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花の送り主
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王都を出てただひた走り、翌朝日が昇る頃には国土の端までやってきた。
山岳地帯でもあり、昼もさほどに気温が上がらない。当然朝晩の冷え込みはあり夏でも涼しい恰好で寝てしまえば風邪を引いてしまう。
小窓のカーテンを開けたメングローザ公爵夫人は驚いた。
馬車は走っているのに茎の部分を乗降する際に握るバーに蔦を使って結わえられた赤いゼラニウム。
「いつの間に?」
そう思いながら少し小窓を空かせると、冷たい風が吹き込んできた。
馬車内と外の温度差を感じ、ひんやりとした風に心地よさを感じながらも急激に温度が変わるのは良くないと素早い動きで蔦を外し赤いゼラニウムを手に取った。
馬車の壁には一輪挿しが挿せる程度の筒が付いている。
そっと挿すものの筒に水は入っていない。時間と共にくたりとなった赤いゼラニウム。
目が覚めたカーメリアは馬車の動きに合わせて揺れる花を見て「可哀想」と呟いた。
急いだ事もあり、迂回はしたものの4日目にはブルーメ王国との国境て出国の手続きが始まった。その日の朝、出入り口のバーに結ばれていたのは薄い紫色の高山植物である彗星蘭だった。
「そりゃそうよね。ふふっ。だけど律儀ね…」
「それは…?」
「さぁ?赤いゼラニウムは咲いてないのね。だけどよく見つけてくるわね…(ぼそっ:だから最後尾なのかしら)」
「可愛い花…」
「可愛いのは花かしら…特別な存在って…妬けちゃうわ」
「特別?…お花よりも?」
「えぇそうよ」
母から手渡された彗星蘭の花びらを指で撫でた。
第一王女やブルーメ王国の第4王子の書面は効果があったようで、大使となれば国境からはブルーメ王国の騎士も加わり、公爵家一行は国王の手が及ばない位置まで進んだ。
第一王女と婚約を結んでいてもかつてブルーメ王国とは軋轢があったため、表面上は王族の婚約で手を取り合ったように見えるが犯罪を犯した者が逃げ込んだ時に捜索の依頼や確保時の引き渡し条約は結ばれていない。
国力としてはブルーメ王国の方が優位にあるとは言え、第一王女を差し出したにも関わらずブルーメ王国は継承順位の低い第4王子を婚約者に選んだ。国王は憤慨しその条約を結ばなかったのだ。
当事者である第一王女とブルーメ王国の第4王子は非常に仲が良い。週に少なくとも2度は手紙をやり取りしてお互いの仲を深めている。
第一王女を一目見た時から頬を染めた第4王子は王女のために郊外に離宮を建てその日を待っていた。
第一王女は兄である王太子、第4王子も兄である第2王子の行いで臣下や使用人に対しいつも尻拭いをしてきた。手柄を横取りされた経験も辛酸を舐めさせられた経験もお互いが持ち、最初は傷をなめ合うような、愚痴を遠回しに言い合う関係だったが今では信用と信頼を、そしてお互いを思い合う気持ちを育てている。
ブルーメ王国の第4王子は行く先々に通達を出していて、馬力がある馬を用意してくれていた。夜通し走った馬も基点となる街で交換をした公爵家一行はブルーメ王国内にある街道をひた走る。
リアーノ国はこのまま5日も進めば入国できる。ただ、迂回をした事により反対側からの入国はリアーノ国にある夫人の実家までは3日は走らねばならないだろう。
日差しの中を走り、星の下を走り、メングローザ公爵夫人の実家にたどり着いた時、道中で貰った花は暇つぶしになればと夫人が持ち込んだ本の中で押し花になった。
出国をする前に届いていた花はすっかり水分が抜けて、夫人は懐かしい実家の勝手知ったる父の私室に飛び込むと何十年ぶりかの悪戯っ子復活で引き出しを開けて遠い海の向こうの国で作られた【和紙】にそれを挟み込んだ。両側から向こうが透けて見える和紙に表裏がないよう2日分の花を挟み栞を作った。
