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予期せぬお客様
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ズルズル・・・はぁはぁ・・・よっこらしょ!
わたくしは捨てておくには余りにも惜しいのでアロエを抱えて数歩歩き、
一旦下ろしてまた抱えて数歩。
ちょっとは手を貸しなさいよぉ!
と心で叫びつつ戻って参りました。
鉢はずっと探しましたがこの別宅にはなかったので
畝の近くに穴を掘って植え替えます。
本当はここで土魔法をかけたいのですが、監視の方に見つかるので
こそっと水に魔法をかけて、水やりをします。
この程度なら微弱な生活魔法なので平民の方も使えるものですから大丈夫でしょう。
皆様の世界で言うならば、大きくなあれとか言いながら
水やりをするような感じです。
アロエをしゃがんで眺めて、葉っぱを触ります。
うーん♪いい感じにブ厚い葉っぱですわ。
ますますミルクが欲しくなります!
しかし、スチュワートさんが来て、本題のついでにミルクを頼むと
そのミルク代で後々難癖付けられるのも面倒です。
ここは完全自給自足で頑張りたいですが・・・
はっ!っと気が付きました。
素知らぬふりで、監視者の方を見つけてみるというのはどうでしょうか?
そうよ!そうだわ。
この人誰~!キャー!怖~い!タスケテ~みたいにすれば
監視者は・・いなくならないわよね。多分。
更に能力の高い監視者を付けられるだけだわ。残念だわ。
ふと振り返ると、玄関に誰かいるようです。
あれは・・・アンネさん??
アンネさんは私に気が付かないようで、玄関横の窓から家の中を覗いています。
もう!あれこそ不審者だわ!監視の人も何とかしなさいよ!
っと思いつつ、何もしないだろうなぁと諦めてアンネさんに声をかけてみましょう。
「あら、アンネ様、どうされましたの?」
わたくしの声に、飛び上がらんばかりに驚くアンネさん。
いやいや・・人ン家覗いてて、見つかったら驚くってまんまドロボーじゃん。
「お、奥様!」
「何か御用ですの?野菜はもう届かないと思いますが・・」
「いえ・・・あの・・」
何か言いにくそうですね。どうしたんでしょう?
まさか!腐った野菜の汁を瓶詰してきましたー!っとか?要りませんよ?
変なお土産がない事を期待しつつ、テラス席にアンネさんを促します。
「どうぞ、お座りください」
あれ?アンネさん・・・立ったままで座ってくれませんね。
あぁ・・そうか。わたくし嫌われてるから、ハンカチなども置いてない椅子には
座れませんよ!って事なのですね。
「あら?わたくし、気が付きませんで・・少々お待ちくださいませ」
「え・・いえ・・あの・・」
どもるアンネさんをスルーして家の中から、清潔なタオルを1枚。
テラス席でアンネさんの椅子を綺麗に拭きます。
「おっ!奥様!そのような事を!」
またまた~。待ってたんでしょう?
ごめんなさいね。おひとり様生活だからそんなの気にすることも
忘れちゃってましたし・・来られるなんて知りませんもの。
知っていたら、散策にも行かずに家にいましたわよ!
「どうぞ、あまり綺麗にはならなかったですが、座るには問題ないかと」
「いえ、申し訳ございません。このような事までして頂き・・」
いや、座って言っても立ってたのアンネさんだし。
「で、どうされました?何か御用でしょうか?」
「奥様・・・わたくし奥様に謝罪をしようと思い、突然申し訳ありません」
「謝罪?なんの謝罪です?」
「あの野菜の事です。このような事になるなどと考えもしないで・・」
「このような事とは?わたくし、伯爵様には言わないようにと言いましたが?」
「いえ、旦那様はご存じありません。ですが・・」
「スチュワート様ですか?」
「いえ・・調理長などからです」
うーん、まぁ、それは怒られるよね。調理長さんは市場まで行ってくれてたようだし
選んだ野菜をどうされたのかと思えば、食材を扱う人間としては当然よね。
「そうですか・・調理長さんにお会いできればお話もするのですが」
「いえ!違うのです。実は・・」
アンネさんの話によると、わたくしの事を皆様快くは思ってないようですわね。
それは仕方ないのですが、それでも公私混同はダメという調理長派と
公私混同して私情で動く女中頭派。そうなりますわよね。
だ・け・ど!
このアンネさん、口だけのようですわね。
伯爵様と同じくくりでいいかしら?頭、悪すぎない?
