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第27話 エルドールの確率論
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従者に挨拶をして帰ろうとするアリスティアをエルドールは追いかけ、後ろから腕を掴んで歩みを止めた。
「殿下!何をされるんです」
アリスティアを馬車まで送る係を申し付けられた従者がエルドールの手を離そうと掴んだが逆に空いた手で弾かれてしまった。
従者にしてみれば相手はエルドール。第一王子なので無碍な事は出来ず言葉で「おやめください」というのが精一杯。
「なんだっていいだろう。僕たちは婚約者同士なんだ。お前が口出しをする事じゃない」
「しかし!本日はそのような予定ではありません」
「予定など未定だ!アリス、話がしたいんだ。少しで良い。時間をくれないか」
エルドールは必死になってアリスティアに懇願をした。
何があっても今日を逃せば確実に会えるという時間は取れなくなることからアリスティアに話しておきたい事があった。
地方への視察に行くことになり、エミリアとの結婚への時間はその間止まることになった。戻って来るのが何時と明確な日付が判らないのに1年後とされた結婚式に帰って来られるかどうかも判らないため、一時中断した。
それはいいのだ。エミリアと結婚する気はないのでエミリアとなら結婚の話が棚上げされるのも、先延ばしになり見直しになるのもエルドールにとっては僥倖としか言えない。
問題は婚約破棄の方だ。
国王は視察に行くのなら待つ、そんなニュアンスを感じ取れるような言葉を吐いたが信用は出来ない。
慰謝料代わりに直轄領がフェルマン伯爵家の所有になればフェルマン伯爵家は国王に貸した金も無かった事にする算段。つまり、国王には婚約を続けるメリットもデメリットもない。ついでに借金も無くなるのだ。
結婚の先延ばしと同じく、婚約破棄の手続きも止めてもらう必要があったが、それを国王に言ったところで匂わせの返事をまた返されるだけ。
動いてくれると期待するだけ無駄だと言う事である。
なら、当事者でもあるアリスティアに「手続きは待ってくれ」と言ってもらうのが一番だ。エルドールが言ったところで効果は無くてもアリスティアがフェルマン伯爵に一言いえば、娘に甘いフェルマン伯爵は再考するはず。
願わくばこのまま既成事実を作ってしまえば直轄領の話も立ち消えになる。
だからどうしてもエルドールはアリスティアと話がしたかったし時間を作って欲しかった。
「離してください」
「ご、ごめん。痛かったか?」
手を離したが、アリスティアは逃げたりしない事にエルドールは安心した。
安心はしたのだが…。
「大丈夫でしたか?打撲などに効果のある塗り薬なんです。良かったらお使いくださいませ」
アリスティアは可愛い小さな薬ケースに入った軟膏を従者に差し出した。
「わぁぁ♡いいんですか?」
「えぇ。先ほど手を傷めましたでしょう?塗って少しして患部が熱を持ったような感じがしたら洗い流してください。それは効き過ぎになってしまいます。水で洗って薄めれば丁度になりますわ。使い終わったらよく洗ってくださいまし。軟膏の詰め替え用も容器を持参いただければ格安で売っておりますわ」
「助かります。これって子供でも使って大丈夫ですか?」
「お子様がいらっしゃるの?」
「はい、9歳、7歳、4歳でもう雨の日なんか家の中で水龍が暴れているようなものなんですよぅ。男の子ばかりなんでテーブルから飛んでみたり、ドアに掴まって開閉するのを楽しんだり。先日なんか隣の屋根からウチの屋根に飛び移ろうとして妻が失神したくらいで。ホントに生傷が絶えなくて」
「それは大変ですわ。試供品ですけど子供でも切り傷に使える優しい効能のクリームタイプを作りましたの。ご帰宅の際にお時間があれば屋敷に寄ってくださいませ。試供品なので無料ですし…良ければ使い心地などを後日お知らせ頂ければ風邪のひき始めなどに飲むドリンク剤をお礼に差し上げますわ」
「良いんですかぁ!!なんだか得しちゃったなぁ」
そこにエルドールの割り入る隙間もないほどにエルドールに手を弾かれた従者と笑顔で話し始める。
しかも「痛かったでしょう?」とアリスティアは従者の手まで取っている。
めらめらと従者に対し嫉妬の炎が燃え上がり、「いい加減にしろ!」と突き飛ばしてしまった。
「うわっ!」
「大丈夫ですか?腰を打ちましたね」
「待て待て待て!アリス!まさか従者の尻を撫でるとかするなよ!」
「見せて頂けます?」
<< はぁっ?! >>
従者とエルドールの声が重なる。
従者は「ここでは脱げません。今日は勝負パンツじゃないですし、ちょっと横が破れかけててスリット状なんです」ワタワタとして聞かれてもいない誰得情報まで暴露してしまった。
「いやですわ。患部を見るのはお医者様。私は後ろを向いて頂ければ結構ですわ」
「アハハ。そ、そうですよね。アハハ」