物理的にも距離があるというのは安心できる要因なのだろう。
まだ立って歩く事はできないが、横になっている時間を少しづつ減らしていく。
婚約解消をされるまでは自分の時間を自由に使うという事が考えられなかった生活。
感情をもなくしたカーメリアにメングローザ公爵がした事は【何もしない時間を持つ】事で、それを咎める事をしないと徹底してきた。
公爵令嬢が堕落した生活をするのは褒められた事ではないが、今までがやり過ぎだった。何もしない中で、カーメリア自身が【したい】と思うようになるまで待つ。したい事を強制もしない。【しなければならない事】は以ての外だ。
公爵家では眠る事も出来なかった。妃教育は横になり体を休める事すら鞭打たれるカーメリアにとって忌避する事だった。それを取り除くためカーメリアの私室には気の置けない者だけが出入りをした。
侍女シトルイユは座って眠らないカーメリアの世話を甲斐甲斐しくした事でやっと横になってもいいのだ、花は美しいのだと思えてきた頃に起こった出来事に心を痛めた。
12日に及ぶ長い馬車での移動は体には負担ではあったが、小窓からの景色や風の匂い、聞こえてくる人々の言葉は辛い記憶との間にゆっくりと挟まり、心を落ち着けるのに役立った。
勿論、毎日届くたった1房、たった1輪の花もカーメリアの心を穏かにした。
リアーノ国は陽気なお国柄である。
使用人達は直ぐに公爵家からやってきた使用人達とも打ち解け、歌いながら洗濯をする声、笑い合う声が響くメイドたちの掃除、調理人とて庭で野菜を育てて食べ頃の実に喜劇のような情熱的な愛を囁く。
カーメリアの口数も次第に多くなっていく。
リアーノ国に来てからは贈られる花にヴァリエーションが出来た。
寝室の窓を開けて、侍女とお喋りを楽しんだ翌日にはエキザカムが。
移住後、始めて食堂で祖父母も交えて食事をした翌日にはガーベラが。
車椅子に乗って侍女と共に庭を散策した翌日にはクルクマが贈られた。
「うーん…ここまで来ると怖いものがあるわね。貴女は私の安らぎって…」
「あら?今日もお花が‥‥」
母が手にしていたのはルピナス。小さな花を幾つもつけた花を受け取るとカーメリアは指で1つ1つをちょんちょんと触った。小さく揺れるその花に、夫人はふと視線を感じてそっと視界に入れた。
木陰から優しい目をしてカーメリアを見守るアルマンだった。
アルマンは、夫人に悟られた事を知ると静かに礼をしてその場を立ち去ろうとした。
顎に指をあて、ふと考える振りした夫人は不自然に大きな声で・・・。
「カーメリア。このお庭の奥に花水木という花が咲いているの」
「花水木?」
「見せてあげたい可愛い花なんだけど‥‥」
「何かありますの?」
「車いすでは無理そうね…」
「‥‥そう‥‥残念。来年は見られるかしら…」
ちらりと夫人は目線をカーメリアから外した。胸に手を当て、礼をするアルマンを見た。
翌朝、いつもよりは起きるのにまだ早い時間。
夫人と侍女シトルイユはいつもより明るい色のワンピースにカーメリアを着替えさせた。
朝の涼しい風がゆっくりと通り抜ける外テラスで朝食を食べようと誘い、庭がよく見えるテーブルにセットされた椅子を寄せるとそこに車椅子を止め、ストッパーをかけた。
「あら、いけない。ちょっと待ってて。シトルイユ手伝ってくれる?」
「はい、奥様。お嬢様、少しお待ちくださいね」
「え、えぇ…」
朝食は使用人が運んでくるのにどうしたのだろうと首を傾げ、待つより他にないと庭の木々に目を向けた。
ふと、誰かが庭にある小道を歩いてくるのが見える。背の高さもあるが、歩くたびに白い何かが上下に小さく動いてた。
「何かしら?」
そこには花水木の枝を片手で持ち、枝を回しながら不要な葉を取り払う男性が現れた。
既視感のある男性にカーメリアは声が漏れた。
