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♡△ヴィルトの脳内攻防
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『好きに使ってくれていい。足らないものがあればその辺を歩いている奴を捕まえて、俺に伝えろと言えばいい』
『ありがとうございます!』
『口調、マイナスポイントだな』
『こんな事も?!お礼ですよ?ヴィル様は誰かに謝る時も適当に言うんですか?』
『ヴィル。様は要らない。言葉は時と場合で使い分ければいいだろう』
『そんな事は先に言ってください!言わないと判らないでしょう!?』
ヴィル様は一瞬、鳩が豆鉄砲を食ったような顔を致しましたが、笑いだし部屋にある2人掛けのテーブルを手のひらを上にわたくしに座れと示すと、椅子を引き、わたくしが腰を下ろすと少し前に寄せてくださいます。
女性へのマナーは判っていらっしゃるようで、向かいに腰を下ろすと微笑まれています。
『言わないと判らない。確かにそうだな。10以上離れた子供に言わるとはな』
『子供じゃありません。王都を出る少し前に誕生日も来ましたからもう20歳。成人をしています。大人です。子ども扱いをしないでくださいっ』
『俺にしてみればお子様だ。やっと殻を割って出てきたヒヨコだ』
『ヒィ…ヒヨコォ?!』
『ピィピィ後ろをついてくるヒヨコだ。毎月14、15日はひよ子の日だ。今日は丁度15日だからツリピーの日だな』
『は?はぁぁぁ?そっそれは銘菓でしょう?!そっそれにツリピーって!』
なんて事なの。確かに美味しいけれど!ってそうじゃないですわ。
このままですと相手のペースに巻き込まれてしまいます。
『と、兎に角です。わたくしはもう成人している大人なんです。子ども扱いはやめてくださいませ』
『はいはい。妻の願いとあらば聞くしかないだろうが‥‥』
カタンと音がして小さなテーブルに身を乗り出すと、わたくしの顔の前にヴィル様の顔がヌっと現れました。後ろに反りそうになった頭を片手で押さえられ、距離を取る事が出来ません。
顔がどんどん近寄ってきて、わたくしはギュっと目を閉じてしまいました。
『麗しの我が妻‥‥っとこうやって男に迫られると怖いだろう?』
怖いです。確かに怖いです。なのでうんうんと何度か頷くとお互いの鼻先がコツンと当たってしまいました。
『わ、判ったなら…いいんだ』
そう言って後頭部から手を離し、どさりとまた座る音に目を開けると目の前に湯気?蜃気楼?ヴィル様から蒸気が出ているような気がいたします。錯覚でしょうか。
口元を手で塞いで横を向いているヴィオ様の顔も耳も赤くなっているようなのですが、気のせいでしょうか。
プシューっと音が聞こえてきそうなくらいに本当に赤くなっておられます。
『兎に角だ。口調は屋敷で俺とか使用人とか…まぁ領地でもだが領民には気安くしていい。改まった口調は嫌味に捉える者も多いんだ』
『そうなのですね…いえ、そうなんですね。判りました。ヴィル?』
『アグッ…』
『どうしたんで…いえ、どうしたの?ヴィル?』
『待て。ちょっとそれは破壊力が高い事に今、気が付いた』
『破壊力?どんな…』
『その呼び名がだな…ヴィルと言うのは不味かったな。人生で感じた事がないほどに動悸と拍動が早い』
『まぁ…それは大変です。すぐに横にならないと!まだ使っておりませんからわたくしの寝台まで歩けますか?手を貸したほうがいいかしら』
『そんな事をしたら止まらなくなるだろう』
『当たり前でしょう!?心臓が動きを止めたらそれこそ一大事です!』
『そっちじゃない…別の部分が止まらなくなる。それに今立ち上がるのは非常によろしくないと直感が訴えている』
『立ち上がる事すら出来ないって?!人を呼びますから待ってて』
『待てっ!この状態を他人に見せる事こそ一大事だ。誰も呼ぶな』
どうしたら良いのでしょうか。立ち上がる事も出来ないほどだと言うのに人を呼ぶなと。【ハッ!】もしやヴィル様は何か人に言えない、いえ、辺境伯様だからこそまだ露呈してはならない病を抱えられているのかも知れません。
