旦那様に離縁をつきつけたら

cyaru

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動き出す断罪劇③-③

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王城に早馬が駆け込んだ。

その知らせに国王はベッドから飛び起きると
早馬で駆けてきた騎士と謁見をする。

「遠路はるばるご苦労であった、伝達を申せ」
「国王陛下に申し上げます。
我は東の国境にあるルーペ要塞、守備第二小隊のトレイル。
ベルゼ総督よりの言伝にて。
ルーペ要塞は本日正午を持って東の隣国、
トーマ帝国奇襲にて…陥落っ‥‥‥
一命を持って責任を取りたいとッ!」

「な、なんだと!」

国王はあまりの驚きに立ち上がった。
その時、謁見室の扉が乱暴に開けられて更に国王を窮地に陥れる。

「陛下っ!西の要塞、プセン砦からの早馬ですっ」

「なっ。プセンだと?まさか‥‥通せっ!」

国王の言葉に先程王弟の屋敷から馬に乗って駆けてきた騎士が
陛下に報告をする

「西のプセン要塞、エイト司令からの言伝にて!
今朝方から西国の奇襲攻撃にあい、戦況は防戦一方。
昼前には門が突破され、わたくしが馬で出た頃には
辺境伯ご夫妻、ご子息、司令は塔に籠られ
降伏を潔しとせず自決して果てるとの事にて!

尚、先程総督である王弟殿下に報告に参りましたが、
我を捕縛されようとしたため、登城致しました」

今度は、その報告に王座にへたり込む。

「西も東も・・どういう事だ。どういう事なんだ‥‥。
宰相はどうした?まだ来ておらぬのか!」

国王の怒声に答える者はいない。
お互いの顔を目線だけで見て、知らないと返事をし合う。
そこに一人の騎士が駆け込んできた。

「へ、陛下っ!」

王座の肘掛に手をかけて項垂れながらも、国王は顔だけを上げる。

「どうした」
「宰相が・・宰相が・・」
「宰相がどうした」
「早馬の知らせに屋敷に行きましたところ…自害されておられました」
「なっ・・なんと?」

考えてもみなかった報告に国王は頭を抱えた。

「ファビュラス・・王弟のファビュラスをこの場に連れて来い!」

国王は叫びながらも一人の男を思い出す。

「そ、そうだ。ドレーユ、ドレーユ侯爵だ。ヤツは何処にいる」
「ドレーユ侯爵でございますか?」
「そうだ。父はもう隠居しておるが…領地から呼び出すのだ!大至急!
それから兄弟共にも直ぐに登城せよと伝えろ」

国王の声に、騎士が飛び出していこうとした。
謁見室の扉を開けるとそこには、1人の男が立っていた。

「おや?そろそろ帰ろうかと思っておりましたが、
わたくしに何か御用がございましたか?」

能面のような表情で、ドレーユ侯爵は静かに入室した。

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