「アルマン様‥‥」
「‥‥っ!?」
サッと花水木を背に隠すアルマンとカーメリアの視線があった。
山岳地帯でもあり、昼もさほどに気温が上がらない。当然朝晩の冷え込みはあり夏でも涼しい恰好で寝てしまえば風邪を引いてしまう。
小窓のカーテンを開けたメングローザ公爵夫人は驚いた。
馬車は走っているのに茎の部分を乗降する際に握るバーに蔦を使って結わえられた赤いゼラニウム。
「いつの間に?」
そう思いながら少し小窓を空かせると、冷たい風が吹き込んできた。
馬車内と外の温度差を感じ、ひんやりとした風に心地よさを感じながらも急激に温度が変わるのは良くないと素早い動きで蔦を外し赤いゼラニウムを手に取った。
馬車の壁には一輪挿しが挿せる程度の筒が付いている。
そっと挿すものの筒に水は入っていない。時間と共にくたりとなった赤いゼラニウム。
目が覚めたカーメリアは馬車の動きに合わせて揺れる花を見て「可哀想」と呟いた。
急いだ事もあり、迂回はしたものの4日目にはブルーメ王国との国境て出国の手続きが始まった。その日の朝、出入り口のバーに結ばれていたのは薄い紫色の高山植物である彗星蘭だった。
「そりゃそうよね。ふふっ。だけど律儀ね…」
「それは…?」
「さぁ?赤いゼラニウムは咲いてないのね。だけどよく見つけてくるわね…(ぼそっ:だから最後尾なのかしら)」
「可愛い花…」
「可愛いのは花かしら…特別な存在って…妬けちゃうわ」
「特別?…お花よりも?」
「えぇそうよ」
母から手渡された彗星蘭の花びらを指で撫でた。
第一王女やブルーメ王国の第4王子の書面は効果があったようで、大使となれば国境からはブルーメ王国の騎士も加わり、公爵家一行は国王の手が及ばない位置まで進んだ。
第一王女と婚約を結んでいてもかつてブルーメ王国とは軋轢があったため、表面上は王族の婚約で手を取り合ったように見えるが犯罪を犯した者が逃げ込んだ時に捜索の依頼や確保時の引き渡し条約は結ばれていない。
国力としてはブルーメ王国の方が優位にあるとは言え、第一王女を差し出したにも関わらずブルーメ王国は継承順位の低い第4王子を婚約者に選んだ。国王は憤慨しその条約を結ばなかったのだ。
当事者である第一王女とブルーメ王国の第4王子は非常に仲が良い。週に少なくとも2度は手紙をやり取りしてお互いの仲を深めている。
第一王女を一目見た時から頬を染めた第4王子は王女のために郊外に離宮を建てその日を待っていた。
第一王女は兄である王太子、第4王子も兄である第2王子の行いで臣下や使用人に対しいつも尻拭いをしてきた。手柄を横取りされた経験も辛酸を舐めさせられた経験もお互いが持ち、最初は傷をなめ合うような、愚痴を遠回しに言い合う関係だったが今では信用と信頼を、そしてお互いを思い合う気持ちを育てている。
ブルーメ王国の第4王子は行く先々に通達を出していて、馬力がある馬を用意してくれていた。夜通し走った馬も基点となる街で交換をした公爵家一行はブルーメ王国内にある街道をひた走る。
リアーノ国はこのまま5日も進めば入国できる。ただ、迂回をした事により反対側からの入国はリアーノ国にある夫人の実家までは3日は走らねばならないだろう。
日差しの中を走り、星の下を走り、メングローザ公爵夫人の実家にたどり着いた時、道中で貰った花は暇つぶしになればと夫人が持ち込んだ本の中で押し花になった。
出国をする前に届いていた花はすっかり水分が抜けて、夫人は懐かしい実家の勝手知ったる父の私室に飛び込むと何十年ぶりかの悪戯っ子復活で引き出しを開けて遠い海の向こうの国で作られた【和紙】にそれを挟み込んだ。両側から向こうが透けて見える和紙に表裏がないよう2日分の花を挟み栞を作った。
物理的にも距離があるというのは安心できる要因なのだろう。
まだ立って歩く事はできないが、横になっている時間を少しづつ減らしていく。