国防の要と言われる辺境伯が不治の病だと知られれば、攻め込まれる事も考えられます。これは俗にいうトップシークレットなのでしょう。
何となく国王陛下が植物の研究をしても良いとわたくしをこの地に送り出した理由が判りました。妻としておけばこのヴィル様の病もわたくしが口外しない限り漏れる事はない。
今までの研究を生かし、この病を直せと言う勅命だったのでしょう。
『ヴィル様、お任せくださいまし。このツリピオニー身命を持ってお仕えさせて頂きますわ。そうとなればまずは寝台へ。医学の心得は多少は御座います。さぁわたくしに隠し事はしないでくださいね』
『待て、違うんだ。今、寝台に横になったら大変な事になる』
『何を言ってるんです。立ち上がる事も出来ず、横になる事も出来ないとなればもう末期症状ですっ。確かに医学科では学んでおりませんが、魔術と同様に薬学は学んでいますからなにがしかのお役に立てるとは思います』
先ほどとは立場が変わって、テーブル越しに身を乗り出しヴィルトにグイグイ顔を近づけるツリピオニーなのだった。
△ヴィルト視点
非常に不味い。俺としたことがいったいどうしたと言うんだ。
落ち着け。落ち着くんだ。相手は13歳も年下のご令嬢だ。今までカエル顔と言われ顔面の側面に目があるような俺は女性には見向きもされなかったじゃないか。
顔を見て特に表情を変えずに、なんなら一緒に馬に乗って蕾を食いたいと言う令嬢に俺は‥‥図に乗ってしまった。ブサメンが【俺の事はこう呼べ】なんて慣れない事に手を出すものじゃないと今は後悔の嵐に襲われている。
男は怖いんだぞと判らせようと思っただけだが、鼻先が触れた瞬間のあの衝撃で俺は目に火花が散った。その拍子に目線を下に向けると艶めかしい鎖骨と胸の谷間が視覚の全てを奪っていった。
ゴクリ。
喉仏が足先から頭頂部まで動いたかと思うほどに動いた。
全身の血液が一点集中してしまい、部分的に強烈な痛みを感じ咄嗟にしまった!と椅子に座った。
テーブルがあるから何とか隠している状態だが収まるまでどのくらいの時間が必要だろうか。
ベンチじゃなかった事に神に感謝を!
しかし、断っても断ってもグイグイくるツリピオニー。俺の逃げ場がない。
『まぁ…それは大変です。すぐに横にならないと!まだ使っておりませんからわたくしの寝台まで歩けますか?手を貸したほうがいいかしら』
待て!本当に今、寝台に横になったら俺は獣になってしまう自信しかない。
まだ昼の2時前だと言うのに、明日の朝、いやいやヘタすると体力が尽きるまで貪ってしまうかもしれない。女性は久しぶりなんてそんな安い感情じゃない。
娼館では感じた事がなかった【ただ出しとけばいい】なんてものじゃない感情が沸き上がってるんだ。
――頼むから!自制する時間をくれ!――
『立ち上がる事すら出来ないって?!人を呼びますから待ってて』
いやいや、待て。自分でもわかるんだ。こんなに怒張した経験はない。人生33年だが初めて【痛い】と感じるほどでちょっと余裕のあるトラウザーズを穿いていた事に感謝しているくらいだ。
討伐時のものだったら布が裂けているはずだ。
こんな状態を人に見られる…見られるのは一人だけにしておかないと、いい加減討伐で【辺境の猛獣】と二つ名を付けられているのに屋敷でも猛獣扱いされるではないか!
――頼むから!賢者になる時間をくれ!――
『ヴィル様、お任せくださいまし。このツリピオニー身命を持ってお仕えさせて頂きますわ。そうとなればまずは寝台へ。医学の心得は多少は御座います。さぁわたくしに隠し事はしないでくださいね』
良いのか?―――いかん!ダメだダメ、ダメ。絶対にダメ!相手は20歳になったばかりなんだぞ。壊してしまうのは間違いない。彼女の人生は長いんだ。フゥーフゥー…落ち着け。落ち着くんだ!【俺の俺!】
でも少しばかり…隠し事をしなくていい…見せてもいいのか。これを?!
イカン。いかん!こんなものを見せて絶叫をされたらどうする?
