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国王と王妃
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怯むシリウスだが、後ろで扉が開く気配がする。
慌ただしく部屋に入ってきたのは国王と王妃。つまりは父と母だった。
シリウスには一瞥もくれず皇帝グラディアスに国王であるにも関わらず臣下の礼を取る。
王妃も同じく、相手に対して最上の服従を意味するカーテシーのポーズ。
確かに国力の差はあるが、なぜそこまで媚び諂うのだと合点がいかない。
「遠い僻地までよくぞお越しくださいました。ご即位以降も帝国の発展には感服――」
「前置きはどうでもいい」
「は、はい」
己の執務を相談に行った時に一蹴した父の態度とは全く違う事に聊か驚いてしまう。
ここまで何故帝国を持ち上げねばならないのかシリウスは理解が出来ない。
そこに再度扉が開き、シリウスの次官に連れられてロザリアが入って来た。
ロザリアが来ることは国王も王妃も予想外で、「何故このような者を!」と次官を睨みつける。
だが次官はグラディアスとディレイドに向けて、礼をする。
「連行して参りました」
この国の王家の面々よりもずっと空気を読むのに長けていたのは次官だった。
呼び捨てにした側妃。つまりは側妃は帝国に対し何か不敬を働いたという事で庇い立てするのであれば一介の臣下の首などいとも簡単に切り離され、無残な姿をさらす事になるだろう。
「お連れしました」ではなく「連行」としたことで帝国の意図をくみ、言うなれば寝返ったのだ。
「ロザリア、どうしてここ――」
「ディレイド様っ!!!」
名を呼び、ロザリアに手を差し出したが、ロザリアはシリウスの声など聞こえない。
いや、聞えてはいるのだがそんなものを聞いている暇はないのだ。
目の前には「虫下し」という解毒薬を持っているはずのディレイドの姿を見つけた。
昨夜1人転移で自室に戻されて以降、不自然に体を蝕んでいく違和感。
皮膚には何か細いものがぼこぼこと現れて消えていく。
湯殿で体を温めた後は最悪だった。侍女に髪を洗ってもらっている時湯にプカリと浮いたヒルのような物体。
侍女に気が付かれていないかヒヤヒヤしながら寝台で横になると尻に違和感を感じる。
そっと手を当てると何かが手に触れ、思わず握ってみれば尻に言いようのない心地悪さを感じる。
握って引っ張ったものは尻から顔を出していた回虫だった。
魔法回虫は体内の胃液、腸液などを栄養分としてあっという間に成長する。
「ヒャァ!」
床に叩きつけた回虫はもう30センチ以上の長さになっていた。
腹や背中にぼこぼこと一部を表し消えていくのを鏡で見て、体の中に回虫がいる事を知る。
シリウスの渡りがないのは救いだったが、もうシリウスどころではない。
そのうち行くと言っていたディレイドの言葉の「そのうち」が何時なのか。
朝まで一睡も出来なかったロザリアは憔悴していたが、手を付けていない朝食が下げられたあとに次官が呼びに来た。小走りになり急ぎついていく。
ディレイドの名を呼んだロザリアは、なりふり構ってはいられない。
テーブルの向こうにいるディレイドの元に、ぐるりと配置されたテーブルを回って椅子に座るディレイドの隣に膝を床につけ、手を胸の前に組んでその顔を見上げた。
「ディレイド様っ!お願いで御座います。お助け下さいませ」
慈悲を乞うロザリアにテーブルを挟んだ向こう側でシリウスは激昂する。
自分よりも何故帝国の人間の名を呼び、跪くのか!
