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お嫁様は鉄を溶かしたい
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順調な小屋造り。モートンさんの割り振ってくれた3班はてきぱきと
動いてくれますので大変助かります。
わたくしの記憶にある世界では石灰を高温で焼いてセメントというものに
しておりましたが、この世界ではまだ1450度という高温を維持できないので
石灰をそのまま利用するというわたくし的には暴挙にでたのでございますよ。
最も、古くはピラミッドなどにも使われているものですし
砕石はイタリアやトルコなどの火山国では火山礫なども利用していましたので
何とでもなるかなと、お気楽に考える事にしましたわ。
ですが、問題は鉄!そう・・・家を作るときの基礎には欠かせない鉄筋ですの。
鉄は1500度という温度でないと融解しないのですわ。
カテンウォルなら溶鉱炉も作ったんですが、誰にも言えませんものね。
原料である鉄鉱石は採掘されているので多少のスラグは仕方ないにしても・・。
え?スラグ?あぁ、スラグはですね。灰汁のようなものです。
皆さま、カレーを作ったり水炊きという鍋はご存じかしら?
しゃぶしゃぶという湯の中で肉をゆらゆらさせて、ポン酢で頂くのでも結構。
煮ていると、邪魔者の灰汁がでますでしょう?
鉄も同じですわ。鉄をつくるとき灰汁が出るのです。それがスラグですわ。
ただ、鉄などの場合は六価クロムなどの有害物質を含みますので
処分に困りますの。
ですので、ご都合主義のわたくしは、スラグは魔法で分子から組みなおして
無害とさせて、グレーチングにする事を考えたのですけどね・・。
肝心の鉄をどうやって溶かすか。
流石に魔法でも1550度、不純物を含むので1150度ほどに下げても・・
なにもないこの辺境の地では製鉄は難しいですわね。
剣はあるのですが、剣の場合は鉄を溶かすまではいかずに
叩いて形成できる柔らかさにするだけなのでここでも出来るんですが、
ドロッドロに溶かさないと意味がないんですよね・・。
ですが、どうしても鉄筋が欲しい。異形鉄筋(SD)とは言いません。
丸鋼でいいのでフーチング(逆T字の土台ですわ)とか、
土間(土に接している床)に使用したいのです。
で・・考える事2時間。ギルドに連絡をすることに致しましたわ。
モートンさんに連絡を取ってもらうのです。
「ランバート様、この度は早々の工事ありがとうございます。
早速ですがお願いがございますの」
「なんでございましょう?」
「東の国、ジャッポーネというところにシッチリーンという
魚を焼く小型のかまどがあるのですが2つ、3つ入荷はございませんか?」
「シッチリーンですか・・・そういえば数年前に試しに仕入れて
倉庫にあったような気がします。探してまた連絡をしますね」
「お願いいたしますわ!」
モートンさんはわたくしが何をしたいのかよくわからないようですわ。
なので、3時の15分休憩でお茶を致します。
「実はですね、シッチリーンをふたをするように重ねると
温度が比較的逃げずに保てると思いますの。
そこに、小型の土鍋に鉄鉱石を入れて溶かそうと思いますのよ」
「そんなものどうするんです?」
「砂はありますので、砂を使い、鋳型を作って流し込み、
長い棒になった鉄の棒・・・鉄筋を使いたいのです」
「鉄筋・・なんですかそれは?」
お茶を飲みながら、モートンさんは初めて聞くモノの形も用途も判らず
理解が難しいようですわ。
「先程、石を敷いて固めた上に石灰や砕石、砂を水で混ぜて、
木べらでならしましたでしょう?
