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道理を引かせた日
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ワイワイと騒ぐ民衆を前にトーティシェルは声を張り上げた。
「皆さまっ!賛同くださる方は声と手を挙げてくださいましぃ!」
クルクルと先端が広がる様にケント紙で作ったメガホンを手にすると小さく「テス、テス」と意味のないテストをしてしまうのは何故だろうか。
グッと持ち上げて細まった先端を口に当てると…
「皆さまぁ!お金が欲しいかぁ!!」
え?という反応は仕方がない。だが、誰でもお金は欲しいもの。
あり過ぎるのは色々と問題が起こるが余裕を感じるにはあるに越したことはない。
<< おぉぉぉぉ!! >>
声が返ってくる。うんうんイイ感じとトーティシェルは再度声をあげた。
「仕事が欲しいかぁ!!」
<< おぉぉぉぉ!! >>
「いい家に住みたいかぁ!!」
<< おぉぉぉぉ!! >>
「腹いっぱい食べたいかぁ!!」
<< おぉぉぉぉ!! >>
「NYに行きたいかぁ!!」
<< おぉぉぉぉ!! >>
最後は惰性である。NYへの道のりは厳しい。
〇と×がかかれ間違った方に飛び込めば泥に突っ込む事も在る。
早押し勝負に負ければ被った帽子の頭頂部にビックリマークは立ちあがらない。
「皆さまには今後3か月の間に、マトモな仕事!食事!家!そして労働に見合った賃金が支払われるようにします!そのためには シロアリに食われて泣くよりまず予防!!! 足元に防虫防腐剤を致しましょう!この街はペ・テイグリ国一番の街になるのです!さぁ皆さまでバッサバッサとラドンのように羽ばたくのです!」
「ラドンってなんだ??」
「ご存じありませんの?プテラノドンの突然変異で超音速で飛ぶのです。コンコルドより早く飛べるのですよ?もっともその分、体に受けるGは大きいので鍛えて頂きますけどね」
「空を飛ぶのか?!」
「そうです!気持ちはこの大空を飛ぶのです!リアルで飛ぶと危険なので止めましょうね」
「なんだ‥‥詰まらねぇな」
「何を言っているのです。詰まって困るのは排水溝!ラドンは進化するのです!ポケモンのように進化を遂げるのですよ!熱線を浴びてファイヤーラドンとなりウラニウム熱線を吐くのですっ!決して大仁田様のファイヤー!電流爆破では御座いません事よ。お間違いなきよう」
「進化って…こんなドブとゴミしかないスラムだぜ?無理無理」
「無理と諦めれば全てが無理。ですが道理さえも引かせるのが無理なのです!明日は一斉清掃を致しますわ!工事現場でもよくやっていますでしょう!みんなでキレイにすれば見えなかった問題点が見えるのです!それを第二王子殿下ハインリヒ様が適切かつ!速やかに解決くださいます。いいですね!明日は働きに応じて賃金がでます!」
「本当か?掃除をして銭が貰えるのか?」
「えぇ。ピッカピカのトゥルトゥルにすればね?ご褒美よ」
そこでうーん‥と考えているのは主婦の皆さんである。
掃除をすれば金が貰えるのがおかしいと首を傾げているのだ。
「ねぇお嬢さん、掃除は毎日しているけれど給金なんか貰ったことはないよ?」
「そうよ。商会で伝票整理の仕事なのにお茶係も兼任になってるけど給金ないわよ?」
「判ります。判ります。男性はゴミ箱のゴミすら捨てないから集めるのも女性。お客さんが来たらお茶を出すのも女性。片付けるのも食器を洗うのも女性。あんたの女房でもなけりゃ母親でもねぇよ!って本の角で後頭部を殴りたくなる気持ちもわかりますわ。
ついでに家に帰れば同じように働いてるのに夫は転がって何もしないし、なんなら靴下すら丸まって洗濯カゴに投げたであろう状態で入ってないし、子供が熱を出せば仕事を休むのも女性。なのに旦那は飯はまだかって!!後ろから音を置き去りにした感謝の正拳突きを入れたくなる…判ります」
「いや、ネテ●会長は別格だから!確かに、そう思う事も多いけど」
「そうで御座いましょう?女性がいなければこの世に誕生してないという事実に目を背け、ふんぞり返っているバーコードをラッカースプレーで目立たなくしてやろうとしたら、思った以上にシンナー臭に気分を悪くしてしまった…判りますわ」
