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第7話♠ ラウル、自白する
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こんな部屋を見られたんだ。エディットが逃げ出すのも無理はない。
私は駆け出し、直ぐにエディットに追いついて抱きしめた。
「待ってくれ。エディット。話を聞いてくれ」
「聞きたくありません。聞いたら戻れないんでしょう!」
確かに変態の道は一度癖になるともうそこから先はエスカレートするしかない。
元には戻れない、より強い刺激を求めてしまうのだ。
ハンカチから古着、そして下着と欲した私のように。
引き留めるにはエディットの言葉、全てを受け入れるしかない。
但し「離縁」は除く。
「戻っていいから!」
「‥‥本当に?」
疑いの眼差しすら私をおかしくさせるエディット。
私は知っている、右目は227本、左目は231本のまつ毛がある事を。
まつ毛の先まで愛おしくて狂いそうだが、今は理性で押さえねばならない。
「あんなものを見たら逃げ出したくなる気持ちはよくわかる!」
「なら…処分してくださいます?」
「それは・・・」
困った。壁にある拘束具は壁の下地にバチバチっと溶接してしまったので取れない。
鏡も搬入する時は分解されてきたが、しっかりと固定したため今はもう割るしかない。
三角木馬もパーツを部屋の中で組み立てたので、どの方向を向けようと扉よりも幅が大きく通らないのだ。あの部屋は窓も小さく扉から出ないものを窓から出す事も出来ない。
何より・・・上手く運び出せたとしても処分出来ない。
買う時はいいけれど、捨てる時に困る低反発のベッドマット、回転式遊技台のようなものだ。
もう見られてしまったのだ。隠す必要もないと私はエディットに全てを打ち明けようと話をする事にした。
「こっちへ・・・手を取ってもいいかな?」
「縛りませんよね?」
「うっ・・・そんな事はしないよ」
参ったな。本当に見透かされている。
私の愛で雁字搦めに縛りたいと思っているこの心の奥底をいとも簡単に見抜かれた。
愛で縛りたいし、縛られたい。物理で縛らなくていいんだ。
「仕事に行く」と言っても「もっと一緒に居たい」と私を足止めして困らせて欲しい。
エディットにお願いをされれば次期宰相のポストも誰かに譲り、エディットと2人。20代前半から隠居生活のように2人だけで朝から夜明けまで一緒に居るのも悪くない。
エディットは私の不貞を疑っていたのだと言う。
そんなことあり得ない。地球が黒鳥の32回転以上に高速回転を始めてもあり得ない話だ。
しかし、同時に嬉しさも込み上げる。エディットは妬いてくれたのだ。
私を他の女に取られまいと・・・なんていじらしい!!
疑心暗鬼に捉われるエディットもご褒美でしかない。
花占いで信じるかどうかを決めると言うが…手に取ったラナンキュラス。今日中に苛つく事なく数え切れるんだろうか。
いや、エディットがその指でプチンと千切る花。今ここで「口の中に入れてくれ」と頼んだら入れてくれるだろうか。妄想をしたが「数える」というので、手ずから食べさせてもらう事は出来なかった。
エディットが触れた花びらが目の前に並べられていく、垂涎ものだ。
この1枚、1枚は栞にして常に側に置かねば!
予想通り、200を超えたあたりからエディットは溜息を付く。
溜息を吐くたびに私は肺の筋力を総動員して深呼吸。若干ガゼボ周りの酸素濃度が薄くなったのかエディットは数えることを止めてしまった。
花に罪悪感を感じるのだと言う。
私こそエディットに対し、常に見合う男だろうかと罪悪感を感じている。花にも優しさを向けるエディットに歓喜の雄叫びをあげてしまいそうになるが、理性を更に追加し・・・つい頭ポンポンをしてしまった。
だからだろうか・・・
「ラウル。離縁してください」
天変地異の前触れだろうか。
聞いてはいけない言葉に私は座っているのに立ち眩みを覚えた。
そうだ。エディットは常に私とは婚約しない、そして結婚後も離縁は出来ないかと近しいものには胸の内を打ち明け、相談をしていた。
私は離縁する気など全くないので、同意はしなかったが何を悩んでいるのかと思えばこの結婚が「責任」からではないかとエディットは考えていた。
解らなくもない。周囲はみんなそう言うだろう。
たまたま爵位も釣り合ったなどとヘラヘラ笑った商人もいた。問答無用で取引は停止。傘下の貴族も私に従った。
愛する妻の悩みを払拭出来ないでいた私の落ち度もある。
そう言えば・・・私はエディットに愛の言葉をささやいた事があっただろうか。
妄想と空想の中では咽喉が枯れるほどに叫んでいるが実際は??
