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夫の知ってる奥様は婚約時代?
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☆この回はヘタレポンコツと名高いエリオナルの視点となります☆
城の門番が目を丸くて、何事かと私と私の騎乗した馬を目で追っている。
私の行き先は1つである。事前に連絡がないだの不敬だなどと言ってはいられない。
執務室のある近衛隊舎の前で「あっ!隊長」部下が呼び止める。
みなまで言うな。判っているのだ。手にしている書類は配置換えの希望届か退職届けだろう。用紙の色でおおよその判別は出来る。
ここ何年も同じ色の用紙を見てきた。
隊に入るのは薄い水色の用紙だが、配置換えはオレンジ、退団は薄い赤だ。
ここのところ暖色系の用紙ばかりで見慣れている。
私は執務室に入ると、箱に入った退団願と配置変更願の書類の束を確認した。
そして言葉にするなら「どこか行かれてましたか?」と言い出しそうな死んだ魚のような目になって徹夜3日目の執務をしている副官に声を掛けた。
この副官ももうかれこれ1か月半ほど家には帰る事が出来ていない。
「このままでは離縁されてしまいます。私は入り婿なんです。離縁されたらもう実家には戻れませんし平民になります。平民になれば近衛隊にはいられないんです」
思わずその日の事を思い出して渇いた笑いが出た。
部下が奥方に離縁されないように、私が時間を作って出かけたのは部下の奥方のいる屋敷。
そこで現状を切々と説明した上で、数か月以内には何とかするからと頭を下げてきたのだ。そう、自分の事など棚に上げて…彼女が何も言わなかったのをいい事に私は部下の家庭が壊れないよう、そして近衛隊の任務に支障が出ないように「離縁しないでやってくれ」と頼んで回っていたのだ。
その甲斐あってか、いや私の母の葬儀にも部下の奥方たちは弔問に来てくれていた。慌ただしく城に戻らねばならない私と…おそらく残されて捨て置かれる愛妻の姿を見て溜飲を下げてくれたのだ。
実の親の葬儀ですら隊長がここまでしているとなれば、夫が不在で負担が大きかった御婦人方も納得せざるを得なかった、いや無理やりさせたのだ。そんな姿を見せる事で罪悪感を煽って。
そうさせたのは私だ。
「すまない。陛下に時間が取れないか問い合わせてくれないか」
「陛下ですか?王太子殿下ではなく?」
「殿下では話にならない。この現状を改善する策を出せるのはもう陛下だ」
「まさか?と思いますがついに隊長も奥様に三下り半を?」
う…何故判るんだ。冷や汗が伝う。誤魔化したいがこの私にはもうプライドなどと言うものはない。妻が大通りのど真ん中で全裸で土下座をしろと言っても私は従うだろう。
「あぁ。君たちが切羽詰まっていたあの時の気持ちがよく判る。離縁書を置いて――」
「あの奥様が?!」
どうやら部下は私の妻の事を知っているようだ。夜会などには出ていないはずだがと思ったらそうではなかった。妻は忙しい間をぬって、部下たちの細君の元に領地で獲れた果物や野菜などを持って出向いていたのだという。
「一言も隊長の事を悪く言わないし、出来るだけ我々を帰宅させるように伝えるからと…その他にも色々とケアをしてくれたようですよ。ウチは上の子が木から落ちて脚を骨折した時に町医者ですが、腕が良くて診療費の安い医者を紹介してもらいました。典医は歩くのは補助があればなんとかだが走るのは諦めろと言われてたんですが、今じゃ凝りしないでまた木登りをしていますよ。奥様には感謝していると妻も言ってました。そんな奥様が三下り半って…隊長、何をしたんですか」
「酷い言葉を投げつけてしまった。詫びて許してもらえるまで…妻の足元にひれ伏そうと思っている」
「うわぁ…そこまで?いや、それ逆効果じゃないですか?」
「謝るのに格好を気にしていては意味がないだろう」
「そうなんですけど、いやでも…ひれ伏すって…普通に迷惑でしょう。先ずはですねご機嫌取りじゃないですけど花とか宝石とか食事とかプレゼントをもってですね、突破口を確保するのが先ですよ。隊長はお子さんがいませんから厳しそうですけど」
「子供がいると何か違うのか」
「子はかすがいとよく言ったもので、冷戦状態になっても子供が双方を行き来してくれるんです。子供から教えられる事も在ります。私は妻の好きな花はガーベラだと思っていたんですがスイートピーだと息子に教えられました。好きなケーキもレアチーズケーキじゃなく、スフレのチーズケーキだって事も。チーズケーキ好きだったな、だけではダメなんです。おかげで仲直り用にホールで買ったレアチーズケーキを一人で食べましたよ。勿論妻が作ってくれたご馳走を残すのも許してもらえませんから全部食べきりました。息子の誕生日だったんでいつもの3倍の量でしたが…妻が許してくれるなら足の先まで胃袋にするつもりで食べきりましたよ」
私がどこか疎いのがよく判った。そうか‥‥はてと考える。
彼女の好きだった花はなんだ?まて、庭に咲く野菜の花も可愛いとしか聞いた事がない。しかもそれを聞いたのは…なんて事だ!婚約中じゃないか!
