どぉしゅる?ウヘヘ」
泥で汚れた男の指がバレリオの頬を撫でた。
「※%&▽ェェ」
余りの気持ち悪さにバレリオは胃の中にある全てが逆流してしまった。
男達が吐瀉物に怯み、後ろから羽交い絞めにされていた手の力が弛んだ隙にバレリオは拘束から抜け出し路地から走り出た。
転がり込むように通りに出ると通りすがりの男性がバレリオに声を掛けた。
「そんなところに入るヤツがいるか!命まで取られなかったのは不幸中の幸いだぞ」
裏路地とはそう言う場所だ。
日の当たる生活しかしてこなかったバレリオは知らなかっただけだ。
「こうなったのは‥‥全部トルデリーゼのせいだ…私を辱めたこの罪…償ってもらうからな」
汚れた口元を袖で拭い、呪詛のような言葉を吐いたバレリオ。
「チッ…立て直しの時間が必要なのは仕方ない。不本意だがスブレしかないか‥」
よろよろと歩き出し、雑踏に消えて行った。
「殿下、ライム家ってこの辺りじゃないですかね?」
「本当か?さっきから何度目だ。もう日も暮れる。明日出直すぞ」
「明日って!国に戻るまでもう日もないんですよ」
「だとしてもだ。先触れもなく訪れるんだ。せめて昼過ぎまでが限界だろう。この時間では相手も気を悪くするかもしれない。そうなれば全てが終わりだ」
2人の男は毛並みの良い馬に跨り、ライム家を探しつつもマルス子爵家の門の前を通り過ぎて行った。
☆~☆
今日はここまで。明日の公開までゆっくりお休みください<(_ _)>
明日はアイドル、プリシラちゃんが登場致しますよ~
バレリオはこの後、まだ出番が御座います。
コメント欄の返信に書いたのと、タグにも付けておりますがバレリオの粘着度合いはかなり高いです。
バレリオのざまぁを御所望される声が多いのに聊か驚いておりますが、クズ度は登場する3人のゲス男の中で一番低いのと、ここでざまぁになると話が続かないので(;^_^A
もしかするといい奴かも知れません(ヾノ・∀・`)ナイナイナイワー
↑嘘です。いい奴じゃありません(笑)
「あぁ、色恋に現を抜かした侯爵ももうおしまいだな」
「没落貴族様か。楽しみだな」
市井で人々が口々に噂をするのはレンドン侯爵家の事だ。
マルス家が婚約を解消したと知った家から水に小石を投げ入れた波紋のように噂はたちどころに広がり、あっという間に取引をする家が無くなった。
使用人達は我先にと追剝のように屋敷にある金目の物を持ち出し逃げていった。
「他にはないのか?」
「わたくしではなく、愛人として囲ってやった女の宝飾品を売れば良いでしょう?」
「お前には関係ない。さぁ他にもあるだろう?出せ」
レンドン侯爵は夫人と相思相愛で結ばれたはずだった。
だが、美人は3日で飽きると言われるが妻となってしまえば魅力が半減した。
手に入れる事の出来ない関係だったからこそ燃え上った恋心だったのだ。バレリオが生まれたあたりからは困窮する家の経済状況に愚痴を溢す事も多くなったが、反故にしたのは王女殿下との婚約。
今更後悔していますとは口が裂けても言えなかった。
だからではないがご多分に漏れず男爵家の令嬢を愛人として囲った。
マルス家からの金は教育費だけでなく事業資金もこの愛人に流れていたため本当の事は明かせなかった。マルス家に手を切られてからは金策だと偽り、男爵令嬢にあてがった家に寝泊まりをしている。借金取りが押しかける侯爵家では気も休まらないし、古女房はもう見たくもない。
「やめてよ!これはわたくしの指輪でしょう!?」
「元々は私が買った物だろう!読み書きも出来なかったお前を拾い上げ、いい思いをさせてやっただろうが。誰のおかげでいい生活が出来たと思っているんだ。いいから寄越せ!」
残り少ない宝飾品を奪うレンドン侯爵と、手放すものかと離さない侯爵夫人。バレリオはそんな両親を視界に映しながらも頭の中では別の事を考えていた。
もう幾ばくもしないうちにこの屋敷も人手に渡る。
レンドン侯爵家はもうおしまいだ。名前だけは残るだろうがそれ以外は何も残らない。いっそのこと廃家にしてくれた方がまだ気が楽だ。下手に名前だけ残るからこそ逃げるが勝ちだ。
