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茶葉の香り
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コンスタンツェとの婚約が結ばれた後のディートリヒに主だった変化はなかった。リリエンタル侯爵家のアリーエと相手が変わっただけで何も違いはないと思っていたのかも知れない。
アリーエとコンスタンツェとの大きな違いはディートリヒへの関心の度合いである。10年以上婚約者をしていたアリーエは言ってみれば共に成長してきた過程があり、そこでお互いの立ち場とは?と諫める事が多々あった。
だがコンスタンツェとの婚約が結ばれたのはディートリヒも23歳の時。
20歳を超えた身分のある男に向かって「食事のマナー」「エスコートの仕方」など10歳になる前に学ぶような事を注意する方がどうかしていると「知っていて当然」である事を諫めるのは返って相手に失礼だとコンスタンツェが口出しする事はなかった。
【礼儀を弁えない、嘘を吐き法を犯す者に説く説法は神も知り得ない】
コンスタンツェが苦言を呈するのはまだ見込みがある時。何も言わないのは見限った時。コンスタンツェを知るものなら明確過ぎる一線を犯そうとするものはいなかった。
2年前、婚約者となって最初の夜会の事だった。
招待状こそ国王、王妃の連名で夜会の4カ月前に届けられたが、ゼルガー公爵家にディートリヒから依頼を受けた商人が来ることはなかったため、【婚約者の装い】については一切の用意がなかったのは言うまでもない。
ディートリヒから夜会の前日になってもドレスが届く事はなかった。
「来ないな‥夜会が始まるぞ」
「仕方ありませんわね」
コンスタンツェはジギスヴァルトにエスコートをされて会場に入場をしたが、ディートリヒは既に別の令嬢と数杯目のグラスを手にしていた。
勝ち誇ったような視線を向けていたのはカマロ子爵家の令嬢ベリルダだが、周囲の目はコンスタンツェに向けられていた。ディートリヒにエスコートをされて勝った気にでもなっているのだろう。
ベリルダからコンスタンツェに話しかけてきた事に周囲の目は更に釘付けになった。
「ゼルガー公爵令嬢様、お姿が見えませんでしたので心配致しましたわ」
貴族のマナーとして爵位が下の立場の者から上の立場の者に話しかける事は、命の危機が迫っている時くらいしか許されない。当然和やかな空気の中でコンスタンツェが返事を返す事も視界にその姿を入れる事も無かった。
コンスタンツェは通りかかった男性給仕を呼び止めた。
「そのグラスをくださる?」
「申し訳ございません。こちらは全て飲み残されたものですので新しいお飲み物を直ぐにご用意致します」
男性給仕は量もまばら、トレイの上のグラスには食事をした何かの浮遊物が揺れているものもあり、丁寧にコンスタンツェに向かって対応をした。
「おいっ!聞こえているんだろうが」
無粋な声と一緒にコンスタンツェの腕をディートリヒが引いた。
コンスタンツェは男性給仕の持つトレイから1つ赤ワインのグラスを手に取ると、振り向きざまにベリルダに向かって中身を浴びせた。
パシャっ!!
「きゃぁ!」「何をするんだ!」
的確にベリルダを狙った赤ワインは余すところなくベリルダに色を付けた。
「あら?殿下でしたの?」
「殿下でしたのではないだろう!この不始末をどうつけるのだ」
「身の程を弁えないのが国を蝕む羽虫。熱湯の方が良かったかしら」
惚けた表情を浮かべ、給仕に空になったグラスを手渡したコンスタンツェはチラリとベリルダを見た。小さくベリルダの悲鳴が上がり、ディートリヒの腕に更に絡みついた。
「まぁ殿下は大きな羽虫を飼っていらっしゃったの?なんと高尚な」
「羽虫?!…ツェ!言い過ぎだ。謝らないか!」