彼女の好きなケーキは?そもそもケーキを食べているのを見た事がない。
そう、金がなかった私に気遣って甘いものは‥‥食べていなかった。
好きな色も、好きな歌も何も知らないのだ。
刺繍や編み物はよくしていたが、出来たものは市場で売るのだと婚約中に言っていた。
まて、それも婚約中?!
思い出す妻との思い出が全て【婚約中】だという事に私は目の前が暗くなった。
そしてロッカーからバッグを出し、引き出しに入れておいた愛する妻へ渡したくても渡せなかった贈り物を入れた。リボンがつぶれないようにそっといれて、屋敷から届いて「いついつ読もう」と思っただけで封すら切っていない手紙の束をもう一つの袋に入れる。
何故こんなにわかりやすいのにそのままにしておいたのだろう。
色褪せた封筒にも、最近届いた白い封筒にも妻の優しい字で私の名前が書かれている。
封を切ってみれば、私以上に両親をよく看てくれていた事が判る。手紙の文字に父の声や表情が思い浮かぶ。そうそう、母上は必ず茶を飲むときは砂糖と蜂蜜なのだが、蜂蜜を先に入れると怒るのだ。
在りし日の両親の顔と声、そして見た事もないのに両親と妻が茶をしてそれを使用人達が笑顔で見守る光景が脳裏に浮かぶ。いない筈の両親の声が聞こえてくるようだ。
それだけでなく、使用人達の家庭環境の変化、先程の副官を含め部下たちの【家族】が抱えている悩み。出来る範囲で妻は動いてくれていた。そして【大変だとは思いますが彼らの働く環境を今一度見直しくださいませ。旦那様も無理はされないでくださいませ】で締めくくられている。
なにが…何をしていた!なんだ!そう言われるのは私じゃないか!
