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第35話 半端ない衝撃
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「フンフフーン♪」
鼻歌を歌いながら今日もアイリスは暖炉と友達。
毎日、毎日せっせと燃やし続け、窓から見える雪も1日中太陽の光が当たらない場所にうっすら残るだけとなり春はもうすぐだ。
相変わらずヴァルディスは訪問をしてくるが忙しい様で週に1、2回になったし、3か月は忙しい!と断ったのが良かったのかダリオンからの先触れも届かない。
ヴァルディス以外にやってくるのは庭師のヒノーキオとその妻クレア。
あとは時々オスカーが「妻が持って行けと言うので」とパイなどを差し入れしてくれる。パイの他には避けて通れない建国祭と生誕祭の招待状もあった。
3週間前には連絡を。その約束もあるし建国祭と生誕祭は元々の契約にもあった事なので断る理由がない。むしろ断る方が契約違反になってしまうので夜会の2回については現地集合、現地解散だが承諾の返事を出した。
「そろそろ残りの本は1回で運べるかな」
紐で縛った本はざっと500冊。別棟に残っている本はもう本として売れる状態ではないし、ネズミが齧ったり、糞だらけで古紙にも出来ないものばかり。
婚約中に聞いた先代侯爵の本棚もやっとお目にかかれたけれど、経年劣化と本の重みで棚板も腐ってしまっていて上部が空洞。全部が下部に積み重なっていた。
部屋の隅に詰まれた200冊ほどはこれから調理をする際の薪替わり。
別棟は空間の多い家に生まれ変わっていた。
「よし!今日でジャスト6か月。あと半年かぁ。長いなぁ」
そうは思うが、せっせと本を燃やし灰にして麻袋に詰めたその売り上げは16万キャス。
「ちりも積もればと言うけど、灰も詰めればって感じね」
その他に古書店や古紙の買い取りで食材や消耗品を買ったけれど、残っているのが110万キャス。
最後の荷物になる500冊の本は春になると冬の間に家の中を片付ける人も多いので相場が値崩れをしているため5万キャスになれば御の字。
半年をかなり贅沢に暮らせそう…と思いきやここからいよいよ社交シーズンの幕開けでもあるのでドレスのレンタル代、宝飾品のレンタル代も込みで2回で73万キャスを払わねばならない。
レンタルとは言え、汚してしまったら返却時にはクリーニング代も別途になるので細心の注意をせねばならない。
だが、買うとなれば既製品でも宝飾品抜きで300万は下らないし、テーラーメイドなんて夢のまた夢。
「ホント。世の中お金がないと生きていけない世界もあるのね。侯爵家って大変だわ。領地から吸い上げる税率も高いはずよね」
「申し訳ないな。通達はしているんだが」
――また来たよ!!――
突然聞こえる声の主はヴァルディス。
だが、今日はいつもとは少し様子が違っていた。すぐ後ろに大柄な男性がいたのだ。
――あれ?この人の目元って…どこかで見た気がするんだけど――
誰だったか。考えたアイリスだがここは誰の家だと思っているのかヴァルディスが「ドクダミ茶でいいか?」と男性に問う。
「はい」
短く返した返事。その声に聞き覚えがあった。
「あーっ!まさかと思いますが…間者さん??」
「今は護衛騎士のドレイクです。お見知りおきを」
「見知る!見知るぅ!!ドレイクさん?ドレイクさんってお名前だったんですね?」
「えぇ。今は、ですが」
「え‥‥」
「すまないな。こういう仕事をしてくれている彼らは本名を名乗ってはいけないんだ。だからドレイクが呼びにくかったら別の名前を考えるが」
――すん…本名すら知る事が出来ないのね――
ガッカリしたアイリスを励まそうとしたのかヴァルディスが余計な情報を教えてくれた。
「46歳なんだが男前だろう?息子も孫もかなりの美丈夫だ。3代揃って美丈夫なんてなぁ」
「それ…ガチネタ?ガセネタ?」
「これは本当だよ。奥さんは今は引退したが母上の間者だったんだ」
「ぁぅぁぅ…(終わった。恋が終わった)」
無いとは思ったよ?思ったけどまさか子供…しかも孫までいるなんて!