あれはコンクリート(もどき)というんですの。
押される力に強いのです。
作ろうとしている鉄筋は引っ張られる力に強いのですわ。
お互いの良いところをくっつけて、鉄筋コンクリートで
基礎と床を作りたいんですの」
「鉄筋コンクリート・・・・でも水で混ぜてますから
その鉄筋というのは鉄なら錆びるのでは?」
「えぇ、錆びるんですがつなぎ材となる石灰がアルカリ性ですので
錆の進行は結構緩やかなんですよ」
未だに理解が出来ていないモートンさん。
わたくしは、地面に絵を描きましたわ。
「こうやって、網の目のように鉄筋を組んで、バンセン・・はないから
交差した部分をツルで縛っていきますの」
「この鉄の棒の長さが足りないこういうところは?」
「継ぎ足すのですわ、ただ端と端をくっつけるのではなく、
こうやって重ね合わせるように定着を取るのですわ」
「あぁ、そうすれば同じ長さだとどこで足らないか、すぐにわかりますね」
「いいえ、同じ個所でつなぎ目を作らないようにワザとずらすんですわ」
「何故です?同じ個所ならわかりやすいのに」
「そこが一番弱くなるからですわ。分散をさせないと!」
「奥が深いのですねぇ・・」
「いえ?深くはないですわ。かぶり厚は地中なら6センチですわ」
「は?なんです?そのかぶ・・かぶり?」
「色々とあるんですわ。工事が終わればお話ししましょう」
モートンさんと話をしていると、職人さんが走ってきます。
「キャンティさん!大変です。さっき石灰とか混ぜて均したところが
熱を持っているんですよ!」
「あぁ、それはそれでいいんですのよ。石灰は化学反応・・いえ、
水を混ぜると熱を出すんです。
熱を出しながら固まるのを硬化・・いえ、それでいいんです」
「ホントですか?結構温かいですよ」
「えぇ、構いません。ですが一応水をこれでもか!くらいに撒いて
養生・・・いえ、冷ましてくださいませ」
「水を撒けばいいんですか?でも、ドロドロになりませんか?」
「熱を出しているならもう歩いてもいいくらいには固まっているはずです」
「ホントですね?知りませんよ?ネコの足跡みたいに
俺の足跡がついても、責任取りませんよ?」
「大丈夫ですよ。でも、素手で石灰を触った方は十分に手洗いしてくださいね。
石灰は手が荒れてしまいますからね」
「キャンティさん、やはりあなたは現場監督をするべきです。
貴族なんかやめて、やりませんか?」
「えぇ・・やりたい気持ちは多少あるんですが、それは
やるべき事をやった後のお楽しみですわ。オホホホ」
17時少し前に職人さんたちが帰ります。
モートンさんも帰ろうとした時に、ランバートさんから連絡が入りました。
明日シッチリーンを届けてくださるそうですわ。
上手く鉄筋が作れますように。
動いてくれますので大変助かります。
わたくしの記憶にある世界では石灰を高温で焼いてセメントというものに
しておりましたが、この世界ではまだ1450度という高温を維持できないので
石灰をそのまま利用するというわたくし的には暴挙にでたのでございますよ。
最も、古くはピラミッドなどにも使われているものですし
砕石はイタリアやトルコなどの火山国では火山礫なども利用していましたので
何とでもなるかなと、お気楽に考える事にしましたわ。
ですが、問題は鉄!そう・・・家を作るときの基礎には欠かせない鉄筋ですの。
鉄は1500度という温度でないと融解しないのですわ。
カテンウォルなら溶鉱炉も作ったんですが、誰にも言えませんものね。
原料である鉄鉱石は採掘されているので多少のスラグは仕方ないにしても・・。
え?スラグ?あぁ、スラグはですね。灰汁のようなものです。
皆さま、カレーを作ったり水炊きという鍋はご存じかしら?
しゃぶしゃぶという湯の中で肉をゆらゆらさせて、ポン酢で頂くのでも結構。
煮ていると、邪魔者の灰汁がでますでしょう?
