34 / 43
ペットを拾う夫婦と消えた妃
しおりを挟む
「エル様、なんでも口にしないでくださいまし」
行く先々でとりあえずは【食べてみる】ミカエルに呆れてしまうが、ミカエルはこれが一番手っ取り早いと言って木になっている果物などを食べている。
だが、よく観察をしてみると同じ果実ではなく微妙に違うものを食べているのである。
で、「これ旨い。食ってみ?」と渡されるものは確かに甘くて美味しい。
ただ、従者たちは気が気ではない。夜になり腹痛などを起こせば大変だからである。
しかし、そこは野生生活10年ほどになるミカエル。
齧って味覚を確かめ、甘いなと思っても直感でペっと吐き出すものもある。
なんでもかんでも口に入れるが、飲み込むわけではない。恐るべし野生の勘。
ヘビなどが出て来ても、押えどころを知っているので瞬時に捕まえる。
「こいつは毒があるから注意ね。でもねぇ…ぶつ切りにして塩焼きすると美味いんだ」
「こいつは動きはノロマなんだけど産卵期は平気で3,4mは飛ぶからね」
「おぉぉ~ヤマカガシまでいるじゃん!リザ!ここに移住しないか?」
遥か彼方を見つめるようなエリザベートの冷たい視線。
だが、ミカエルは完全に野生を開放している。まさに狂喜乱舞である。
「エル様、そろそろ出立しますわよ」
「え?どっか行くの?」
「次は先日購入したあの瘴気が出る地です。行ける時に見ておかねばなりません」
「判った。手を洗ってくるから待ってて」
手洗いを忘れないのは良い事である。
ミカエルを待っている間、少し先の雑木林の入り口付近で従者が声をあげる。
何事かと言ってみると、生後数日の子犬のような生き物がいる。
どうやら大型のヘビか、熊かに襲われたようで巣がグチャグチャになっていた。
「可哀想になぁ‥‥どうしましょうか?」
「そうねぇ…誰か飼育方法をご存じ?」
「犬はなぁ…もうちょっと大きかったら簡単なんだけど」
そこにミカエル登場。ジャジャーンである。
「リザ?どうした?」
「犬の巣が荒らされたようで…一匹生きているようですがどうしたものかと」
「は?コレ、犬じゃないよ」
「ですが、どう見ても犬で御座いましょう?」
「絶対とは言わないけど犬はこんな巣は造らない。これは狼だな」
<< オオカミ? >>
「どうする?連れてくなら世話は出来るけど」
<< できるの? >>
「でもなぁ‥‥だけどなぁ…」
「どうしましたの?ご飯が特殊だとかですの?」
「そうじゃなくて、ペット飼うと子供諦める人とか多いしなぁ」
「連れて行きましょう。飼います」
エリザベート即断である。何故?という表情のミカエルはスルーされる。
従者たちは、心で合掌をする。
しかし!そこはエリザベートである。
「子供が背中に乗って月に向かって吠えるなんてロマンスですわ」
何かが微妙に違うような気もするが、子供であればオオカミの背中には乗れそうである。
ミカエルは瞬時に満面の笑みになる。そう!子供を想定しているという事は……である。
馬車の中、とりあえずなかったのでヤギの乳を与えてみるとよく飲むミニオオカミ。
その後はぐっすりと眠る。見た目は子犬なのであるが…
「エル様はどうしてオオカミとわかったのです?」
「ん?小さいうちは似てるけど、手、いや足かな。爪が違うんだよ。犬は丸くなるけどオオカミは尖ってるんだよ。ほら、ちょっと見えてるだろ?爪の先」
「あら、本当ですわ。よく見分けられますわね」
「そりゃね。野犬なら親が近くにいてもある程度対処できるけど、狼の親はもう逃げるしかない。群れてるからね。近くに居なかったのは…親が敵を遠くまで追いやってたのか、やられたかだな。やられたとなると狼すら太刀打ち出来ない大型の獣、熊なんかがふもとまで降りてきているから危険でもあるがな」
「そうなのですね。早速熊がいるかもと言うのは周知するようにしましょう。作業員の方も危険と言う事ですしね。しかしエル様は物知りですのね」
「ま、何度も襲われたことあるから」
それはそれで問題であるが、本人がケロっとしているし生きているからオールオケ。
そしてさりげなくエリザベートの手を握るミカエル。馬車の中は2人きり。
「子供は何人作ろうか?」
「は?」
「出来れば‥‥5人、いや6人かなぁ」
「わたくしはそんなに産めませんから、帰ったら愛人の選定を致しましょう」
「必要ないよ。俺が抱くのはリザだけだ。女はリザだけで終わり。言ったろ?」
「まぁ、それはそうですが、わたくしにも限界がございますの」
「じゃ、限界を確かめつつで‥‥(ちゅっ♡)」
しまった。先に乗り込んでしまったから馬車の隅に追いやられて逃げ場がない。
元々、馬車なので逃げ場などはないが、それでも角に追い詰められ、馬車の壁ドンで囲われていては、まず逃げられない。何より相手は夫である。
「お、お待ちくださいませ」
「待たない。愛人とか選ばれるくらいなら今からここで抱く」
「そう言うのは!寝台でするものですっ!」
「関係ない。俺は何処ででもリザなら抱ける自信がある」
「わ、わたくしは、どこでもかしこでも抱かれる自身がございませんの!」
馬車の壁ドン。エリザベートは次回に向けての対策を練るのである。
そんな対策を講じられる事も知らずにミカエルはまた膝枕でエリザベートに甘える。
「ところで、エル様」
「どうしたぁ?」
「キノコなどはよくお召し上がりになりますの?」
「腹が減ればね。山にいっぱいあるし」
「見分けはつきますの?毒キノコもありますでしょう?」
「毒キノコは見ればわかるよ。判らないのは‥‥城の食事だ」
最後の言葉だけが声色も表情も変わるミカエル。その声でおおよそどんな環境で育ったのかがわかる。
第1王子とはいえ常に気を張らねばならない王宮。
「でも、リザ。王子宮の食事は温かくて美味しいよ」
「そうで御座いますね」
「一緒に食べればもっと美味しい。だから‥‥」
その先は眠ってしまったミカエルの口からは聞く事は出来なかった。
王子領で必要以上の消費カロリーだったミカエルは疲れて寝てしまった。
無防備に眠るミカエル。ちょっとだけ可愛いと思ってしまったのはきっと、自分の膝の上なら何も考えずにただ眠れるからなのだろうと思うとクスっと笑ってしまうのだった。
馬車は山を越えて、街道を走り、瘴気の吹き出す領にひた走る。
そこでパイプライン工事について職人たちとパッツィオ家当主ローレンが待っている。
ミカエルとエリザベートが王子領などへの視察旅行に出かけて1週間目。
第3王子の王子宮ではちょっとした騒ぎになっていた。
昨日からサリアが帰らないのである。
「まだ帰らないのか?全く…どこを遊び歩いているんだ」
「申し訳ございません。手を尽くして探しているのですが一向に」
「騎士団と憲兵団にも連絡を入れて市井も探させろ…全く手間ばかりかけおって」
第3王子アルバートはサリアを失踪させるための計画を練っていた。
しかしまだ行動には移していない段階である。
計画は街に買い物に行かせたサリアを破落戸に襲わせ、船で沖合まで運びそこで捨てる。潮流を考えれば岸に流れ着く事はまずない。
問題は、破落戸と、片道2日ほど往復で4,5日船を貸してくれてサリアを投げ込んでくれる口の堅い者をどうやって用意するかであった。
幾らかの金が必要な事は勿論、こちらの素性がバレないようしなくてはならない。
人選をしていた所なのである。
まさか計画がバレてサリアが逃げたのではと焦りを隠せない。
見つかったとしてもしばらくはまだ動けないだろう。悔しさをにじませる反面思う事もあった。
もし、亡骸となって見つかってくれればまさに天の啓示ではないかと。
見つかれば見つかったで反省させるために地下の懲罰房に入れて衰弱死でもさせるかと目論む。
――どこかで暴漢にでも嬲り殺しにされていれば悲劇の夫を演じてやるのに――
どちらにしても、サリアを探すしかないアルバート。
「しっかり探すんだ」
「畏まりました」
しかし、捜索の範囲はおそらく出ていないだろうと思われた広い第3王子の王子宮の敷地内から市井にまで広げたが、3日経ってもサリアは見つからなかった。
行く先々でとりあえずは【食べてみる】ミカエルに呆れてしまうが、ミカエルはこれが一番手っ取り早いと言って木になっている果物などを食べている。
だが、よく観察をしてみると同じ果実ではなく微妙に違うものを食べているのである。
で、「これ旨い。食ってみ?」と渡されるものは確かに甘くて美味しい。
ただ、従者たちは気が気ではない。夜になり腹痛などを起こせば大変だからである。
しかし、そこは野生生活10年ほどになるミカエル。
齧って味覚を確かめ、甘いなと思っても直感でペっと吐き出すものもある。
なんでもかんでも口に入れるが、飲み込むわけではない。恐るべし野生の勘。
ヘビなどが出て来ても、押えどころを知っているので瞬時に捕まえる。
「こいつは毒があるから注意ね。でもねぇ…ぶつ切りにして塩焼きすると美味いんだ」
「こいつは動きはノロマなんだけど産卵期は平気で3,4mは飛ぶからね」
