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製造元が違っても
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「マ、マードレイン殿下っ」
不敵な笑みを浮かべるマードレイン。
何故かリズリーにのみワインのグラスを差し出す。
あれ?僕のはないの?パトリックは図々しいのだ。
「メッシュ公爵子息、私に紹介はしてくれないのかな?」
「いえ、滅相も御座いません。こちらは私の妻でリズリーと申します」
「おや?彼女はカルテの番号と同じだったか?」
「殿下…まだ19人も嫁は貰っておりません」
「ふむ…では小人の数と同じだったかな?」
「ハイホーハイホーで7人も到達しておりませんっ!」
「だが、この国でお前ほど妻をとっかえひっかえする奴はおらんからな」
「うっ…」
反論できないパトリック。齢30にして5人目の妻。
一夫一妻の国でもここまでとなると珍しい部類に入るのだ。
人はそれを珍種という。間違ってはいけない。パトリック残念過ぎる事に妻に対しての珍行為は行っていないのだ。
恋人だったリリシアとは関係があったが、ある日突然機能しなくなったのだ。
以来、股間にぶら下がり健康器状態となったパトリックの俺様は出番がない。
パトリックの顔色はもはやタラン将軍を上回った。
青を通りこして緑である。
このままではベム●ーゼ君のように【君のお葬式は何宗かね?】と全く違う星雲にある惑星なのに一切を超越したスケールのデカさで、デスラ●総統に葬式の事前予約をされてしまいそうである。
世の中で、人によっては【入院の予約】が可能な特権階級は存在するが、【葬式の事前予約】は難しいのだ。もしあればほとんどが当日キャンセル料を取られてしまうだろう。
リズリーはパトリックの玉のような汗に【低血糖症状】を疑ってしまった。
――いけない!甘いものを食べさせなくては!――
ハッキリ言っておこう。パトリックはそのような診断を受けた事はない。
リズリーの早とちり&勘違いである。
リズリーは手にしたバッグの中からキャンディのようなものを取りだした。
手にしたパッケージを見て王弟マードレインは硬直した。
「そ…それは…黄●糖ではないか!」
「違います!純●で御座います!」
そう。よく似ているが【黄金●】と【●露】は違う。
製造メーカーも違うが、底にあるくぼみも深さが若干違うのだ。
リズリーも【黄色い方】だけなら【黄金●】をチョイスする事が多い。
だが!【●露】には紅茶味が数個混じっているのだ。
売り場で散々悩んで、パトリックとの違いを演出するために本日のバッグに忍ばせたのは【●露】なのだった。勿論、紅茶味は1つのパッケージに入っている数が少ないのでリズリー用である。パトリックにはやらない。
会社となったのは昭和25年!なんと建築基準法と同い年!だがしかし!【黄金●】は大正時代から愛されているのだ。
【純●】は昭和46年である。
どちらもニャッポン国民に愛される宝石のようなお菓子なのだ。
「甘い‥‥美味しい…」
「パトリック様、お顔の色がガイデル提督にまで戻りましたわ。もう安心ですわね」
「いや、総統に手を出すなと言われてるのにやっちゃった人だから‥嬉しくない」
「散々やらかした人のセリフとは思えませんわ」
呆れたようなリズリーの声にハッとなるパトリック。
リズリーの手を掴むと、捨てられた仔犬のように【きゅぅぅん】っと鳴いた。
「棄てないで…生き物を棄てるのダメ・絶対」
小さく呟くパトリックにリズリーは完全主導権を母シエナに握られて手のひらで転がされまくっている父のダスティンの姿が重なった。リズリーの製造元はシエナとダスティンではない。
だが!シエナはちゃんと2人の娘だった事を再認識したのだった。
恋はどこに落ちているかわからない。
養母なのにシエナの影響なのだろうか。ダメな男を見ると叩き直したくなるリズリー。
決して「この人は私がいないとダメなの」的なヒモを甘やかすものではない。
【亭主元気で留守がいい】――ピンポン!
【24時間戦えますか】―――ピンポン!
【私はコレ(小指)で会社を辞めました】――ドリャ~!!
「解りました。パトリック様。わたくしが立派な辺境の領主にしてみせますわ」
「リズリーッ♡」
ゴトリ…いや違った。 パリーン!