金のあるうちになんとかせねばならないと、母の部屋に行き隠している宝飾品を手に取る。まだ祖父が当主であった頃に父が母に買った宝飾品を母は隠してあるのだ。
父と母が取り合いをしているのは、手にした宝飾品の10分の1にも満たない安物。
階下の2人の声に「真実の愛」とは何だと笑いがこみあげてくる。
このままでは両親と共に爪に火を点すような落ちぶれた生活を送る事になると考えたバレリオはレンドン侯爵家にはもう見切りを付け、トルデリーゼとの復縁を思案した。
プリシラの元に転がり込む事も考えたが、田舎の子爵で代官職を失ったスブレ子爵家など行ったところでどうなるものでもない。
今後の生活を考えればマルス子爵家以外は論外だ。
今までに見たこともない強気な発言をしたトルデリーゼだったが、会わない期間に子爵夫妻や姉達に吹き込まれたに違いないと信じて疑わない。
自発的なものではなく、言わされているのだとしか思えなかった。
これを渡せばトルデリーゼも考えを改めるだろう。そう考えた。
手にした宝飾品はマルス家からの金で買ったものではないし、プリシラに買い与えたものよりも遥かに高価で希少価値の有るものだ。
やはり自分の事が一番なのだと判らせる事が出来れば、本来のトルデリーゼを取り戻すだろうと宝石を手のひらに乗せ、バレリオは肩を揺らしながらも声を押し殺し笑った。
――誰の下なら一番輝けるのか。判らせる必要がある――
手のひらの宝石を一つ指で抓み、陽の光に当てて揺らした。
「もういいわ!貴方は貴方であの女の所にでも行けばいいわ!」
母の声が響いてくる。
部屋にいてはまずいと考えたバレリオは宝飾品をポケットに詰め込められるだけ詰め込み、向かいにある自室に入ると廊下の気配を伺った。
先にバタンと聞こえてきた音は父が玄関を出て行った音。
ドスドスと音を立てて歩いてくるのは母である。
向かいの部屋の扉がけたたましく閉じる音にバレリオは部屋を飛び出しそのまま屋敷の外へ逃げた。着の身着のままではあるが、ポケットの中には金にすれば数年は豪遊出来る宝飾品がある。
1つ、2つをトルデリーゼに手渡し、残りを売り払ってマルス家に「持参金」だと持ち込めばマルス子爵夫妻も溜飲を下ろすに違いない。
「いやぁぁぁ!!」
背に受ける金切声に近い悲鳴は母の声だ。間違いなく叫んでいる理由はバレリオのポケットの中にある宝飾品である。啖呵を切って父に好きなようにしろと言ったものの、当てにしていた宝飾品はない事に気が付いたのだろう。
――元は平民なんだ。雨露でも啜り生きて行けばいい――
バレリオには両親の事などどうでも良かった。
父の愛人である男爵令嬢はバレリオも見たことはある。お世辞にも品が良いとは言えない女で盛り場を牛耳る破落戸の情婦だと聞いた事もある。
病気をうつされるか、金を吸い上げられるだけ吸い上げられて川に浮くかどちらかだろう。家を傾かせてまで思い人と添い遂げたのに結局は色恋で身を亡ぼす父親が滑稽に思えた。
――私は違う。あんな愚かな生き方はしない――
馬も既に抵当に取られていて頼りになるのは自分の足と体力だけ。
バレリオは必死に屋敷の門道を駆け抜け外門を飛び出すとマルス子爵家までの道のりを走った。
3つ目の角を曲がったところで、既視感のある馬を恰幅の良い男が引いていた。
そのすぐ先には人だかり。
中心で喚いている声は父の声だった。
――ざまぁだな。いい気味だ――
早めに屋敷を出たことは僥倖だ。彼らはこの後屋敷に向かい…居合わせたら無傷では済まなかっただろう。
文字通り身に着けている下着すら身ぐるみ剥がされ、道端に転がる石になるであろう父を想像し笑いがこみ上げた。そう、父はイキって屋敷を出たものの借金取りに囲まれたのだ。
馬なんかに騎乗するからだ。どうあっても騎乗すれば人の頭より高い位置に顔が来るのでバレてしまう。自業自得だと走り抜けようとしたが馬の手綱を握っている男と目が合いそうになりバレリオは路地に駆け込んだ。
ドンッ!