「いえ、あの、ホントにそこまでしようなんて…」
「いいえ、若い頃はイキって頭髪に無理をさせるのに、加齢と共に薄くなる毛髪に今更手遅れな怪しいトニックをふりかけるくらいなら、原付の燃料タンクの残りをライターの火で確認させてあげなさいませ!全てが一瞬でチリパーいえ、塵となり眉毛さえも散って行きますわ」
「それはまさか…経験談ではっ?」
「わたくしではありません。伝説を打ち立てたのは知人です。原付は即廃車になりましたがね」
「壮絶な伝説ですわね…」
「大した事御座いません。で、女性が当たり前のようにしている賃金の発生しない労働。これを無償労働と申しますが、一般的に家事分だけを賃金換算すれば月額25万キジ。乳幼児がいる場合24時間となり36協定すら吹っ飛びます。月額で50万キジを超えるでしょう。社内とて同じ。同じ社員でありながら業務外の事をすればそこには賃金が発生します。毎日掃除、ゴミ出し、お茶出し、皿洗いをしていれば月額で3万キジほどになるでしょう。そういう女性格差をわたくしは撤廃いたしますわ。あぁ、好きでやってるのはボランティアですので金銭は発生しませんわよ?」
「では家事労働などについても見直してくれると?」
「そうですね。金銭を支払う事は出来ませんが、配偶者控除、特別配偶者控除の他に独自にレディース給付金を考えておりますわ。申請が必要で適時審査もありますが通れば月額2、3万キジを支給。それは自由に使っていい非課税所得とする予定ですわ。調査をする者なども雇い入れますし、結託して不正を働けば‥‥安●惡斗様が炸裂させるような恥ずかし固めを受けて頂きますわ」
ヒィィっと数歩後ろに下がる民衆たち。
股関節を広げる形に成るため、恥ずかしい格好になる関節技である。
体が柔らかければ恥ずかしいだけで済みそうだが、固ければ足を開脚する時の筋が引っ張られる痛みも加わる。加齢が進めば進むほどに苦痛も味わう恥ずかし固め…これが刑罰になればもうお嫁にいけないだけでなく、お婿にも行けない。
翌日の一斉清掃。何人来るかな?と思いつつ、トーティシェルはやってきた侯爵家の使用人達に急ぎ大量の竹ぼうき、しゅろ帚、モップにブラシ、ゴミを入れる土嚢袋を頼むのだった。
「皆さまっ!賛同くださる方は声と手を挙げてくださいましぃ!」
クルクルと先端が広がる様にケント紙で作ったメガホンを手にすると小さく「テス、テス」と意味のないテストをしてしまうのは何故だろうか。
グッと持ち上げて細まった先端を口に当てると…
「皆さまぁ!お金が欲しいかぁ!!」
え?という反応は仕方がない。だが、誰でもお金は欲しいもの。
あり過ぎるのは色々と問題が起こるが余裕を感じるにはあるに越したことはない。
<< おぉぉぉぉ!! >>
声が返ってくる。うんうんイイ感じとトーティシェルは再度声をあげた。
「仕事が欲しいかぁ!!」
<< おぉぉぉぉ!! >>
「いい家に住みたいかぁ!!」
<< おぉぉぉぉ!! >>
「腹いっぱい食べたいかぁ!!」
<< おぉぉぉぉ!! >>
「NYに行きたいかぁ!!」
<< おぉぉぉぉ!! >>
最後は惰性である。NYへの道のりは厳しい。
〇と×がかかれ間違った方に飛び込めば泥に突っ込む事も在る。
早押し勝負に負ければ被った帽子の頭頂部にビックリマークは立ちあがらない。
「皆さまには今後3か月の間に、マトモな仕事!食事!家!そして労働に見合った賃金が支払われるようにします!そのためには シロアリに食われて泣くよりまず予防!!! 足元に防虫防腐剤を致しましょう!この街はペ・テイグリ国一番の街になるのです!さぁ皆さまでバッサバッサとラドンのように羽ばたくのです!」
「ラドンってなんだ??」
「ご存じありませんの?プテラノドンの突然変異で超音速で飛ぶのです。コンコルドより早く飛べるのですよ?もっともその分、体に受けるGは大きいので鍛えて頂きますけどね」
「空を飛ぶのか?!」
「そうです!気持ちはこの大空を飛ぶのです!リアルで飛ぶと危険なので止めましょうね」
「なんだ‥‥詰まらねぇな」
「何を言っているのです。詰まって困るのは排水溝!ラドンは進化するのです!ポケモンのように進化を遂げるのですよ!熱線を浴びてファイヤーラドンとなりウラニウム熱線を吐くのですっ!決して大仁田様のファイヤー!電流爆破では御座いません事よ。お間違いなきよう」