虚しいヴィルトの脳内攻防。今までこれほどの敵と戦った事はなかった。
そして今、この時ほど冷や汗を流した事もなかった。
脳内が真っ白になりかけた頃ヨロヨロと内股で立ち上がり、心配そうに手を伸ばすツリピオニーの部屋から出ると猛ダッシュでトイレに駆け込んだのは言うまでもない。
『ありがとうございます!』
『口調、マイナスポイントだな』
『こんな事も?!お礼ですよ?ヴィル様は誰かに謝る時も適当に言うんですか?』
『ヴィル。様は要らない。言葉は時と場合で使い分ければいいだろう』
『そんな事は先に言ってください!言わないと判らないでしょう!?』
ヴィル様は一瞬、鳩が豆鉄砲を食ったような顔を致しましたが、笑いだし部屋にある2人掛けのテーブルを手のひらを上にわたくしに座れと示すと、椅子を引き、わたくしが腰を下ろすと少し前に寄せてくださいます。
女性へのマナーは判っていらっしゃるようで、向かいに腰を下ろすと微笑まれています。
『言わないと判らない。確かにそうだな。10以上離れた子供に言わるとはな』
『子供じゃありません。王都を出る少し前に誕生日も来ましたからもう20歳。成人をしています。大人です。子ども扱いをしないでくださいっ』
『俺にしてみればお子様だ。やっと殻を割って出てきたヒヨコだ』
『ヒィ…ヒヨコォ?!』
『ピィピィ後ろをついてくるヒヨコだ。毎月14、15日はひよ子の日だ。今日は丁度15日だからツリピーの日だな』
『は?はぁぁぁ?そっそれは銘菓でしょう?!そっそれにツリピーって!』
なんて事なの。確かに美味しいけれど!ってそうじゃないですわ。
このままですと相手のペースに巻き込まれてしまいます。
『と、兎に角です。わたくしはもう成人している大人なんです。子ども扱いはやめてくださいませ』
『はいはい。妻の願いとあらば聞くしかないだろうが‥‥』
カタンと音がして小さなテーブルに身を乗り出すと、わたくしの顔の前にヴィル様の顔がヌっと現れました。後ろに反りそうになった頭を片手で押さえられ、距離を取る事が出来ません。
顔がどんどん近寄ってきて、わたくしはギュっと目を閉じてしまいました。
『麗しの我が妻‥‥っとこうやって男に迫られると怖いだろう?』
怖いです。確かに怖いです。なのでうんうんと何度か頷くとお互いの鼻先がコツンと当たってしまいました。
『わ、判ったなら…いいんだ』
そう言って後頭部から手を離し、どさりとまた座る音に目を開けると目の前に湯気?蜃気楼?ヴィル様から蒸気が出ているような気がいたします。錯覚でしょうか。
口元を手で塞いで横を向いているヴィオ様の顔も耳も赤くなっているようなのですが、気のせいでしょうか。
プシューっと音が聞こえてきそうなくらいに本当に赤くなっておられます。
『兎に角だ。口調は屋敷で俺とか使用人とか…まぁ領地でもだが領民には気安くしていい。改まった口調は嫌味に捉える者も多いんだ』
『そうなのですね…いえ、そうなんですね。判りました。ヴィル?』
『アグッ…』
『どうしたんで…いえ、どうしたの?ヴィル?』
『待て。ちょっとそれは破壊力が高い事に今、気が付いた』
『破壊力?どんな…』
『その呼び名がだな…ヴィルと言うのは不味かったな。人生で感じた事がないほどに動悸と拍動が早い』
『まぁ…それは大変です。すぐに横にならないと!まだ使っておりませんからわたくしの寝台まで歩けますか?手を貸したほうがいいかしら』
『そんな事をしたら止まらなくなるだろう』
『当たり前でしょう!?心臓が動きを止めたらそれこそ一大事です!』
『そっちじゃない…別の部分が止まらなくなる。それに今立ち上がるのは非常によろしくないと直感が訴えている』
『立ち上がる事すら出来ないって?!人を呼びますから待ってて』
『待てっ!この状態を他人に見せる事こそ一大事だ。誰も呼ぶな』
どうしたら良いのでしょうか。立ち上がる事も出来ないほどだと言うのに人を呼ぶなと。【ハッ!】もしやヴィル様は何か人に言えない、いえ、辺境伯様だからこそまだ露呈してはならない病を抱えられているのかも知れません。
国防の要と言われる辺境伯が不治の病だと知られれば、攻め込まれる事も考えられます。これは俗にいうトップシークレットなのでしょう。