「謝る?何をです?」
<<申し訳ございませんっ!!>>
ディートリヒと睨み合っている所にベリルダの両親がようやく登場した。
騒ぎに野次馬根性で集まってみれば、格上のコンスタンツェに対しての傍若無人な振舞をしているのは娘だと知り、兎に角止めねばならぬと前に出ようとしたがこんな見世物の特等席を譲ってくれる者などいはしない。
「あら、カマロ子爵。お久しぶりですわね」
「ゼルガー公爵令嬢様っ!申し訳ございませんっ」
「何の事かしら?カマロ子爵に謝罪をされるような何かがありまして?そうだわ。カマロ子爵家も国庫を蝕む害虫の駆除は早めに。お父様達のお耳に入ればどこまで湧いたか判らず家ごと燃すやも知れませんわ」
「訓戒しかと」
「是非に。ではわたくしはこれにて」
後日、ベリルダは子爵家から籍を抜かれたが、ディートリヒのお手付きである事も考慮し戒律の厳しい修道院で自ら修道女となるべく赴いたと知らせが届いた。
ディートリヒは今までのように靡いてくる令嬢の数が激減してしまったのも、何かを買ってやると言っても固辞し、食事すら自分の分は先に清算してしまう令嬢ばかりになったのも、決して醜悪ではない容姿を持つコンスタンツェが己に近寄る女性に嫉妬し蹴散らしていると思い込んだ。
「気持ちは解るが、聊かやり過ぎではないか」
「これは異な事を。やり過ぎとは何を以て仰られますの」
「私情に身を焦がす王妃もまた一興ではあるがな」
「ふふっ‥‥鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がすとでも仰りたいのかしら。わたくしは手順を踏めば先王のように側妃を何人持とうが何も申しませんが?尤も召し上げるだけの逸材がいればの話で御座いますけども」
数は少なくなっても言い寄る令嬢がいなくなったわけではない。
程なくしてディートリヒとアンネマリーの噂は嫌でも耳に入って来るようになった。
茶の香りを愉しむコンスタンツェの元に間諜の囁きが耳に入る。
今までになく、ディートリヒが入れ込み国王や王妃の苦言も意に介さないと言う。
「モントケ伯爵家のアンネマリー。どうされますか?」
「どうするとは、どういう意味かしら?」
「病死に見せかける事も可能です」
「父親は運命の恋、息子は何度目かの真実の愛。本当に素敵な親子。アーリエに告げたお相手とは違うけれど立場に応じた順応力は必要じゃないかしら。周囲がこれだけ警戒する中で国費持ち出しの贈り物に喜ぶなんて見上げたものだわ」
「では、捨て置けと」
「帝国の皇太子殿下ご夫妻の成婚から1年以内に血生臭い事はしたくないのよ」
帝国と隣国の多くの血が流れた戦からまもなく1年。兵を鼓舞するために敢えて戦時中に挙げた結婚式は帝国の強大な力を見せつけるものでもあったが、同時に対戦国の敵対心を更に燃え上がらせた。その戦で帝国の第二皇子は戦死をしている。周辺国は自国に飛び火しないよう成婚による破瓜の証でさえ避けてきたのだ。
その戦が無ければコンスタンツェとジギスヴァルトはとうに婚姻をしていたはずだ。
王族でなくとも高位貴族となれば国力の差から顔色を伺う事も必須。
それすら出来ない愚鈍な王太子に用はない。
「養育者を出す事だけは回避して頂戴。小さな命に罪はないから」
「御意」
☆●☆●☆
そんなやり取りからやっと2年。
帝国の皇太子夫妻の来訪の日を迎え、まもなく到着する。
当然ディートリヒは不在である。
引導は渡したが、国王には【最期の仕事】を全うしてもらわねばならない。
「そろそろ休憩をされては如何でしょう」
執務室には見慣れた面々が顔を揃え、茶葉を蒸らし始めると室内に柔らかい香りが広がる。
ジギスヴァルトはチラリと目線を動かしただけで扉の前から動こうとはしない。コンスタンツェの執務室であろうと万が一の襲撃に備えているのだ。
「ヴァルも一緒にどう?」
