32 / 42
放浪の王子
しおりを挟む
馬を走らせていた男がいた。
騎乗の経験はあったようだが、色々と残念な所が多い。
何故なら逃げた馬を追いかけて走っていたが足を止めたからだ。
やみくもに馬を走らせてしまったため、現在地もどこなのかが判らない。
すっかり日も暮れてしまったため、農夫に聞こうにもその農夫がいない。
月が出ているから灯りはあるものの、家の灯りは全く見えない。四方を見回しても真っ黒な山なのか森なのかが見えるだけで進んでいる方向が東なのか西なのかも判らない。
判っているのは、後ろに戻って行けば王都があるという事だけだ。
馬の鞍につけていたカバンは走っている途中で留め具が外れて中身が全て飛び出してしまった。入れる物がないカバンなどあっても邪魔なだけだと馬を降りてカバンを外したまでは良かった。
変な止め方をしてしまい、やっとカバンの取っ手が外れたと思ったら腕に引っ掛けていた手綱も外れてしまった。マズいとカバンを投げたら取っ手に指が引っ掛かり、カバンが馬の尻を叩いてしまった。
馬が走り出すのは当たり前である。
追いかけたが走る馬と走る人間。追いつくはずがなかった。
歩いても歩いても民家はなく、疲れてしまって斜面になっている草むらで眠ってしまったら、朝大変な事になってしまった。至る所を虫に刺されて目は開かないし、兎に角痒いのだ。
日が昇り、明るくなって見た感じ小さそうな森を抜けようと入っていった。
沢があったので、そこで顔を洗って、水を手ですくい腹いっぱい飲んだ。空腹を満たすのが水だけというのは味気ないが他に食べる物がないのだ。
歩きながら実になっている物を千切って色々と食べてみたが、硬いだけだったり、スカスカで綿を噛んでいるようだったりで飲み込む気にもなれない。
だが、夕方になり急激に腹が痛くなった。
草むらで寝たから腹が冷えたのだろうかとなんとか寝られそうな大きな木を見つけた。
夜中に度々腹痛で目が覚め、用を足すたびにポケットに入れたイミテーションの宝飾品が落ちていった。
腹痛が収まったのは1週間ほど経ってからだった。
少しづつでも毎日歩き、小さいと思っていた森を抜けると小さな町が見えた。
見つかってしまえば城に戻されてしまうと考えたイデオットは息を潜めて人の気配が無くなるのを待った。
町だと思ったのは町ではなく、陶芸の工房だった。
夕方になれば灯りを消して荷馬車に乗り、男も女もどこかに行ってしまった。
イデオットはそっと建物に忍び込んで食べ物を探した。
人が住んでいないので何かを作って食べるという事はないだろうが、それでも何かしらはあるだろうと探すとトマトを見つける事が出来た。しかし、月灯りしかないため色が判らない。
その上、イデオットはカットしたトマトは見た事があるが、丸いそのままの形は見た事がなかった。
トマトを諦めて更に探すとそこにあったのは硬いパンだった。
一口サイズよりは大きいと思ったが【硬いパン】をひたすら食べた。
腹が減っているのもあったが、庶民はこんなパンを食べているのだと思い食べきった。
そして翌朝、馬車の音に目を覚ますとまた身を潜めた。
歩くよりも馬の方が早い。荷馬車に乗って男や女がやって来るのでその馬を拝借しようと考えたのだ。
作業が始まり、馬の側から誰も居なくなったのを見計らって馬の手綱を取ったまでは良かった。
「どうして馬に鞍が付いていないんだ!」
馬に跨ろうにも鐙のない馬は足を引っかける場所がない。
何より腰を下ろす鞍がない馬など座った事もない。
四苦八苦している間に馬が暴れはじめて気づかれてしまった。
「馬泥棒だ!誰か来てくれ!」
男の言葉にイデオットは走って逃げだした。走って休んでまた走って誰も追いかけてこないのを確認してやっとゆっくりと座り込んだ。
そこで看板に気が付いたのだ。学習はしていたので文字は読めた。
「ここはベルンなのか‥‥」
