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伯爵位をもらうまでが大変
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本日はいつもよりも念を入れてのお化粧をして頂きます。
この日の為にアルベルト様がドレスを作ってくださいました。勿論宝石もです。
無駄使いですのであるもので構いませんと言ったのですが、不貞腐れて仕舞われたのでわたくしが折れるしかなかったのですけれども。
「まぁ!旦那様の瞳の色と全く同じですわ。こんな綺麗な青は見た事が御座いません」
――いえ、旦那様の目を見ていますよね――
耳にはアクアマリンの耳飾り。髪飾りも髪に編み込んだタンザナイト。
指にはでっかいブルーサファイヤ。
ドレスは当然青で、アクセントにアルベルト様の髪の色の金で刺繍が入っております。
心なしか青系統は涼しく感じますので体温も下がった気がします。
アルベルト様は受勲などの時に着用する黒地に金刺繍の隊服を着られております。
階級章もそれまで頂いた勲章も付けるので、さながらピンバッジだらけのような…。
ですが勲章の数だけアルベルト様が活躍なさったと言う事です。
「アル様、カッコイイですわ」
「・・・・・」
「アル様?どうなされました?」
「・・・・・」
口を少し開けられて、心なしか瞳孔が開いているのではないですか?
いつの間にかフェニレフリン塩酸塩やトロピカミドなどを点眼されたのかしら?
「おーい!アル様~。どうちまちたかぁ?」
敢えて赤ちゃん言葉で呼びかけてみますが反応がありません。
――まさか!出かけるまであと数分なのに妄想中?――
「ハッ!エトランゼがこんなに光り輝いているとは!」
――えっ?まだ光を反射するほど剥げていませんけど?――
「美しい。この世の美を終結した美しさ‥‥死んでもいい」
――いやいや、これから大事な用があるんです!死なないで――
「頼む!これが嘘ではない事を誰か証明してくれ!」
――証明も何も、今のところ嘘はないですね。誇大表現はありましたが――
「旦那様、奥様、お時間でございます。馬車にお乗りくださいませ」
「アル様、参りましょう?」
「いいのか…手を取ってもいいのか…イキそうなん…だが…」
えっ?まるで吐きそうな酔っ払いに洗面器を大急ぎで構えねばならないような事を言わないでくださいませ。アルベルト様の誤射の速さは冗談になりません。
どうして内またになって和服の芸者さんのように小股で歩くのですか。
「す、すまない‥‥先に行っててくれないか」
「どうされましたの?」
「エトランゼの美しさに我慢できないと思って貞操帯を付けていたんだがタンクがいっぱいになった」
「えっ?貞操帯…なんですの?」
「大丈夫。子種しか出していない。ただもう容量いっぱいなんだ…」
――容量いっぱいって…たった数秒で何回誤射したんですか――
ですが、まぁ…隊服を汚さなかったのはよしとせねばならないでしょう。
黒は意外と染みが目立つんですよね。大事な部分が染みのままで陛下の前には行けません。
先に馬車で待っていると、時期外れのロングコートを纏って何故か手に隊服のズボンをもっていらっしゃるアルベルト様が走ってきます。
「替えのズボンですの?」
「いや、ズボンは1本しかないんだ。穢すわけにはいかないからね」
「汚すって…」
「ふふっ…穢す‥‥自分で言って何だが‥良い響きだ」
――どこがですか!――
「ですがどうしてロングコートなど?」
「笑わないでくれるか?」
時期外れだからと笑いはしませんが、明らかに不審者です。
馬車内なのでまだ良いですが、王宮についたらそれは明らかに止められてしまいます。
頬をポっと染めながらアルベルト様はコートをゆっくりと開きます。
「ご開帳~♡」
「ファァァァッ!」
「アァァッ。ダメだ。エトランゼッ見ないでくれ…恥ずかしいんだ」
――ならお閉じなさいませぇぇ!!――
いつもと奇声を発するのが逆になりましたが、奇声はわたくしで御座います。
だって‥‥だって…
潜望鏡にビニール被せてるんです!
しかもビニールの中には既に誤射の痕跡があるんです!
