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真夜中の告白
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目を覚ますと薄暗い中に黒い塊がゆっくりと前後に動いていますね。
ゆ~らゆ~らと一定のリズムで小さく動いています。
「ん‥‥んん??」
目を凝らすと…いえ、凝らさなくてもそれがグリズリー、いえ、ヒトだと解ります。
ですが、部屋の中に2人きりであるという事も判ります。
(え~っと…どうしたらいいのかしら)
天井を見ながらクリスティナは考えます。おそらく寝ているのだろうは思います。
そのままにしておくか、声をかけるか…。
「んっ…ふぅ~…」
男性にしては変に色っぽいような声が聞こえますが、ゆらゆらという動きが止まっただけで起きてはいないようです。
クリスティナはシーツを引き寄せて頭からすっぽりと被り、この状況をどう打開すべきか更に考えます。
ふいにシーツが引っ張られました。
「うわっ!」
思わず声をあげてしまいましたが、瞳と瞳が合わさります。
「やっぱ、起きてるじゃないか」
「シ、シンザン様??なんでここに??」
「何でってクリスティナが気を失ったじゃないか。皆に起きるまで見てろって言われたよ」
「えぇっ?まさかずっと??」
「そうだけど」
あの頃のように真っ赤になるシンザンはそこにはいません。
立派な男性になっています。7年と言う月日はシンザンを変えたのでしょうか。
「えっと…クリスティナ」
「はい?」
「ちょっと…起きてくれるかな」
「起きてるけど」
「そうじゃなくてさ‥‥座って?」
モソモソと上半身を起こしますが、そうするとシンザンとの距離が近くなります。
「クリスティナ。いつも手紙をありがとう」
「ううん。私もありがとう。とても嬉しかった」
「俺も‥‥手紙が受け取れない時もあって返事を待たせた。すまない」
「そんな。シンザン様が大変なお仕事をしてるってわかってるから」
「そっか…そっか‥‥それで…あの…」
次の言葉がなかなか出てこないシンザンを見るとあの日のように真っ赤になっています。
やはり変わっていませんね。
「何もかも飛ばすけど‥‥嫁さんになってほしいんだ」
「えっ?」
「いや、待って。やり直す。やり直すから」
大きな体で椅子から立ち上がると背を向けてドアの方に歩き出すシンザン。
え?帰っちゃうの?と思ったのはクリスティナと作者。(邪魔だ!)
しかしシンザンはドア横に立ててあった自分の大きな長い剣を持ってまたベッドに近寄ってきます。
そして、椅子をどけるとクリスティナの目線に合わせるよう、床に跪きます。
カチンと剣を横にしてクリスティナの前に片手で差し出します。
「クリスティナ・リル・チェルシー殿。俺、いや私はこの剣に誓って貴女のみを生涯の妻とし、守り、愛すると誓う。どうか…俺。いや私の…違う、剣を取ってくれないだろうか」
「はうっ」
思わず両手で口を覆うクリスティナ。目からはポロポロと涙がこぼれていきます。
「はいっ、はいシンザン様っわたくしで‥‥よければ…」
感激の涙を流すクリスティナに照れくさそうにシンザンは言います。
「えっと、OKなら剣を取って」
その言葉に慌てて剣に手を差し伸べて受け取ろうとしますが
「重っ!!重いですわ!」
そりゃそうです。長さはシンザンの身の丈ほどで2メートル以上ありますし重さは30キロあります。
それを難無く受け取れるなんてどんな鍛え方をすればいいんでしょうか!!
「へへへ。重いだろう?7年分の愛だ」
「7年分??」
「あぁ、あの日見た時から決めてた。嫁はクリスティナだって」
「そんな…手紙にもそんな事書いてなかった」
「書けるわけないだろう?雷に打たれたような衝撃だったとか!検閲あるんだぜ?」
なるほど。だから告白のような事も書かなかったんじゃなくて、書けなかったんですね。
Okをもらったからか、シンザンはベッドにドサっと座り込みますがあまりにも大きな体と重い体重にベッドがきしんでいます。
「でさ、俺って次男だろう」
「えぇ。言ってましたわね。だから傭兵団に入ると」
「クリスティナは伯爵令嬢だからさ。そのままじゃ絶対無理って思ったんだ」
「わたくし、爵位など捨ててもよろしいのよ?」
「いや、爵位とかじゃなくクリスティナには苦労して欲しくないんだ。時間はかかったけどやっと3つの要塞の責任者にまで成れたんだ。屋敷ももらった。使用人も少ないけどいる。これから増やす。だから安心して嫁に来い。何人でも俺の子を産め。ずっと愛してやるから」
「うんっ。うんっ」
「じゃ、遠慮なく」
「えっ?」
しかし、ガバっとクリスティナに抱き着いたまでは良かったですが、結構な音を響かせてベッドの足が一気に全部折れてしまい、足の高さの分だけベッドがドーンと落ちてしまいます。
「やべぇ」
大きな音にビックリした使用人や兄達がクリスティナの部屋に飛び込んできます。
そこにはベッドでクリスティナに覆いかぶさったシンザンの姿が!!
