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穏やかな日
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「殿下、良い事がありましたか」
ライドは終始なにか嬉しそうな王太子殿下に声をかけています。
王太子殿下は、窓の外を見て目元を下げています。
ちなみに王太子殿下は遠くの空をみておりますが、窓の外、下の方には中庭があります。
かつてライドがアマディラとキスをしていた中庭です。
ライドにはもう後悔と言う思い出しかない中庭で今、アマディラはライドではなく商会の事業が大当たりしたという噂のある子爵の嫡男とベットリくっ付いていますね。
「見つけたんだけどね…ヌ~の群れに邪魔をされてしまったよ」
少し肩をすくめる王太子殿下に長年の探し物がやっと見つかったのかと安堵するライド。
そこにギルとレイもやってきます。
「殿下、ご報告がございます」
学園内では丁寧な礼は不要なのですが、ギルは胸に手を当てて礼をします。
「どうしたんだい?」
「わたくし事でございますが、来年学園を卒業しましたら結婚する事が決まりました」
「やっと求婚の返事がでたようだね、おめでとう」
「ありがとうございます」
ギルは家同士の政略結婚と言っても不思議ではないご令嬢と婚約をしておりましたが、初の顔合わせでドギューンとキューピッドにハートを撃ち抜かれてしまい、婚約者の前ではデレてしまいます。
「ギルの甘々がさらに加速しそうだね。胸やけしない程度にしてくれ・・・っとなんだこの生温かいジメった空気は」
そこ言葉にギルとライドがレイの方を見ます。
「あ、申し訳ありません。ちょっとダダ洩れになってしまいました」
「どうしたんだい。レイ」
「いえ、まだ先の事なのですが、婚約をしようと思いまして」
<<こ、婚約ぅ??>>
「あ、まだ先です。両親に話をして‥‥その‥‥」
ポっと赤くなる今まで見た事もないようなレイに一同驚愕です。
「昨日…初めてデートと言うものを致しまして…その…手を…」
<<デート??手を??>>
男子生徒の間では【歩くブリザード】とも呼ばれているレイ。
堅物で女嫌いの代名詞とも言われたレイの仕草を見てさらに目が飛び出そうです。
「彼女に髪飾りをつけてあげまして‥‥ハハハ…惚気ですね」
<<全くだ!!>>
呆れ果てた王太子殿下は幼馴染でもあるレイの肩に手を置きます。
「で?幼馴染の僕にも内緒のご令嬢とは誰なんだい?」
「それが‥‥名前しか判らなくて。貴族だとは思うんですがそれ以外は調査中です」
<<はぁぁぁぁ??>>
「判った。名前はお披露目の時に聞くとしよう。おめでとうレイ」
「ありがとうございます」
生温かい風の原因がわかった面々はそれぞれ席に着席します。
中庭ではアマディラと子息令息がさらにイチャイチャ度を高めておりました。
☆~☆~☆~☆
領地に戻ったローゼ。
領民からの依頼が山盛りになっております。
お土産を配り、侍女2人を連れて教会にある小さな部屋でまず1人1人と面談をします。
「お嬢様、娘の相手を見て欲しいのです」
「えーっと…一応娘さんの名前は?」
「ローラと申します。ゼオルローライティア」
「お相手はここにいらしてるのかしら」
「はい、待合室におります」
「では、呼んできて。言っておくけど結果に憤慨したり後悔はしないでね」
カチャリと扉が開いて連れて来られるガタイの良い男性は堂々としております。
ちらりと男性を見てローゼはにっこりと笑います。
「安心して。この方はまだ‥‥ですわ。」
「えっ?誰とも?」
「えぇ。そうですわ。紛れもなく童貞君ですわ!」
目の前で隠していた真実を愛する彼女の父親の前で暴露された男性は顔面蒼白です。
しかし、依頼人の父親は男性の手をがっつり取ってブンブン振っています。
「ローラを大事にしてくれ!」
そうしてガバっと抱き着かれる男性。
そう、ローゼは結婚したい相手がいる!っと娘や息子が連れてきた相手を【身綺麗】なのか見ているのです。
性交をした事のない者にはクビにタグが付いていません。
性交を経験している者にはタグが付いており、そのタグには名前と日付が書かれています。
ただ見える真実だけを告げるのですが、良い事ばかりではありません。
身持ちの固い娘だと思っていたのに親の前で経験した男性の人数をブチまけられ、反論するとその日付まで暴露されてしまう始末。
中には、結婚すると言う当人同士がトンデモナイ数の経験を持っていて修羅場になった事も。
この日の依頼は皆結果オーライでした。
ちなみに、ローゼは教会で【白い結婚】であったかどうかの判定もします。
こちらも申請通りの事もありましたが、【夫とは白いだけ】の夫人もいたりして大変な騒ぎになった事も。
田舎の辺鄙な土地で細々と行い、帰る時には忘れずに【ダレダッケ】という加護で相手の記憶を操作します。
そうする事で、判定をした自分を思い出さないようにしているのです。
この加護、意外に誰も口にしません。
だって、タグがなければどんなにイキっていても【未経験者】という事ですし、タグにある名前が多ければ多いほど【身持ちの悪い者】【病気持ってるかも?】と敬遠されますからね。
本日の鑑定をおわったローゼ。神官さんと飲む梅昆布茶は癖になりますね。
そんな穏やか?な日々が過ぎ、特に代わり映えのない毎日のローゼ。
そして、学園を卒業した彼たち。
もう大人としての道を歩き始めます。
☆~☆
次回、いよいよ彼女と彼がご対面!!こうご期待!(誰もしてないよ!!)