鉄も同じですわ。鉄をつくるとき灰汁が出るのです。それがスラグですわ。
ただ、鉄などの場合は六価クロムなどの有害物質を含みますので
処分に困りますの。
ですので、ご都合主義のわたくしは、スラグは魔法で分子から組みなおして
無害とさせて、グレーチングにする事を考えたのですけどね・・。
肝心の鉄をどうやって溶かすか。
流石に魔法でも1550度、不純物を含むので1150度ほどに下げても・・
なにもないこの辺境の地では製鉄は難しいですわね。
剣はあるのですが、剣の場合は鉄を溶かすまではいかずに
叩いて形成できる柔らかさにするだけなのでここでも出来るんですが、
ドロッドロに溶かさないと意味がないんですよね・・。
ですが、どうしても鉄筋が欲しい。異形鉄筋(SD)とは言いません。
丸鋼でいいのでフーチング(逆T字の土台ですわ)とか、
土間(土に接している床)に使用したいのです。
で・・考える事2時間。ギルドに連絡をすることに致しましたわ。
モートンさんに連絡を取ってもらうのです。
「ランバート様、この度は早々の工事ありがとうございます。
早速ですがお願いがございますの」
「なんでございましょう?」
「東の国、ジャッポーネというところにシッチリーンという
魚を焼く小型のかまどがあるのですが2つ、3つ入荷はございませんか?」
「シッチリーンですか・・・そういえば数年前に試しに仕入れて
倉庫にあったような気がします。探してまた連絡をしますね」
「お願いいたしますわ!」
モートンさんはわたくしが何をしたいのかよくわからないようですわ。
なので、3時の15分休憩でお茶を致します。
「実はですね、シッチリーンをふたをするように重ねると
温度が比較的逃げずに保てると思いますの。
そこに、小型の土鍋に鉄鉱石を入れて溶かそうと思いますのよ」
「そんなものどうするんです?」
「砂はありますので、砂を使い、鋳型を作って流し込み、
長い棒になった鉄の棒・・・鉄筋を使いたいのです」
「鉄筋・・なんですかそれは?」
お茶を飲みながら、モートンさんは初めて聞くモノの形も用途も判らず
理解が難しいようですわ。
「先程、石を敷いて固めた上に石灰や砕石、砂を水で混ぜて、
木べらでならしましたでしょう?
あれはコンクリート(もどき)というんですの。
押される力に強いのです。
作ろうとしている鉄筋は引っ張られる力に強いのですわ。
お互いの良いところをくっつけて、鉄筋コンクリートで
基礎と床を作りたいんですの」
「鉄筋コンクリート・・・・でも水で混ぜてますから
その鉄筋というのは鉄なら錆びるのでは?」
「えぇ、錆びるんですがつなぎ材となる石灰がアルカリ性ですので
錆の進行は結構緩やかなんですよ」
未だに理解が出来ていないモートンさん。
わたくしは、地面に絵を描きましたわ。
「こうやって、網の目のように鉄筋を組んで、バンセン・・はないから
交差した部分をツルで縛っていきますの」
「この鉄の棒の長さが足りないこういうところは?」
「継ぎ足すのですわ、ただ端と端をくっつけるのではなく、
こうやって重ね合わせるように定着を取るのですわ」
「あぁ、そうすれば同じ長さだとどこで足らないか、すぐにわかりますね」
「いいえ、同じ個所でつなぎ目を作らないようにワザとずらすんですわ」
「何故です?同じ個所ならわかりやすいのに」
「そこが一番弱くなるからですわ。分散をさせないと!」
「奥が深いのですねぇ・・」
「いえ?深くはないですわ。かぶり厚は地中なら6センチですわ」
「は?なんです?そのかぶ・・かぶり?」
「色々とあるんですわ。工事が終わればお話ししましょう」
モートンさんと話をしていると、職人さんが走ってきます。
「キャンティさん!大変です。さっき石灰とか混ぜて均したところが
熱を持っているんですよ!」
「あぁ、それはそれでいいんですのよ。石灰は化学反応・・いえ、
水を混ぜると熱を出すんです。
熱を出しながら固まるのを硬化・・いえ、それでいいんです」
「ホントですか?結構温かいですよ」
「えぇ、構いません。ですが一応水をこれでもか!くらいに撒いて
養生・・・いえ、冷ましてくださいませ」
「水を撒けばいいんですか?でも、ドロドロになりませんか?」
「熱を出しているならもう歩いてもいいくらいには固まっているはずです」
「ホントですね?知りませんよ?ネコの足跡みたいに
俺の足跡がついても、責任取りませんよ?」
「大丈夫ですよ。でも、素手で石灰を触った方は十分に手洗いしてくださいね。
石灰は手が荒れてしまいますからね」
「キャンティさん、やはりあなたは現場監督をするべきです。
貴族なんかやめて、やりませんか?」
「えぇ・・やりたい気持ちは多少あるんですが、それは
やるべき事をやった後のお楽しみですわ。オホホホ」
17時少し前に職人さんたちが帰ります。
モートンさんも帰ろうとした時に、ランバートさんから連絡が入りました。
明日シッチリーンを届けてくださるそうですわ。
上手く鉄筋が作れますように。
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