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さらなる疑惑
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就業時間となり帰宅をすると、まだシリウスは帰っていなかった。
ーー早番の時は、16時が終業だと言ってたのにーー
時計を見るともう18時。
ふとシャロンは思いおこしてみた。
この所休日出勤が多いと言っても、結婚が班長になったからという
きっかけだった事もあって、そんなものかと思っていた。
だけど早番の時も帰りが遅いし、遅番の時も早番の時ほどではないにしろ
出勤する時間がかなり早い。
遅番の時は14時に出れば間に合うのに9時には出勤をする。
ーー彼女に会うため?ううん・・子供に会うためなの?ーー
シリウスは子供好きであった。
本当のところはシャロンも判らないが、近所の子供や
騎士団が慰問に行く孤児院の子供たちにはかなり懐かれている。
そしてそれを嫌がる事もなく相手をしたり、
家に戻ってからも夕食の時に楽しそうに話をするシリウス。
同棲中は避妊もしていたが、結婚してからは避妊はしていない。
ーー子供が出来ないからなの??ーー
3年間子供が出来ない夫婦の離縁は貴族の間ではよくある話だった。
シャロンとシリウスの場合、避妊のない期間は2年ほどだとは言え
傍から見れば7年も一緒に居て子供がないというように見られる。
ーーだけどあの子の月齢からするとーー
避妊を止めた頃に出来たと思われる子供の事を考えると答えがまとまらない。
いや、すべてにおいてシャロンには答えが出ない。
『ねぇ、子供が出来なかったらどうしよう』
『その時は、夫婦2人で老後を過ごすだけだよ』
『でも、シリウスは子供欲しいでしょう?』
『欲しいか欲しくないなら欲しいけど、これは神様が決める事だからね』
そんな会話もあった2人。
ーーシリウスはどうしてわたくしと結婚したの?ーー
もしかすると、結婚をした後で妊娠したと聞かされたのかも知れない。
伯爵家を家出するように同棲をした手前、結婚を止められなかった??
昼間よりも悪い方向にどんどんと思考が偏ると吐き気がして
シャロンはトイレに駆け込んだ。
昼も一口、二口しか食べておらず、カリナの事が気になって
碌に水分も取っていないシャロンは何も出てこない胃から
嗚咽をするように出せるだけの水分を吐く。
そこに戻って来たシリウスがトイレの気配に慌てて走ってきた。
「ど、どうしたんだっ!!大丈夫かっ!!」
その声でシリウスが帰ってきた事を知るシャロン。
聞きたいけれど・・聞けない。
そしてそう思うと止まらない吐き気。
訳も判らずシリウスは吐き続けるシャロンの背中を撫でる。
ひとしきり吐いて落ち着いたシャロンだが、動悸がして息が上がる。
「ごめんなさい・・すぐに夕食の支度を」
「いや、いいんだ。食べてきた。ゆっくりしなさい」
ーー食べてきた??何処で?ーー
夕食を共にできない事がわかっている遅番の時は別だが
そうではない日は一緒に夕食を取るし、何か用事があるときは
前もっていつも言ってくれるのに。
そう思うとシャロンの体はまたガクガクと震えが止まらなくなる。
シリウスはシャロンを寝室に寄り添って運び寝かせた。
「ゆっくり休むんだ」
そう言って寝室から出ると、水瓶から水を汲んでタオルを濡らし
寝室で横になるシャロンの口周りを優しく拭いた。
ーー何故こんなことをするの?ーー
シャロンはカリナの事、そして何も言わずに夕食を食べてきたという
シリウスの行動が信じられなくて横を向いて涙を流した。
ーー早番の時は、16時が終業だと言ってたのにーー
時計を見るともう18時。
ふとシャロンは思いおこしてみた。
この所休日出勤が多いと言っても、結婚が班長になったからという
きっかけだった事もあって、そんなものかと思っていた。
だけど早番の時も帰りが遅いし、遅番の時も早番の時ほどではないにしろ
出勤する時間がかなり早い。
遅番の時は14時に出れば間に合うのに9時には出勤をする。
ーー彼女に会うため?ううん・・子供に会うためなの?ーー
シリウスは子供好きであった。
本当のところはシャロンも判らないが、近所の子供や
騎士団が慰問に行く孤児院の子供たちにはかなり懐かれている。
そしてそれを嫌がる事もなく相手をしたり、
家に戻ってからも夕食の時に楽しそうに話をするシリウス。
同棲中は避妊もしていたが、結婚してからは避妊はしていない。
ーー子供が出来ないからなの??ーー
3年間子供が出来ない夫婦の離縁は貴族の間ではよくある話だった。
シャロンとシリウスの場合、避妊のない期間は2年ほどだとは言え
傍から見れば7年も一緒に居て子供がないというように見られる。
ーーだけどあの子の月齢からするとーー
避妊を止めた頃に出来たと思われる子供の事を考えると答えがまとまらない。
いや、すべてにおいてシャロンには答えが出ない。
『ねぇ、子供が出来なかったらどうしよう』
『その時は、夫婦2人で老後を過ごすだけだよ』
『でも、シリウスは子供欲しいでしょう?』
『欲しいか欲しくないなら欲しいけど、これは神様が決める事だからね』
そんな会話もあった2人。
ーーシリウスはどうしてわたくしと結婚したの?ーー
もしかすると、結婚をした後で妊娠したと聞かされたのかも知れない。
伯爵家を家出するように同棲をした手前、結婚を止められなかった??
昼間よりも悪い方向にどんどんと思考が偏ると吐き気がして
シャロンはトイレに駆け込んだ。
昼も一口、二口しか食べておらず、カリナの事が気になって
碌に水分も取っていないシャロンは何も出てこない胃から
嗚咽をするように出せるだけの水分を吐く。
そこに戻って来たシリウスがトイレの気配に慌てて走ってきた。
「ど、どうしたんだっ!!大丈夫かっ!!」
その声でシリウスが帰ってきた事を知るシャロン。
聞きたいけれど・・聞けない。
そしてそう思うと止まらない吐き気。
訳も判らずシリウスは吐き続けるシャロンの背中を撫でる。
ひとしきり吐いて落ち着いたシャロンだが、動悸がして息が上がる。
「ごめんなさい・・すぐに夕食の支度を」
「いや、いいんだ。食べてきた。ゆっくりしなさい」
ーー食べてきた??何処で?ーー
夕食を共にできない事がわかっている遅番の時は別だが
そうではない日は一緒に夕食を取るし、何か用事があるときは
前もっていつも言ってくれるのに。
そう思うとシャロンの体はまたガクガクと震えが止まらなくなる。
シリウスはシャロンを寝室に寄り添って運び寝かせた。
「ゆっくり休むんだ」
そう言って寝室から出ると、水瓶から水を汲んでタオルを濡らし
寝室で横になるシャロンの口周りを優しく拭いた。
ーー何故こんなことをするの?ーー
シャロンはカリナの事、そして何も言わずに夕食を食べてきたという
シリウスの行動が信じられなくて横を向いて涙を流した。
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