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最終章☆それぞれの立ち位置(22話)
インシュアの休日
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架空、創作の話です。現実世界と混同しないようご注意ください。
この章は最終章となりますので第一章から第四章のインシュアの保険販売とは読んだ時の受け取り方(感じ方)が変わるかも知れません。
中間にあるライアル伯爵家日記に近いと思って頂いて構いません。
架空、創作の話です。現実世界と混同しないようご注意ください。
◇~◇~◇
アレッサさん、イレッサさんの件が終わり、ちょっとした出来事もあったが仕事が休みのインシュアは帰宅途中に色々と買い込んできて離れの書庫から何度目かになる本を読んでいた。
バサッ!バサッ!!
風が木の枝を揺らすような音でもなく、鳥が飛び立つような音でもない。
顔をあげて窓の外を見ると、どこかで見たような気がするだけの子供がいた。
木の枝を振り回し、伸びた枝を叩きながらその辺を歩き回っている。
――折角、庭師さんが剪定をしたばかりなのに――
立ち上がり、窓を開けるとその子供と目があった。
インシュアはそれがあの時の幼児で【ヨハン】だと気が付いたがヨハンはインシュアの事など覚えている筈もない。どうしようかと迷ったが、木の枝を振り回し窓にでも当たればガラスが割れる可能性がある。
インシュア自身はケガの保険に加入しているが、離れにいるルーナは判らない。
その上、ライアル伯爵が個人賠償責任保険に入っていたとしても、この場合適用になるかどうは判らない。ガラスが割れたままでこれからの時期は過ごせない。
開いた窓から虫が入ってくるからだ。
離れには自分とルーナしかいない。
インシュアも足がない虫とか逆にあり過ぎる虫は大嫌いなのである。
枝を振り回すのをやめなさいと言おうとした時、ヨハンから話しかけてきた。
「おばさん、誰?」
ヒクっとコメカミが動いてしまった事は否定できない。
あの時3歳だと言っていた子はまだ10歳である。対してインシュアは31歳。
オバちゃん、おばさんと呼ばれて否定する材料はここにはないのだ。
「この離れに住んでる者よ。枝を振り回すのはやめなさい」
「なんで?」
「危険だからよ。私も家も、そしてあなたも」
「あなたじゃない。僕の名前はヨハンだ」
ヨハンはそう言いながらインシュアの元に歩いて来てテラスの縁に腰を掛けた。
枝をまだブンブンと上下に振り、足もブラブラさせているが言葉は発しない。
ご契約者様にも子供を持つ方は多い。子供は色々で何でもかんでも話しかければ良いものでもないし、放っておいて良いものでもない。大変に扱いにくい薄いガラス細工のようなものである。
「ねぇ、中に入る?」
「なんかあるの?」
「うーん…お菓子と…クレヨンはあったかなぁ。あと本があるわね」
「本は嫌い。字がいっぱいで頭が痛くなる」
しかし離れには子供が読むような絵本はない。たまに挿絵がある基本文字だけの本しかないのだからないものは勧められない。なので提案をしてみた。
「じゃぁ、私と絵本でも作る?」
「それ、面白い?」
「それはやってみないと判らないし、やったから面白いともつまらないとも言えないわね」
「作る」
「じゃ、入って」
「喉乾いた。オレンジジュースなら飲んでやる」
「残念、ないわ」
先に歩いていくインシュアの背中を暫く見ていたもののヨハンは自分から部屋の中に入ってきた。適当な大きさの紙を探して粗品で提供している袋からクレヨンを取り出し両手に持ってヨハンに見せた。
「何処で描きたい?」
「その前にオレンジジュース。飲んでやると言ってるだろ」
「残念ね。そういうのはないの。ない物は出せないしあったとしてもヨハンには出さないわ」
「えっ‥‥」
ヨハンにとっては初めての拒否という体験だった。
今までは何でも聞き入れてもらえた。なければ代用品をすぐに用意してくれたし代用品で誤魔化している間に使用人が夜中でも買いに走っていたのだ。
自分の言葉は何でも聞き入れられて当たり前だった。それが拒否されたのは初めてだった。
過去に2年生を2回する時に父に言われたのは命令、そして拒否ではなく拒絶。