「私はここにいます。皆さんで楽しまれてください」
「つれないわね」
「勝利の美酒というのは事が終わったあとだから美味いんだ」
ぶっきらぼうな言葉に宰相も苦笑する。
コポコポと音を立てて茶器に注がれる茶はジギスヴァルトの妹がこの日のためにと贈ってきた希少品。
「まもなくですが、本当によろしいのですか?」
その問いに微笑を返したコンスタンツェ。
ゼルガー公爵と宰相は【年を取ると酒よりも茶の方がよく眠れる】とここ2年で刻み込まれた目尻の皺を綻ばせて茶の香りを吸い込んだ後、口に含んだ時だった。
至急を知らせる少々乱暴なノックと同時に執務室の扉が開かれた。
「なんだ、騒々しい」
ゼルガー公爵の言葉に従者は息を一つ吸い込んだ。
「ディートリヒ殿下が予定を切り上げ、お戻りになられました」
「なんだって!」
宰相とゼルガー公爵が勢いに任せて立ち上がったが、コンスタンツェは動かなかった。
「いいじゃない。手間が省けるというものよ?蝉の鳴き声もまた一興。ふふっ」
茶請けに出された菓子を手に取ると、ポリリと噛んだ。
アリーエとコンスタンツェとの大きな違いはディートリヒへの関心の度合いである。10年以上婚約者をしていたアリーエは言ってみれば共に成長してきた過程があり、そこでお互いの立ち場とは?と諫める事が多々あった。
だがコンスタンツェとの婚約が結ばれたのはディートリヒも23歳の時。
20歳を超えた身分のある男に向かって「食事のマナー」「エスコートの仕方」など10歳になる前に学ぶような事を注意する方がどうかしていると「知っていて当然」である事を諫めるのは返って相手に失礼だとコンスタンツェが口出しする事はなかった。
【礼儀を弁えない、嘘を吐き法を犯す者に説く説法は神も知り得ない】
コンスタンツェが苦言を呈するのはまだ見込みがある時。何も言わないのは見限った時。コンスタンツェを知るものなら明確過ぎる一線を犯そうとするものはいなかった。
2年前、婚約者となって最初の夜会の事だった。
招待状こそ国王、王妃の連名で夜会の4カ月前に届けられたが、ゼルガー公爵家にディートリヒから依頼を受けた商人が来ることはなかったため、【婚約者の装い】については一切の用意がなかったのは言うまでもない。
ディートリヒから夜会の前日になってもドレスが届く事はなかった。
「来ないな‥夜会が始まるぞ」
「仕方ありませんわね」
コンスタンツェはジギスヴァルトにエスコートをされて会場に入場をしたが、ディートリヒは既に別の令嬢と数杯目のグラスを手にしていた。
勝ち誇ったような視線を向けていたのはカマロ子爵家の令嬢ベリルダだが、周囲の目はコンスタンツェに向けられていた。ディートリヒにエスコートをされて勝った気にでもなっているのだろう。
ベリルダからコンスタンツェに話しかけてきた事に周囲の目は更に釘付けになった。
「ゼルガー公爵令嬢様、お姿が見えませんでしたので心配致しましたわ」
貴族のマナーとして爵位が下の立場の者から上の立場の者に話しかける事は、命の危機が迫っている時くらいしか許されない。当然和やかな空気の中でコンスタンツェが返事を返す事も視界にその姿を入れる事も無かった。
コンスタンツェは通りかかった男性給仕を呼び止めた。
「そのグラスをくださる?」
「申し訳ございません。こちらは全て飲み残されたものですので新しいお飲み物を直ぐにご用意致します」
男性給仕は量もまばら、トレイの上のグラスには食事をした何かの浮遊物が揺れているものもあり、丁寧にコンスタンツェに向かって対応をした。
「おいっ!聞こえているんだろうが」
無粋な声と一緒にコンスタンツェの腕をディートリヒが引いた。
コンスタンツェは男性給仕の持つトレイから1つ赤ワインのグラスを手に取ると、振り向きざまにベリルダに向かって中身を浴びせた。
パシャっ!!