精一杯やってくれていたのに…そして日付が最近の手紙の封を切った。
【領地の経営についての引継ぎ、離縁についての話し合いをしたいので時間を取って欲しい。難しいのなら一言で良いから返事が欲しい】
と書かれており、どうしてこの手紙を【今】読んでいるのだと自分で自分を殴りたくなった。
「隊長、陛下が15時から10分ほどならお会いになるそうです」
時計を見た。14時30分を過ぎたあたりだ。
部下に「これでダメなら近衛隊、解散していいんじゃないですか」と声を掛けられた。
「あぁ、そうしよう。その際は私がしんがりを務めたいが、申し訳ない。妻を探しにいかねばならんから先陣を切らせてもらう」
「探すって…まさか既に出て行ったとか?!」
「あぁ…探すのに何年かかっても探し出し…やり直したい」
「ご愁傷様‥‥そっか…あの奥様が…無理じゃね?」
部下の最後の言葉は聞こえなかった事にしよう。
時計を見て15分前になった。「荷物を纏めとけ」という私の言葉に副官は頷き、他に出仕していた隊員と荷物を纏め始めた。
「さて、陛下に言いたい事を全部言ってくる」
私の言葉に部下が、ブハっと笑って「頼みました」という声を背中に私は廊下を歩きだした。
城の門番が目を丸くて、何事かと私と私の騎乗した馬を目で追っている。
私の行き先は1つである。事前に連絡がないだの不敬だなどと言ってはいられない。
執務室のある近衛隊舎の前で「あっ!隊長」部下が呼び止める。
みなまで言うな。判っているのだ。手にしている書類は配置換えの希望届か退職届けだろう。用紙の色でおおよその判別は出来る。
ここ何年も同じ色の用紙を見てきた。
隊に入るのは薄い水色の用紙だが、配置換えはオレンジ、退団は薄い赤だ。
ここのところ暖色系の用紙ばかりで見慣れている。
私は執務室に入ると、箱に入った退団願と配置変更願の書類の束を確認した。
そして言葉にするなら「どこか行かれてましたか?」と言い出しそうな死んだ魚のような目になって徹夜3日目の執務をしている副官に声を掛けた。
この副官ももうかれこれ1か月半ほど家には帰る事が出来ていない。
「このままでは離縁されてしまいます。私は入り婿なんです。離縁されたらもう実家には戻れませんし平民になります。平民になれば近衛隊にはいられないんです」
思わずその日の事を思い出して渇いた笑いが出た。
部下が奥方に離縁されないように、私が時間を作って出かけたのは部下の奥方のいる屋敷。
そこで現状を切々と説明した上で、数か月以内には何とかするからと頭を下げてきたのだ。そう、自分の事など棚に上げて…彼女が何も言わなかったのをいい事に私は部下の家庭が壊れないよう、そして近衛隊の任務に支障が出ないように「離縁しないでやってくれ」と頼んで回っていたのだ。
その甲斐あってか、いや私の母の葬儀にも部下の奥方たちは弔問に来てくれていた。慌ただしく城に戻らねばならない私と…おそらく残されて捨て置かれる愛妻の姿を見て溜飲を下げてくれたのだ。
実の親の葬儀ですら隊長がここまでしているとなれば、夫が不在で負担が大きかった御婦人方も納得せざるを得なかった、いや無理やりさせたのだ。そんな姿を見せる事で罪悪感を煽って。
そうさせたのは私だ。
「すまない。陛下に時間が取れないか問い合わせてくれないか」
「陛下ですか?王太子殿下ではなく?」
「殿下では話にならない。この現状を改善する策を出せるのはもう陛下だ」
「まさか?と思いますがついに隊長も奥様に三下り半を?」
う…何故判るんだ。冷や汗が伝う。誤魔化したいがこの私にはもうプライドなどと言うものはない。妻が大通りのど真ん中で全裸で土下座をしろと言っても私は従うだろう。
「あぁ。君たちが切羽詰まっていたあの時の気持ちがよく判る。離縁書を置いて――」
「あの奥様が?!」
どうやら部下は私の妻の事を知っているようだ。夜会などには出ていないはずだがと思ったらそうではなかった。妻は忙しい間をぬって、部下たちの細君の元に領地で獲れた果物や野菜などを持って出向いていたのだという。
「一言も隊長の事を悪く言わないし、出来るだけ我々を帰宅させるように伝えるからと…その他にも色々とケアをしてくれたようですよ。ウチは上の子が木から落ちて脚を骨折した時に町医者ですが、腕が良くて診療費の安い医者を紹介してもらいました。典医は歩くのは補助があればなんとかだが走るのは諦めろと言われてたんですが、今じゃ凝りしないでまた木登りをしていますよ。奥様には感謝していると妻も言ってました。そんな奥様が三下り半って…隊長、何をしたんですか」
「酷い言葉を投げつけてしまった。詫びて許してもらえるまで…妻の足元にひれ伏そうと思っている」
「うわぁ…そこまで?いや、それ逆効果じゃないですか?」
「謝るのに格好を気にしていては意味がないだろう」
「そうなんですけど、いやでも…ひれ伏すって…普通に迷惑でしょう。先ずはですねご機嫌取りじゃないですけど花とか宝石とか食事とかプレゼントをもってですね、突破口を確保するのが先ですよ。隊長はお子さんがいませんから厳しそうですけど」
「子供がいると何か違うのか」
「子はかすがいとよく言ったもので、冷戦状態になっても子供が双方を行き来してくれるんです。子供から教えられる事も在ります。私は妻の好きな花はガーベラだと思っていたんですがスイートピーだと息子に教えられました。好きなケーキもレアチーズケーキじゃなく、スフレのチーズケーキだって事も。チーズケーキ好きだったな、だけではダメなんです。おかげで仲直り用にホールで買ったレアチーズケーキを一人で食べましたよ。勿論妻が作ってくれたご馳走を残すのも許してもらえませんから全部食べきりました。息子の誕生日だったんでいつもの3倍の量でしたが…妻が許してくれるなら足の先まで胃袋にするつもりで食べきりましたよ」
私がどこか疎いのがよく判った。そうか‥‥はてと考える。
彼女の好きだった花はなんだ?まて、庭に咲く野菜の花も可愛いとしか聞いた事がない。しかもそれを聞いたのは…なんて事だ!婚約中じゃないか!