詳しい地名は判らないが、あの馬車も通ってきていることから、草むらと道は綺麗に姿を変えていた。馬車の通る道をひたすら歩き、工房で働いている人間が住まう町か村がある筈だという思いだけで歩き通した。
家の屋根が何軒も見えた時、イデオットは飛び上がるほど嬉しかった。
履いてきた靴もつま先の部分が風通しも良くなっていて、靴も交換したかったし着替えもしたかった。
久しぶりに温かい食事やフカフカの寝台で眠りたかった。
「交換してくれないか?」
そう言ってポケットに手を入れると、小ぶりな宝飾品が2、3個しか入っていなかった。
慌ててポケットを探るが沢山入れてきたはずの宝飾品がなかった。
ポケットを引っ張り出してみるが、出てくるのは土が粉になったようなものだけでイデオットは森で用を足した時に落としてしまったのだと気が付いた。
しかし、城にあり、何かの式の時にはつけていた宝飾品である。
1個でも十分な値が付き、全部売れば鞍が付いた馬も買えるだろうと思っていた。
「うーん…ガラス玉だからね。うちじゃ買い取れないよ」
「嘘だろう?ちゃんと見てくれ。家が1軒とは言わないが価値はある筈だ」
「申し訳ないが、うちは本物しか買い取らない主義なんだよ。他を当たってくれないか」
他の買取店でも同じことを言われイデオットは力なくへたり込んだ。
こうなる事を予想して父の国王は宝飾品を入れ替えていたのかも知れない。
グゥと腹もなっているがもう歩きたくもないし何もしたくなかった。
「兄ちゃん、金が欲しくないか?」
「金?くれるのか?」
「あぁ、ちょっと手伝ってくれるだけで酒は飲めるし娼館に泊まりだって出来る。流行の服なんか毎日着替える事も出来るくらい稼げる仕事だ」
「そんな簡単な仕事があるのか?」
「あぁ、あるとも。ただ馬に乗れないとダメだがな。後は剣が使えるなら割り増しだ」
「乗れる。私は騎乗は得意なんだ。剣もそれなりに扱える」
「じゃぁ決まりだ。仕事場はここじゃないんだ。ベルンは儲からないからな。リアーノ国は金持ちが多いから毎日がウハウハだ。ブルーメで仲間を乗せていくから2,3週間の旅になるが飯はその間も食わせるから気にすんな」
男に誘われるままに幌馬車に乗り込むと、人相の悪い男が既に7人乗り込んでいた。
タバコを咥えてポーカーを楽しんでいる者もいれば、酒を瓶からそのまま飲んでいる者もいる。
何もする事はなかったが最初に言った通り男はイデオットに食事を与えてくれた。
町の大衆食堂のような賑やかな場所だったが、肉でも魚でも何でも食べさせてくれた。
楽しんで来いと札を握らされて、娼館でも遊ばせてくれた。
イデオットは全てが初めての体験だった。
エンヴィーの事は好きだったけれど、体の一部が大きく痛くなるような事は一度もなかった。手づかみで肉を食べる事も初めてだったし、コップなどの器に移さずに瓶の口を咥えてワインを飲むのも初めてだった。
難点と言えば、宿ではなく移動の幌馬車で寝る時はいち早く寝ないとゴーゴーと地鳴りのような男達の寝息を朝まで聞かなければならない事だった。
王宮を逃げ出し、もうすぐ2か月。
イデオットは【大人】になってリアーノ国にやってきた。
「今夜仕事だ」
「仕事?夜に仕事なのか?」
「当たり前だ。昼間は人が多いからな。金持ちの貴族の家に行って金になりそうな物は全部盗ってくるんだ」
「それって‥‥強盗じゃないのか」
「何を今更な事をほざいてるんだ?大丈夫、誰だって最初の1軒目はビビるがそれだけだ」
周りを見れば、それが当たり前なのだろう。誰もそれを犯罪だとは思っていない。
イデオットは【ほらよ】と剣を渡されもう逃げ場がない事を知った。
騎乗の経験はあったようだが、色々と残念な所が多い。
何故なら逃げた馬を追いかけて走っていたが足を止めたからだ。
やみくもに馬を走らせてしまったため、現在地もどこなのかが判らない。
すっかり日も暮れてしまったため、農夫に聞こうにもその農夫がいない。
月が出ているから灯りはあるものの、家の灯りは全く見えない。四方を見回しても真っ黒な山なのか森なのかが見えるだけで進んでいる方向が東なのか西なのかも判らない。
