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多すぎる家族計画
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ブルル♪フンスフンスッ
大きな真っ黒くてつやつやの毛並みのロデオが馬丁に連れられてやってきます。
馬車から降りる時も見たけれど、近くで見ると他の馬よりもかなり大きいのが判りますね。
「こいつは隣国の馬なんだ。なかなか俺を背に乗せて走れる馬がいなくてやっと見つけたんだ」
「ふふっ可愛い」
とてもお利口さんなロデオはニカっと笑うような表情にも見えます。
どうやら出会えて嬉しかったのはシンザンだけではなくロデオもだったようです。
ひょいっとシンザンがロデオに跨ると、ロクサーヌが踏み台を持ってきます。
いつもより高い踏み台の上に立つとフワっと体が宙に浮いたかと思うとトスンとシンザンの胸に抱かれます。
そっとロデオの鬣に触れるとゴワゴワしていますね。ですが思ったよりは柔らかいです。
「じゃ、いこうか」
「はい」
シンザンが手綱を操るとゆっくりロデオは歩き出します。
「うわっ」
「大丈夫。絶対に落ちない。ロデオの背中は広いんだ」
「ふふっ」
「どうした?」
「だって落ちるも何も…シンザン様はしっかりつかまえてくださっていますもの」
「当たり前だろ。これでも色々と…」
「色々と…なんですの?」
「女が喜ぶ事は練習したっ!‥‥あっ違うからな?見聞きしただけだ」
「ふーん‥‥ソウナンデスネ~ソレハタイヘンデシタネー」
「勘違いするな。女はお前だけ。操は立ててある」
ふと顔を見上げると、前を真っ直ぐ向いて真剣な顔のシンザン。
クリスティナはなんだか胸いっぱいにこみ上げてくる幸せに思わずシンザンの背に回した手に力を入れました。
☆~☆~☆~☆
ゆっくりと歩くロデオの背中は高く、いつも見る景色も違って見えますね。
「どうだ。気持ちいいだろう?」
「そうですわね。わたくしは背が低いのでこのような目線で街を見ると違った街に見えますわ」
「屋敷は田舎だが、空気と水と食い物は美味いんだ」
「まぁ!何よりのご褒美ですわね」
「景色も良いんだ。夕焼けも綺麗だが朝焼けは息を飲む美しさだ」
「早く見たいですわ」
「ティナって呼んでいいかな」
「えぇ。わたくしはなんとお呼びしましょう」
「何でもいいよ。俺はもう独立したから名前しかない」
そうですね。シンザンは次男。傭兵団に入団して要塞3つを任される功績をあげていても身分的にはまだ騎士伯を貰ていないので家から独立すれば平民です。
「わたくしは、シンザン様とお呼びしますわ」
「様はいらないなぁ。でも呼び捨ては皆してるしなぁ」
「でしょう?様を付けるのはわたくしだけにしてくださいましな」
「わかった。へへへ。なんか楽しいな」
「ウフフ。そうですわね」
「ティナは子供、何人欲しい?」
「御子ですか‥‥そうですね神様が許してくださるなら沢山欲しいですわ」
「じゃ、30人くらいにしとくか」
「さ、30人ですか?それは多すぎでは?」
「じゃ、25人でもいいか」
「そ、それも多すぎるかと‥‥思いますわ」
どうやら感覚が色々と違うようですね。大丈夫でしょうかね。
カッポカッポと歩みを進めるロデオも鬣を揺らしてなんだか得意そうです。
王都にある丘に到着すると鞍につけていたバスケットから昼食を取り出し並んで食べます。
朝食に大量に食べていたのはこの為ではないのですが、明らかにシンザンには少ない量ですね。
風だけがそよそよと吹いている丘の上はシーズンなのか柔らかい草が茂っています。
足首までの高さの草の上は寝転ぶとさしづめベッドのようですね。
「クリスティナ」
「なんでございますか」
「膝枕をしてくれ」
「はい。どうぞ」
大きなシンザンがごろりと横になるとクリスティナの太ももに頭を乗せます。
長くて重い剣を脇において下からクリスティナをじぃぃぃっと見るシンザン。
「な、なんですの?そんなにみられると恥ずかしいですわ」
「いやぁ。可愛いなぁと思って」
「そ、そんな事はありませんっ」
「だって、さっきの飯が顎についてるから」
「えっ?えっ?」
さっき食べたのは卵サンド。気を付けて食べたのに!と思いつつ慌てて顎についているという卵を探すクリスティナの手をシンザンの手がギュッと握ります。
「取ってやるから」
そう言って頭を起こしたシンザンはクリスティナの顔に近づくと唇を重ねます。
ビックリして目をぱちくりするクリスティナの首に手を回して横にすると潰さないように上になり、また優しく、今度はもう少し長くキスをします。
シンザンの大きな口は、クリスティナの小さな口も鼻も塞いでしまうほど。
放された唇に思わすプハっと息をします。
「ティナ。もう一回」
そう言って草原の芝生で何度も何度も唇を重ねては放し、すぐ重ね合わせる2人。
