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第00話 プロローグ
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トントントン‥‥トントン!!トンッ!
「はぁ~終わった。これで当面は大丈夫そうね」
トゥトゥーリアは額の汗を袖で拭うと、体を反転させて一息。
屋根の上はとても見晴らしがよく、郊外にあるこぢんまりとした屋敷からは庭ではないが新緑に色づいた木々が風に葉を揺らしているのがよく見える。
先日の大風で折れて飛ばされた木の枝が屋根に刺さり、星がよく見えるのは良いのだが如何せん雨の日には家の中がびしょ濡れになってしまう。
どうしたものかと悩んでいると庭師のカロンが屋根の補修方法と材料を無償で提供してくれたので、トゥトゥーリアは早速梯子をかけて屋根に上った。
遠くに見える国一番の高さがあるのは城の3本塔。その手前に見える青い屋根が夫の第2王子、ヴァレンティノの住まいでもある離宮。
トゥトゥーリアは第2王子妃ではあるが、訳あって完全別居をしている。
決して夫の第2王子、ヴァレンティノと仲が悪い訳ではない。
王家主催の夜会がある時は「要らない!」と言っているのにヴァレンティノがドレスや宝飾品を贈って来るし、「執務がひと段落したから」と茶を飲みにやって来る。
狭いので泊って行くことは出来ないが、トゥトゥーリアの料理を食べたくてヴァレンティノが茶を飲みに来てそのまま夕食の時間までいる事もあるし、搾りたてのミルクを持ってトゥトゥーリアと朝食を共にしたいと週に5日やって来る。
こぢんまりとした屋敷は王家所有の土地と建物。
ただ、経費削減!という名目で使用人はいないし、門番もいない。
雨漏りの修繕をするほどの粗末な建物なので野盗も素通りするレベルだが王家所有の建物なので騎士団の巡回ルートにも入っており、ヴァレンティノも渋々ここにトゥトゥーリアが住む事を許可した。
トゥトゥーリアは自ら望んでこの小屋で生活をしている。
一緒に宮で住めばいいのに・・・そうしない理由がこの夫婦にはあるのだ。
これは自由気ままな第二王子妃トゥトゥーリアに魅せられたヴァレンティノの話である。
「はぁ~終わった。これで当面は大丈夫そうね」
トゥトゥーリアは額の汗を袖で拭うと、体を反転させて一息。
屋根の上はとても見晴らしがよく、郊外にあるこぢんまりとした屋敷からは庭ではないが新緑に色づいた木々が風に葉を揺らしているのがよく見える。
先日の大風で折れて飛ばされた木の枝が屋根に刺さり、星がよく見えるのは良いのだが如何せん雨の日には家の中がびしょ濡れになってしまう。
どうしたものかと悩んでいると庭師のカロンが屋根の補修方法と材料を無償で提供してくれたので、トゥトゥーリアは早速梯子をかけて屋根に上った。
遠くに見える国一番の高さがあるのは城の3本塔。その手前に見える青い屋根が夫の第2王子、ヴァレンティノの住まいでもある離宮。
トゥトゥーリアは第2王子妃ではあるが、訳あって完全別居をしている。
決して夫の第2王子、ヴァレンティノと仲が悪い訳ではない。
王家主催の夜会がある時は「要らない!」と言っているのにヴァレンティノがドレスや宝飾品を贈って来るし、「執務がひと段落したから」と茶を飲みにやって来る。
狭いので泊って行くことは出来ないが、トゥトゥーリアの料理を食べたくてヴァレンティノが茶を飲みに来てそのまま夕食の時間までいる事もあるし、搾りたてのミルクを持ってトゥトゥーリアと朝食を共にしたいと週に5日やって来る。
こぢんまりとした屋敷は王家所有の土地と建物。
ただ、経費削減!という名目で使用人はいないし、門番もいない。
雨漏りの修繕をするほどの粗末な建物なので野盗も素通りするレベルだが王家所有の建物なので騎士団の巡回ルートにも入っており、ヴァレンティノも渋々ここにトゥトゥーリアが住む事を許可した。
トゥトゥーリアは自ら望んでこの小屋で生活をしている。
一緒に宮で住めばいいのに・・・そうしない理由がこの夫婦にはあるのだ。
これは自由気ままな第二王子妃トゥトゥーリアに魅せられたヴァレンティノの話である。
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