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続編
VOL.03
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「この人員を雇い入れると2万人ごとに税率3%カットって魅力的よね」
「そうだなぁ…総売り上げの3%なら2万人雇ってもいいんだけど住む場所がネックだな」
「そこよねぇ…。社宅も現在満室だし王都にも借り上げ社宅でも足らないし…もう一度借金王になる?」
「まさか!子供だってもうすぐ生まれるんだぞ?」
「そうよねぇ」
ルビーは大きくなったお腹を撫でるがお腹を撫でても解決策は出ない。
しかし、「行けるんじゃないの?」とルビーがサーディスをじぃぃっと見る。
――試されているのか?俺は?!――
このままではルビーが「私が借りる」と言い出しかねない。
サーディスは「負けたよ」とやれやれ、手を軽く上げた。
「生産量を4倍にしよう。雇う人間も10万人増やす。これで税率15%カットで1区画当たりの羽数を減らしても収益は上がる。但し…社宅の建設も必要だから放し飼いの区画で使わない箇所は建設地にあてる。これでどうかな」
「却下ね。社宅の建設地は社屋のあるこの区画にするわ。ガーデンバードの区画は使わないわ。あと追加で雇うのは15万人。マンパワーは必要不可欠だわ」
「うーん。そうだな。病気になった時に元気な奴だけ移さないといけないし…隔離するにも場所は必要だし、人もやっぱり必要か」
「そういう事。じゃぁこれで決まりね」
「待った。まだあるんだ…」
「何があるの?」
サーディスはそっと束になった書類をルビーに差し出した。
受け取って捲ってみるとそれは養鶏場で働く従業員からの要望書で「学校を作って欲しい」「金融商会を誘致して欲しい」「商店の営業を許可して欲しい」というもの。
「これは…難しいわね」
パラパラと要望書を捲り、文字に目を走らせるルビーだったがどれも叶えてあげたくても難しい物ばかり。
当初から国や経済界に要望は出していた。
社宅に住む人間の数は従業員の家族も含まれるので40万人を超えている。王都の人口ほどではないけれど1つの都市と言ってもいい人数。
なので、ルビーとサーディスはコハマ侯爵にも口利きを頼んで王家に願い出たのだ。
簡易でもいいので学校に医院、そして商店も敷地内に専用の場所を設けたいと。
そのどれもが却下されたのである。
唯一許可されたのが従業員の食事を提供する食堂だが一般客の利用は不可と通達が来た。それでも食い下がり昼間の間だけなら家族の利用も可能とした。つまり朝食と夕食も提供出来るのは従業員のみ。従業員の家族は認めて貰えなかった。
従業員たちは運送商会が1時間に2本運行している荷馬車に相乗りして王都まで買い出しに行かねばならなかった。その不便を解消しようとしたのが、人間の食べる肉や野菜などの食料品を扱う商会が反対をしたのである。
こちらに店舗を出してもらうと店舗の賃料と食料品の運送費が上乗せになるので従業員が買おうとすると高くなる。王都は流通が整っているので買い出しに行った方が安いのだ。
学校は講師、医院は医師。
どちらも人手不足なのでルビーたちの街ともいえる場所に連れて行かれると困る。
「もぅ!本当に王家ってクズ!大っ嫌い」
「そうは言っても腐っても王家だからね。商会も売り上げが減るのは嫌だし賃料も払いたくない。運送費だってこっち持ちなら考えてやっても良いと言ってきた」
「もう話をしたの?ホント…私の所に話を持ってくる前に外堀を埋めるのやめなさいって」
サーディスはルビーに負担をかけたくないだけなのだが、こればかりはどうにも上手く行かずお手上げだった。
こちらの事業のうまい汁は吸いたいけれど、自分たちの利益は確保したいし削りたくない。
事業を始めるにあたって引き込んだ重鎮の凝り固まった考えは崩せなかった。
「ねぇ…ガーデンバードと同じで育ててみたらどうかしら」
「育てる?」
「人が足らないんでしょう?ならここで育成すれば?現在の従業員は7万人。そこに倍以上の15万人を受け入れたら家族の人数が足されて約100万人になるわ。これだけの人数がいるのよ?適性のある人だっている筈よ。いえ、いない方がおかしいわ」
「そうだな。いないなら育てればいい。確かにそうだな。だが問題がある」
「どんな問題?」
「医療など専門分野になるとただ学んだだけではだめだ。専門の知識を身につけていると認可してもらって許可証が必要になる。それに国が現在学んだと認めるのは学問所と一部の認可講師に教えてもらった場合だけ。反対をされているんだから講師がこちらに来てくれるとは思えない」
