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第28話 主導権を握れ!
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「ダリオン様」
「なんだろう」
「当初のお話では一切干渉しない。そういうお約束で御座いましたよね」
「そうだが…みなお―――」
「それでですね!」
言わせてなるものか。
主導権を握るのは私よ!アイリスは早口で捲し立てた。
「一緒に行動を共にするのは年に2回。建国祭と陛下の生誕祭。その時には会場で他家の方にご挨拶をするのは標準プランとしてですね、ダンスと言うのは任意です。踊らなきゃ!と思っている方も多いのですが必須ではありません。と、いう事はオプションです」
「オプション…」
「そういう細かい取り決めをしておりませんでしたよね。わざわざ来て頂いて感謝ですわ。そうですよね。今年の社交の幕開け、建国祭まであと3か月を切っておりますもの」
「確かに建国祭まではあと3―――」
「それでですね。私としては入場、これは仕方ないので行いますがダンスは不要と考えます。ダリオン様がどうしても踊りたいと仰るのであれば1曲あたり幾らでも構いませんが曲によっては1分30秒もあれば5分28秒というものも御座います。秒単位よりは最初の1分は基本料金、10秒ごとに加算のイエローキャ馬車風にしてみてはいかがでしょう」
「あ、うん。それでいいけど…それでだな――」
「はい。了解です。では基本料金1分まではそうですね3500キャスにしましょう。端数の秒は四捨五入で追加は10秒ごとに350キャス?キリ良く500キャス?」
「ご、500で」
「はい。承知しました。で、税込みにします?税抜き?」
「ぜ、税込みで」
「税込みですか…103万キャスの壁を超えると計算がややこしそうですわね。ですがご安心を!私、嫁ぐ前は幾つかの商会で経理補佐の経験が御座いますので計算は苦手ですが得意です。ご自身の分はご自身で申告してくださいね。私、税理士、会計士の資格は持っていないので他人の分まで面倒は見れません」
アイリスの早口で捲し立てる口調にダリオンは短い答えだけを返す以外の言葉はブチ!と遮られてしまう。
さらにアイリスは畳みかけて来た。
「では夜会の時の料金はこちらで。念のためにサインを頂きますが、他にもあるのでこの際決めてしまいましょう」
「他に?」
「はい。基本的には私は壊れた橋を越えて本宅には向かわない事にしております。王太子殿下の着替えの件で1度お邪魔しましたが、王族の方に何かあってはいけませんし、侯爵夫人に許可を頂きましたのでノーカウント。今回約束もなしにダリオン様はここに来ていらっしゃいますが、取り決めに関してですのでノーカウントとします。過日何やら姿を見た気がしますが、散歩中のニアミスとしてノーカウントと致しましょう」
「あ、あぁ。それで…いいよ」
「ご理解頂けて何よりですわ。今後は私が本宅、ダリオン様が別棟に行く場合は尋ねる3週間前に一報を入れる。破られた場合はお互いのプライバシーも御座いますし罰金は10万キャスに致しましょう」
「じゅ、10万キャス?不測の事態があったらどうするんだ?」
「不測の事態?ありませんよ。顔を合わせるのは2回、建国祭と生誕祭のみです。あとは何があろうと自己責任。侯爵家の敷地内ですから防犯に問題があれば責を問われるは侯爵様。3か月も顔を合わせずとも何の問題も御座いません。新居も新製品も使い始めて2、3か月で不具合に気付くものですからその期間は問題が無かった。と、いう事は!」
「と、いう事は?」
「この先も問題ないってことです。宜しいですね?はい、サインお願いします」
「いいんだが、レスカとは―――」
「サイン!お願いします!」
ダリオンは「はいっ!」差し出されるメモ帳とペンを手に取りサインをした。
複写式になっていたのか、1枚をアイリスがピリリと破るとダリオンに手渡す。
「はい!無事に話し合い終了~。良かったですわ。これで心置きなくあと9か月!お互いが過ごせますね。お帰りはあちらです」
アイリスは玄関を手で示した。
「あ。あの…」
「お帰りは、あ・ち・ら。デッス!」
「今日は…帰るよ」
「はい、お気をつけて。次回訪問をされるのでしたら3週間前にご連絡を。その際に会えるかどうかの返事を致しますね」
アイリスのスットボケ大作戦早口Verは無事に成功した。
