辺境伯のお嫁様

cyaru

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グッバイ・レイラ

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お詫び

この回は、ル―ヴェルの浮気相手レイラのざまぁでしたが
お叱りのコメントをくださった方もおられますので
本来の内容は消去させて頂き、大幅に変更となったものになっております。
ご了承くださいませ。

****************************************

ル―ヴェルが再度の来店でつまみ出される少し前、店の裏口から
1台の荷馬車が走り去りました。

荷馬車の荷台には・・・数人の女性と3名の人相の悪い男がいますね。
レイラもですが、他の女性たちも猿轡をされ、後ろで手を縛られています。
足は隣合う女性と足枷を付けられて、逃げようにも二人三脚によほどの自信が
ないと逃げられませんね。

郊外の一軒の不気味な屋敷に入っていく荷馬車。

ガタン。 ヒヒーン、ブルル

馬車が止まります。

「おい、降ろせ」「ウェーイ・・」

屋敷から出てきた男が荷馬車で同乗してきた男たちに声をかけます。

「ほら!降りるんだよ!」
「ヴヴッ、うヴっ~」

足枷が邪魔になって片方が転ぶともう片方の女性も転びます。
それを顔色も変えずに蹴り飛ばす男。

レイラの連れて行かれた先では、さらに多くの女性が怯えています。
狭い部屋に押し込められるように突き飛ばされて入るレイラ。
折り重なるようにレイラの上に斜めになって倒れ込む足枷の片方の女性。

男は猿轡と手の縄だけを外し足枷はそのままにして部屋を施錠します。
ガチャリ

「どいて・・どいてよッ!」
「ご、ごめんなさい・・ちょっと・・待って・・」

体を捻らせてレイラの上から床に転ぶ女性。

「っ!ここは・・どこなのッ?!」

キョロキョロしながら声を出すレイラに元々部屋にいた女性が応えます。

「おめでたいねぇ・・アハハッ」
「なっ・・・なによ・・」
「何がって?アンタのその頭の中身だよ」
「ばっ・・バカにしないで!」
「アハッ・・バカにしてないわよ?中身がめでたいって言ったのさ」

キィィ!っと殴りかかろうにも足枷で繋がった女性がいるので
動けないレイラですね。

「ねぇ・・ここはどこなのよ」
「何にも知らないんだねぇ・・」
「バカにしないで!アタシは子爵令嬢よっ!平民のアンタなんかに・・」
「フフッ、お貴族様だとよ!」
<<アッハッハ>>

突然他の女性たちも笑いだしてしまいました。
レイラと一緒に部屋に入った女性達は意味がわからず驚くばかり。

「アンタらの中に、平民は・・いるかい?」

その言葉に、レイラ以外の女性が恐る恐る手を挙げます。
ニヤリと笑う女性は、顎で他の女性に合図を送ります。

カララーン・・

レイラの前に放り投げられた石のないブローチ。
手に取って見ていますね。

「こ、これがなんだってのよ!」
「それかい?・・形見だよ」
「か、形見ですってッ?!」
「あぁ、ちょいと前に・・伯爵家の元ご令嬢だったかねぇ・・
 ソレにハマってた石を見張りの男に渡してアタイらを逃がそうとしたのさ」

レイラは思わず自分のドレスを見ますが・・・
彷徨う間にイヤリングも指輪も・・売り払ってましたね。

「で・・それが何よ!」
「石だけパクられて・・・惨めだったねぇ」
「それが何よ!」
「他に金目の物がないか裸にむかれて・・」
「ひ、ひっ・・」

思わずブローチを放り投げてしまいましたよ。

「可哀そうに・・ここに戻って来たときは虚ろでねぇ」
「そうそう、蝋人形みたいだったよね」
「ど、どうなったの・・・その子・・」
「さぁ・・どっかの家でお人形になってるんじゃないの?」

うつろな目で別の女性が話に入りますね

「アンタ、貴族なんだろう?」
「そうよ!アタシは貴族なの!あんた達とは違うわ!」
「ここじゃね・・平民であるアタシらの方がまだマシなのさ」
「どういう意味よ?」
「平民はせいぜい娼館に売られるだけ。上手い事稼げれば足抜けできるのさ」
「そうそう、せいぜいそれっぽっちの金で売られるからね」

「でもね?アンタは違う」
「な、何が違うの・・」
「お貴族様の子どもはね・・娼館に売られても高価だから足抜けは先ず無理」
「娼館・・・って・・」

「それもド変態の巣靴のような娼館さ。貴族で憂さを晴らしたいヤツは
 ゴロゴロしてるからね」
「ま、普通の娼館には行けないって事だよ」
「そんな・・で、でも殿下が迎えにきて・・」
「アンタ・・どこまでお花畑なんだい?」

周りの女性たちが侮蔑の声で笑い始めます。

「ここはね・・売られた女が買い取り先が決まるまでの仮置き場だよ」
「アンタはね・・その殿下に売られたって事さ」

「そんな・・」

「お貴族様なんだろう?アタイらよりも先に買い手がつくさ」

女たちの笑い声が、外からの足音にピタリと止まります。

ガチャリ。ギィィィ

扉が開くと、男は女性たちを見回し、レイラを見るとニヤリと笑います。
ツカツカとレイラに近づく男に、レイラは少しだけ後ろに下がります。

「へぇ・・使いまわしにしちゃ・・まぁまぁか」
「なっ・・なによ」
「来たばっかりで残念だろうが、喜べ。中古でも買ってくれるそうだ」
「ち、中古って・・何よ!買ってくれるって・・??」

足枷をレイラだけ黙って外し始める男。足枷が外れると立ち上がり、
強引に後ろ手に縛られた縄を引っ張ります。

「い、痛っ・・何するのよ」
「何する?って?引き渡しに行くんだよ」
「ど・・どこに・・嫌・・イヤ・・行きたくない!嫌ァァァー」
「五月蠅ぇ!黙ってろ!(バチーン)」

男に数発殴られてしまって鼻血をだしていますよ。レイラ大丈夫?

連れて行かれた先には、身なりの言い紳士が1人馬車の前にいますね。
紳士の佇まいに少しホッとするレイラ。

「お待たせいたしましたね。これが子爵令嬢です。入荷したばかりです。」
「旦那様、どういたしましょう。殴られて血が出ていますが・・」
「ん?鼻の骨でも折れてるとか?」
「いえ、骨には影響はないですが、鼻血が出ておりますね」
「いいよ。見た目は関係ないし」
「では手続きをしても、よろしゅうございますか?」

馬車の中かの声と紳士が会話をしますね。

「いいよ?子爵令嬢なんでしょう?それでコンプリートだからOK~♪」

(えっ・・コンプリートってなに?何なの??)

身なりの良い紳士は、縄を男から受け取ると、金の入った袋と交換します。
馬車に乗れるかと思っていたレイラですが、後ろから来た幌のない荷馬車に
手足を縛られ、猿轡をされて放り込まれましたよ。

「では、返品不可ですので。よろしくお願いします」
「返品?致しませんよ。必要なのは子爵令嬢の骨格ですからね」
「毎度ありがとうございます」

立派な馬車の後を追うように、レイラを乗せた馬車も動き出します。
グッバイ・レイラ・・・
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