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90度を取るやつ、水平を取るやつ
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土工事をするという3班の元に行くキャンティ。
その前に屋敷の中に入って、戸棚に置いておいた紙を持ち出します。
職人さんの元にいき、その用紙を広げるキャンティ。
「皆様、よろしくお願いいたしますわ」
「こっちこそ、よろしく頼むわ!で?姉ちゃん、それは?」
「図面ですわ。とりあえず今日は基礎を作るためにこの深さに掘って頂きたいの」
図面を見る職人さん達。
「なるほどね。でも小屋程度なのに大げさじゃないか?」
「いいえ、何事も基礎、足元はしっかりするべきなのですわ」
「そりゃそうだ。上屋が立派でもグラグラじゃ話になんねぇからな」
すたすたと歩いて、井戸の周りを囲んでいる石積みの元に来ます。
「本当なら、もっとしっかりした物に取りたいのですが、こちらに
第一ベンチマークをお願いいたしますわ!
第二ベンチマークは建物の南東角に取ってくださいませ」
職人さんたちは言われるがままにベンチマークを取っていますね。
え?ベンチマークって何なの?・・・
ベンチマークというのはですね、建物を建てる時、正確な位置に
建てるためにほぼ動かないと思われるものに点を取って、
そこからの距離や高さを基準とするものですのよ。
道具がない時代なのでキャンティは2カ所をとっていますね。
「お姉ちゃんよぉ!深さはこのくらいでいいか?」
「んー膝くらいの高さまで仮堀をしてくださいませ。
その間にまずは基準となる高さを取りましょう」
そういうと木の棒をトントンと数カ所に打ち込みます。
木の棒と棒の間に解体現場から持ってきてもらった軒樋を渡します。
「ここに水を張ってくださいませ!」
何をしているんだ?っと職人さんが集まってきます。
よく見ると外壁を洗浄している班の職人さんもいますよ。あれ?モートンさんも。
「傾いていると、水は下の方に流れますから水面が水平になるよう
低い方に平らな石などを敷いて調整をしてくださいませ。
そして・・このように水平になると次の棒まで・・同じように繰り返し
棒を立てて水平を取って、水面面の位置にこうやって木に印をつけてくださいませ」
「ほぉ・・なるほど」
「で、井戸に付けたマークからこの木までの距離は7mですから、
糸の長さを7mにして先端を持ってこうやって動くと・・・
先程のマークが円の中心となって、
糸の端は円弧、7mの半径の円弧が出来ますから(ガンガンっ)
こうやって1本、円弧上に木の棒を打ち込みます(はぁっはぁっ)」
「ほぉお~」
「次に、別邸の南東角から11mですから、同じように・・します」
「へぇぇ」
「そうすると、先に井戸から取った7mの円弧とこの別邸からの
11mの円弧が交差する交点が出ます。ここが柱の位置です。
ここに棒を打ち込んでくださいませ!」
ガンガン!
「小屋は真四角ですから、角は90度となります。
角度の取り方は簡単ですわ。サンシゴの三角形を作りますの」
両手の親指と人差し指で三角形を作るキャンティ。
「直角三角形の、一番短い辺を3、垂直に下りる辺を4
斜辺を5とする三角形を作れば、直角三角形が出来ますの。
4の辺をぐいっと伸ばして妻側方向、家の短い面ですわね。
3.5mを取ったら
次はその点に同じようにサンシゴの三角形を取って、
桁行方向、家の長い面ですわ。5mを取り、また4の辺を伸ばす。
また同じようにサンシゴで最初のこの木の棒にあえば、
1つの角が90度の長方形の位置取りが出来ますわ!
