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怯える目と狂気
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「放して!放して!」
胴体を抱えられ、揺れる馬上でクリスティナは出来る抵抗を試みます。
しかし、ドレスを着たしかも女の身、暴れても相手には何のダメージも与えられていません。
どんどん遠ざかる馬車。
自分を連れ去った輩の顔を見ようにも顔をあげる事が出来ない程体が揺さぶられます。
(振り落とされたって構うもんですか!!)
走る馬から地面に転がり落ちればどうなるか、無事では済まない事くらいわかります。
その上、街道の馬車道から外れて勢いが止まらなければ渓谷に落ちるかも知れません。
(迷っている時間はないわ!!)
クリスティナは持てる力で思いっきり自分の体をねじります。
「うわっ!!」
胴体を押さえていた男の手が離れると同時に強い衝撃がクリスティナの体を駆け巡ります。
ザザザー
自分の体が地面を滑っていくのを感じます。
指を立てても細い指では何の効果もありません。滑っていく自分の体すら止められない!!
「クリスティナっ!!」
手を離したのは男。その男が手を離した瞬間に馬を反転させて飛び降りてくる。
ドンッ!!
横滑りする体の腰部分に衝撃があります。どうやら渓谷に落ちるギリギリで生えていた木に当たったようです。
「うぅぅっ…」
自分を抱き起す感覚を感じ、痛みを堪えて目を開けると、そこには満面の笑みをたたえたレイザード第一王子。
「あぁ、痛いのかい…どこだろう…どこが痛いんだい」
その声は心配をするような声ではなく、痛い場所を見つけたらさらに痛みを加えそうだと思えるような歓喜を交えたような声です。
「ここかな…ふふっ…堪えなくていいよ…声を出して…さぁ…声を…痛みを我慢しなくていいんだ」
「さ、さわらな・・・いで…」
「あぁぁぁ♡堪らない。言ってごらん。撫でてあげる…いや舐めて欲しいんだろう?」
「いや‥‥こない・・・で…痛ぅっ…」
「はぁぁぁ♡痛いんだね?可愛いよ。君はそうやって僕をいつもじらすんだ…ふふっ」
ねっとりとした手がクリスティナの体や顔を撫でまわる。
上半身を抱き上げたかと思うと首筋に舌を這わせてくるおぞましさに意識が飛びそうになるクリスティナ。
「甘い、君はこんなに甘かったんだね。もっと舐めたい…その唇も…」
舌を出して顔を近づけてくるレイザードに顔を背けるのが精いっぱいだが、背けると頬をベロリと舐められ、全身を悪寒が走る。
「ほっぺも甘いんだね。あぁいい香りがする…ここはどんな味なんだろうねぇ」
荒い息遣いでクリスティナの胸に手を置き、乳房を揉みしだくレイザード。
頭を支える手の指はクリスティナの耳の中にも入ってくる。
「やめて‥‥やめて…」
「いいよぅ♡あぁもうイキそうだ‥‥飲ませてあげるよ。欲しかったんだろう??」
打ちつけた痛みでもうどこが痛いかわからない程の痛みに耐えて震える手で拒絶をするが、その手も握られて指先を口に入れたレイザードの舌の感触が指先から伝わってくる。
悪寒とともにこみ上げてくる吐き気がクリスティナを襲います。
「ティナっ!!」
その声にレイザードがクリスティナから手を離します。
振り返ったレイザードは剣をシンザンには向けず、クリスティナに突きつけます。
「貴様…」
「邪魔をしないでくれ、クリスティナ刺しちゃうよ?いいのかい?」
「ぐっ」
レイザードの目はもう狂気しかありません。その目はもう正常ではないのです。
だからこそシンザンは動けません。
正常でないという事は欲していてもためらいなくクリスティナをその剣で突いてしまうでしょう。
「剣をすてなよ。捨てないの?クリスティナが泣いちゃうよ?僕は良いけど…あぁそれもいいね。クリスティナを刺したらどんな血が流れるんだろう…ゾクゾクするよ」
レイザードの剣がクリスティナのドレスに刺さります。
「ヒッ‥‥」
小さく出たクリスティナの声にレイザードは動きを止めます。
そして股間に目線を少しだけ動かします。
「いけない娘だね…出ちゃったじゃないか…そんな可愛い声を出すなんてお仕置きが必要だね」
レイザードの剣がクリスティナのドレスを土をひっかく様に切り裂いていきます。
あらわになった太ももを見るとまた満面の笑みを浮かべるレイザード。
「誘っているのかい?君もあの女たちと一緒なのかなぁ…違うよねクリスティナ」
狂気のレイザードですが、その時一瞬だけ注意がそれたのをシンザンは見逃しませんでした。
ブォン!!
スパッ!!
下から上に振り上げた長い剣はレイザードの片腕を落とします。
「あっ…ア”ア”っ…僕の腕が…」
そして振り上げた剣が下に振り下ろされるともう片方の腕も落とします。
「グアァァァッ!!痛い!痛い!ガァァァッ!!」
地面を転げまわるレイザード。
「あっ!!」
クリスティナが小さく叫び声をあげます。
転げまわったレイザードは深い渓谷へ落ちて行ったのでした。
胴体を抱えられ、揺れる馬上でクリスティナは出来る抵抗を試みます。
しかし、ドレスを着たしかも女の身、暴れても相手には何のダメージも与えられていません。
どんどん遠ざかる馬車。
自分を連れ去った輩の顔を見ようにも顔をあげる事が出来ない程体が揺さぶられます。
(振り落とされたって構うもんですか!!)