だがその鬱憤のようなものはディレイドによって少しだけ薄まった。
ゴッ!っと音と共にロザリアが虫を石で潰したような声を出したのである。
ディレイドの剣先がロザリアの肩に突き刺さる。後頭部からしたたかに落ちたロザリアだがディレイドは椅子から立ち上がり、見下ろしながら微笑んだ。
「誰が寝転んで良いと言ったのかな?」
痛みを堪えて起き上がりロザリアはハンカチを取り出し刺された肩を押さえようとする。
しかし…。
「そんな汚いハンカチでどうしようというのかな?」
「あの…血が…」
「ドブネズミより汚いその体液の事?大丈夫だ。傷口は直ぐに回虫が集まって止血するよ」
見る間にドレスの肩口の膨らみが動き出す。帝国側の人間は見慣れているのか誰も視線を向ける者はない。だが王国側でそれを見た事のあるものなど誰もない。
シリウスも立ち上がり、テーブルで隠れながらも見える範囲でロザリアの異形を見て思わず口を押えこみ上げる吐瀉物を堪えた。
「さて国王、王妃よ。この国が犯した罪を知っておるか」
「つ、罪?…そのロザリアが何か致しましたでしょうか」
「この女よりも先ずは己らだ。身に覚えがないか」
「あの‥‥どういう?」
グラディアスは「面倒だな」と言いながら立ち上がるとゆっくり国王と王妃の前に出る。
「はぁ?」ととぼけた顔をする2人の腕を拘束させる。
突然腕を押さえ込まれ狼狽する国王と王妃の腹に拳を叩きこんだ。
「ぐぇっ」「ぐぉっ」
口をはくはくさせて、突然の痛みにグラディアスの顔を見るがその顔からは怒りも微笑みも感じられない。無表情のままでグラディアスはもう一度問うた。
「身に覚えはないか?」
「ごほっ…あ、ありません…なぜこのような‥」
「わたくしも…どうして‥」
「判らぬか?なら仕方がない。2度目からはこの騎士あがりが相手をしよう」
カツカツと軍靴を鳴らし近寄ってくるひと際屈強な男に身震いをする。
一言も発することなく騎士あがりと言われた男は国王と王妃の頬を張った。
その都度同じように一言だけ「身に覚えは?」と聞かれまた殴られる。
20回ほど続けられ、かろうじて意識を保っているのは王妃。国王はもう白目をむいていた。
「目を覚まさせてやれ」
「御意」
おもむろに短剣を抜くとためらいもなく国王の肘に剣を打ち込んだ。
「ぎゃぁぁぁ!」
意識を取り戻し、次の恐怖に失禁し床を揺らしていく国王。
王妃はその隣でゆっくりと顔を上げて、上がった息の中、言葉を発した。
「き、教育‥‥教育で…御座います‥か」
ニヤリと笑ったグラディアスは王妃の拘束を解いてやれと命じた。
「抵抗も出来ない幼子に、無理難題を突き付け殴る蹴るで反抗しないように、従うように調教をした挙句、自我すらもその芽を潰してきたという自覚はあるようだな」
「それはっ…わたくし…わたくしも‥同じように…ギャッ!!」
言いかけた王妃の鼻を思い切り掴むと捩じり切った。
「己がされたから同じことを?それでも王妃か。まぁそなたもそれなりに苦労はあったろう。だがそれを身をもって知っているのであれば次代に己の立場を譲る者には悪しき慣習を変えようと思わなんだか。人の上に立つ者が痛みを知る事は大事だが、上に立った時に何故それを仕分けをせぬのだ?お前に痛みは必要だったか?親から引き離し言いなりになる人形になった事でお前に何が残った?」
「…うぅぅ…でもっ…逆らえなかった!物心ついた時には失敗すれば殴られる!蹴られる!時には息をしただけで殴られたわらわの気持ちが!皇帝如きに判る筈もなかろう!痛かったのはわらわ!泣く事すら!誰かに!何かに縋る事も悪とされたのはわらわ!誰もこの痛みも心も判ってはくれなかった!!」
「何故それを改めない?王妃となればどうとでもなっただろう」