角になる部分が柱が立つ部分ですわ」
「へぇぇ・・おぉぉ~本当だ!3、4、5でピッタリ合う!!」
「でしょう?そしたら先程の水平面を決めたマーク。
このマークから・・そうですわね基礎の底は50cmとしましょう。
そのままにすると意味がないので砕石分で・・えーっと・・
10cm深く掘るので、この棒の先端のほうにマークを付けて
60cmの位置をマークしてくださいませ!」
職人さんが先端のほうに付けたマークから60cmの位置にマークをします。
キャンティは水平を取った木に付けたマークに、さっき60cmを取った
木の棒のマークの片方を合わせます。
「ここは下の60cmのマークまであと少し掘ってくださいませ。
それをこの柱と柱の間。そうですわね幅は40cmで掘ってください。
中央部分はそのままで。
掘りすぎたら、土を戻してくださいね」
「掘れたらどうするんですか?私はこういうの初めてです」
「掘れたら、川から持ってきてもらった石を敷き詰めて、
この大きな木の杭でトントンと叩いて押し込んでくださいませ」
「砕石を敷いて、叩いて均すんですか?」
「そうですよ。それが終わったら、この川砂、残った砕石、
そしてこの石灰岩を砕いて粉にしたもの、水を混ぜて、
石が隠れるくらいに敷きならして、1晩放置をしますの」
「だけど、穴を掘ったら柱の位置を折角取ったのにわからなくなりますよ!」
「では。先程の柱の位置の外側になるよう木の棒を打ち込んで
それぞれをこの水糸で結んでくださいませ」
「それも直角にとりますか?」
「いいえ?適当でいいですが、柱4本で作った長方形の外側に・・です
糸を張ったら、最初の4本の柱の2本に長い棒を当てて、
延長線を取り、その延長線上と外に作った四角の糸の交点に木の棒を立てます。
それを結べば、中で交点となる部分は柱の位置の木の棒になりますわ」
「なるほど・・その糸の交点に本当の柱を立てれば良いと」
「そうですわ。そうなるとやっと基礎工事に着手できますわ!
あっ!ダメですよ!掘った土はちゃんと盛って、おいてくださいねー
捨てたり、どっか持っていくのはダメですよー。埋め戻しますからねー」
「奥様・・・」
モートンは憧れの眼差しでキャンティを見ています。
「何でしょう?」
「あんな朝帰りを堂々とするトンチキ野郎と別れて、現場監督しませんか?」
「ウフフ・・面白そうですが、トンチキにはトンチキなりに
そのうち役に立ってもらいますわ」
「使い道はあるんですか?アスベスト並みの産業廃棄物ですよ?」
「まぁ!面白い事を仰るのね。ですがわたくしにとって伯爵様はPCB。
安定器として使えるうちは役に立ってもらいますわ。
不要になれば特別産廃ですからきちんと処理も致しますわ。オホホ」
ちょっと背筋が寒くなったモートン監督。
キャンティの作る小屋って、何をするんでしょうかね?
その前に屋敷の中に入って、戸棚に置いておいた紙を持ち出します。
職人さんの元にいき、その用紙を広げるキャンティ。
「皆様、よろしくお願いいたしますわ」
「こっちこそ、よろしく頼むわ!で?姉ちゃん、それは?」
「図面ですわ。とりあえず今日は基礎を作るためにこの深さに掘って頂きたいの」
図面を見る職人さん達。
「なるほどね。でも小屋程度なのに大げさじゃないか?」
「いいえ、何事も基礎、足元はしっかりするべきなのですわ」
「そりゃそうだ。上屋が立派でもグラグラじゃ話になんねぇからな」
すたすたと歩いて、井戸の周りを囲んでいる石積みの元に来ます。
「本当なら、もっとしっかりした物に取りたいのですが、こちらに
第一ベンチマークをお願いいたしますわ!
第二ベンチマークは建物の南東角に取ってくださいませ」
職人さんたちは言われるがままにベンチマークを取っていますね。
え?ベンチマークって何なの?・・・
ベンチマークというのはですね、建物を建てる時、正確な位置に
建てるためにほぼ動かないと思われるものに点を取って、
そこからの距離や高さを基準とするものですのよ。
道具がない時代なのでキャンティは2カ所をとっていますね。
「お姉ちゃんよぉ!深さはこのくらいでいいか?」
「んー膝くらいの高さまで仮堀をしてくださいませ。
その間にまずは基準となる高さを取りましょう」
そういうと木の棒をトントンと数カ所に打ち込みます。
木の棒と棒の間に解体現場から持ってきてもらった軒樋を渡します。
「ここに水を張ってくださいませ!」
何をしているんだ?っと職人さんが集まってきます。
よく見ると外壁を洗浄している班の職人さんもいますよ。あれ?モートンさんも。
「傾いていると、水は下の方に流れますから水面が水平になるよう
低い方に平らな石などを敷いて調整をしてくださいませ。
そして・・このように水平になると次の棒まで・・同じように繰り返し
棒を立てて水平を取って、水面面の位置にこうやって木に印をつけてくださいませ」
「ほぉ・・なるほど」
「で、井戸に付けたマークからこの木までの距離は7mですから、
糸の長さを7mにして先端を持ってこうやって動くと・・・
先程のマークが円の中心となって、
糸の端は円弧、7mの半径の円弧が出来ますから(ガンガンっ)
こうやって1本、円弧上に木の棒を打ち込みます(はぁっはぁっ)」
「ほぉお~」
「次に、別邸の南東角から11mですから、同じように・・します」
「へぇぇ」
「そうすると、先に井戸から取った7mの円弧とこの別邸からの
11mの円弧が交差する交点が出ます。ここが柱の位置です。
ここに棒を打ち込んでくださいませ!」
ガンガン!