「で、野菜はもう不要との事ですがアンネは謝罪していたと
スチュワート様や調理長、屋敷の皆に奥様の口からも強く言って頂きたいのです」
つまり・・今のままでは自分だけが悪者ですよと?
謝罪はしたんですから、それをわたくしから皆に広めてほしいと?
そこに、わたくしの意思は不要とも聞こえるのですけど?
「アンネ様。調理長さんに取りなしてほしいと仰るのでしたら
調理長さんをここにお連れくださいませ。その時に、他の方は不要です。
他の方を味方にしたり敵にする気は全くありませんし、
わざわざ言う必要もないと考えます」
「しかし!それではわたくしの立場がないのですッ!」
「アンネ様?それはどういう意味ですかしら?」
「ですから!わたくしの立場が本邸で無くなってしまいますッ!」
「立場がなくなる・・ですか。
では、きちんと何があったかを順序よく確認いたしましょう」
わたくしは、監視者のかたに聞こえるようワザと声を張りましたわ。
「間違いがありましたら、仰ってくださいませ」
「はい。わかりました」
「伯爵家にわたくしが来た時、出迎えはスチュワート様と
カバン持ちの使用人の男性が1人でした」
「はい。間違いございません」
「伯爵様に許可を頂き、わたくしはこの別宅で一人で済むようになり、
別宅には侍女も従者も付けていない」
「はい、間違いございません」
「別宅には1週間もしくは2週間ごとに食材を届けてもらっていましたが
先日、家令のスチュワート様に内容が知られることになった」
「はい、申し訳ございません」
「内容を確認されられたのは、アンネ様と料理長さんで、
調理長さんは自分の知っている内容と違うと否定されましたが
アンネ様は、ご自分の過ちを認められた」
「はい、間違いございません」
「スチュワート様は、伯爵様に報告すると言いましたが、
わたくしは困っていないので報告は不要と言った」
「はい、間違いございません」
「だけれども、本邸に戻るとアンネ様の立場が怪しくなったので、
本邸にわたくしが出向き、みんなにアンネ様は悪くないと言ってほしい」
「あ、い、いえ・・悪い事はわかっているのです」
「では、立場が悪くなっているのをわたくしにどうしろと?」
「・・・・・」
「アンネ様、わたくしには人事権はないのです。
そして、人の噂や感情を、こうしなさい、あぁしなさいと
指示する事などは出来ないのです」
キッっとわたくしにキツイ目をされるアンネさん。
あぁ・・やっと本音が出そうです。ほれ!言っちゃえ!言っちゃいな!
「帝都からの流れ者のくせにっ!帝都では男漁りばかりで追い出されたくせにっ!
野菜程度の事でスチュワート様に言いつけて!この悪女が!売女!
伯爵様にもどうせその体で迫ったんだろうがっ!
ふんっ!転がり込んだはいいものの相手にもされず、捨て置かれてる分際でッ!
伯爵領から出ていけ!」
あらまぁ・・いいたい放題ですわね。
ですが、ここで怒っては意味がありません。
「少々間違いがございますわ」
「間違っているだってッ??」
「えぇ・・まず・・噂については言った方が判りませんので
どういう意図でと真意を問う事は出来ません。
伯爵様との事は皇帝陛下の命令ですので、逆らう事は出来ませんでしたわ。
そして、伯爵様とわたくしは、わたくしがここに来るまで
お会いしたことも、文を交わしたことも、絵姿を見たこともございませんわ
声どころか、お顔も知らない方を篭絡することは、難しいですわね。
それに言ったはずですが聞こえていませんでしたか?
わたくしは、困った事があれば相談はするが、困ってないので
相談どころか、連絡もしていない・・と。
スチュワート様にお聞きくださいな。わたくしが呼びつけたかどうかは
すぐにはっきりする事です」
「えっ?・・・そんな・・皇帝陛下の命令?そんなの聞いてない」
「ウフフ・・それはそうでしょう。
侯爵家のわたくしでさえ、皇帝陛下とお会いしたのは3回のみ。
この地に嫁ぐことは、侯爵である父からわたくしも聞かされた事ですわ。
辺境伯爵領で女中頭をされているアンネさんが会う事はないでしょうしね」
そういうと、年代に似つかわしくないダッシュをかまして
走り去ったアンネさん。
一言いいかしら?
年齢を考えない走りをすると、転んでケガをしますわよ?