「それはっ‥‥そうするものだと…それに同じような苦しみを知る者ならこの重責にも耐えられると!そう教えられたっ!誰もそれを否定する者はいない!何故わらわだけが異を唱えねばならぬ!」
王妃の声に国王は「私には関係ない」「私が指示をした訳ではない」と訴え出た。
グラディアスは国王の口に剣の柄をねじ込んだ。喉の奥が突かれ切れたのか引き抜くと血を吐き出す。
「お前は自分の母、そして妻を見て何も思わなかったのか?国を統べるにもその妻がいなければお飾りにもならぬ国王よ。お前は国王としても夫としても…それから種馬としても失敗作だ」
「グフッゴホッ…私は‥‥王として…成すべき事を‥したまでで――」
「痴れ者が…この期に及んでも保身と責任転嫁とは畏れ入る。良かろう」
良かろうという言葉にやっとわかってもらえたと国王、王妃は安堵した。
この苦痛と恥辱から解放される。帝国相手にやり返す事は出来ないが一先ずは安泰と胸を撫でおろし、グラディアスに向かって物乞いのような目線を向けた。
「人間の体には300を超える関節や骨がある。己の罪を心から悔いるようになるまで毎日1カ所砕いてやろう。外部の痛みでは判らぬ愚か者には内部の痛みで感じてもらうより仕方なかろう。砕ききれば体も軟体動物のようになっておるだろうし、心も解れている事だろう。安心しろ。寝床もある。最近まで便槽として使っていた地下空間を終の棲家とするがよい」
「じゃ…僕の出番?痛みの少ないところから行こうかな。どうせ人の話なんか聞かないんだから聞こえなくなってもいいよね。アブミ骨から行こうか」
「いや…止めて…」「嫌だ…助けてくれ‥」
「僕もね?黙~って様子見てたけど、無表情で怒らせたらもう無理。大丈夫だよ。明日はキヌタ骨、明後日はツチ骨と砕けばもう何にも聞かなくて済むから。その次は…お喋り出来ないように声帯筋を繋ぐ軟骨いっちゃう?」
なにも言えず、ただ父と母のされるがままを見せられるシリウス。
グラディアスは目線をシリウスに向けた。
慌ただしく部屋に入ってきたのは国王と王妃。つまりは父と母だった。
シリウスには一瞥もくれず皇帝グラディアスに国王であるにも関わらず臣下の礼を取る。
王妃も同じく、相手に対して最上の服従を意味するカーテシーのポーズ。
確かに国力の差はあるが、なぜそこまで媚び諂うのだと合点がいかない。
「遠い僻地までよくぞお越しくださいました。ご即位以降も帝国の発展には感服――」
「前置きはどうでもいい」
「は、はい」
己の執務を相談に行った時に一蹴した父の態度とは全く違う事に聊か驚いてしまう。
ここまで何故帝国を持ち上げねばならないのかシリウスは理解が出来ない。
そこに再度扉が開き、シリウスの次官に連れられてロザリアが入って来た。
ロザリアが来ることは国王も王妃も予想外で、「何故このような者を!」と次官を睨みつける。
だが次官はグラディアスとディレイドに向けて、礼をする。
「連行して参りました」
この国の王家の面々よりもずっと空気を読むのに長けていたのは次官だった。
呼び捨てにした側妃。つまりは側妃は帝国に対し何か不敬を働いたという事で庇い立てするのであれば一介の臣下の首などいとも簡単に切り離され、無残な姿をさらす事になるだろう。
「お連れしました」ではなく「連行」としたことで帝国の意図をくみ、言うなれば寝返ったのだ。
「ロザリア、どうしてここ――」
「ディレイド様っ!!!」
名を呼び、ロザリアに手を差し出したが、ロザリアはシリウスの声など聞こえない。
いや、聞えてはいるのだがそんなものを聞いている暇はないのだ。
目の前には「虫下し」という解毒薬を持っているはずのディレイドの姿を見つけた。