また、そこにもエルドールの割り入る隙はない。
エルドールはわざと転んでみようかと思ったが、転んだ隙にそのまま立ち去られそうな気がして転べなかった。
「殿下!何をされるんです」
アリスティアを馬車まで送る係を申し付けられた従者がエルドールの手を離そうと掴んだが逆に空いた手で弾かれてしまった。
従者にしてみれば相手はエルドール。第一王子なので無碍な事は出来ず言葉で「おやめください」というのが精一杯。
「なんだっていいだろう。僕たちは婚約者同士なんだ。お前が口出しをする事じゃない」
「しかし!本日はそのような予定ではありません」
「予定など未定だ!アリス、話がしたいんだ。少しで良い。時間をくれないか」
エルドールは必死になってアリスティアに懇願をした。
何があっても今日を逃せば確実に会えるという時間は取れなくなることからアリスティアに話しておきたい事があった。
地方への視察に行くことになり、エミリアとの結婚への時間はその間止まることになった。戻って来るのが何時と明確な日付が判らないのに1年後とされた結婚式に帰って来られるかどうかも判らないため、一時中断した。
それはいいのだ。エミリアと結婚する気はないのでエミリアとなら結婚の話が棚上げされるのも、先延ばしになり見直しになるのもエルドールにとっては僥倖としか言えない。
問題は婚約破棄の方だ。
国王は視察に行くのなら待つ、そんなニュアンスを感じ取れるような言葉を吐いたが信用は出来ない。
慰謝料代わりに直轄領がフェルマン伯爵家の所有になればフェルマン伯爵家は国王に貸した金も無かった事にする算段。つまり、国王には婚約を続けるメリットもデメリットもない。ついでに借金も無くなるのだ。
結婚の先延ばしと同じく、婚約破棄の手続きも止めてもらう必要があったが、それを国王に言ったところで匂わせの返事をまた返されるだけ。
動いてくれると期待するだけ無駄だと言う事である。
なら、当事者でもあるアリスティアに「手続きは待ってくれ」と言ってもらうのが一番だ。エルドールが言ったところで効果は無くてもアリスティアがフェルマン伯爵に一言いえば、娘に甘いフェルマン伯爵は再考するはず。
願わくばこのまま既成事実を作ってしまえば直轄領の話も立ち消えになる。
だからどうしてもエルドールはアリスティアと話がしたかったし時間を作って欲しかった。
「離してください」
「ご、ごめん。痛かったか?」
手を離したが、アリスティアは逃げたりしない事にエルドールは安心した。
安心はしたのだが…。
「大丈夫でしたか?打撲などに効果のある塗り薬なんです。良かったらお使いくださいませ」
アリスティアは可愛い小さな薬ケースに入った軟膏を従者に差し出した。
「わぁぁ♡いいんですか?」
「えぇ。先ほど手を傷めましたでしょう?塗って少しして患部が熱を持ったような感じがしたら洗い流してください。それは効き過ぎになってしまいます。水で洗って薄めれば丁度になりますわ。使い終わったらよく洗ってくださいまし。軟膏の詰め替え用も容器を持参いただければ格安で売っておりますわ」
「助かります。これって子供でも使って大丈夫ですか?」
「お子様がいらっしゃるの?」
「はい、9歳、7歳、4歳でもう雨の日なんか家の中で水龍が暴れているようなものなんですよぅ。男の子ばかりなんでテーブルから飛んでみたり、ドアに掴まって開閉するのを楽しんだり。先日なんか隣の屋根からウチの屋根に飛び移ろうとして妻が失神したくらいで。ホントに生傷が絶えなくて」
「それは大変ですわ。試供品ですけど子供でも切り傷に使える優しい効能のクリームタイプを作りましたの。ご帰宅の際にお時間があれば屋敷に寄ってくださいませ。試供品なので無料ですし…良ければ使い心地などを後日お知らせ頂ければ風邪のひき始めなどに飲むドリンク剤をお礼に差し上げますわ」
「良いんですかぁ!!なんだか得しちゃったなぁ」
そこにエルドールの割り入る隙間もないほどにエルドールに手を弾かれた従者と笑顔で話し始める。
しかも「痛かったでしょう?」とアリスティアは従者の手まで取っている。
めらめらと従者に対し嫉妬の炎が燃え上がり、「いい加減にしろ!」と突き飛ばしてしまった。
「うわっ!」
「大丈夫ですか?腰を打ちましたね」
「待て待て待て!アリス!まさか従者の尻を撫でるとかするなよ!」
「見せて頂けます?」
<< はぁっ?! >>
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従者は「ここでは脱げません。今日は勝負パンツじゃないですし、ちょっと横が破れかけててスリット状なんです」ワタワタとして聞かれてもいない誰得情報まで暴露してしまった。
「いやですわ。患部を見るのはお医者様。私は後ろを向いて頂ければ結構ですわ」
「アハハ。そ、そうですよね。アハハ」
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