ライドは終始なにか嬉しそうな王太子殿下に声をかけています。
王太子殿下は、窓の外を見て目元を下げています。
ちなみに王太子殿下は遠くの空をみておりますが、窓の外、下の方には中庭があります。
かつてライドがアマディラとキスをしていた中庭です。
ライドにはもう後悔と言う思い出しかない中庭で今、アマディラはライドではなく商会の事業が大当たりしたという噂のある子爵の嫡男とベットリくっ付いていますね。
「見つけたんだけどね…ヌ~の群れに邪魔をされてしまったよ」
少し肩をすくめる王太子殿下に長年の探し物がやっと見つかったのかと安堵するライド。
そこにギルとレイもやってきます。
「殿下、ご報告がございます」
学園内では丁寧な礼は不要なのですが、ギルは胸に手を当てて礼をします。
「どうしたんだい?」
「わたくし事でございますが、来年学園を卒業しましたら結婚する事が決まりました」
「やっと求婚の返事がでたようだね、おめでとう」
「ありがとうございます」
ギルは家同士の政略結婚と言っても不思議ではないご令嬢と婚約をしておりましたが、初の顔合わせでドギューンとキューピッドにハートを撃ち抜かれてしまい、婚約者の前ではデレてしまいます。
「ギルの甘々がさらに加速しそうだね。胸やけしない程度にしてくれ・・・っとなんだこの生温かいジメった空気は」
そこ言葉にギルとライドがレイの方を見ます。
「あ、申し訳ありません。ちょっとダダ洩れになってしまいました」
「どうしたんだい。レイ」
「いえ、まだ先の事なのですが、婚約をしようと思いまして」
<<こ、婚約ぅ??>>
「あ、まだ先です。両親に話をして‥‥その‥‥」
ポっと赤くなる今まで見た事もないようなレイに一同驚愕です。
「昨日…初めてデートと言うものを致しまして…その…手を…」
<<デート??手を??>>
男子生徒の間では【歩くブリザード】とも呼ばれているレイ。
堅物で女嫌いの代名詞とも言われたレイの仕草を見てさらに目が飛び出そうです。
「彼女に髪飾りをつけてあげまして‥‥ハハハ…惚気ですね」
<<全くだ!!>>
呆れ果てた王太子殿下は幼馴染でもあるレイの肩に手を置きます。
「で?幼馴染の僕にも内緒のご令嬢とは誰なんだい?」
「それが‥‥名前しか判らなくて。貴族だとは思うんですがそれ以外は調査中です」
<<はぁぁぁぁ??>>
「判った。名前はお披露目の時に聞くとしよう。おめでとうレイ」
「ありがとうございます」
生温かい風の原因がわかった面々はそれぞれ席に着席します。
中庭ではアマディラと子息令息がさらにイチャイチャ度を高めておりました。
☆~☆~☆~☆
領地に戻ったローゼ。
領民からの依頼が山盛りになっております。
お土産を配り、侍女2人を連れて教会にある小さな部屋でまず1人1人と面談をします。
「お嬢様、娘の相手を見て欲しいのです」
「えーっと…一応娘さんの名前は?」
「ローラと申します。ゼオルローライティア」
「お相手はここにいらしてるのかしら」
「はい、待合室におります」
「では、呼んできて。言っておくけど結果に憤慨したり後悔はしないでね」
カチャリと扉が開いて連れて来られるガタイの良い男性は堂々としております。
ちらりと男性を見てローゼはにっこりと笑います。
「安心して。この方はまだ‥‥ですわ。」
「えっ?誰とも?」
「えぇ。そうですわ。紛れもなく童貞君ですわ!」
目の前で隠していた真実を愛する彼女の父親の前で暴露された男性は顔面蒼白です。
しかし、依頼人の父親は男性の手をがっつり取ってブンブン振っています。
「ローラを大事にしてくれ!」
そうしてガバっと抱き着かれる男性。
そう、ローゼは結婚したい相手がいる!っと娘や息子が連れてきた相手を【身綺麗】なのか見ているのです。
性交をした事のない者にはクビにタグが付いていません。
性交を経験している者にはタグが付いており、そのタグには名前と日付が書かれています。
ただ見える真実だけを告げるのですが、良い事ばかりではありません。
身持ちの固い娘だと思っていたのに親の前で経験した男性の人数をブチまけられ、反論するとその日付まで暴露されてしまう始末。
中には、結婚すると言う当人同士がトンデモナイ数の経験を持っていて修羅場になった事も。
この日の依頼は皆結果オーライでした。
ちなみに、ローゼは教会で【白い結婚】であったかどうかの判定もします。
こちらも申請通りの事もありましたが、【夫とは白いだけ】の夫人もいたりして大変な騒ぎになった事も。
田舎の辺鄙な土地で細々と行い、帰る時には忘れずに【ダレダッケ】という加護で相手の記憶を操作します。
そうする事で、判定をした自分を思い出さないようにしているのです。
この加護、意外に誰も口にしません。
だって、タグがなければどんなにイキっていても【未経験者】という事ですし、タグにある名前が多ければ多いほど【身持ちの悪い者】【病気持ってるかも?】と敬遠されますからね。
本日の鑑定をおわったローゼ。神官さんと飲む梅昆布茶は癖になりますね。
そんな穏やか?な日々が過ぎ、特に代わり映えのない毎日のローゼ。
そして、学園を卒業した彼たち。
もう大人としての道を歩き始めます。
☆~☆
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