昨夜1人転移で自室に戻されて以降、不自然に体を蝕んでいく違和感。
皮膚には何か細いものがぼこぼこと現れて消えていく。
湯殿で体を温めた後は最悪だった。侍女に髪を洗ってもらっている時湯にプカリと浮いたヒルのような物体。
侍女に気が付かれていないかヒヤヒヤしながら寝台で横になると尻に違和感を感じる。
そっと手を当てると何かが手に触れ、思わず握ってみれば尻に言いようのない心地悪さを感じる。
握って引っ張ったものは尻から顔を出していた回虫だった。
魔法回虫は体内の胃液、腸液などを栄養分としてあっという間に成長する。
「ヒャァ!」
床に叩きつけた回虫はもう30センチ以上の長さになっていた。
腹や背中にぼこぼこと一部を表し消えていくのを鏡で見て、体の中に回虫がいる事を知る。
シリウスの渡りがないのは救いだったが、もうシリウスどころではない。
そのうち行くと言っていたディレイドの言葉の「そのうち」が何時なのか。
朝まで一睡も出来なかったロザリアは憔悴していたが、手を付けていない朝食が下げられたあとに次官が呼びに来た。小走りになり急ぎついていく。
ディレイドの名を呼んだロザリアは、なりふり構ってはいられない。
テーブルの向こうにいるディレイドの元に、ぐるりと配置されたテーブルを回って椅子に座るディレイドの隣に膝を床につけ、手を胸の前に組んでその顔を見上げた。
「ディレイド様っ!お願いで御座います。お助け下さいませ」
慈悲を乞うロザリアにテーブルを挟んだ向こう側でシリウスは激昂する。
自分よりも何故帝国の人間の名を呼び、跪くのか!
だがその鬱憤のようなものはディレイドによって少しだけ薄まった。
ゴッ!っと音と共にロザリアが虫を石で潰したような声を出したのである。
ディレイドの剣先がロザリアの肩に突き刺さる。後頭部からしたたかに落ちたロザリアだがディレイドは椅子から立ち上がり、見下ろしながら微笑んだ。
「誰が寝転んで良いと言ったのかな?」
痛みを堪えて起き上がりロザリアはハンカチを取り出し刺された肩を押さえようとする。
しかし…。
「そんな汚いハンカチでどうしようというのかな?」
「あの…血が…」
「ドブネズミより汚いその体液の事?大丈夫だ。傷口は直ぐに回虫が集まって止血するよ」
見る間にドレスの肩口の膨らみが動き出す。帝国側の人間は見慣れているのか誰も視線を向ける者はない。だが王国側でそれを見た事のあるものなど誰もない。
シリウスも立ち上がり、テーブルで隠れながらも見える範囲でロザリアの異形を見て思わず口を押えこみ上げる吐瀉物を堪えた。
「さて国王、王妃よ。この国が犯した罪を知っておるか」
「つ、罪?…そのロザリアが何か致しましたでしょうか」
「この女よりも先ずは己らだ。身に覚えがないか」
「あの‥‥どういう?」
グラディアスは「面倒だな」と言いながら立ち上がるとゆっくり国王と王妃の前に出る。
「はぁ?」ととぼけた顔をする2人の腕を拘束させる。
突然腕を押さえ込まれ狼狽する国王と王妃の腹に拳を叩きこんだ。
「ぐぇっ」「ぐぉっ」
口をはくはくさせて、突然の痛みにグラディアスの顔を見るがその顔からは怒りも微笑みも感じられない。無表情のままでグラディアスはもう一度問うた。
「身に覚えはないか?」
「ごほっ…あ、ありません…なぜこのような‥」
「わたくしも…どうして‥」
「判らぬか?なら仕方がない。2度目からはこの騎士あがりが相手をしよう」
カツカツと軍靴を鳴らし近寄ってくるひと際屈強な男に身震いをする。
一言も発することなく騎士あがりと言われた男は国王と王妃の頬を張った。
その都度同じように一言だけ「身に覚えは?」と聞かれまた殴られる。
20回ほど続けられ、かろうじて意識を保っているのは王妃。国王はもう白目をむいていた。