「進化って…こんなドブとゴミしかないスラムだぜ?無理無理」
「無理と諦めれば全てが無理。ですが道理さえも引かせるのが無理なのです!明日は一斉清掃を致しますわ!工事現場でもよくやっていますでしょう!みんなでキレイにすれば見えなかった問題点が見えるのです!それを第二王子殿下ハインリヒ様が適切かつ!速やかに解決くださいます。いいですね!明日は働きに応じて賃金がでます!」
「本当か?掃除をして銭が貰えるのか?」
「えぇ。ピッカピカのトゥルトゥルにすればね?ご褒美よ」
そこでうーん‥と考えているのは主婦の皆さんである。
掃除をすれば金が貰えるのがおかしいと首を傾げているのだ。
「ねぇお嬢さん、掃除は毎日しているけれど給金なんか貰ったことはないよ?」
「そうよ。商会で伝票整理の仕事なのにお茶係も兼任になってるけど給金ないわよ?」
「判ります。判ります。男性はゴミ箱のゴミすら捨てないから集めるのも女性。お客さんが来たらお茶を出すのも女性。片付けるのも食器を洗うのも女性。あんたの女房でもなけりゃ母親でもねぇよ!って本の角で後頭部を殴りたくなる気持ちもわかりますわ。
ついでに家に帰れば同じように働いてるのに夫は転がって何もしないし、なんなら靴下すら丸まって洗濯カゴに投げたであろう状態で入ってないし、子供が熱を出せば仕事を休むのも女性。なのに旦那は飯はまだかって!!後ろから音を置き去りにした感謝の正拳突きを入れたくなる…判ります」
「いや、ネテ●会長は別格だから!確かに、そう思う事も多いけど」
「そうで御座いましょう?女性がいなければこの世に誕生してないという事実に目を背け、ふんぞり返っているバーコードをラッカースプレーで目立たなくしてやろうとしたら、思った以上にシンナー臭に気分を悪くしてしまった…判りますわ」
「いえ、あの、ホントにそこまでしようなんて…」
「いいえ、若い頃はイキって頭髪に無理をさせるのに、加齢と共に薄くなる毛髪に今更手遅れな怪しいトニックをふりかけるくらいなら、原付の燃料タンクの残りをライターの火で確認させてあげなさいませ!全てが一瞬でチリパーいえ、塵となり眉毛さえも散って行きますわ」
「それはまさか…経験談ではっ?」
「わたくしではありません。伝説を打ち立てたのは知人です。原付は即廃車になりましたがね」
「壮絶な伝説ですわね…」
「大した事御座いません。で、女性が当たり前のようにしている賃金の発生しない労働。これを無償労働と申しますが、一般的に家事分だけを賃金換算すれば月額25万キジ。乳幼児がいる場合24時間となり36協定すら吹っ飛びます。月額で50万キジを超えるでしょう。社内とて同じ。同じ社員でありながら業務外の事をすればそこには賃金が発生します。毎日掃除、ゴミ出し、お茶出し、皿洗いをしていれば月額で3万キジほどになるでしょう。そういう女性格差をわたくしは撤廃いたしますわ。あぁ、好きでやってるのはボランティアですので金銭は発生しませんわよ?」
「では家事労働などについても見直してくれると?」
「そうですね。金銭を支払う事は出来ませんが、配偶者控除、特別配偶者控除の他に独自にレディース給付金を考えておりますわ。申請が必要で適時審査もありますが通れば月額2、3万キジを支給。それは自由に使っていい非課税所得とする予定ですわ。調査をする者なども雇い入れますし、結託して不正を働けば‥‥安●惡斗様が炸裂させるような恥ずかし固めを受けて頂きますわ」
ヒィィっと数歩後ろに下がる民衆たち。
股関節を広げる形に成るため、恥ずかしい格好になる関節技である。
体が柔らかければ恥ずかしいだけで済みそうだが、固ければ足を開脚する時の筋が引っ張られる痛みも加わる。加齢が進めば進むほどに苦痛も味わう恥ずかし固め…これが刑罰になればもうお嫁にいけないだけでなく、お婿にも行けない。
翌日の一斉清掃。何人来るかな?と思いつつ、トーティシェルはやってきた侯爵家の使用人達に急ぎ大量の竹ぼうき、しゅろ帚、モップにブラシ、ゴミを入れる土嚢袋を頼むのだった。
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