判っているのは、後ろに戻って行けば王都があるという事だけだ。
馬の鞍につけていたカバンは走っている途中で留め具が外れて中身が全て飛び出してしまった。入れる物がないカバンなどあっても邪魔なだけだと馬を降りてカバンを外したまでは良かった。
変な止め方をしてしまい、やっとカバンの取っ手が外れたと思ったら腕に引っ掛けていた手綱も外れてしまった。マズいとカバンを投げたら取っ手に指が引っ掛かり、カバンが馬の尻を叩いてしまった。
馬が走り出すのは当たり前である。
追いかけたが走る馬と走る人間。追いつくはずがなかった。
歩いても歩いても民家はなく、疲れてしまって斜面になっている草むらで眠ってしまったら、朝大変な事になってしまった。至る所を虫に刺されて目は開かないし、兎に角痒いのだ。
日が昇り、明るくなって見た感じ小さそうな森を抜けようと入っていった。
沢があったので、そこで顔を洗って、水を手ですくい腹いっぱい飲んだ。空腹を満たすのが水だけというのは味気ないが他に食べる物がないのだ。
歩きながら実になっている物を千切って色々と食べてみたが、硬いだけだったり、スカスカで綿を噛んでいるようだったりで飲み込む気にもなれない。
だが、夕方になり急激に腹が痛くなった。
草むらで寝たから腹が冷えたのだろうかとなんとか寝られそうな大きな木を見つけた。
夜中に度々腹痛で目が覚め、用を足すたびにポケットに入れたイミテーションの宝飾品が落ちていった。
腹痛が収まったのは1週間ほど経ってからだった。
少しづつでも毎日歩き、小さいと思っていた森を抜けると小さな町が見えた。
見つかってしまえば城に戻されてしまうと考えたイデオットは息を潜めて人の気配が無くなるのを待った。
町だと思ったのは町ではなく、陶芸の工房だった。
夕方になれば灯りを消して荷馬車に乗り、男も女もどこかに行ってしまった。
イデオットはそっと建物に忍び込んで食べ物を探した。
人が住んでいないので何かを作って食べるという事はないだろうが、それでも何かしらはあるだろうと探すとトマトを見つける事が出来た。しかし、月灯りしかないため色が判らない。
その上、イデオットはカットしたトマトは見た事があるが、丸いそのままの形は見た事がなかった。
トマトを諦めて更に探すとそこにあったのは硬いパンだった。
一口サイズよりは大きいと思ったが【硬いパン】をひたすら食べた。
腹が減っているのもあったが、庶民はこんなパンを食べているのだと思い食べきった。
そして翌朝、馬車の音に目を覚ますとまた身を潜めた。
歩くよりも馬の方が早い。荷馬車に乗って男や女がやって来るのでその馬を拝借しようと考えたのだ。
作業が始まり、馬の側から誰も居なくなったのを見計らって馬の手綱を取ったまでは良かった。
「どうして馬に鞍が付いていないんだ!」
馬に跨ろうにも鐙のない馬は足を引っかける場所がない。
何より腰を下ろす鞍がない馬など座った事もない。
四苦八苦している間に馬が暴れはじめて気づかれてしまった。
「馬泥棒だ!誰か来てくれ!」
男の言葉にイデオットは走って逃げだした。走って休んでまた走って誰も追いかけてこないのを確認してやっとゆっくりと座り込んだ。
そこで看板に気が付いたのだ。学習はしていたので文字は読めた。
「ここはベルンなのか‥‥」
詳しい地名は判らないが、あの馬車も通ってきていることから、草むらと道は綺麗に姿を変えていた。馬車の通る道をひたすら歩き、工房で働いている人間が住まう町か村がある筈だという思いだけで歩き通した。
家の屋根が何軒も見えた時、イデオットは飛び上がるほど嬉しかった。
履いてきた靴もつま先の部分が風通しも良くなっていて、靴も交換したかったし着替えもしたかった。
久しぶりに温かい食事やフカフカの寝台で眠りたかった。
「交換してくれないか?」
そう言ってポケットに手を入れると、小ぶりな宝飾品が2、3個しか入っていなかった。