王弟マードレインの手にしていたグラスが落ちた。
「お前たちの見せたものはなんだ‥‥」
わなわなと震える王弟マードレイン。
「私は未だに横恋慕していたことが恥ずかしい。人妻シリーズのエロビ収集に明け暮れる兄に比べれば私の心は、私の心は、遙かに秘境と揶揄される辺境の君たちに近い」
リズリーは立ち上がった。特に気にも留めていなかったのでパトリックの頭がゴン!っと床に当たった音がする。しかし気にしない。
「殿下!お言葉では御座いますが…」
「なんだ」
【秘境じゃないのよ!辺境は!ハッハァ~♪】
シェーのポーズになる王弟マードレイン。
しかしやはり王族。リカバリーは早い。スマホの再起動時、SIMの説明画面のような長さはない。
「パトリック。良い嫁を貰ったようだな。リズリー嬢。いずれ時が来れば貴女の力になろう。いつでも声をかけてくれ。さらばだ」
王族特有の表は黒、裏地は赤なマントを翻し、王弟マードレインは立ち去った。
不敵な笑みを浮かべるマードレイン。
何故かリズリーにのみワインのグラスを差し出す。
あれ?僕のはないの?パトリックは図々しいのだ。
「メッシュ公爵子息、私に紹介はしてくれないのかな?」
「いえ、滅相も御座いません。こちらは私の妻でリズリーと申します」
「おや?彼女はカルテの番号と同じだったか?」
「殿下…まだ19人も嫁は貰っておりません」
「ふむ…では小人の数と同じだったかな?」
「ハイホーハイホーで7人も到達しておりませんっ!」
「だが、この国でお前ほど妻をとっかえひっかえする奴はおらんからな」
「うっ…」
反論できないパトリック。齢30にして5人目の妻。
一夫一妻の国でもここまでとなると珍しい部類に入るのだ。
人はそれを珍種という。間違ってはいけない。パトリック残念過ぎる事に妻に対しての珍行為は行っていないのだ。
恋人だったリリシアとは関係があったが、ある日突然機能しなくなったのだ。
以来、股間にぶら下がり健康器状態となったパトリックの俺様は出番がない。
パトリックの顔色はもはやタラン将軍を上回った。
青を通りこして緑である。
このままではベム●ーゼ君のように【君のお葬式は何宗かね?】と全く違う星雲にある惑星なのに一切を超越したスケールのデカさで、デスラ●総統に葬式の事前予約をされてしまいそうである。
世の中で、人によっては【入院の予約】が可能な特権階級は存在するが、【葬式の事前予約】は難しいのだ。もしあればほとんどが当日キャンセル料を取られてしまうだろう。
リズリーはパトリックの玉のような汗に【低血糖症状】を疑ってしまった。
――いけない!甘いものを食べさせなくては!――
ハッキリ言っておこう。パトリックはそのような診断を受けた事はない。
リズリーの早とちり&勘違いである。
リズリーは手にしたバッグの中からキャンディのようなものを取りだした。
手にしたパッケージを見て王弟マードレインは硬直した。
「そ…それは…黄●糖ではないか!」
「違います!純●で御座います!」
そう。よく似ているが【黄金●】と【●露】は違う。
製造メーカーも違うが、底にあるくぼみも深さが若干違うのだ。
リズリーも【黄色い方】だけなら【黄金●】をチョイスする事が多い。
だが!【●露】には紅茶味が数個混じっているのだ。
売り場で散々悩んで、パトリックとの違いを演出するために本日のバッグに忍ばせたのは【●露】なのだった。勿論、紅茶味は1つのパッケージに入っている数が少ないのでリズリー用である。パトリックにはやらない。
会社となったのは昭和25年!なんと建築基準法と同い年!だがしかし!【黄金●】は大正時代から愛されているのだ。
【純●】は昭和46年である。
どちらもニャッポン国民に愛される宝石のようなお菓子なのだ。
「甘い‥‥美味しい…」
「パトリック様、お顔の色がガイデル提督にまで戻りましたわ。もう安心ですわね」
「いや、総統に手を出すなと言われてるのにやっちゃった人だから‥嬉しくない」
「散々やらかした人のセリフとは思えませんわ」
呆れたようなリズリーの声にハッとなるパトリック。
リズリーの手を掴むと、捨てられた仔犬のように【きゅぅぅん】っと鳴いた。
「棄てないで…生き物を棄てるのダメ・絶対」
小さく呟くパトリックにリズリーは完全主導権を母シエナに握られて手のひらで転がされまくっている父のダスティンの姿が重なった。リズリーの製造元はシエナとダスティンではない。
だが!シエナはちゃんと2人の娘だった事を再認識したのだった。
恋はどこに落ちているかわからない。
養母なのにシエナの影響なのだろうか。ダメな男を見ると叩き直したくなるリズリー。
決して「この人は私がいないとダメなの」的なヒモを甘やかすものではない。
【亭主元気で留守がいい】――ピンポン!
【24時間戦えますか】―――ピンポン!
【私はコレ(小指)で会社を辞めました】――ドリャ~!!
「解りました。パトリック様。わたくしが立派な辺境の領主にしてみせますわ」
「リズリーッ♡」
ゴトリ…いや違った。 パリーン!
王弟マードレインの手にしていたグラスが落ちた。
「お前たちの見せたものはなんだ‥‥」
わなわなと震える王弟マードレイン。
「私は未だに横恋慕していたことが恥ずかしい。人妻シリーズのエロビ収集に明け暮れる兄に比べれば私の心は、私の心は、遙かに秘境と揶揄される辺境の君たちに近い」
リズリーは立ち上がった。特に気にも留めていなかったのでパトリックの頭がゴン!っと床に当たった音がする。しかし気にしない。
「殿下!お言葉では御座いますが…」
「なんだ」
【秘境じゃないのよ!辺境は!ハッハァ~♪】
シェーのポーズになる王弟マードレイン。
しかしやはり王族。リカバリーは早い。スマホの再起動時、SIMの説明画面のような長さはない。
「パトリック。良い嫁を貰ったようだな。リズリー嬢。いずれ時が来れば貴女の力になろう。いつでも声をかけてくれ。さらばだ」
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