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第29話 心配の方向性が違った
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「え?嫌ですけど?」
ルビーの拒否はこの場にいる使用人も含めて全員が驚いた。
「どうして。こんな危険な女と一緒なんて危なすぎる」
「危なくないです。私、2度目は容赦しませんのでご本人様を肉塊にしますよ?それにですね。今からコハマ家に戻るって部屋があります?私が使ってた部屋は書類の置き場所がないからサーディスさんが物置にしてるでしょう?それに引っ越すってやっとこの書類の山!項目ごとに整理したんですよ?またその作業をしろと?運ぶだけで費用がどれだけかかると思ってるんです?無駄に丸秘なんて赤字で書いてるからお値段跳ねあがるんですよ?社屋が完成してればいざ知らず…無駄な引っ越しは出来ませんっ」
フンフンとルビーは鼻息を荒くする。
心配をしているのは全く次元の違う事でルビーはエクセのことなど本気でどうでもよく、まるで関心がなかった。
――あ~もう。堪らないな。可愛すぎっ――
サーディスは「仕方ない」とコハマ侯爵家に戻る案は撤回すると口にした。
しかし、そのままで終わるはずがない。
「なら、私もここで寝泊まりをすることにしよう」
「はぁぁーっ?!寝る場所ないですよ?さっきも言ったでしょう?書類は動かされると困るんです。寝台は私とナナが使ってるし!」
「ソファがある。それに床でも寝られるよ。心配するな」
「しますって!いい加減借金王って言われているのに、今度は寝違いで首が回らなくなったらどうするんです!!」
「ルビーに心配されるなんて光栄だ。決まりだな。今日からここで生活をするよ」
「嫌だぁ!!帰ってください!私とナナの憩いの場を奪わないで!」
そのナナはというとエルヴィーがしっかりと何から守ろうというのか。
盾になってるので放心したままだった。
サーディスの滞在についてはルビーがむくれているがルワード公爵は先にエクセの件を片付けようとエクセに向かって言葉をかけた。
「解った。ルビーに免じてエクセ、お前は2階でその女と住めばいい。食事も運んでやる。2階から他の階に移動することは許さない。いいな?」
「そんな!父上。あんまりです。この女は僕を騙していたんですよ?」
「子供の件なら結婚をする前に伝えていた。信じなかったお前の落ち度だ。ルビーの言う通りもう引き返す事は出来ないんだ。自由になりたければその女と男児をもうければいい。少なくとも責任の1つは果たした事になる」
「嫌です!父上はきっとその子を後継ぎにするんでしょう?僕を捨てるんでしょう?」
「今更判り切った事を言うな。籍を失い平民になって暮らす気概もないヘタレが我だけを押し通すな。お前が平民になるというのなら親戚筋から養子を迎えることも出来た。王家を巻き込んだ今となってはそれも叶わん」
「僕は種馬じゃない!!」
「貴族なんてそんなものだ。嫌なら貴族をやめるか、その女と手を切るかすれば良かっただけだ。誰か、コイツとその女を2階へ。食事を運ぶ以外何もしなくていい。子作りで忙しいだろうから邪魔をしてやるな」
ルワード公爵としてはルビーが魔法を使用する場を見られなかったのは口惜しいところだが、柄しか残っていない鉈。庭師がばっさばっさと枝を落としていたあの鈍く光る刃が鉄の塊になっているのを見て全身の毛穴から血液が噴き出すんじゃないかと思うほどに感動した。
――これほどの魔法使い。絶対に欲しい――
サーディスはルワード公爵家で寝泊まりをするというが暇な男ではないので四六時中ルビーの傍に居る訳ではないからどうにでもなる。
幸いにもエクセは今までとは真逆。
コリンナを嫌っていてこの調子では閉じ込めたところで子供が出来る行為も嫌がるだろう。
――子供は永遠に出来なくていいんだよ。エクセ――
子供が出来なければルビーを手放す必要もない。
ルワード公爵もまた心配をする事柄が違った。
実の息子とは言え、エクセなどどうでもいい。
魔法使いのルビーが王家に取られずに手元にいる。
これだけで機さえ見誤る事がなれば国を手に入れる事も出来るかも知れないと思うと野心が疼く。
――ルビーが手に入る。最大の功績はエクセだな――
エクセが馬鹿な事をしなければルビーと言う原石はずっと埋もれていたままその生涯を終えたはず。ルワード公爵だって存在を知る事もなかった。
