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第4話♡副団長の悲痛な叫び

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「団長~。休暇届を出してたんですけど取り下げたいんです」
「はっ?取り下げたいってお前、婆さんの容態が芳しくないと言ってただろう」
「そうなんですけど、ほら?」
「ほらとは何だ?」
「お見合い夜会があるのを忘れてたんですよ~」

両手の指をクネクネと絡ませる騎士。

「ジベリスの提出した休暇届けはもう総務課に回ってるんじゃないかな?」
「そこを何とかお願いしますよ~。可愛い部下が可愛い恋人が出来るかどうかの瀬戸際なんですよぅ」

「ジベリス副班長の休暇届は不備が御座いますので、下から2番目の書類棚に御座います」

書類にペンを走らせながらマリーは声だけの返事を返す。
ムゥ…とガウルテリオは騎士が取り下げにきた休暇届を棚から取り出すとビリリ。
ジベリスの目の前で破ってしまった。

「だが、婆さんは良いのか?お前今生の別れになると言ってただろう」
「あ、本当は王都の外れにある男爵家でもお見合いパーティだったんですけど王都の方を優先しただけッス」
「お見合い夜会?お前‥‥」

メラメラ。ガウルテリオの拳が固く握られて震えだすと騎士ジベリスは「あざっしたー」っと部屋を跳び出て行った。

ジベリスの背中が見えなくなるとガウルテリオは椅子から浮いた腰を下ろした。
のだが、同時にマリーが立ち上がった。

――なっ?なに?俺、なんかした??――

数歩の距離しかないデスク間。

「団長様、休暇届。破られては困ります」
「えっ?えっ?」

慌てて「破って丸めてゴミ箱ポン」した休暇届を拾い上げ、机の上に置き、小指球しょうしきゅうで皺を懸命に伸ばす。皺くちゃになった用紙の端をマリーがビシッ!!指差した。

「えぇっと…ここが何か?」

怯える子ヤギのようにマリーを見上げるガウルテリオ。
ギロリ!マリーの可愛い目がガウルテリオを睨む。

「通し番号が御座います。公文書になりますのでこのような場合は、こちら!」

またもやビシィ!っと目の前に差し出された用紙。

「休暇申請取下届を出して頂く必要があります。2つを合わせて総務課に提出しこの通し番号は欠番とする必要があるのです」

「そ、そうなのか…」

「そうなのか?では御座いません。同様の行為が行われていたのが多々あると注意勧告もされております。その為の始末書。副隊長様も合わせて提出をお願いいたします」

「えぇっ?!俺も?!」

ラウールが慌てて立ち上がる。それもそのはず。始末書は5枚貯まると管理職は給料の3%をカットされるのだ。既婚者で奥様に財布の紐をがっちり握られているラウール副隊長にとって3%は痛い。減給分が真っ先に割を食うのは毎月の小遣い。ラウールには死活問題である。


「ラウールとファルコンの分は俺が引き受けよう」
「団長ぉぉ~神ですかぁ♡」

だが、ラウールの甘い声もマリーによって一刀両断。

「無駄です。管理職3人の始末書が1セットです。その為に管理職手当が付いております」

「ニャァァーッ!!おぅおぅ・・・」

ラウールの悲痛な叫び声が響いた団長室だった。
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