あなたには愛、私には夢があります

cyaru

文字の大きさ
28 / 55

第28話  主導権を握れ!

しおりを挟む
「ダリオン様」

「なんだろう」

「当初のお話では一切干渉しない。そういうお約束で御座いましたよね」

「そうだが…みなお―――」

「それでですね!」

言わせてなるものか。
主導権を握るのは私よ!アイリスは早口で捲し立てた。

「一緒に行動を共にするのは年に2回。建国祭と陛下の生誕祭。その時には会場で他家の方にご挨拶をするのは標準プランとしてですね、ダンスと言うのは任意です。踊らなきゃ!と思っている方も多いのですが必須ではありません。と、いう事はオプションです」

「オプション…」

「そういう細かい取り決めをしておりませんでしたよね。わざわざ来て頂いて感謝ですわ。そうですよね。今年の社交の幕開け、建国祭まであと3か月を切っておりますもの」

「確かに建国祭まではあと3―――」

「それでですね。私としては入場、これは仕方ないので行いますがダンスは不要と考えます。ダリオン様がどうしても踊りたいと仰るのであれば1曲あたり幾らでも構いませんが曲によっては1分30秒もあれば5分28秒というものも御座います。秒単位よりは最初の1分は基本料金、10秒ごとに加算のイエローキャ馬車風にしてみてはいかがでしょう」

「あ、うん。それでいいけど…それでだな――」

「はい。了解です。では基本料金1分まではそうですね3500キャスにしましょう。端数の秒は四捨五入で追加は10秒ごとに350キャス?キリ良く500キャス?」

「ご、500で」

「はい。承知しました。で、税込みにします?税抜き?」

「ぜ、税込みで」

「税込みですか…103万キャスの壁を超えると計算がややこしそうですわね。ですがご安心を!私、嫁ぐ前は幾つかの商会で経理補佐の経験が御座いますので計算は苦手ですが得意です。ご自身の分はご自身で申告してくださいね。私、税理士、会計士の資格は持っていないので他人の分まで面倒は見れません」


アイリスの早口で捲し立てる口調にダリオンは短い答えだけを返す以外の言葉はブチ!と遮られてしまう。
さらにアイリスは畳みかけて来た。

「では夜会の時の料金はこちらで。念のためにサインを頂きますが、他にもあるのでこの際決めてしまいましょう」

「他に?」

「はい。基本的には私は壊れた橋を越えて本宅には向かわない事にしております。王太子殿下の着替えの件で1度お邪魔しましたが、王族の方に何かあってはいけませんし、侯爵夫人に許可を頂きましたのでノーカウント。今回約束もなしにダリオン様はここに来ていらっしゃいますが、取り決めに関してですのでノーカウントとします。過日何やら姿を見た気がしますが、散歩中のニアミスとしてノーカウントと致しましょう」

「あ、あぁ。それで…いいよ」

「ご理解頂けて何よりですわ。今後は私が本宅、ダリオン様が別棟に行く場合は尋ねる3週間前に一報を入れる。破られた場合はお互いのプライバシーも御座いますし罰金は10万キャスに致しましょう」

「じゅ、10万キャス?不測の事態があったらどうするんだ?」

「不測の事態?ありませんよ。顔を合わせるのは2回、建国祭と生誕祭のみです。あとは何があろうと自己責任。侯爵家の敷地内ですから防犯に問題があれば責を問われるは侯爵様。3か月も顔を合わせずとも何の問題も御座いません。新居も新製品も使い始めて2、3か月で不具合に気付くものですからその期間は問題が無かった。と、いう事は!」

「と、いう事は?」

「この先も問題ないってことです。宜しいですね?はい、サインお願いします」

「いいんだが、レスカとは―――」

「サイン!お願いします!」


ダリオンは「はいっ!」差し出されるメモ帳とペンを手に取りサインをした。

複写式になっていたのか、1枚をアイリスがピリリと破るとダリオンに手渡す。


「はい!無事に話し合い終了~。良かったですわ。これで心置きなくあと9か月!お互いが過ごせますね。お帰りはあちらです」


アイリスは玄関を手で示した。

「あ。あの…」

「お帰りは、あ・ち・ら。デッス!」

「今日は…帰るよ」

「はい、お気をつけて。次回訪問をされるのでしたら3週間前にご連絡を。その際に会えるかどうかの返事を致しますね」


アイリスのスットボケ大作戦早口Verは無事に成功した。
玄関扉を閉じた後、アイリスがテーブルをゴゴゴゴ…引っ張って開かないようにしたのは言うまでもない。
しおりを挟む
感想 69

あなたにおすすめの小説

白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

公爵令嬢は結婚式当日に死んだ

白雲八鈴
恋愛
 今日はとある公爵令嬢の結婚式だ。幸せいっぱいの公爵令嬢の前に婚約者のレイモンドが現れる。 「今日の結婚式は俺と番であるナタリーの結婚式に変更だ!そのドレスをナタリーに渡せ!」  突然のことに公爵令嬢は何を言われたのか理解できなかった。いや、したくなかった。 婚約者のレイモンドは番という運命に出逢ってしまったという。  そして、真っ白な花嫁衣装を脱がされ、そのドレスは番だという女性に着させられる。周りの者達はめでたいと大喜びだ。  その場所に居ることが出来ず公爵令嬢は外に飛び出し……  生まれ変わった令嬢は復讐を誓ったのだった。  婚約者とその番という女性に 『一発ぐらい思いっきり殴ってもいいですわね?』 そして、つがいという者に囚われた者の存在が現れる。 *タグ注意 *不快であれば閉じてください。

旦那様。私が悪女ならば、愛人の女は何になるのかしら?

白雲八鈴
恋愛
 我が公爵家主催の夜会の最中。夫が愛人を連れてやってきたのです。そして、私を悪女という理由で離縁を突きつけてきました。  離縁して欲しいというのであれば、今まで支援してきた金額を全額返済していただけません?  あら?愛人の貴女が支払ってくれると?お優しいわね。  私が悪女というのであれば、妻のいる夫の愛人に収まっている貴女は何なのかしら?

処理中です...