走る馬から地面に転がり落ちればどうなるか、無事では済まない事くらいわかります。
その上、街道の馬車道から外れて勢いが止まらなければ渓谷に落ちるかも知れません。
(迷っている時間はないわ!!)
クリスティナは持てる力で思いっきり自分の体をねじります。
「うわっ!!」
胴体を押さえていた男の手が離れると同時に強い衝撃がクリスティナの体を駆け巡ります。
ザザザー
自分の体が地面を滑っていくのを感じます。
指を立てても細い指では何の効果もありません。滑っていく自分の体すら止められない!!
「クリスティナっ!!」
手を離したのは男。その男が手を離した瞬間に馬を反転させて飛び降りてくる。
ドンッ!!
横滑りする体の腰部分に衝撃があります。どうやら渓谷に落ちるギリギリで生えていた木に当たったようです。
「うぅぅっ…」
自分を抱き起す感覚を感じ、痛みを堪えて目を開けると、そこには満面の笑みをたたえたレイザード第一王子。
「あぁ、痛いのかい…どこだろう…どこが痛いんだい」
その声は心配をするような声ではなく、痛い場所を見つけたらさらに痛みを加えそうだと思えるような歓喜を交えたような声です。
「ここかな…ふふっ…堪えなくていいよ…声を出して…さぁ…声を…痛みを我慢しなくていいんだ」
「さ、さわらな・・・いで…」
「あぁぁぁ♡堪らない。言ってごらん。撫でてあげる…いや舐めて欲しいんだろう?」
「いや‥‥こない・・・で…痛ぅっ…」
「はぁぁぁ♡痛いんだね?可愛いよ。君はそうやって僕をいつもじらすんだ…ふふっ」
ねっとりとした手がクリスティナの体や顔を撫でまわる。
上半身を抱き上げたかと思うと首筋に舌を這わせてくるおぞましさに意識が飛びそうになるクリスティナ。
「甘い、君はこんなに甘かったんだね。もっと舐めたい…その唇も…」
舌を出して顔を近づけてくるレイザードに顔を背けるのが精いっぱいだが、背けると頬をベロリと舐められ、全身を悪寒が走る。
「ほっぺも甘いんだね。あぁいい香りがする…ここはどんな味なんだろうねぇ」
荒い息遣いでクリスティナの胸に手を置き、乳房を揉みしだくレイザード。
頭を支える手の指はクリスティナの耳の中にも入ってくる。
「やめて‥‥やめて…」
「いいよぅ♡あぁもうイキそうだ‥‥飲ませてあげるよ。欲しかったんだろう??」
打ちつけた痛みでもうどこが痛いかわからない程の痛みに耐えて震える手で拒絶をするが、その手も握られて指先を口に入れたレイザードの舌の感触が指先から伝わってくる。
悪寒とともにこみ上げてくる吐き気がクリスティナを襲います。
「ティナっ!!」
その声にレイザードがクリスティナから手を離します。
振り返ったレイザードは剣をシンザンには向けず、クリスティナに突きつけます。
「貴様…」
「邪魔をしないでくれ、クリスティナ刺しちゃうよ?いいのかい?」
「ぐっ」
レイザードの目はもう狂気しかありません。その目はもう正常ではないのです。
だからこそシンザンは動けません。
正常でないという事は欲していてもためらいなくクリスティナをその剣で突いてしまうでしょう。
「剣をすてなよ。捨てないの?クリスティナが泣いちゃうよ?僕は良いけど…あぁそれもいいね。クリスティナを刺したらどんな血が流れるんだろう…ゾクゾクするよ」
レイザードの剣がクリスティナのドレスに刺さります。
「ヒッ‥‥」
小さく出たクリスティナの声にレイザードは動きを止めます。
そして股間に目線を少しだけ動かします。
「いけない娘だね…出ちゃったじゃないか…そんな可愛い声を出すなんてお仕置きが必要だね」
レイザードの剣がクリスティナのドレスを土をひっかく様に切り裂いていきます。
あらわになった太ももを見るとまた満面の笑みを浮かべるレイザード。
「誘っているのかい?君もあの女たちと一緒なのかなぁ…違うよねクリスティナ」
狂気のレイザードですが、その時一瞬だけ注意がそれたのをシンザンは見逃しませんでした。
ブォン!!
スパッ!!
下から上に振り上げた長い剣はレイザードの片腕を落とします。
「あっ…ア”ア”っ…僕の腕が…」
そして振り上げた剣が下に振り下ろされるともう片方の腕も落とします。
「グアァァァッ!!痛い!痛い!ガァァァッ!!」
地面を転げまわるレイザード。
「あっ!!」
クリスティナが小さく叫び声をあげます。
転げまわったレイザードは深い渓谷へ落ちて行ったのでした。
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