ない物は仕方ないとヨハンも判っているが【あっても出さない】と言われたのは衝撃だった。
「おばさん。水でいい。飲んでやる」
「あるけど、出さないわ」
「どうして?飲んでやるって言ってるのに」
「飲んでほしいなんて頼んでないもの」
素っ気ない言葉で【絵本どうする?】と続けて聞くインシュアはヨハンには異星人のようだった。
「お水。飲みたい」
「そう。じゃぁそこの水差しにはいってるからどうぞ」
「えっ?なんで?どうして淹れてくれないんだ?」
「お水が飲みたいのはアナタ。えっとヨハンね。私は飲みたくないもの」
インシュアは使用人ではないし、ヨハンの言葉を全て受け入れる義理もない。
だが、余程に甘やかされているのだろうなとは瞬時に悟った。
そこにあると言った水差しの持ち方が判らないし、持ち方を教えても注ぎ方が判らないのだ。
仕方がないので手を添えて教えてやると、インシュアの方がビックリするほど目を丸くしていた。水差しからコップに液体が移っていく。それを自分がやっている事が信じられないのだ。
「うわぁ…すごく美味しい」
「普通の水よ。もっと飲みたければ裏に井戸があるわ。危険だからルーナを呼ぶわ」
「ううんっ。これでいい‥‥わぁぁ♡」
それからヨハンは離れに3時間程居座った。居座ったと言うよりも床に寝転んで絵本を作ったのだ。用紙からはみ出るクレヨンが床も彩るがインシュアは何も言わなかった。
絵本を作ろうと言ったのはインシュアである。子供とお絵描きをすればご契約者様のお子さんを見た事があるが部屋全てが画板になるのだ。その程度は予想の範囲内である。
赤、青、黄色、緑の4色しかないクレヨンだがヨハンは必死になって絵を描いた。
それは10歳の子供が描くような絵ではなく、4、5歳児が描くような殴り書きだった。
「出来た!見て!」
「何を書いたの?」
「空と土だ。こっちが空で、こっちが土!」
「良く描けてるじゃない。上手ね。これにお話を付けなくちゃいけないわね」
「おばさんは何を描いたの?」
「ウサギよ、可愛いでしょ」
「馬じゃん」
「え・・・」
インシュアに絵の才能がない事がバレた瞬間だった。
水差しの件からヨハンの言葉使いは子供のそれになった。途中御不浄に行きたいと言った時も連れて行けというものではなく、連れて行ってほしいと頼むものだ。
「おばさん、また来てもいい?」
「構わないけど今日は偶々居ただけだから、いつもいるわけじゃないわ」
「次は何時?今日の夜来てもいい?」
次はいついるのかと聞きながらも、今日の夜来たいとは性急すぎないか。
そう思ったが、ヨハンの顔に陰りがあった。
「どうして夜?夜は部屋で寝るのが普通でしょう」
「今日の夜は…デヴュタントだってお爺様が言うんだ。僕は行きたくない」
「じゃぁ、行きたくないとはっきり言えば?行きたくない理由もちゃんと話せばいいんじゃない?それでも連れて行くというのなら、聞けばいいのよ」
「なんて?」
「どうして行きたくないと理由も行ったのに連れて行くのか?って」
「わかってくれるかな」
「ヨハンには行きたくない理由がある。でもおじいさんには連れて行きたい理由がある。話し合えばいいんじゃない?お互いが判らないから話をするのよ」
「やってみる。またね!おばさん」
やはりコメカミがピクリと動く。
インシュアはヨハンの姿が見えなくなるまでテラスに立っていた。
何度も振り返って、インシュアの姿を見ると嬉しそうに手を大きく振るヨハン。
すっかり姿が見えなくなると、部屋に入りヨハンの描いた絵を手に取った。
「空と土‥‥ね」
4色しかないクレヨンだから仕方がない。
しかし、ヨハンの絵は4色を何度も塗り重ねて大雨が降る前の真っ黒い雲のような色だった。
この章は最終章となりますので第一章から第四章のインシュアの保険販売とは読んだ時の受け取り方(感じ方)が変わるかも知れません。
中間にあるライアル伯爵家日記に近いと思って頂いて構いません。
架空、創作の話です。現実世界と混同しないようご注意ください。
◇~◇~◇
アレッサさん、イレッサさんの件が終わり、ちょっとした出来事もあったが仕事が休みのインシュアは帰宅途中に色々と買い込んできて離れの書庫から何度目かになる本を読んでいた。
バサッ!バサッ!!
