辺境伯のお嫁様

cyaru

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散策と銘打って似非迷子作戦 ~二度寝は危険~

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さて、本日は散策です。
相変わらず監視の方は3人がついてきておりますね。
ですが、今日は遠慮なくズンズン行かせてもらいますよ。

北東にある川の方にわたくしは向かっております。
えぇ、今日、明日は散策と先にスチュワートさんに言っておりますからね。
ここだけの話、今晩は野宿するつもりでおりますのよ。

季節は初夏ですから当然虫もどやぁ~ってくらいいますけれど
虫からすれば、突然のお邪魔虫はわたくしですもの。気にしませんわ。

さて、スチュワートさんが来たので出発が遅れてしまいましたが、
14時。遅い昼食ですが前回のアロエの付近で昼食を取ります。
よっコラショと、破れたシーツを使って

じゃじゃーん~ 簡易ふろしきぃ~♪

に包んで小型の鍋とか持ってきましたよ。
濡れていない落ち葉や枯れ枝を集めますが、草木も息吹く季節ですから
どれもこれも水分の保有量が多いですねぇ。

ちなみにわたくしの計画は、この辺りで野宿をすると見せかけます。
寝たかなーって頃に交代されているようですから、
その時を狙ってこっそりと別の場所に移動する予定です。
だって・・・お肉食べたいじゃない?
そりゃ、ウッホッホ~ヤッホッホ~って槍っぽいのを持って
デスラビットとか追いかける事は出来ますけどね。
余りにも非効率ですもの。
それに仕留めてからどれだけ早くした処理をするかで美味しさが違いますから。

木を利用してテントという名のシーツを引っ掛けます。
一応、移動する時はこのままテントは置いていきます。
「あれ?いないぞ?」ってのが目的ですわ。
目印になるモノがあれば、まずそこを確かめますから
数分であっても時間は稼ぎたいのですよ。

焚火でライムギパンをあぶりながら、キュウリを齧ります。
あぁ・・カブトムシってこんな感覚なのかしら?

寝転がって空を見上げます。とても気持ちが良いですわ。
思わずウトウトしてしまいますが、いけませんね。ここで寝てはダメです。
あれ?夜中に移動を考えたら寝たほうがいいのかしら?
じゃ、10分だけ・・・ZZZZ

*****************************************************

「キャス、また1人で火魔法をつかったね?」
「ごめんなさい」
「使うのはいいんだけど、火傷をしないようにしないと!」
「はい。ごめんなさい」

幼き日のわたくしですわ。あぁ懐かしい。魔法の師匠であるエンド爺ですわね
そうそう、何度も火傷をしながら練習をしましたわ

「キャス、また1人で水魔法をつかったね?」
「ごめんなさい」
「下手すると溺死するからダメだと言っただろう?」
「だって、潜水すると意識が飛んで面白くて・・」
「それは違う世界に逝きかけてるだけだ!」
「はい。ごめんなさい」

あぁ、そうね。長く息を止めてるとトランス状態になってたのを
気持ちいいって勘違いしてたのよね。

「キャス、何度言ったらわかるんだ。風魔法はだめだと言ったろう?」
「だって・・この頃お日様がでないから」
「だからと言ってケインさんのカツラを取っちゃダメだ」
「取ったんじゃない!飛ばしたの!」
「飛ばしたって・・その後で何をしたかわかってるのか?」
「ケインさんの頭を発光させた・・だけ・・」
「いいか?ハゲと水虫は誰にもバレたくないんだ」
「え?水虫?どんな虫?」
「あー・・いやそれは今度だ!とにかくケインさんには何もするな」
「はい、ごめんなさい」

そんな事もあったわね・・だってほぼズレてるところが
お日様に当たるとテカってたんだもの。
お日様の代わりになると思っちゃったのよ。

***********************************************

ふあぁぁ~何分経ったかしら?
でももうひと眠り・・あぁ・・危険だわ・・二度寝は危険・・ウトウト

「兄さま、この扉グラグラしてる」
「そうだなぁ、まっすぐならないなぁ」
「ねぇ、ここにつっかいぼうをしたらいいんじゃないかな?」
「こ・・こうか?」
「そうそう!あーもうちょっと右、右~ハイおっけぇ!」

ウフフ・・それで兄さまと小屋に閉じ込められちゃったのよね。
で、兄さまが泣いちゃって・・。
でも反対側のドアは鍵がなくて開いたのよね


「ティナ、今日は兄さまが絵本を読んでやろう」
「え?本当に?」
「あぁ!なんでも読んでやるぞ、だから良い子で昼寝するんだ」
「じゃぁ、これ!」
「え?・・・これって・・」
「シャトレ夫人の自然哲学の数学的諸原理だよ?」
「どう考えても昼寝用に読み聞かせする本じゃないだろう?」

フフッ・・でも無理言って読んでもらったら、
兄さまの方が先に寝ちゃったのよね。


「ティナ!今日は昔話を聞かせてやろう!」
「うわーい!何のお話かなぁ?」
「遠い東の国にあるジャッポーネの話だ」
「昔々、キジとサルとイヌを家来にした桃太郎は・・」
「え?なんでグリズリーとかワイバーンとかじゃないの?」
「黍団子を食べないからじゃないかな?それにいう事聞くやつじゃないだろう?」
「ふーん・・・隷属契約とか、肉団子にすればいいのに」
「ま、いいだろう。で、鬼ヶ島に鬼退治に行きました」
「え?宣戦布告なしに奇襲攻撃なの?」
「まぁ・・宣戦布告すると対策を取られるからな」
「でもさぁ・・モモタは何もされてないんでしょ?酷くない?それ侵略だよ?」
「そ、そうだな・・次は別の話を覚えてくるよ」
「兄さま、正攻法で行くやつでお願いね」

プッ・・この後ウラシーマのお話は無銭飲食じゃないのかとか
フラワー爺さんは気象庁の開花宣言をどう考えてるのかって
兄さまを困らせたのよね。

***********************************************

ふあぁぁ~何分経ったかしら?
わっ!いっけない!もう17時じゃないの!
やっぱり二度寝は危険だったわ。


予定を変更しなきゃ。でもいい感じに夜中に行動できそうだわ。
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