ブルルっ♪
ロデオがニンマリしていましたよ。
大きな真っ黒くてつやつやの毛並みのロデオが馬丁に連れられてやってきます。
馬車から降りる時も見たけれど、近くで見ると他の馬よりもかなり大きいのが判りますね。
「こいつは隣国の馬なんだ。なかなか俺を背に乗せて走れる馬がいなくてやっと見つけたんだ」
「ふふっ可愛い」
とてもお利口さんなロデオはニカっと笑うような表情にも見えます。
どうやら出会えて嬉しかったのはシンザンだけではなくロデオもだったようです。
ひょいっとシンザンがロデオに跨ると、ロクサーヌが踏み台を持ってきます。
いつもより高い踏み台の上に立つとフワっと体が宙に浮いたかと思うとトスンとシンザンの胸に抱かれます。
そっとロデオの鬣に触れるとゴワゴワしていますね。ですが思ったよりは柔らかいです。
「じゃ、いこうか」
「はい」
シンザンが手綱を操るとゆっくりロデオは歩き出します。
「うわっ」
「大丈夫。絶対に落ちない。ロデオの背中は広いんだ」
「ふふっ」
「どうした?」
「だって落ちるも何も…シンザン様はしっかりつかまえてくださっていますもの」
「当たり前だろ。これでも色々と…」
「色々と…なんですの?」
「女が喜ぶ事は練習したっ!‥‥あっ違うからな?見聞きしただけだ」
「ふーん‥‥ソウナンデスネ~ソレハタイヘンデシタネー」
「勘違いするな。女はお前だけ。操は立ててある」
ふと顔を見上げると、前を真っ直ぐ向いて真剣な顔のシンザン。
クリスティナはなんだか胸いっぱいにこみ上げてくる幸せに思わずシンザンの背に回した手に力を入れました。
☆~☆~☆~☆
ゆっくりと歩くロデオの背中は高く、いつも見る景色も違って見えますね。
「どうだ。気持ちいいだろう?」
「そうですわね。わたくしは背が低いのでこのような目線で街を見ると違った街に見えますわ」
「屋敷は田舎だが、空気と水と食い物は美味いんだ」
「まぁ!何よりのご褒美ですわね」
「景色も良いんだ。夕焼けも綺麗だが朝焼けは息を飲む美しさだ」
「早く見たいですわ」
「ティナって呼んでいいかな」
「えぇ。わたくしはなんとお呼びしましょう」
「何でもいいよ。俺はもう独立したから名前しかない」
そうですね。シンザンは次男。傭兵団に入団して要塞3つを任される功績をあげていても身分的にはまだ騎士伯を貰ていないので家から独立すれば平民です。
「わたくしは、シンザン様とお呼びしますわ」
「様はいらないなぁ。でも呼び捨ては皆してるしなぁ」
「でしょう?様を付けるのはわたくしだけにしてくださいましな」
「わかった。へへへ。なんか楽しいな」
「ウフフ。そうですわね」
「ティナは子供、何人欲しい?」
「御子ですか‥‥そうですね神様が許してくださるなら沢山欲しいですわ」
「じゃ、30人くらいにしとくか」
「さ、30人ですか?それは多すぎでは?」
「じゃ、25人でもいいか」
「そ、それも多すぎるかと‥‥思いますわ」
どうやら感覚が色々と違うようですね。大丈夫でしょうかね。
カッポカッポと歩みを進めるロデオも鬣を揺らしてなんだか得意そうです。
王都にある丘に到着すると鞍につけていたバスケットから昼食を取り出し並んで食べます。
朝食に大量に食べていたのはこの為ではないのですが、明らかにシンザンには少ない量ですね。
風だけがそよそよと吹いている丘の上はシーズンなのか柔らかい草が茂っています。
足首までの高さの草の上は寝転ぶとさしづめベッドのようですね。
「クリスティナ」
「なんでございますか」
「膝枕をしてくれ」
「はい。どうぞ」
大きなシンザンがごろりと横になるとクリスティナの太ももに頭を乗せます。
長くて重い剣を脇において下からクリスティナをじぃぃぃっと見るシンザン。
「な、なんですの?そんなにみられると恥ずかしいですわ」
「いやぁ。可愛いなぁと思って」
「そ、そんな事はありませんっ」
「だって、さっきの飯が顎についてるから」
「えっ?えっ?」
さっき食べたのは卵サンド。気を付けて食べたのに!と思いつつ慌てて顎についているという卵を探すクリスティナの手をシンザンの手がギュッと握ります。
「取ってやるから」
そう言って頭を起こしたシンザンはクリスティナの顔に近づくと唇を重ねます。
ビックリして目をぱちくりするクリスティナの首に手を回して横にすると潰さないように上になり、また優しく、今度はもう少し長くキスをします。
シンザンの大きな口は、クリスティナの小さな口も鼻も塞いでしまうほど。
放された唇に思わすプハっと息をします。
「ティナ。もう一回」
そう言って草原の芝生で何度も何度も唇を重ねては放し、すぐ重ね合わせる2人。
ブルルっ♪
ロデオがニンマリしていましたよ。
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