彼女の好きなケーキは?そもそもケーキを食べているのを見た事がない。
そう、金がなかった私に気遣って甘いものは‥‥食べていなかった。
好きな色も、好きな歌も何も知らないのだ。
刺繍や編み物はよくしていたが、出来たものは市場で売るのだと婚約中に言っていた。
まて、それも婚約中?!
思い出す妻との思い出が全て【婚約中】だという事に私は目の前が暗くなった。
そしてロッカーからバッグを出し、引き出しに入れておいた愛する妻へ渡したくても渡せなかった贈り物を入れた。リボンがつぶれないようにそっといれて、屋敷から届いて「いついつ読もう」と思っただけで封すら切っていない手紙の束をもう一つの袋に入れる。
何故こんなにわかりやすいのにそのままにしておいたのだろう。
色褪せた封筒にも、最近届いた白い封筒にも妻の優しい字で私の名前が書かれている。
封を切ってみれば、私以上に両親をよく看てくれていた事が判る。手紙の文字に父の声や表情が思い浮かぶ。そうそう、母上は必ず茶を飲むときは砂糖と蜂蜜なのだが、蜂蜜を先に入れると怒るのだ。
在りし日の両親の顔と声、そして見た事もないのに両親と妻が茶をしてそれを使用人達が笑顔で見守る光景が脳裏に浮かぶ。いない筈の両親の声が聞こえてくるようだ。
それだけでなく、使用人達の家庭環境の変化、先程の副官を含め部下たちの【家族】が抱えている悩み。出来る範囲で妻は動いてくれていた。そして【大変だとは思いますが彼らの働く環境を今一度見直しくださいませ。旦那様も無理はされないでくださいませ】で締めくくられている。
なにが…何をしていた!なんだ!そう言われるのは私じゃないか!
精一杯やってくれていたのに…そして日付が最近の手紙の封を切った。
【領地の経営についての引継ぎ、離縁についての話し合いをしたいので時間を取って欲しい。難しいのなら一言で良いから返事が欲しい】
と書かれており、どうしてこの手紙を【今】読んでいるのだと自分で自分を殴りたくなった。
「隊長、陛下が15時から10分ほどならお会いになるそうです」
時計を見た。14時30分を過ぎたあたりだ。
部下に「これでダメなら近衛隊、解散していいんじゃないですか」と声を掛けられた。
「あぁ、そうしよう。その際は私がしんがりを務めたいが、申し訳ない。妻を探しにいかねばならんから先陣を切らせてもらう」
「探すって…まさか既に出て行ったとか?!」
「あぁ…探すのに何年かかっても探し出し…やり直したい」
「ご愁傷様‥‥そっか…あの奥様が…無理じゃね?」
部下の最後の言葉は聞こえなかった事にしよう。
時計を見て15分前になった。「荷物を纏めとけ」という私の言葉に副官は頷き、他に出仕していた隊員と荷物を纏め始めた。
「さて、陛下に言いたい事を全部言ってくる」
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