もう、10代、20代の運動神経ではないんですから。ウフフフ。
わたくしは捨てておくには余りにも惜しいのでアロエを抱えて数歩歩き、
一旦下ろしてまた抱えて数歩。
ちょっとは手を貸しなさいよぉ!
と心で叫びつつ戻って参りました。
鉢はずっと探しましたがこの別宅にはなかったので
畝の近くに穴を掘って植え替えます。
本当はここで土魔法をかけたいのですが、監視の方に見つかるので
こそっと水に魔法をかけて、水やりをします。
この程度なら微弱な生活魔法なので平民の方も使えるものですから大丈夫でしょう。
皆様の世界で言うならば、大きくなあれとか言いながら
水やりをするような感じです。
アロエをしゃがんで眺めて、葉っぱを触ります。
うーん♪いい感じにブ厚い葉っぱですわ。
ますますミルクが欲しくなります!
しかし、スチュワートさんが来て、本題のついでにミルクを頼むと
そのミルク代で後々難癖付けられるのも面倒です。
ここは完全自給自足で頑張りたいですが・・・
はっ!っと気が付きました。
素知らぬふりで、監視者の方を見つけてみるというのはどうでしょうか?
そうよ!そうだわ。
この人誰~!キャー!怖~い!タスケテ~みたいにすれば
監視者は・・いなくならないわよね。多分。
更に能力の高い監視者を付けられるだけだわ。残念だわ。
ふと振り返ると、玄関に誰かいるようです。
あれは・・・アンネさん??
アンネさんは私に気が付かないようで、玄関横の窓から家の中を覗いています。
もう!あれこそ不審者だわ!監視の人も何とかしなさいよ!
っと思いつつ、何もしないだろうなぁと諦めてアンネさんに声をかけてみましょう。
「あら、アンネ様、どうされましたの?」
わたくしの声に、飛び上がらんばかりに驚くアンネさん。
いやいや・・人ン家覗いてて、見つかったら驚くってまんまドロボーじゃん。
「お、奥様!」
「何か御用ですの?野菜はもう届かないと思いますが・・」
「いえ・・・あの・・」
何か言いにくそうですね。どうしたんでしょう?
まさか!腐った野菜の汁を瓶詰してきましたー!っとか?要りませんよ?
変なお土産がない事を期待しつつ、テラス席にアンネさんを促します。
「どうぞ、お座りください」
あれ?アンネさん・・・立ったままで座ってくれませんね。
あぁ・・そうか。わたくし嫌われてるから、ハンカチなども置いてない椅子には
座れませんよ!って事なのですね。
「あら?わたくし、気が付きませんで・・少々お待ちくださいませ」
「え・・いえ・・あの・・」
どもるアンネさんをスルーして家の中から、清潔なタオルを1枚。
テラス席でアンネさんの椅子を綺麗に拭きます。
「おっ!奥様!そのような事を!」
またまた~。待ってたんでしょう?
ごめんなさいね。おひとり様生活だからそんなの気にすることも
忘れちゃってましたし・・来られるなんて知りませんもの。
知っていたら、散策にも行かずに家にいましたわよ!
「どうぞ、あまり綺麗にはならなかったですが、座るには問題ないかと」
「いえ、申し訳ございません。このような事までして頂き・・」
いや、座って言っても立ってたのアンネさんだし。
「で、どうされました?何か御用でしょうか?」
「奥様・・・わたくし奥様に謝罪をしようと思い、突然申し訳ありません」
「謝罪?なんの謝罪です?」
「あの野菜の事です。このような事になるなどと考えもしないで・・」
「このような事とは?わたくし、伯爵様には言わないようにと言いましたが?」
「いえ、旦那様はご存じありません。ですが・・」
「スチュワート様ですか?」
「いえ・・調理長などからです」
うーん、まぁ、それは怒られるよね。調理長さんは市場まで行ってくれてたようだし
選んだ野菜をどうされたのかと思えば、食材を扱う人間としては当然よね。
「そうですか・・調理長さんにお会いできればお話もするのですが」
「いえ!違うのです。実は・・」
アンネさんの話によると、わたくしの事を皆様快くは思ってないようですわね。
それは仕方ないのですが、それでも公私混同はダメという調理長派と
公私混同して私情で動く女中頭派。そうなりますわよね。
だ・け・ど!
このアンネさん、口だけのようですわね。
伯爵様と同じくくりでいいかしら?頭、悪すぎない?