「エトランゼのおかげで萎えないから、紐も抜けない…ハァハァ」
――紐って…その根元でビニールが抜けないように縛ってる紐?――
「アル様!それではトレンチコートガバってする人より変態です」
「変態‥‥アァァ…ダメだって…そんなに詰らな…い…ウゥッ」
また出しやがりました…あ、言葉が。これは失礼を。また誤射されました。
「と、とにかくコートを閉じてくださいませ」
「声が…アァァ…もう精巣も精管も全開なんだ」
――そんな事まで判るの?どこまで敏感になってるんですか――
換気をしたいのですが、外に声が漏れるほうが問題ありと判断しましたので空ける事が出来ません。
独特な香りに包まれて王宮に到着するとわたくしをじぃぃっと見ております。
これはきっと‥‥
「舐めませんよ。そのチャポチャポになったビニールもきちんと処分です」
「フォアッ!ここにきてお預けなんて…どこまで僕を試すんだ」
「ここに来てって…もう王宮なのですよ」
「もっと強く…詰ってくれ…」
仕方が御座いません。天狗様のお面のような貞操帯をアルベルト様のお顔の前に突き出します。
「付けなさいッ!屋敷に戻るまでに汚したらご褒美はありませんよ!」
「はいっ!女王様…仰せのままにッ」
あっという間に装着して隊服のズボンを履かれます。やれば出来るではありませんか。
陛下の爵位授与式も問題なく終わり、帰りの馬車では縋る様にわたくしを見つめるアルベルト様。
ちゃんと装着しているようで、その目はまるでご褒美を待つ子犬のよう。
なんて可愛いのとふと思ってしまったわたくし。
お屋敷についても【まだですッ】と強めに言えば【キュゥゥン】と啼くのです。
ついついそれで夕食後の湯あみまで放置しておりました。
わたくしの着替えをじぃぃっとご褒美待ちをされておりましたので、汗を少し拭いたハンカチを差し上げると急いで自室に戻られました。
その後…
「エトランゼ!きてきて!」
全裸でわたくしを呼ぶためにやってきたアルベルト様。
(18時以降のなので使用人さんいません)
得意気に洗面器を見せてくれます。既視感のあるこの液体は・・・。
「エトランゼ!貞操帯を外してハンカチを嗅いだら1分くらい出っ放しだった」
――1分って‥‥壊れたホースですか!――
すごく満面の笑みで自慢げに語るアルベルト様。
「ちゃんとトイレに流しましょうね?」
「えっ?捨てるの?」
――捨てずにどうしろと?――
シュンとなるアルベルト様も可愛いと思ってしまうわたくし。
遂に禁断の領域に慣れ親しんでしまったのでしょうか。
☆~☆~☆
次回 最終回です。
ド変態夫婦。真人間になれるのか?(えっ?)
この日の為にアルベルト様がドレスを作ってくださいました。勿論宝石もです。
無駄使いですのであるもので構いませんと言ったのですが、不貞腐れて仕舞われたのでわたくしが折れるしかなかったのですけれども。
「まぁ!旦那様の瞳の色と全く同じですわ。こんな綺麗な青は見た事が御座いません」
――いえ、旦那様の目を見ていますよね――
耳にはアクアマリンの耳飾り。髪飾りも髪に編み込んだタンザナイト。
指にはでっかいブルーサファイヤ。
ドレスは当然青で、アクセントにアルベルト様の髪の色の金で刺繍が入っております。
心なしか青系統は涼しく感じますので体温も下がった気がします。
アルベルト様は受勲などの時に着用する黒地に金刺繍の隊服を着られております。
階級章もそれまで頂いた勲章も付けるので、さながらピンバッジだらけのような…。
ですが勲章の数だけアルベルト様が活躍なさったと言う事です。
「アル様、カッコイイですわ」
「・・・・・」
「アル様?どうなされました?」
「・・・・・」
口を少し開けられて、心なしか瞳孔が開いているのではないですか?
いつの間にかフェニレフリン塩酸塩やトロピカミドなどを点眼されたのかしら?