婚約解消をされるまでは自分の時間を自由に使うという事が考えられなかった生活。
感情をもなくしたカーメリアにメングローザ公爵がした事は【何もしない時間を持つ】事で、それを咎める事をしないと徹底してきた。
公爵令嬢が堕落した生活をするのは褒められた事ではないが、今までがやり過ぎだった。何もしない中で、カーメリア自身が【したい】と思うようになるまで待つ。したい事を強制もしない。【しなければならない事】は以ての外だ。
公爵家では眠る事も出来なかった。妃教育は横になり体を休める事すら鞭打たれるカーメリアにとって忌避する事だった。それを取り除くためカーメリアの私室には気の置けない者だけが出入りをした。
侍女シトルイユは座って眠らないカーメリアの世話を甲斐甲斐しくした事でやっと横になってもいいのだ、花は美しいのだと思えてきた頃に起こった出来事に心を痛めた。
12日に及ぶ長い馬車での移動は体には負担ではあったが、小窓からの景色や風の匂い、聞こえてくる人々の言葉は辛い記憶との間にゆっくりと挟まり、心を落ち着けるのに役立った。
勿論、毎日届くたった1房、たった1輪の花もカーメリアの心を穏かにした。
リアーノ国は陽気なお国柄である。
使用人達は直ぐに公爵家からやってきた使用人達とも打ち解け、歌いながら洗濯をする声、笑い合う声が響くメイドたちの掃除、調理人とて庭で野菜を育てて食べ頃の実に喜劇のような情熱的な愛を囁く。
カーメリアの口数も次第に多くなっていく。
リアーノ国に来てからは贈られる花にヴァリエーションが出来た。
寝室の窓を開けて、侍女とお喋りを楽しんだ翌日にはエキザカムが。
移住後、始めて食堂で祖父母も交えて食事をした翌日にはガーベラが。
車椅子に乗って侍女と共に庭を散策した翌日にはクルクマが贈られた。
「うーん…ここまで来ると怖いものがあるわね。貴女は私の安らぎって…」
「あら?今日もお花が‥‥」
母が手にしていたのはルピナス。小さな花を幾つもつけた花を受け取るとカーメリアは指で1つ1つをちょんちょんと触った。小さく揺れるその花に、夫人はふと視線を感じてそっと視界に入れた。
木陰から優しい目をしてカーメリアを見守るアルマンだった。
アルマンは、夫人に悟られた事を知ると静かに礼をしてその場を立ち去ろうとした。
顎に指をあて、ふと考える振りした夫人は不自然に大きな声で・・・。
「カーメリア。このお庭の奥に花水木という花が咲いているの」
「花水木?」
「見せてあげたい可愛い花なんだけど‥‥」
「何かありますの?」
「車いすでは無理そうね…」
「‥‥そう‥‥残念。来年は見られるかしら…」
ちらりと夫人は目線をカーメリアから外した。胸に手を当て、礼をするアルマンを見た。
翌朝、いつもよりは起きるのにまだ早い時間。
夫人と侍女シトルイユはいつもより明るい色のワンピースにカーメリアを着替えさせた。
朝の涼しい風がゆっくりと通り抜ける外テラスで朝食を食べようと誘い、庭がよく見えるテーブルにセットされた椅子を寄せるとそこに車椅子を止め、ストッパーをかけた。
「あら、いけない。ちょっと待ってて。シトルイユ手伝ってくれる?」
「はい、奥様。お嬢様、少しお待ちくださいね」
「え、えぇ…」
朝食は使用人が運んでくるのにどうしたのだろうと首を傾げ、待つより他にないと庭の木々に目を向けた。
ふと、誰かが庭にある小道を歩いてくるのが見える。背の高さもあるが、歩くたびに白い何かが上下に小さく動いてた。
「何かしら?」
そこには花水木の枝を片手で持ち、枝を回しながら不要な葉を取り払う男性が現れた。
既視感のある男性にカーメリアは声が漏れた。
「アルマン様‥‥」
「‥‥っ!?」
サッと花水木を背に隠すアルマンとカーメリアの視線があった。
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