風が木の枝を揺らすような音でもなく、鳥が飛び立つような音でもない。
顔をあげて窓の外を見ると、どこかで見たような気がするだけの子供がいた。
木の枝を振り回し、伸びた枝を叩きながらその辺を歩き回っている。
――折角、庭師さんが剪定をしたばかりなのに――
立ち上がり、窓を開けるとその子供と目があった。
インシュアはそれがあの時の幼児で【ヨハン】だと気が付いたがヨハンはインシュアの事など覚えている筈もない。どうしようかと迷ったが、木の枝を振り回し窓にでも当たればガラスが割れる可能性がある。
インシュア自身はケガの保険に加入しているが、離れにいるルーナは判らない。
その上、ライアル伯爵が個人賠償責任保険に入っていたとしても、この場合適用になるかどうは判らない。ガラスが割れたままでこれからの時期は過ごせない。
開いた窓から虫が入ってくるからだ。
離れには自分とルーナしかいない。
インシュアも足がない虫とか逆にあり過ぎる虫は大嫌いなのである。
枝を振り回すのをやめなさいと言おうとした時、ヨハンから話しかけてきた。
「おばさん、誰?」
ヒクっとコメカミが動いてしまった事は否定できない。
あの時3歳だと言っていた子はまだ10歳である。対してインシュアは31歳。
オバちゃん、おばさんと呼ばれて否定する材料はここにはないのだ。
「この離れに住んでる者よ。枝を振り回すのはやめなさい」
「なんで?」
「危険だからよ。私も家も、そしてあなたも」
「あなたじゃない。僕の名前はヨハンだ」
ヨハンはそう言いながらインシュアの元に歩いて来てテラスの縁に腰を掛けた。
枝をまだブンブンと上下に振り、足もブラブラさせているが言葉は発しない。
ご契約者様にも子供を持つ方は多い。子供は色々で何でもかんでも話しかければ良いものでもないし、放っておいて良いものでもない。大変に扱いにくい薄いガラス細工のようなものである。
「ねぇ、中に入る?」
「なんかあるの?」
「うーん…お菓子と…クレヨンはあったかなぁ。あと本があるわね」
「本は嫌い。字がいっぱいで頭が痛くなる」
しかし離れには子供が読むような絵本はない。たまに挿絵がある基本文字だけの本しかないのだからないものは勧められない。なので提案をしてみた。
「じゃぁ、私と絵本でも作る?」
「それ、面白い?」
「それはやってみないと判らないし、やったから面白いともつまらないとも言えないわね」
「作る」
「じゃ、入って」
「喉乾いた。オレンジジュースなら飲んでやる」
「残念、ないわ」
先に歩いていくインシュアの背中を暫く見ていたもののヨハンは自分から部屋の中に入ってきた。適当な大きさの紙を探して粗品で提供している袋からクレヨンを取り出し両手に持ってヨハンに見せた。
「何処で描きたい?」
「その前にオレンジジュース。飲んでやると言ってるだろ」
「残念ね。そういうのはないの。ない物は出せないしあったとしてもヨハンには出さないわ」
「えっ‥‥」
ヨハンにとっては初めての拒否という体験だった。
今までは何でも聞き入れてもらえた。なければ代用品をすぐに用意してくれたし代用品で誤魔化している間に使用人が夜中でも買いに走っていたのだ。
自分の言葉は何でも聞き入れられて当たり前だった。それが拒否されたのは初めてだった。
過去に2年生を2回する時に父に言われたのは命令、そして拒否ではなく拒絶。
ない物は仕方ないとヨハンも判っているが【あっても出さない】と言われたのは衝撃だった。
「おばさん。水でいい。飲んでやる」
「あるけど、出さないわ」
「どうして?飲んでやるって言ってるのに」