「目を覚まさせてやれ」
「御意」
おもむろに短剣を抜くとためらいもなく国王の肘に剣を打ち込んだ。
「ぎゃぁぁぁ!」
意識を取り戻し、次の恐怖に失禁し床を揺らしていく国王。
王妃はその隣でゆっくりと顔を上げて、上がった息の中、言葉を発した。
「き、教育‥‥教育で…御座います‥か」
ニヤリと笑ったグラディアスは王妃の拘束を解いてやれと命じた。
「抵抗も出来ない幼子に、無理難題を突き付け殴る蹴るで反抗しないように、従うように調教をした挙句、自我すらもその芽を潰してきたという自覚はあるようだな」
「それはっ…わたくし…わたくしも‥同じように…ギャッ!!」
言いかけた王妃の鼻を思い切り掴むと捩じり切った。
「己がされたから同じことを?それでも王妃か。まぁそなたもそれなりに苦労はあったろう。だがそれを身をもって知っているのであれば次代に己の立場を譲る者には悪しき慣習を変えようと思わなんだか。人の上に立つ者が痛みを知る事は大事だが、上に立った時に何故それを仕分けをせぬのだ?お前に痛みは必要だったか?親から引き離し言いなりになる人形になった事でお前に何が残った?」
「…うぅぅ…でもっ…逆らえなかった!物心ついた時には失敗すれば殴られる!蹴られる!時には息をしただけで殴られたわらわの気持ちが!皇帝如きに判る筈もなかろう!痛かったのはわらわ!泣く事すら!誰かに!何かに縋る事も悪とされたのはわらわ!誰もこの痛みも心も判ってはくれなかった!!」
「何故それを改めない?王妃となればどうとでもなっただろう」
「それはっ‥‥そうするものだと…それに同じような苦しみを知る者ならこの重責にも耐えられると!そう教えられたっ!誰もそれを否定する者はいない!何故わらわだけが異を唱えねばならぬ!」
王妃の声に国王は「私には関係ない」「私が指示をした訳ではない」と訴え出た。
グラディアスは国王の口に剣の柄をねじ込んだ。喉の奥が突かれ切れたのか引き抜くと血を吐き出す。
「お前は自分の母、そして妻を見て何も思わなかったのか?国を統べるにもその妻がいなければお飾りにもならぬ国王よ。お前は国王としても夫としても…それから種馬としても失敗作だ」
「グフッゴホッ…私は‥‥王として…成すべき事を‥したまでで――」
「痴れ者が…この期に及んでも保身と責任転嫁とは畏れ入る。良かろう」
良かろうという言葉にやっとわかってもらえたと国王、王妃は安堵した。
この苦痛と恥辱から解放される。帝国相手にやり返す事は出来ないが一先ずは安泰と胸を撫でおろし、グラディアスに向かって物乞いのような目線を向けた。
「人間の体には300を超える関節や骨がある。己の罪を心から悔いるようになるまで毎日1カ所砕いてやろう。外部の痛みでは判らぬ愚か者には内部の痛みで感じてもらうより仕方なかろう。砕ききれば体も軟体動物のようになっておるだろうし、心も解れている事だろう。安心しろ。寝床もある。最近まで便槽として使っていた地下空間を終の棲家とするがよい」
「じゃ…僕の出番?痛みの少ないところから行こうかな。どうせ人の話なんか聞かないんだから聞こえなくなってもいいよね。アブミ骨から行こうか」
「いや…止めて…」「嫌だ…助けてくれ‥」
「僕もね?黙~って様子見てたけど、無表情で怒らせたらもう無理。大丈夫だよ。明日はキヌタ骨、明後日はツチ骨と砕けばもう何にも聞かなくて済むから。その次は…お喋り出来ないように声帯筋を繋ぐ軟骨いっちゃう?」
なにも言えず、ただ父と母のされるがままを見せられるシリウス。
グラディアスは目線をシリウスに向けた。
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