「で、野菜はもう不要との事ですがアンネは謝罪していたと
スチュワート様や調理長、屋敷の皆に奥様の口からも強く言って頂きたいのです」
つまり・・今のままでは自分だけが悪者ですよと?
謝罪はしたんですから、それをわたくしから皆に広めてほしいと?
そこに、わたくしの意思は不要とも聞こえるのですけど?
「アンネ様。調理長さんに取りなしてほしいと仰るのでしたら
調理長さんをここにお連れくださいませ。その時に、他の方は不要です。
他の方を味方にしたり敵にする気は全くありませんし、
わざわざ言う必要もないと考えます」
「しかし!それではわたくしの立場がないのですッ!」
「アンネ様?それはどういう意味ですかしら?」
「ですから!わたくしの立場が本邸で無くなってしまいますッ!」
「立場がなくなる・・ですか。
では、きちんと何があったかを順序よく確認いたしましょう」
わたくしは、監視者のかたに聞こえるようワザと声を張りましたわ。
「間違いがありましたら、仰ってくださいませ」
「はい。わかりました」
「伯爵家にわたくしが来た時、出迎えはスチュワート様と
カバン持ちの使用人の男性が1人でした」
「はい。間違いございません」
「伯爵様に許可を頂き、わたくしはこの別宅で一人で済むようになり、
別宅には侍女も従者も付けていない」
「はい、間違いございません」
「別宅には1週間もしくは2週間ごとに食材を届けてもらっていましたが
先日、家令のスチュワート様に内容が知られることになった」
「はい、申し訳ございません」
「内容を確認されられたのは、アンネ様と料理長さんで、
調理長さんは自分の知っている内容と違うと否定されましたが
アンネ様は、ご自分の過ちを認められた」
「はい、間違いございません」
「スチュワート様は、伯爵様に報告すると言いましたが、
わたくしは困っていないので報告は不要と言った」
「はい、間違いございません」
「だけれども、本邸に戻るとアンネ様の立場が怪しくなったので、
本邸にわたくしが出向き、みんなにアンネ様は悪くないと言ってほしい」
「あ、い、いえ・・悪い事はわかっているのです」
「では、立場が悪くなっているのをわたくしにどうしろと?」
「・・・・・」
「アンネ様、わたくしには人事権はないのです。
そして、人の噂や感情を、こうしなさい、あぁしなさいと
指示する事などは出来ないのです」
キッっとわたくしにキツイ目をされるアンネさん。
あぁ・・やっと本音が出そうです。ほれ!言っちゃえ!言っちゃいな!
「帝都からの流れ者のくせにっ!帝都では男漁りばかりで追い出されたくせにっ!
野菜程度の事でスチュワート様に言いつけて!この悪女が!売女!
伯爵様にもどうせその体で迫ったんだろうがっ!
ふんっ!転がり込んだはいいものの相手にもされず、捨て置かれてる分際でッ!
伯爵領から出ていけ!」
あらまぁ・・いいたい放題ですわね。
ですが、ここで怒っては意味がありません。
「少々間違いがございますわ」
「間違っているだってッ??」
「えぇ・・まず・・噂については言った方が判りませんので
どういう意図でと真意を問う事は出来ません。
伯爵様との事は皇帝陛下の命令ですので、逆らう事は出来ませんでしたわ。
そして、伯爵様とわたくしは、わたくしがここに来るまで
お会いしたことも、文を交わしたことも、絵姿を見たこともございませんわ
声どころか、お顔も知らない方を篭絡することは、難しいですわね。
それに言ったはずですが聞こえていませんでしたか?
わたくしは、困った事があれば相談はするが、困ってないので
相談どころか、連絡もしていない・・と。
スチュワート様にお聞きくださいな。わたくしが呼びつけたかどうかは
すぐにはっきりする事です」
「えっ?・・・そんな・・皇帝陛下の命令?そんなの聞いてない」
「ウフフ・・それはそうでしょう。
侯爵家のわたくしでさえ、皇帝陛下とお会いしたのは3回のみ。
この地に嫁ぐことは、侯爵である父からわたくしも聞かされた事ですわ。
辺境伯爵領で女中頭をされているアンネさんが会う事はないでしょうしね」
そういうと、年代に似つかわしくないダッシュをかまして
走り去ったアンネさん。
一言いいかしら?
年齢を考えない走りをすると、転んでケガをしますわよ?
もう、10代、20代の運動神経ではないんですから。ウフフフ。
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