アイリスの受けた衝撃は半端ない。
しかしどうしてヴァルディスの間者が顔見せを?リカバリーを果たしたアイリスに小さな疑問が浮かぶ。
「残りあと半年だろう?これから交代でここに護衛を置くことにしたよ」
「したよ?!したよ?!あのですね?どうして住んでいる私に断りも相談も無くそういう事を決めちゃいますかね?おかしくないですか?」
「まぁまぁ。言いたいことは判るよ。でもちょっと不味いことになってね」
「不味いこと?何がですか?」
ヴァルディスは観念した様に胸ポケットから折りたたんだ紙を1枚とり、半折りのままアイリスに差し出した。
鼻歌を歌いながら今日もアイリスは暖炉と友達。
毎日、毎日せっせと燃やし続け、窓から見える雪も1日中太陽の光が当たらない場所にうっすら残るだけとなり春はもうすぐだ。
相変わらずヴァルディスは訪問をしてくるが忙しい様で週に1、2回になったし、3か月は忙しい!と断ったのが良かったのかダリオンからの先触れも届かない。
ヴァルディス以外にやってくるのは庭師のヒノーキオとその妻クレア。
あとは時々オスカーが「妻が持って行けと言うので」とパイなどを差し入れしてくれる。パイの他には避けて通れない建国祭と生誕祭の招待状もあった。
3週間前には連絡を。その約束もあるし建国祭と生誕祭は元々の契約にもあった事なので断る理由がない。むしろ断る方が契約違反になってしまうので夜会の2回については現地集合、現地解散だが承諾の返事を出した。
「そろそろ残りの本は1回で運べるかな」
紐で縛った本はざっと500冊。別棟に残っている本はもう本として売れる状態ではないし、ネズミが齧ったり、糞だらけで古紙にも出来ないものばかり。
婚約中に聞いた先代侯爵の本棚もやっとお目にかかれたけれど、経年劣化と本の重みで棚板も腐ってしまっていて上部が空洞。全部が下部に積み重なっていた。
部屋の隅に詰まれた200冊ほどはこれから調理をする際の薪替わり。
別棟は空間の多い家に生まれ変わっていた。
「よし!今日でジャスト6か月。あと半年かぁ。長いなぁ」
そうは思うが、せっせと本を燃やし灰にして麻袋に詰めたその売り上げは16万キャス。
「ちりも積もればと言うけど、灰も詰めればって感じね」
その他に古書店や古紙の買い取りで食材や消耗品を買ったけれど、残っているのが110万キャス。
最後の荷物になる500冊の本は春になると冬の間に家の中を片付ける人も多いので相場が値崩れをしているため5万キャスになれば御の字。
半年をかなり贅沢に暮らせそう…と思いきやここからいよいよ社交シーズンの幕開けでもあるのでドレスのレンタル代、宝飾品のレンタル代も込みで2回で73万キャスを払わねばならない。
レンタルとは言え、汚してしまったら返却時にはクリーニング代も別途になるので細心の注意をせねばならない。
だが、買うとなれば既製品でも宝飾品抜きで300万は下らないし、テーラーメイドなんて夢のまた夢。
「ホント。世の中お金がないと生きていけない世界もあるのね。侯爵家って大変だわ。領地から吸い上げる税率も高いはずよね」
「申し訳ないな。通達はしているんだが」
――また来たよ!!――
突然聞こえる声の主はヴァルディス。
だが、今日はいつもとは少し様子が違っていた。すぐ後ろに大柄な男性がいたのだ。
――あれ?この人の目元って…どこかで見た気がするんだけど――
誰だったか。考えたアイリスだがここは誰の家だと思っているのかヴァルディスが「ドクダミ茶でいいか?」と男性に問う。
「はい」
短く返した返事。その声に聞き覚えがあった。
「あーっ!まさかと思いますが…間者さん??」
「今は護衛騎士のドレイクです。お見知りおきを」
「見知る!見知るぅ!!ドレイクさん?ドレイクさんってお名前だったんですね?」
「えぇ。今は、ですが」
「え‥‥」
「すまないな。こういう仕事をしてくれている彼らは本名を名乗ってはいけないんだ。だからドレイクが呼びにくかったら別の名前を考えるが」
――すん…本名すら知る事が出来ないのね――
ガッカリしたアイリスを励まそうとしたのかヴァルディスが余計な情報を教えてくれた。
「46歳なんだが男前だろう?息子も孫もかなりの美丈夫だ。3代揃って美丈夫なんてなぁ」
「それ…ガチネタ?ガセネタ?」
「これは本当だよ。奥さんは今は引退したが母上の間者だったんだ」
「ぁぅぁぅ…(終わった。恋が終わった)」
無いとは思ったよ?思ったけどまさか子供…しかも孫までいるなんて!
アイリスの受けた衝撃は半端ない。
しかしどうしてヴァルディスの間者が顔見せを?リカバリーを果たしたアイリスに小さな疑問が浮かぶ。
「残りあと半年だろう?これから交代でここに護衛を置くことにしたよ」
「したよ?!したよ?!あのですね?どうして住んでいる私に断りも相談も無くそういう事を決めちゃいますかね?おかしくないですか?」
「まぁまぁ。言いたいことは判るよ。でもちょっと不味いことになってね」
「不味いこと?何がですか?」
ヴァルディスは観念した様に胸ポケットから折りたたんだ紙を1枚とり、半折りのままアイリスに差し出した。
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