――今夜は一番いいワインを開ける事にしよう――
ルワード公爵はほくそ笑んだ。
ルビーの拒否はこの場にいる使用人も含めて全員が驚いた。
「どうして。こんな危険な女と一緒なんて危なすぎる」
「危なくないです。私、2度目は容赦しませんのでご本人様を肉塊にしますよ?それにですね。今からコハマ家に戻るって部屋があります?私が使ってた部屋は書類の置き場所がないからサーディスさんが物置にしてるでしょう?それに引っ越すってやっとこの書類の山!項目ごとに整理したんですよ?またその作業をしろと?運ぶだけで費用がどれだけかかると思ってるんです?無駄に丸秘なんて赤字で書いてるからお値段跳ねあがるんですよ?社屋が完成してればいざ知らず…無駄な引っ越しは出来ませんっ」
フンフンとルビーは鼻息を荒くする。
心配をしているのは全く次元の違う事でルビーはエクセのことなど本気でどうでもよく、まるで関心がなかった。
――あ~もう。堪らないな。可愛すぎっ――
サーディスは「仕方ない」とコハマ侯爵家に戻る案は撤回すると口にした。
しかし、そのままで終わるはずがない。
「なら、私もここで寝泊まりをすることにしよう」
「はぁぁーっ?!寝る場所ないですよ?さっきも言ったでしょう?書類は動かされると困るんです。寝台は私とナナが使ってるし!」
「ソファがある。それに床でも寝られるよ。心配するな」
「しますって!いい加減借金王って言われているのに、今度は寝違いで首が回らなくなったらどうするんです!!」
「ルビーに心配されるなんて光栄だ。決まりだな。今日からここで生活をするよ」
「嫌だぁ!!帰ってください!私とナナの憩いの場を奪わないで!」
そのナナはというとエルヴィーがしっかりと何から守ろうというのか。
盾になってるので放心したままだった。
サーディスの滞在についてはルビーがむくれているがルワード公爵は先にエクセの件を片付けようとエクセに向かって言葉をかけた。
「解った。ルビーに免じてエクセ、お前は2階でその女と住めばいい。食事も運んでやる。2階から他の階に移動することは許さない。いいな?」
「そんな!父上。あんまりです。この女は僕を騙していたんですよ?」
「子供の件なら結婚をする前に伝えていた。信じなかったお前の落ち度だ。ルビーの言う通りもう引き返す事は出来ないんだ。自由になりたければその女と男児をもうければいい。少なくとも責任の1つは果たした事になる」
「嫌です!父上はきっとその子を後継ぎにするんでしょう?僕を捨てるんでしょう?」
「今更判り切った事を言うな。籍を失い平民になって暮らす気概もないヘタレが我だけを押し通すな。お前が平民になるというのなら親戚筋から養子を迎えることも出来た。王家を巻き込んだ今となってはそれも叶わん」
「僕は種馬じゃない!!」
「貴族なんてそんなものだ。嫌なら貴族をやめるか、その女と手を切るかすれば良かっただけだ。誰か、コイツとその女を2階へ。食事を運ぶ以外何もしなくていい。子作りで忙しいだろうから邪魔をしてやるな」
ルワード公爵としてはルビーが魔法を使用する場を見られなかったのは口惜しいところだが、柄しか残っていない鉈。庭師がばっさばっさと枝を落としていたあの鈍く光る刃が鉄の塊になっているのを見て全身の毛穴から血液が噴き出すんじゃないかと思うほどに感動した。
――これほどの魔法使い。絶対に欲しい――
サーディスはルワード公爵家で寝泊まりをするというが暇な男ではないので四六時中ルビーの傍に居る訳ではないからどうにでもなる。
幸いにもエクセは今までとは真逆。
コリンナを嫌っていてこの調子では閉じ込めたところで子供が出来る行為も嫌がるだろう。
――子供は永遠に出来なくていいんだよ。エクセ――
子供が出来なければルビーを手放す必要もない。
ルワード公爵もまた心配をする事柄が違った。
実の息子とは言え、エクセなどどうでもいい。
魔法使いのルビーが王家に取られずに手元にいる。
これだけで機さえ見誤る事がなれば国を手に入れる事も出来るかも知れないと思うと野心が疼く。
――ルビーが手に入る。最大の功績はエクセだな――
エクセが馬鹿な事をしなければルビーと言う原石はずっと埋もれていたままその生涯を終えたはず。ルワード公爵だって存在を知る事もなかった。
――今夜は一番いいワインを開ける事にしよう――
ルワード公爵はほくそ笑んだ。
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