「小屋は真四角ですから、角は90度となります。
角度の取り方は簡単ですわ。サンシゴの三角形を作りますの」
両手の親指と人差し指で三角形を作るキャンティ。
「直角三角形の、一番短い辺を3、垂直に下りる辺を4
斜辺を5とする三角形を作れば、直角三角形が出来ますの。
4の辺をぐいっと伸ばして妻側方向、家の短い面ですわね。
3.5mを取ったら
次はその点に同じようにサンシゴの三角形を取って、
桁行方向、家の長い面ですわ。5mを取り、また4の辺を伸ばす。
また同じようにサンシゴで最初のこの木の棒にあえば、
1つの角が90度の長方形の位置取りが出来ますわ!
角になる部分が柱が立つ部分ですわ」
「へぇぇ・・おぉぉ~本当だ!3、4、5でピッタリ合う!!」
「でしょう?そしたら先程の水平面を決めたマーク。
このマークから・・そうですわね基礎の底は50cmとしましょう。
そのままにすると意味がないので砕石分で・・えーっと・・
10cm深く掘るので、この棒の先端のほうにマークを付けて
60cmの位置をマークしてくださいませ!」
職人さんが先端のほうに付けたマークから60cmの位置にマークをします。
キャンティは水平を取った木に付けたマークに、さっき60cmを取った
木の棒のマークの片方を合わせます。
「ここは下の60cmのマークまであと少し掘ってくださいませ。
それをこの柱と柱の間。そうですわね幅は40cmで掘ってください。
中央部分はそのままで。
掘りすぎたら、土を戻してくださいね」
「掘れたらどうするんですか?私はこういうの初めてです」
「掘れたら、川から持ってきてもらった石を敷き詰めて、
この大きな木の杭でトントンと叩いて押し込んでくださいませ」
「砕石を敷いて、叩いて均すんですか?」
「そうですよ。それが終わったら、この川砂、残った砕石、
そしてこの石灰岩を砕いて粉にしたもの、水を混ぜて、
石が隠れるくらいに敷きならして、1晩放置をしますの」
「だけど、穴を掘ったら柱の位置を折角取ったのにわからなくなりますよ!」
「では。先程の柱の位置の外側になるよう木の棒を打ち込んで
それぞれをこの水糸で結んでくださいませ」
「それも直角にとりますか?」
「いいえ?適当でいいですが、柱4本で作った長方形の外側に・・です
糸を張ったら、最初の4本の柱の2本に長い棒を当てて、
延長線を取り、その延長線上と外に作った四角の糸の交点に木の棒を立てます。
それを結べば、中で交点となる部分は柱の位置の木の棒になりますわ」
「なるほど・・その糸の交点に本当の柱を立てれば良いと」
「そうですわ。そうなるとやっと基礎工事に着手できますわ!
あっ!ダメですよ!掘った土はちゃんと盛って、おいてくださいねー
捨てたり、どっか持っていくのはダメですよー。埋め戻しますからねー」
「奥様・・・」
モートンは憧れの眼差しでキャンティを見ています。
「何でしょう?」
「あんな朝帰りを堂々とするトンチキ野郎と別れて、現場監督しませんか?」
「ウフフ・・面白そうですが、トンチキにはトンチキなりに
そのうち役に立ってもらいますわ」
「使い道はあるんですか?アスベスト並みの産業廃棄物ですよ?」
「まぁ!面白い事を仰るのね。ですがわたくしにとって伯爵様はPCB。
安定器として使えるうちは役に立ってもらいますわ。
不要になれば特別産廃ですからきちんと処理も致しますわ。オホホ」
ちょっと背筋が寒くなったモートン監督。
キャンティの作る小屋って、何をするんでしょうかね?
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