このままではダメだ。全て私が悪いんだ。
「エディット・・・ずっと前にも言ったけれど確かに怪我をさせた責任はある。でも結婚は別問題だ」
そう、責任は免れる事は出来ない。これは私が一生をかけてエディットに償わねばならない罪なのだ。人に怪我をさせると言う事はそう言う事だ。
しかし結婚はそうではない。エディットとの結婚は負傷の有無に関わらず私が願った事だ。
「私は負傷する前からエディットを妻にと願っていた」
「え・・・・」
「エディットに見合う男になろうと・・・騎士団長でもある侯爵に認めて貰える男になろうと剣の腕も磨いた。負傷させた事は私がエディットを妻にと願う事とは別で・・・決して意図的に負傷させたわけではない!誓ってそんな事はしてない。ただ・・・私はエディットに好きだと名乗り出るに相応しい男になろうと・・・言い訳だが」
「で、ではラウルは・・・でも!カレン様と!」
うぐっ・・・かなりキツイ変態と思われそうだが・・・仕方ない。
愛する妻に隠し事などしてはならない。隠し事をしていたからエディットは離縁迄考えたのだ。
「違う。カレンには・・・エディットの身に着けたモノが欲しくて横流しを頼んだ」
「横流し・・・」
「バザーへの寄付の品、ハンカチなど手に入れて・・・もっと欲しくなった。だから寝間着や・・・あの日はカレンにエディットのショーツを頼んだんだ!」
驚いて声も出ないのだろう・・・。当然だ。
「君の穿いてるパンツください」なんてどこの助兵衛オヤジなんだ。
「沢山あった絵姿も!!エディットに会いたくて会いたくて堪らなくて描いて貰ったんだ。結婚してからも心配で堪らない。他の男がエディットの目に映るなんて!!耐えられない!大好きなんだ!誰よりも、何よりもエディットを愛しているんだ!」
「ラウル」と小さくエディットが呟く。
私は全てを打ち明けた。
夜な夜な天井裏に這い上がり寝顔を堪能している事や、湯殿の残り湯を飲んでいる事、そして抜け毛を集め愛でていること。
洗いざらい話せばこの愛の深さは解って貰える!
そう思ったのにエディットの目が母上や王太子殿下と同じく細くなっているのは何故なんだ?
★~★
次は21時10分と22時22分です(*^-^*)
私は駆け出し、直ぐにエディットに追いついて抱きしめた。
「待ってくれ。エディット。話を聞いてくれ」
「聞きたくありません。聞いたら戻れないんでしょう!」
確かに変態の道は一度癖になるともうそこから先はエスカレートするしかない。
元には戻れない、より強い刺激を求めてしまうのだ。
ハンカチから古着、そして下着と欲した私のように。
引き留めるにはエディットの言葉、全てを受け入れるしかない。
但し「離縁」は除く。
「戻っていいから!」
「‥‥本当に?」
疑いの眼差しすら私をおかしくさせるエディット。
私は知っている、右目は227本、左目は231本のまつ毛がある事を。
まつ毛の先まで愛おしくて狂いそうだが、今は理性で押さえねばならない。
「あんなものを見たら逃げ出したくなる気持ちはよくわかる!」
「なら…処分してくださいます?」
「それは・・・」
困った。壁にある拘束具は壁の下地にバチバチっと溶接してしまったので取れない。
鏡も搬入する時は分解されてきたが、しっかりと固定したため今はもう割るしかない。
三角木馬もパーツを部屋の中で組み立てたので、どの方向を向けようと扉よりも幅が大きく通らないのだ。あの部屋は窓も小さく扉から出ないものを窓から出す事も出来ない。
何より・・・上手く運び出せたとしても処分出来ない。
買う時はいいけれど、捨てる時に困る低反発のベッドマット、回転式遊技台のようなものだ。
もう見られてしまったのだ。隠す必要もないと私はエディットに全てを打ち明けようと話をする事にした。
「こっちへ・・・手を取ってもいいかな?」
「縛りませんよね?」
「うっ・・・そんな事はしないよ」
参ったな。本当に見透かされている。
私の愛で雁字搦めに縛りたいと思っているこの心の奥底をいとも簡単に見抜かれた。
愛で縛りたいし、縛られたい。物理で縛らなくていいんだ。
「仕事に行く」と言っても「もっと一緒に居たい」と私を足止めして困らせて欲しい。
エディットにお願いをされれば次期宰相のポストも誰かに譲り、エディットと2人。20代前半から隠居生活のように2人だけで朝から夜明けまで一緒に居るのも悪くない。
エディットは私の不貞を疑っていたのだと言う。
そんなことあり得ない。地球が黒鳥の32回転以上に高速回転を始めてもあり得ない話だ。
しかし、同時に嬉しさも込み上げる。エディットは妬いてくれたのだ。
私を他の女に取られまいと・・・なんていじらしい!!