「おーい!アル様~。どうちまちたかぁ?」
敢えて赤ちゃん言葉で呼びかけてみますが反応がありません。
――まさか!出かけるまであと数分なのに妄想中?――
「ハッ!エトランゼがこんなに光り輝いているとは!」
――えっ?まだ光を反射するほど剥げていませんけど?――
「美しい。この世の美を終結した美しさ‥‥死んでもいい」
――いやいや、これから大事な用があるんです!死なないで――
「頼む!これが嘘ではない事を誰か証明してくれ!」
――証明も何も、今のところ嘘はないですね。誇大表現はありましたが――
「旦那様、奥様、お時間でございます。馬車にお乗りくださいませ」
「アル様、参りましょう?」
「いいのか…手を取ってもいいのか…イキそうなん…だが…」
えっ?まるで吐きそうな酔っ払いに洗面器を大急ぎで構えねばならないような事を言わないでくださいませ。アルベルト様の誤射の速さは冗談になりません。
どうして内またになって和服の芸者さんのように小股で歩くのですか。
「す、すまない‥‥先に行っててくれないか」
「どうされましたの?」
「エトランゼの美しさに我慢できないと思って貞操帯を付けていたんだがタンクがいっぱいになった」
「えっ?貞操帯…なんですの?」
「大丈夫。子種しか出していない。ただもう容量いっぱいなんだ…」
――容量いっぱいって…たった数秒で何回誤射したんですか――
ですが、まぁ…隊服を汚さなかったのはよしとせねばならないでしょう。
黒は意外と染みが目立つんですよね。大事な部分が染みのままで陛下の前には行けません。
先に馬車で待っていると、時期外れのロングコートを纏って何故か手に隊服のズボンをもっていらっしゃるアルベルト様が走ってきます。
「替えのズボンですの?」
「いや、ズボンは1本しかないんだ。穢すわけにはいかないからね」
「汚すって…」
「ふふっ…穢す‥‥自分で言って何だが‥良い響きだ」
――どこがですか!――
「ですがどうしてロングコートなど?」
「笑わないでくれるか?」
時期外れだからと笑いはしませんが、明らかに不審者です。
馬車内なのでまだ良いですが、王宮についたらそれは明らかに止められてしまいます。
頬をポっと染めながらアルベルト様はコートをゆっくりと開きます。
「ご開帳~♡」
「ファァァァッ!」
「アァァッ。ダメだ。エトランゼッ見ないでくれ…恥ずかしいんだ」
――ならお閉じなさいませぇぇ!!――
いつもと奇声を発するのが逆になりましたが、奇声はわたくしで御座います。
だって‥‥だって…
潜望鏡にビニール被せてるんです!
しかもビニールの中には既に誤射の痕跡があるんです!
「エトランゼのおかげで萎えないから、紐も抜けない…ハァハァ」
――紐って…その根元でビニールが抜けないように縛ってる紐?――
「アル様!それではトレンチコートガバってする人より変態です」
「変態‥‥アァァ…ダメだって…そんなに詰らな…い…ウゥッ」
また出しやがりました…あ、言葉が。これは失礼を。また誤射されました。
「と、とにかくコートを閉じてくださいませ」
「声が…アァァ…もう精巣も精管も全開なんだ」
――そんな事まで判るの?どこまで敏感になってるんですか――
換気をしたいのですが、外に声が漏れるほうが問題ありと判断しましたので空ける事が出来ません。
独特な香りに包まれて王宮に到着するとわたくしをじぃぃっと見ております。
これはきっと‥‥
「舐めませんよ。そのチャポチャポになったビニールもきちんと処分です」
「フォアッ!ここにきてお預けなんて…どこまで僕を試すんだ」
「ここに来てって…もう王宮なのですよ」
「もっと強く…詰ってくれ…」
仕方が御座いません。天狗様のお面のような貞操帯をアルベルト様のお顔の前に突き出します。
「付けなさいッ!屋敷に戻るまでに汚したらご褒美はありませんよ!」
「はいっ!女王様…仰せのままにッ」
あっという間に装着して隊服のズボンを履かれます。やれば出来るではありませんか。
陛下の爵位授与式も問題なく終わり、帰りの馬車では縋る様にわたくしを見つめるアルベルト様。
ちゃんと装着しているようで、その目はまるでご褒美を待つ子犬のよう。
なんて可愛いのとふと思ってしまったわたくし。
お屋敷についても【まだですッ】と強めに言えば【キュゥゥン】と啼くのです。
ついついそれで夕食後の湯あみまで放置しておりました。
わたくしの着替えをじぃぃっとご褒美待ちをされておりましたので、汗を少し拭いたハンカチを差し上げると急いで自室に戻られました。
その後…
「エトランゼ!きてきて!」
全裸でわたくしを呼ぶためにやってきたアルベルト様。
(18時以降のなので使用人さんいません)
得意気に洗面器を見せてくれます。既視感のあるこの液体は・・・。
「エトランゼ!貞操帯を外してハンカチを嗅いだら1分くらい出っ放しだった」
――1分って‥‥壊れたホースですか!――
すごく満面の笑みで自慢げに語るアルベルト様。
「ちゃんとトイレに流しましょうね?」
「えっ?捨てるの?」
――捨てずにどうしろと?――
シュンとなるアルベルト様も可愛いと思ってしまうわたくし。
遂に禁断の領域に慣れ親しんでしまったのでしょうか。
☆~☆~☆
次回 最終回です。
ド変態夫婦。真人間になれるのか?(えっ?)
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