「シンザンっ!お前は!!何もかも飛ばしすぎなんだよ!!」
そう言ってエドワードがシンザンを引きはがすとシンザンの重みでゼェハァしているクリスティナ。
皆が声を揃えます。
<<つぶす気か!!>>
シューンっと大きな体を小さくするシンザンでした。
ゆ~らゆ~らと一定のリズムで小さく動いています。
「ん‥‥んん??」
目を凝らすと…いえ、凝らさなくてもそれがグリズリー、いえ、ヒトだと解ります。
ですが、部屋の中に2人きりであるという事も判ります。
(え~っと…どうしたらいいのかしら)
天井を見ながらクリスティナは考えます。おそらく寝ているのだろうは思います。
そのままにしておくか、声をかけるか…。
「んっ…ふぅ~…」
男性にしては変に色っぽいような声が聞こえますが、ゆらゆらという動きが止まっただけで起きてはいないようです。
クリスティナはシーツを引き寄せて頭からすっぽりと被り、この状況をどう打開すべきか更に考えます。
ふいにシーツが引っ張られました。
「うわっ!」
思わず声をあげてしまいましたが、瞳と瞳が合わさります。
「やっぱ、起きてるじゃないか」
「シ、シンザン様??なんでここに??」
「何でってクリスティナが気を失ったじゃないか。皆に起きるまで見てろって言われたよ」
「えぇっ?まさかずっと??」
「そうだけど」
あの頃のように真っ赤になるシンザンはそこにはいません。
立派な男性になっています。7年と言う月日はシンザンを変えたのでしょうか。
「えっと…クリスティナ」
「はい?」
「ちょっと…起きてくれるかな」
「起きてるけど」
「そうじゃなくてさ‥‥座って?」
モソモソと上半身を起こしますが、そうするとシンザンとの距離が近くなります。
「クリスティナ。いつも手紙をありがとう」
「ううん。私もありがとう。とても嬉しかった」
「俺も‥‥手紙が受け取れない時もあって返事を待たせた。すまない」
「そんな。シンザン様が大変なお仕事をしてるってわかってるから」
「そっか…そっか‥‥それで…あの…」
次の言葉がなかなか出てこないシンザンを見るとあの日のように真っ赤になっています。
やはり変わっていませんね。
「何もかも飛ばすけど‥‥嫁さんになってほしいんだ」
「えっ?」
「いや、待って。やり直す。やり直すから」
大きな体で椅子から立ち上がると背を向けてドアの方に歩き出すシンザン。
え?帰っちゃうの?と思ったのはクリスティナと作者。(邪魔だ!)
しかしシンザンはドア横に立ててあった自分の大きな長い剣を持ってまたベッドに近寄ってきます。
そして、椅子をどけるとクリスティナの目線に合わせるよう、床に跪きます。
カチンと剣を横にしてクリスティナの前に片手で差し出します。
「クリスティナ・リル・チェルシー殿。俺、いや私はこの剣に誓って貴女のみを生涯の妻とし、守り、愛すると誓う。どうか…俺。いや私の…違う、剣を取ってくれないだろうか」
「はうっ」
思わず両手で口を覆うクリスティナ。目からはポロポロと涙がこぼれていきます。
「はいっ、はいシンザン様っわたくしで‥‥よければ…」
感激の涙を流すクリスティナに照れくさそうにシンザンは言います。
「えっと、OKなら剣を取って」
その言葉に慌てて剣に手を差し伸べて受け取ろうとしますが
「重っ!!重いですわ!」
そりゃそうです。長さはシンザンの身の丈ほどで2メートル以上ありますし重さは30キロあります。
それを難無く受け取れるなんてどんな鍛え方をすればいいんでしょうか!!
「へへへ。重いだろう?7年分の愛だ」
「7年分??」
「あぁ、あの日見た時から決めてた。嫁はクリスティナだって」
「そんな…手紙にもそんな事書いてなかった」
「書けるわけないだろう?雷に打たれたような衝撃だったとか!検閲あるんだぜ?」
なるほど。だから告白のような事も書かなかったんじゃなくて、書けなかったんですね。
Okをもらったからか、シンザンはベッドにドサっと座り込みますがあまりにも大きな体と重い体重にベッドがきしんでいます。
「でさ、俺って次男だろう」
「えぇ。言ってましたわね。だから傭兵団に入ると」
「クリスティナは伯爵令嬢だからさ。そのままじゃ絶対無理って思ったんだ」
「わたくし、爵位など捨ててもよろしいのよ?」
「いや、爵位とかじゃなくクリスティナには苦労して欲しくないんだ。時間はかかったけどやっと3つの要塞の責任者にまで成れたんだ。屋敷ももらった。使用人も少ないけどいる。これから増やす。だから安心して嫁に来い。何人でも俺の子を産め。ずっと愛してやるから」
「うんっ。うんっ」
「じゃ、遠慮なく」
「えっ?」
しかし、ガバっとクリスティナに抱き着いたまでは良かったですが、結構な音を響かせてベッドの足が一気に全部折れてしまい、足の高さの分だけベッドがドーンと落ちてしまいます。
「やべぇ」
大きな音にビックリした使用人や兄達がクリスティナの部屋に飛び込んできます。
そこにはベッドでクリスティナに覆いかぶさったシンザンの姿が!!
「シンザンっ!お前は!!何もかも飛ばしすぎなんだよ!!」
そう言ってエドワードがシンザンを引きはがすとシンザンの重みでゼェハァしているクリスティナ。
皆が声を揃えます。
<<つぶす気か!!>>
シューンっと大きな体を小さくするシンザンでした。
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