「きゃぁ!」「何をするんだ!」
的確にベリルダを狙った赤ワインは余すところなくベリルダに色を付けた。
「あら?殿下でしたの?」
「殿下でしたのではないだろう!この不始末をどうつけるのだ」
「身の程を弁えないのが国を蝕む羽虫。熱湯の方が良かったかしら」
惚けた表情を浮かべ、給仕に空になったグラスを手渡したコンスタンツェはチラリとベリルダを見た。小さくベリルダの悲鳴が上がり、ディートリヒの腕に更に絡みついた。
「まぁ殿下は大きな羽虫を飼っていらっしゃったの?なんと高尚な」
「羽虫?!…ツェ!言い過ぎだ。謝らないか!」
「謝る?何をです?」
<<申し訳ございませんっ!!>>
ディートリヒと睨み合っている所にベリルダの両親がようやく登場した。
騒ぎに野次馬根性で集まってみれば、格上のコンスタンツェに対しての傍若無人な振舞をしているのは娘だと知り、兎に角止めねばならぬと前に出ようとしたがこんな見世物の特等席を譲ってくれる者などいはしない。
「あら、カマロ子爵。お久しぶりですわね」
「ゼルガー公爵令嬢様っ!申し訳ございませんっ」
「何の事かしら?カマロ子爵に謝罪をされるような何かがありまして?そうだわ。カマロ子爵家も国庫を蝕む害虫の駆除は早めに。お父様達のお耳に入ればどこまで湧いたか判らず家ごと燃すやも知れませんわ」
「訓戒しかと」
「是非に。ではわたくしはこれにて」
後日、ベリルダは子爵家から籍を抜かれたが、ディートリヒのお手付きである事も考慮し戒律の厳しい修道院で自ら修道女となるべく赴いたと知らせが届いた。
ディートリヒは今までのように靡いてくる令嬢の数が激減してしまったのも、何かを買ってやると言っても固辞し、食事すら自分の分は先に清算してしまう令嬢ばかりになったのも、決して醜悪ではない容姿を持つコンスタンツェが己に近寄る女性に嫉妬し蹴散らしていると思い込んだ。
「気持ちは解るが、聊かやり過ぎではないか」
「これは異な事を。やり過ぎとは何を以て仰られますの」
「私情に身を焦がす王妃もまた一興ではあるがな」
「ふふっ‥‥鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がすとでも仰りたいのかしら。わたくしは手順を踏めば先王のように側妃を何人持とうが何も申しませんが?尤も召し上げるだけの逸材がいればの話で御座いますけども」
数は少なくなっても言い寄る令嬢がいなくなったわけではない。
程なくしてディートリヒとアンネマリーの噂は嫌でも耳に入って来るようになった。
茶の香りを愉しむコンスタンツェの元に間諜の囁きが耳に入る。
今までになく、ディートリヒが入れ込み国王や王妃の苦言も意に介さないと言う。
「モントケ伯爵家のアンネマリー。どうされますか?」
「どうするとは、どういう意味かしら?」
「病死に見せかける事も可能です」
「父親は運命の恋、息子は何度目かの真実の愛。本当に素敵な親子。アーリエに告げたお相手とは違うけれど立場に応じた順応力は必要じゃないかしら。周囲がこれだけ警戒する中で国費持ち出しの贈り物に喜ぶなんて見上げたものだわ」
「では、捨て置けと」
「帝国の皇太子殿下ご夫妻の成婚から1年以内に血生臭い事はしたくないのよ」
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その戦が無ければコンスタンツェとジギスヴァルトはとうに婚姻をしていたはずだ。
王族でなくとも高位貴族となれば国力の差から顔色を伺う事も必須。
それすら出来ない愚鈍な王太子に用はない。
「養育者を出す事だけは回避して頂戴。小さな命に罪はないから」
「御意」
☆●☆●☆
そんなやり取りからやっと2年。
帝国の皇太子夫妻の来訪の日を迎え、まもなく到着する。
当然ディートリヒは不在である。
引導は渡したが、国王には【最期の仕事】を全うしてもらわねばならない。
「そろそろ休憩をされては如何でしょう」
執務室には見慣れた面々が顔を揃え、茶葉を蒸らし始めると室内に柔らかい香りが広がる。
ジギスヴァルトはチラリと目線を動かしただけで扉の前から動こうとはしない。コンスタンツェの執務室であろうと万が一の襲撃に備えているのだ。
「ヴァルも一緒にどう?」
「私はここにいます。皆さんで楽しまれてください」
「つれないわね」
「勝利の美酒というのは事が終わったあとだから美味いんだ」
ぶっきらぼうな言葉に宰相も苦笑する。
コポコポと音を立てて茶器に注がれる茶はジギスヴァルトの妹がこの日のためにと贈ってきた希少品。
「まもなくですが、本当によろしいのですか?」
その問いに微笑を返したコンスタンツェ。
ゼルガー公爵と宰相は【年を取ると酒よりも茶の方がよく眠れる】とここ2年で刻み込まれた目尻の皺を綻ばせて茶の香りを吸い込んだ後、口に含んだ時だった。
至急を知らせる少々乱暴なノックと同時に執務室の扉が開かれた。
「なんだ、騒々しい」
ゼルガー公爵の言葉に従者は息を一つ吸い込んだ。
「ディートリヒ殿下が予定を切り上げ、お戻りになられました」
「なんだって!」
宰相とゼルガー公爵が勢いに任せて立ち上がったが、コンスタンツェは動かなかった。
「いいじゃない。手間が省けるというものよ?蝉の鳴き声もまた一興。ふふっ」
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