「あんだ?てねぇ?」
バレリオがぶつかったのは涎を垂らし呂律の回らない言葉を発するジャンキー。薬で思考も目も飛んでいる男だった。マズイと感じたが後ろにも人の気配がある。狭い路地に逃げ込んてしまったが故の出来事だ。
貴族の家が並んではいても少し離れて通りを1本違えれば別世界。
そこにある路地など無法地帯に等しい。
「なにをするッ!」
肩を掴もうとした男の手を振り解くのに身をよじるとポケットに入れた宝飾品がポトリと落ちた。バレリオは目の前の男がニタァと歯の数本残る口を開けヌルく笑う顔に戦慄を覚えた。
が、貴族として平民の前で膝をつき物を拾うなどあり得ない行為だ。
「すまない。拾ってくれないか」
バレリオは本当の下町など経験がなかった。
侯爵家の次期当主として生きて行くのに知る必要のない情報だったからだ。
身構える間もなくバレリオに数人の男の手が伸びてきた。
羽交い絞めにされ、ポケットは引き千切られる。散らばった宝飾品にまた別の男達が群がった。
「やめろ!それは私のモノだ!触れるな!離せっ!」
抵抗などないに等しい。
彼らには転がり散らばった宝飾品は食べ物よりも大事な薬を買える貴重な「財源」なのだ。
路地に小さな騒ぎが起こるのは日常茶飯事。
覗く者も助けに入る者もいない。
気に留めるものすらそこにはいなかった。
「こひつ、どぉしゅる?ウヘヘ」
泥で汚れた男の指がバレリオの頬を撫でた。
「※%&▽ェェ」
余りの気持ち悪さにバレリオは胃の中にある全てが逆流してしまった。
男達が吐瀉物に怯み、後ろから羽交い絞めにされていた手の力が弛んだ隙にバレリオは拘束から抜け出し路地から走り出た。
転がり込むように通りに出ると通りすがりの男性がバレリオに声を掛けた。
「そんなところに入るヤツがいるか!命まで取られなかったのは不幸中の幸いだぞ」
裏路地とはそう言う場所だ。
日の当たる生活しかしてこなかったバレリオは知らなかっただけだ。
「こうなったのは‥‥全部トルデリーゼのせいだ…私を辱めたこの罪…償ってもらうからな」
汚れた口元を袖で拭い、呪詛のような言葉を吐いたバレリオ。
「チッ…立て直しの時間が必要なのは仕方ない。不本意だがスブレしかないか‥」
よろよろと歩き出し、雑踏に消えて行った。
「殿下、ライム家ってこの辺りじゃないですかね?」
「本当か?さっきから何度目だ。もう日も暮れる。明日出直すぞ」
「明日って!国に戻るまでもう日もないんですよ」
「だとしてもだ。先触れもなく訪れるんだ。せめて昼過ぎまでが限界だろう。この時間では相手も気を悪くするかもしれない。そうなれば全てが終わりだ」
2人の男は毛並みの良い馬に跨り、ライム家を探しつつもマルス子爵家の門の前を通り過ぎて行った。
☆~☆
今日はここまで。明日の公開までゆっくりお休みください<(_ _)>
明日はアイドル、プリシラちゃんが登場致しますよ~
バレリオはこの後、まだ出番が御座います。
コメント欄の返信に書いたのと、タグにも付けておりますがバレリオの粘着度合いはかなり高いです。
バレリオのざまぁを御所望される声が多いのに聊か驚いておりますが、クズ度は登場する3人のゲス男の中で一番低いのと、ここでざまぁになると話が続かないので(;^_^A
もしかするといい奴かも知れません(ヾノ・∀・`)ナイナイナイワー
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