疑心暗鬼に捉われるエディットもご褒美でしかない。
花占いで信じるかどうかを決めると言うが…手に取ったラナンキュラス。今日中に苛つく事なく数え切れるんだろうか。
いや、エディットがその指でプチンと千切る花。今ここで「口の中に入れてくれ」と頼んだら入れてくれるだろうか。妄想をしたが「数える」というので、手ずから食べさせてもらう事は出来なかった。
エディットが触れた花びらが目の前に並べられていく、垂涎ものだ。
この1枚、1枚は栞にして常に側に置かねば!
予想通り、200を超えたあたりからエディットは溜息を付く。
溜息を吐くたびに私は肺の筋力を総動員して深呼吸。若干ガゼボ周りの酸素濃度が薄くなったのかエディットは数えることを止めてしまった。
花に罪悪感を感じるのだと言う。
私こそエディットに対し、常に見合う男だろうかと罪悪感を感じている。花にも優しさを向けるエディットに歓喜の雄叫びをあげてしまいそうになるが、理性を更に追加し・・・つい頭ポンポンをしてしまった。
だからだろうか・・・
「ラウル。離縁してください」
天変地異の前触れだろうか。
聞いてはいけない言葉に私は座っているのに立ち眩みを覚えた。
そうだ。エディットは常に私とは婚約しない、そして結婚後も離縁は出来ないかと近しいものには胸の内を打ち明け、相談をしていた。
私は離縁する気など全くないので、同意はしなかったが何を悩んでいるのかと思えばこの結婚が「責任」からではないかとエディットは考えていた。
解らなくもない。周囲はみんなそう言うだろう。
たまたま爵位も釣り合ったなどとヘラヘラ笑った商人もいた。問答無用で取引は停止。傘下の貴族も私に従った。
愛する妻の悩みを払拭出来ないでいた私の落ち度もある。
そう言えば・・・私はエディットに愛の言葉をささやいた事があっただろうか。
妄想と空想の中では咽喉が枯れるほどに叫んでいるが実際は??
このままではダメだ。全て私が悪いんだ。
「エディット・・・ずっと前にも言ったけれど確かに怪我をさせた責任はある。でも結婚は別問題だ」
そう、責任は免れる事は出来ない。これは私が一生をかけてエディットに償わねばならない罪なのだ。人に怪我をさせると言う事はそう言う事だ。
しかし結婚はそうではない。エディットとの結婚は負傷の有無に関わらず私が願った事だ。
「私は負傷する前からエディットを妻にと願っていた」
「え・・・・」
「エディットに見合う男になろうと・・・騎士団長でもある侯爵に認めて貰える男になろうと剣の腕も磨いた。負傷させた事は私がエディットを妻にと願う事とは別で・・・決して意図的に負傷させたわけではない!誓ってそんな事はしてない。ただ・・・私はエディットに好きだと名乗り出るに相応しい男になろうと・・・言い訳だが」
「で、ではラウルは・・・でも!カレン様と!」
うぐっ・・・かなりキツイ変態と思われそうだが・・・仕方ない。
愛する妻に隠し事などしてはならない。隠し事をしていたからエディットは離縁迄考えたのだ。
「違う。カレンには・・・エディットの身に着けたモノが欲しくて横流しを頼んだ」
「横流し・・・」
「バザーへの寄付の品、ハンカチなど手に入れて・・・もっと欲しくなった。だから寝間着や・・・あの日はカレンにエディットのショーツを頼んだんだ!」
驚いて声も出ないのだろう・・・。当然だ。
「君の穿いてるパンツください」なんてどこの助兵衛オヤジなんだ。
「沢山あった絵姿も!!エディットに会いたくて会いたくて堪らなくて描いて貰ったんだ。結婚してからも心配で堪らない。他の男がエディットの目に映るなんて!!耐えられない!大好きなんだ!誰よりも、何よりもエディットを愛しているんだ!」
「ラウル」と小さくエディットが呟く。
私は全てを打ち明けた。
夜な夜な天井裏に這い上がり寝顔を堪能している事や、湯殿の残り湯を飲んでいる事、そして抜け毛を集め愛でていること。
洗いざらい話せばこの愛の深さは解って貰える!
そう思ったのにエディットの目が母上や王太子殿下と同じく細くなっているのは何故なんだ?
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