慌ててポケットを探るが沢山入れてきたはずの宝飾品がなかった。
ポケットを引っ張り出してみるが、出てくるのは土が粉になったようなものだけでイデオットは森で用を足した時に落としてしまったのだと気が付いた。
しかし、城にあり、何かの式の時にはつけていた宝飾品である。
1個でも十分な値が付き、全部売れば鞍が付いた馬も買えるだろうと思っていた。
「うーん…ガラス玉だからね。うちじゃ買い取れないよ」
「嘘だろう?ちゃんと見てくれ。家が1軒とは言わないが価値はある筈だ」
「申し訳ないが、うちは本物しか買い取らない主義なんだよ。他を当たってくれないか」
他の買取店でも同じことを言われイデオットは力なくへたり込んだ。
こうなる事を予想して父の国王は宝飾品を入れ替えていたのかも知れない。
グゥと腹もなっているがもう歩きたくもないし何もしたくなかった。
「兄ちゃん、金が欲しくないか?」
「金?くれるのか?」
「あぁ、ちょっと手伝ってくれるだけで酒は飲めるし娼館に泊まりだって出来る。流行の服なんか毎日着替える事も出来るくらい稼げる仕事だ」
「そんな簡単な仕事があるのか?」
「あぁ、あるとも。ただ馬に乗れないとダメだがな。後は剣が使えるなら割り増しだ」
「乗れる。私は騎乗は得意なんだ。剣もそれなりに扱える」
「じゃぁ決まりだ。仕事場はここじゃないんだ。ベルンは儲からないからな。リアーノ国は金持ちが多いから毎日がウハウハだ。ブルーメで仲間を乗せていくから2,3週間の旅になるが飯はその間も食わせるから気にすんな」
男に誘われるままに幌馬車に乗り込むと、人相の悪い男が既に7人乗り込んでいた。
タバコを咥えてポーカーを楽しんでいる者もいれば、酒を瓶からそのまま飲んでいる者もいる。
何もする事はなかったが最初に言った通り男はイデオットに食事を与えてくれた。
町の大衆食堂のような賑やかな場所だったが、肉でも魚でも何でも食べさせてくれた。
楽しんで来いと札を握らされて、娼館でも遊ばせてくれた。
イデオットは全てが初めての体験だった。
エンヴィーの事は好きだったけれど、体の一部が大きく痛くなるような事は一度もなかった。手づかみで肉を食べる事も初めてだったし、コップなどの器に移さずに瓶の口を咥えてワインを飲むのも初めてだった。
難点と言えば、宿ではなく移動の幌馬車で寝る時はいち早く寝ないとゴーゴーと地鳴りのような男達の寝息を朝まで聞かなければならない事だった。
王宮を逃げ出し、もうすぐ2か月。
イデオットは【大人】になってリアーノ国にやってきた。
「今夜仕事だ」
「仕事?夜に仕事なのか?」
「当たり前だ。昼間は人が多いからな。金持ちの貴族の家に行って金になりそうな物は全部盗ってくるんだ」
「それって‥‥強盗じゃないのか」
「何を今更な事をほざいてるんだ?大丈夫、誰だって最初の1軒目はビビるがそれだけだ」
周りを見れば、それが当たり前なのだろう。誰もそれを犯罪だとは思っていない。
イデオットは【ほらよ】と剣を渡されもう逃げ場がない事を知った。
310
お気に入りに追加
6,758
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
アリシアの恋は終わったのです【完結】
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
私ってわがまま傲慢令嬢なんですか?
山科ひさき
恋愛
政略的に結ばれた婚約とはいえ、婚約者のアランとはそれなりにうまくやれていると思っていた。けれどある日、メアリはアランが自分のことを「わがままで傲慢」だと友人に話している場面に居合わせてしまう。話を聞いていると、なぜかアランはこの婚約がメアリのわがままで結ばれたものだと誤解しているようで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる