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おまけ☆ミカエルの観察日記
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「あのっ‥‥よろしいでしょうかぁ」
声が上ずっているのはミカエルである。
結婚をしてもうそろそろ1年。借金の返済も始まっており微量ながらに減っている。
4カ月後にはパイプラインが接続完了となり、それまで瘴気としてバロビン国のお荷物だった天然ガスが売りに出される。産出量も全く問題なく埋蔵量に至っては半世紀の間、相当量を採掘しても枯渇する見込みが全くないほどでガスの性質も非常に良いものだった。
副産物で王子領に鉄道を敷設する際には、3か所トンネルを抜いたのだがその1つから石灰が出た。
急遽プラント建設が始まり、採掘された石灰はセメントの材料として製品化をする事になった。
天然ガスの売り上げを待たずして、石灰はそのままでも貨物列車で輸送ができる為、借金の完済も早まりそうな勢いである。
そんなある日、エリザベートはミカエルに告げた。
「そろそろ排卵日ですの」
ブっと飲んでいたワインを盛大に噴き出してしまったミカエル。
エリザベートはまともに被ってしまった。
平謝りでエリザベートを湯殿に連れて行き、パンジーに洗ってもらっている間は正座で反省の意を示すが、湯殿から出てきたエリザベートにミカエルは舞い上がってしまった。
俗にいうセクスィなランジェリーで登場である。
「まっ毎晩これで寝てるとか?」
「いいえ、今日はエル様の待ちに待った初夜みたいなものですから」
「あの…初めてなんだけど‥全力を尽くすよ」
「いえ、半分の力も出さないで欲しいですわ」
野生児のミカエルである。全力など出された日には翌日起き上がれない可能性がある。
寝台で向かい合って座る2人。ミカエルは深々と頭を下げる。
「あのっ…よろしいでしょうかぁぁ」
「はい」
「ファゥッ?!えっと…どうしたらいいんだろう?」
「さぁ?」
「たっ確か…イノシシとか、ウサギもこうしてたんだ!」
ぐっとエリザベートの腰を掴み、うつ伏せにすると背中に乗りかかってくる。
支えになっていた手をパチン! エリザベートの平手打ちが飛ぶ。
ミカエルの手が弾かれてしまった。
「エル様、いくら何でも初めてのわたくしにそれは難易度が高すぎます」
「これを見てくださいませ」と手渡されたのは1冊の本。
【これで失敗しない。初めてのエッチ♡】
挿絵にちょっとだけ文字の説明がある雑誌である。
夫婦で仲良く寝台に並んでページをめくる。
「ほら、ウサちゃんの交尾ポーズはこれでございましょう?」
「あ、本当だ。お互いになれてきた2人にちょっとした刺激…」
「初心者がする行為では御座いませんわ」
「もしかして‥‥結構読んでたりする?」
「失敗は許されません。ですので大事な所には付箋を付けております」
熟読する事、30分。ページの内容にミカエルが付いていけなくなる時間である。
「大丈夫で御座いますか?ちゃんと読みました?」
「うーん。多分。実践あるのみだ」
「読んでらっしゃらないのね」
読んではいる。読んではいるがミカエルは読んで理解をするタイプではない。
「じゃ…(ちゅっ♡)愛してる」
「・・・・・」
「うわぁ…柔らかい…気持ちいいなぁ‥(ぷにぷに)」
「・・・・・」
「リザ‥‥頼む…なんか言って…」
しかし!そこは子孫を残す動物でもある人間。
本はなくても、ほぼいきなりの実践であっても何とかなるものである。
「リザ‥‥最高だった」
「エル様…まだ入ってる気がします」
「じゃ、もう一回繋がろうか。気がするのと何か違うかも知れないだろう?」
「い、いえ、今日は‥あぁぁぁっ…」
「はうっ!あぁぁ…超絶気持ちいい…たまんない…」
チュンチュン♪チュンチュン♪
翌朝、しっかりと抱きしめている腕の中で寝ているエリザベートを見て感涙!
そっとシーツの中を見ると、「ふぉっ!」っと閉じてもう一度見るという二度見。
――俺の奥さん…最高じゃねぇか――
その日以来、一緒に眠る事になった準新婚夫婦。
ドレスを着ると今まで通りのエリザベートだが、ミカエルは観察をして知っている。
そしてそれを観察日記に書き留めていくのだ。
実はあまりバタークリームのケーキが好きではない事
実は書類に押すハンコが真っ直ぐに押せなくて練習している事
実は夜会のダンスは好きじゃないけど、ヒップホップは好きな事
実は執務の際にチビがエリザベートの足元で寝ている事
そして、なんだかんだ言ってもミカエルの事を好きだと言う事
「エル様、午後はサージェス殿下と遠出で御座いましょう」
「うん。行ってくるけど、どうした?」
「ヤマモモが熟れていたら少しで良いので採ってきてくださいませ」
そっと渡してくれる籠にはお手製のサンドウィッチが入っていて、具は全部ミカエルの好物ばかりだって事も観察をして知っている。
しかし、遠出をして帰ってきたミカエルは衝撃の事実を知る。
観察では判らなかった事実である。
「今年の秋はキノコ狩りに行けそうにありませんわ」
「まだ先なのに?予定が入ったのか?」
「えぇ。赤ちゃんがその頃に生まれるので」
「え・・・・」
ぶわっと溢れる涙。ぽろっとでる本心は「ありがとう」
「子供が出来たら何でも口に入れるのはおやめくださいませ」
注意をされるのは相変わらずである。
しかし、観察日記に新しい項目が追加された。
多分、子供には弟妹が必要だと思っている事♡
FIN
声が上ずっているのはミカエルである。
結婚をしてもうそろそろ1年。借金の返済も始まっており微量ながらに減っている。
4カ月後にはパイプラインが接続完了となり、それまで瘴気としてバロビン国のお荷物だった天然ガスが売りに出される。産出量も全く問題なく埋蔵量に至っては半世紀の間、相当量を採掘しても枯渇する見込みが全くないほどでガスの性質も非常に良いものだった。
副産物で王子領に鉄道を敷設する際には、3か所トンネルを抜いたのだがその1つから石灰が出た。
急遽プラント建設が始まり、採掘された石灰はセメントの材料として製品化をする事になった。
天然ガスの売り上げを待たずして、石灰はそのままでも貨物列車で輸送ができる為、借金の完済も早まりそうな勢いである。
そんなある日、エリザベートはミカエルに告げた。
「そろそろ排卵日ですの」
ブっと飲んでいたワインを盛大に噴き出してしまったミカエル。
エリザベートはまともに被ってしまった。
平謝りでエリザベートを湯殿に連れて行き、パンジーに洗ってもらっている間は正座で反省の意を示すが、湯殿から出てきたエリザベートにミカエルは舞い上がってしまった。
俗にいうセクスィなランジェリーで登場である。
「まっ毎晩これで寝てるとか?」
「いいえ、今日はエル様の待ちに待った初夜みたいなものですから」
「あの…初めてなんだけど‥全力を尽くすよ」
「いえ、半分の力も出さないで欲しいですわ」
野生児のミカエルである。全力など出された日には翌日起き上がれない可能性がある。
寝台で向かい合って座る2人。ミカエルは深々と頭を下げる。
「あのっ…よろしいでしょうかぁぁ」
「はい」
「ファゥッ?!えっと…どうしたらいいんだろう?」
「さぁ?」
「たっ確か…イノシシとか、ウサギもこうしてたんだ!」
ぐっとエリザベートの腰を掴み、うつ伏せにすると背中に乗りかかってくる。
支えになっていた手をパチン! エリザベートの平手打ちが飛ぶ。
ミカエルの手が弾かれてしまった。
「エル様、いくら何でも初めてのわたくしにそれは難易度が高すぎます」
「これを見てくださいませ」と手渡されたのは1冊の本。
【これで失敗しない。初めてのエッチ♡】
挿絵にちょっとだけ文字の説明がある雑誌である。
夫婦で仲良く寝台に並んでページをめくる。
「ほら、ウサちゃんの交尾ポーズはこれでございましょう?」
「あ、本当だ。お互いになれてきた2人にちょっとした刺激…」
「初心者がする行為では御座いませんわ」
「もしかして‥‥結構読んでたりする?」
「失敗は許されません。ですので大事な所には付箋を付けております」
熟読する事、30分。ページの内容にミカエルが付いていけなくなる時間である。
「大丈夫で御座いますか?ちゃんと読みました?」
「うーん。多分。実践あるのみだ」
「読んでらっしゃらないのね」
読んではいる。読んではいるがミカエルは読んで理解をするタイプではない。
「じゃ…(ちゅっ♡)愛してる」
「・・・・・」
「うわぁ…柔らかい…気持ちいいなぁ‥(ぷにぷに)」
「・・・・・」
「リザ‥‥頼む…なんか言って…」
しかし!そこは子孫を残す動物でもある人間。
本はなくても、ほぼいきなりの実践であっても何とかなるものである。
「リザ‥‥最高だった」
「エル様…まだ入ってる気がします」
「じゃ、もう一回繋がろうか。気がするのと何か違うかも知れないだろう?」
「い、いえ、今日は‥あぁぁぁっ…」
「はうっ!あぁぁ…超絶気持ちいい…たまんない…」
チュンチュン♪チュンチュン♪
翌朝、しっかりと抱きしめている腕の中で寝ているエリザベートを見て感涙!
そっとシーツの中を見ると、「ふぉっ!」っと閉じてもう一度見るという二度見。
――俺の奥さん…最高じゃねぇか――
その日以来、一緒に眠る事になった準新婚夫婦。
ドレスを着ると今まで通りのエリザベートだが、ミカエルは観察をして知っている。
そしてそれを観察日記に書き留めていくのだ。
実はあまりバタークリームのケーキが好きではない事
実は書類に押すハンコが真っ直ぐに押せなくて練習している事
実は夜会のダンスは好きじゃないけど、ヒップホップは好きな事
実は執務の際にチビがエリザベートの足元で寝ている事
そして、なんだかんだ言ってもミカエルの事を好きだと言う事
「エル様、午後はサージェス殿下と遠出で御座いましょう」
「うん。行ってくるけど、どうした?」
「ヤマモモが熟れていたら少しで良いので採ってきてくださいませ」
そっと渡してくれる籠にはお手製のサンドウィッチが入っていて、具は全部ミカエルの好物ばかりだって事も観察をして知っている。
しかし、遠出をして帰ってきたミカエルは衝撃の事実を知る。
観察では判らなかった事実である。
「今年の秋はキノコ狩りに行けそうにありませんわ」
「まだ先なのに?予定が入ったのか?」
「えぇ。赤ちゃんがその頃に生まれるので」
「え・・・・」
ぶわっと溢れる涙。ぽろっとでる本心は「ありがとう」
「子供が出来たら何でも口に入れるのはおやめくださいませ」
注意をされるのは相変わらずである。
しかし、観察日記に新しい項目が追加された。
多分、子供には弟妹が必要だと思っている事♡
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