「あら、そんなこと。なら簡単よ」
ルビーは「よいしょ」と掛け声をかけて立ち上がる。お腹が大きいので立つにも一苦労だ。
「先ずはここで選抜をするの。行ってみれば私学ね。成績優秀な物は商会から周辺国に留学させてそこで資格を取ってもらうの。可哀想だけど資格を取って貰ったら授業料や留学中の滞在費用なんかを2,3年ここで務めて貰うことで相殺。勿論その間の給料は払うわ。相殺するのは2,3年間の技術提供だけ。どうかしら?」
「その後、出て行かれるのは痛いが…仕方ないか」
「出て行きたくない、ここに住みたいと思える環境にすればいいのよ」
サーディスはこめかみがヒクヒクと引き攣る。
ルビーの中ではサーディスが借金王に返り咲くのはもう決定のようで、楽しそうに周辺地図をテーブルに広げるルビーを見ていると「腹を括るしかないか」と呟いた。
「そうだなぁ…総売り上げの3%なら2万人雇ってもいいんだけど住む場所がネックだな」
「そこよねぇ…。社宅も現在満室だし王都にも借り上げ社宅でも足らないし…もう一度借金王になる?」
「まさか!子供だってもうすぐ生まれるんだぞ?」
「そうよねぇ」
ルビーは大きくなったお腹を撫でるがお腹を撫でても解決策は出ない。
しかし、「行けるんじゃないの?」とルビーがサーディスをじぃぃっと見る。
――試されているのか?俺は?!――
このままではルビーが「私が借りる」と言い出しかねない。
サーディスは「負けたよ」とやれやれ、手を軽く上げた。
「生産量を4倍にしよう。雇う人間も10万人増やす。これで税率15%カットで1区画当たりの羽数を減らしても収益は上がる。但し…社宅の建設も必要だから放し飼いの区画で使わない箇所は建設地にあてる。これでどうかな」
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「うーん。そうだな。病気になった時に元気な奴だけ移さないといけないし…隔離するにも場所は必要だし、人もやっぱり必要か」
「そういう事。じゃぁこれで決まりね」
「待った。まだあるんだ…」
「何があるの?」
サーディスはそっと束になった書類をルビーに差し出した。
受け取って捲ってみるとそれは養鶏場で働く従業員からの要望書で「学校を作って欲しい」「金融商会を誘致して欲しい」「商店の営業を許可して欲しい」というもの。
「これは…難しいわね」
パラパラと要望書を捲り、文字に目を走らせるルビーだったがどれも叶えてあげたくても難しい物ばかり。
当初から国や経済界に要望は出していた。
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なので、ルビーとサーディスはコハマ侯爵にも口利きを頼んで王家に願い出たのだ。
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「もぅ!本当に王家ってクズ!大っ嫌い」
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サーディスはルビーに負担をかけたくないだけなのだが、こればかりはどうにも上手く行かずお手上げだった。
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「そうだな。いないなら育てればいい。確かにそうだな。だが問題がある」
「どんな問題?」
「医療など専門分野になるとただ学んだだけではだめだ。専門の知識を身につけていると認可してもらって許可証が必要になる。それに国が現在学んだと認めるのは学問所と一部の認可講師に教えてもらった場合だけ。反対をされているんだから講師がこちらに来てくれるとは思えない」
「あら、そんなこと。なら簡単よ」
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「その後、出て行かれるのは痛いが…仕方ないか」
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サーディスはこめかみがヒクヒクと引き攣る。
ルビーの中ではサーディスが借金王に返り咲くのはもう決定のようで、楽しそうに周辺地図をテーブルに広げるルビーを見ていると「腹を括るしかないか」と呟いた。
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