玄関扉を閉じた後、アイリスがテーブルをゴゴゴゴ…引っ張って開かないようにしたのは言うまでもない。
「なんだろう」
「当初のお話では一切干渉しない。そういうお約束で御座いましたよね」
「そうだが…みなお―――」
「それでですね!」
言わせてなるものか。
主導権を握るのは私よ!アイリスは早口で捲し立てた。
「一緒に行動を共にするのは年に2回。建国祭と陛下の生誕祭。その時には会場で他家の方にご挨拶をするのは標準プランとしてですね、ダンスと言うのは任意です。踊らなきゃ!と思っている方も多いのですが必須ではありません。と、いう事はオプションです」
「オプション…」
「そういう細かい取り決めをしておりませんでしたよね。わざわざ来て頂いて感謝ですわ。そうですよね。今年の社交の幕開け、建国祭まであと3か月を切っておりますもの」
「確かに建国祭まではあと3―――」
「それでですね。私としては入場、これは仕方ないので行いますがダンスは不要と考えます。ダリオン様がどうしても踊りたいと仰るのであれば1曲あたり幾らでも構いませんが曲によっては1分30秒もあれば5分28秒というものも御座います。秒単位よりは最初の1分は基本料金、10秒ごとに加算のイエローキャ馬車風にしてみてはいかがでしょう」
「あ、うん。それでいいけど…それでだな――」
「はい。了解です。では基本料金1分まではそうですね3500キャスにしましょう。端数の秒は四捨五入で追加は10秒ごとに350キャス?キリ良く500キャス?」
「ご、500で」
「はい。承知しました。で、税込みにします?税抜き?」
「ぜ、税込みで」
「税込みですか…103万キャスの壁を超えると計算がややこしそうですわね。ですがご安心を!私、嫁ぐ前は幾つかの商会で経理補佐の経験が御座いますので計算は苦手ですが得意です。ご自身の分はご自身で申告してくださいね。私、税理士、会計士の資格は持っていないので他人の分まで面倒は見れません」
アイリスの早口で捲し立てる口調にダリオンは短い答えだけを返す以外の言葉はブチ!と遮られてしまう。
さらにアイリスは畳みかけて来た。
「では夜会の時の料金はこちらで。念のためにサインを頂きますが、他にもあるのでこの際決めてしまいましょう」
「他に?」
「はい。基本的には私は壊れた橋を越えて本宅には向かわない事にしております。王太子殿下の着替えの件で1度お邪魔しましたが、王族の方に何かあってはいけませんし、侯爵夫人に許可を頂きましたのでノーカウント。今回約束もなしにダリオン様はここに来ていらっしゃいますが、取り決めに関してですのでノーカウントとします。過日何やら姿を見た気がしますが、散歩中のニアミスとしてノーカウントと致しましょう」
「あ、あぁ。それで…いいよ」
「ご理解頂けて何よりですわ。今後は私が本宅、ダリオン様が別棟に行く場合は尋ねる3週間前に一報を入れる。破られた場合はお互いのプライバシーも御座いますし罰金は10万キャスに致しましょう」
「じゅ、10万キャス?不測の事態があったらどうするんだ?」
「不測の事態?ありませんよ。顔を合わせるのは2回、建国祭と生誕祭のみです。あとは何があろうと自己責任。侯爵家の敷地内ですから防犯に問題があれば責を問われるは侯爵様。3か月も顔を合わせずとも何の問題も御座いません。新居も新製品も使い始めて2、3か月で不具合に気付くものですからその期間は問題が無かった。と、いう事は!」
「と、いう事は?」
「この先も問題ないってことです。宜しいですね?はい、サインお願いします」
「いいんだが、レスカとは―――」
「サイン!お願いします!」
ダリオンは「はいっ!」差し出されるメモ帳とペンを手に取りサインをした。
複写式になっていたのか、1枚をアイリスがピリリと破るとダリオンに手渡す。
「はい!無事に話し合い終了~。良かったですわ。これで心置きなくあと9か月!お互いが過ごせますね。お帰りはあちらです」
アイリスは玄関を手で示した。
「あ。あの…」
「お帰りは、あ・ち・ら。デッス!」
「今日は…帰るよ」
「はい、お気をつけて。次回訪問をされるのでしたら3週間前にご連絡を。その際に会えるかどうかの返事を致しますね」
アイリスのスットボケ大作戦早口Verは無事に成功した。
玄関扉を閉じた後、アイリスがテーブルをゴゴゴゴ…引っ張って開かないようにしたのは言うまでもない。
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