「飲んでほしいなんて頼んでないもの」
素っ気ない言葉で【絵本どうする?】と続けて聞くインシュアはヨハンには異星人のようだった。
「お水。飲みたい」
「そう。じゃぁそこの水差しにはいってるからどうぞ」
「えっ?なんで?どうして淹れてくれないんだ?」
「お水が飲みたいのはアナタ。えっとヨハンね。私は飲みたくないもの」
インシュアは使用人ではないし、ヨハンの言葉を全て受け入れる義理もない。
だが、余程に甘やかされているのだろうなとは瞬時に悟った。
そこにあると言った水差しの持ち方が判らないし、持ち方を教えても注ぎ方が判らないのだ。
仕方がないので手を添えて教えてやると、インシュアの方がビックリするほど目を丸くしていた。水差しからコップに液体が移っていく。それを自分がやっている事が信じられないのだ。
「うわぁ…すごく美味しい」
「普通の水よ。もっと飲みたければ裏に井戸があるわ。危険だからルーナを呼ぶわ」
「ううんっ。これでいい‥‥わぁぁ♡」
それからヨハンは離れに3時間程居座った。居座ったと言うよりも床に寝転んで絵本を作ったのだ。用紙からはみ出るクレヨンが床も彩るがインシュアは何も言わなかった。
絵本を作ろうと言ったのはインシュアである。子供とお絵描きをすればご契約者様のお子さんを見た事があるが部屋全てが画板になるのだ。その程度は予想の範囲内である。
赤、青、黄色、緑の4色しかないクレヨンだがヨハンは必死になって絵を描いた。
それは10歳の子供が描くような絵ではなく、4、5歳児が描くような殴り書きだった。
「出来た!見て!」
「何を書いたの?」
「空と土だ。こっちが空で、こっちが土!」
「良く描けてるじゃない。上手ね。これにお話を付けなくちゃいけないわね」
「おばさんは何を描いたの?」
「ウサギよ、可愛いでしょ」
「馬じゃん」
「え・・・」
インシュアに絵の才能がない事がバレた瞬間だった。
水差しの件からヨハンの言葉使いは子供のそれになった。途中御不浄に行きたいと言った時も連れて行けというものではなく、連れて行ってほしいと頼むものだ。
「おばさん、また来てもいい?」
「構わないけど今日は偶々居ただけだから、いつもいるわけじゃないわ」
「次は何時?今日の夜来てもいい?」
次はいついるのかと聞きながらも、今日の夜来たいとは性急すぎないか。
そう思ったが、ヨハンの顔に陰りがあった。
「どうして夜?夜は部屋で寝るのが普通でしょう」
「今日の夜は…デヴュタントだってお爺様が言うんだ。僕は行きたくない」
「じゃぁ、行きたくないとはっきり言えば?行きたくない理由もちゃんと話せばいいんじゃない?それでも連れて行くというのなら、聞けばいいのよ」
「なんて?」
「どうして行きたくないと理由も行ったのに連れて行くのか?って」
「わかってくれるかな」
「ヨハンには行きたくない理由がある。でもおじいさんには連れて行きたい理由がある。話し合えばいいんじゃない?お互いが判らないから話をするのよ」
「やってみる。またね!おばさん」
やはりコメカミがピクリと動く。
インシュアはヨハンの姿が見えなくなるまでテラスに立っていた。
何度も振り返って、インシュアの姿を見ると嬉しそうに手を大きく振るヨハン。
すっかり姿が見えなくなると、部屋に入りヨハンの描いた絵を手に取った。
「空と土‥‥ね」
4色しかないクレヨンだから仕方がない。
しかし、ヨハンの絵は4色を何度も塗り重ねて大雨が降る前の真っ黒い雲のような色だった。
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