何となく国王陛下が植物の研究をしても良いとわたくしをこの地に送り出した理由が判りました。妻としておけばこのヴィル様の病もわたくしが口外しない限り漏れる事はない。
今までの研究を生かし、この病を直せと言う勅命だったのでしょう。
『ヴィル様、お任せくださいまし。このツリピオニー身命を持ってお仕えさせて頂きますわ。そうとなればまずは寝台へ。医学の心得は多少は御座います。さぁわたくしに隠し事はしないでくださいね』
『待て、違うんだ。今、寝台に横になったら大変な事になる』
『何を言ってるんです。立ち上がる事も出来ず、横になる事も出来ないとなればもう末期症状ですっ。確かに医学科では学んでおりませんが、魔術と同様に薬学は学んでいますからなにがしかのお役に立てるとは思います』
先ほどとは立場が変わって、テーブル越しに身を乗り出しヴィルトにグイグイ顔を近づけるツリピオニーなのだった。
△ヴィルト視点
非常に不味い。俺としたことがいったいどうしたと言うんだ。
落ち着け。落ち着くんだ。相手は13歳も年下のご令嬢だ。今までカエル顔と言われ顔面の側面に目があるような俺は女性には見向きもされなかったじゃないか。
顔を見て特に表情を変えずに、なんなら一緒に馬に乗って蕾を食いたいと言う令嬢に俺は‥‥図に乗ってしまった。ブサメンが【俺の事はこう呼べ】なんて慣れない事に手を出すものじゃないと今は後悔の嵐に襲われている。
男は怖いんだぞと判らせようと思っただけだが、鼻先が触れた瞬間のあの衝撃で俺は目に火花が散った。その拍子に目線を下に向けると艶めかしい鎖骨と胸の谷間が視覚の全てを奪っていった。
ゴクリ。
喉仏が足先から頭頂部まで動いたかと思うほどに動いた。
全身の血液が一点集中してしまい、部分的に強烈な痛みを感じ咄嗟にしまった!と椅子に座った。
テーブルがあるから何とか隠している状態だが収まるまでどのくらいの時間が必要だろうか。
ベンチじゃなかった事に神に感謝を!
しかし、断っても断ってもグイグイくるツリピオニー。俺の逃げ場がない。
『まぁ…それは大変です。すぐに横にならないと!まだ使っておりませんからわたくしの寝台まで歩けますか?手を貸したほうがいいかしら』
待て!本当に今、寝台に横になったら俺は獣になってしまう自信しかない。
まだ昼の2時前だと言うのに、明日の朝、いやいやヘタすると体力が尽きるまで貪ってしまうかもしれない。女性は久しぶりなんてそんな安い感情じゃない。
娼館では感じた事がなかった【ただ出しとけばいい】なんてものじゃない感情が沸き上がってるんだ。
――頼むから!自制する時間をくれ!――
『立ち上がる事すら出来ないって?!人を呼びますから待ってて』
いやいや、待て。自分でもわかるんだ。こんなに怒張した経験はない。人生33年だが初めて【痛い】と感じるほどでちょっと余裕のあるトラウザーズを穿いていた事に感謝しているくらいだ。
討伐時のものだったら布が裂けているはずだ。
こんな状態を人に見られる…見られるのは一人だけにしておかないと、いい加減討伐で【辺境の猛獣】と二つ名を付けられているのに屋敷でも猛獣扱いされるではないか!
――頼むから!賢者になる時間をくれ!――
『ヴィル様、お任せくださいまし。このツリピオニー身命を持ってお仕えさせて頂きますわ。そうとなればまずは寝台へ。医学の心得は多少は御座います。さぁわたくしに隠し事はしないでくださいね』
良いのか?―――いかん!ダメだダメ、ダメ。絶対にダメ!相手は20歳になったばかりなんだぞ。壊してしまうのは間違いない。彼女の人生は長いんだ。フゥーフゥー…落ち着け。落ち着くんだ!【俺の俺!】
でも少しばかり…隠し事をしなくていい…見せてもいいのか。これを?!
イカン。いかん!こんなものを見せて絶叫をされたらどうする?
虚しいヴィルトの脳内攻防。今までこれほどの敵と戦った事はなかった。
そして今、この時ほど冷や汗を流した事もなかった。
脳内が真っ白になりかけた頃ヨロヨロと内股で立ち上がり、心配そうに手を伸ばすツリピオニーの部屋から出ると猛ダッシュでトイレに駆け込んだのは言うまでもない。
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