「おぉぉ~ヤマカガシまでいるじゃん!リザ!ここに移住しないか?」
遥か彼方を見つめるようなエリザベートの冷たい視線。
だが、ミカエルは完全に野生を開放している。まさに狂喜乱舞である。
「エル様、そろそろ出立しますわよ」
「え?どっか行くの?」
「次は先日購入したあの瘴気が出る地です。行ける時に見ておかねばなりません」
「判った。手を洗ってくるから待ってて」
手洗いを忘れないのは良い事である。
ミカエルを待っている間、少し先の雑木林の入り口付近で従者が声をあげる。
何事かと言ってみると、生後数日の子犬のような生き物がいる。
どうやら大型のヘビか、熊かに襲われたようで巣がグチャグチャになっていた。
「可哀想になぁ‥‥どうしましょうか?」
「そうねぇ…誰か飼育方法をご存じ?」
「犬はなぁ…もうちょっと大きかったら簡単なんだけど」
そこにミカエル登場。ジャジャーンである。
「リザ?どうした?」
「犬の巣が荒らされたようで…一匹生きているようですがどうしたものかと」
「は?コレ、犬じゃないよ」
「ですが、どう見ても犬で御座いましょう?」
「絶対とは言わないけど犬はこんな巣は造らない。これは狼だな」
<< オオカミ? >>
「どうする?連れてくなら世話は出来るけど」
<< できるの? >>
「でもなぁ‥‥だけどなぁ…」
「どうしましたの?ご飯が特殊だとかですの?」
「そうじゃなくて、ペット飼うと子供諦める人とか多いしなぁ」
「連れて行きましょう。飼います」
エリザベート即断である。何故?という表情のミカエルはスルーされる。
従者たちは、心で合掌をする。
しかし!そこはエリザベートである。
「子供が背中に乗って月に向かって吠えるなんてロマンスですわ」
何かが微妙に違うような気もするが、子供であればオオカミの背中には乗れそうである。
ミカエルは瞬時に満面の笑みになる。そう!子供を想定しているという事は……である。
馬車の中、とりあえずなかったのでヤギの乳を与えてみるとよく飲むミニオオカミ。
その後はぐっすりと眠る。見た目は子犬なのであるが…
「エル様はどうしてオオカミとわかったのです?」
「ん?小さいうちは似てるけど、手、いや足かな。爪が違うんだよ。犬は丸くなるけどオオカミは尖ってるんだよ。ほら、ちょっと見えてるだろ?爪の先」
「あら、本当ですわ。よく見分けられますわね」
「そりゃね。野犬なら親が近くにいてもある程度対処できるけど、狼の親はもう逃げるしかない。群れてるからね。近くに居なかったのは…親が敵を遠くまで追いやってたのか、やられたかだな。やられたとなると狼すら太刀打ち出来ない大型の獣、熊なんかがふもとまで降りてきているから危険でもあるがな」
「そうなのですね。早速熊がいるかもと言うのは周知するようにしましょう。作業員の方も危険と言う事ですしね。しかしエル様は物知りですのね」
「ま、何度も襲われたことあるから」
それはそれで問題であるが、本人がケロっとしているし生きているからオールオケ。
そしてさりげなくエリザベートの手を握るミカエル。馬車の中は2人きり。
「子供は何人作ろうか?」
「は?」
「出来れば‥‥5人、いや6人かなぁ」
「わたくしはそんなに産めませんから、帰ったら愛人の選定を致しましょう」
「必要ないよ。俺が抱くのはリザだけだ。女はリザだけで終わり。言ったろ?」
「まぁ、それはそうですが、わたくしにも限界がございますの」
「じゃ、限界を確かめつつで‥‥(ちゅっ♡)」
しまった。先に乗り込んでしまったから馬車の隅に追いやられて逃げ場がない。
元々、馬車なので逃げ場などはないが、それでも角に追い詰められ、馬車の壁ドンで囲われていては、まず逃げられない。何より相手は夫である。
「お、お待ちくださいませ」
「待たない。愛人とか選ばれるくらいなら今からここで抱く」
「そう言うのは!寝台でするものですっ!」
「関係ない。俺は何処ででもリザなら抱ける自信がある」
「わ、わたくしは、どこでもかしこでも抱かれる自身がございませんの!」
馬車の壁ドン。エリザベートは次回に向けての対策を練るのである。
そんな対策を講じられる事も知らずにミカエルはまた膝枕でエリザベートに甘える。
「ところで、エル様」
「どうしたぁ?」
「キノコなどはよくお召し上がりになりますの?」
「腹が減ればね。山にいっぱいあるし」
「見分けはつきますの?毒キノコもありますでしょう?」
「毒キノコは見ればわかるよ。判らないのは‥‥城の食事だ」
最後の言葉だけが声色も表情も変わるミカエル。その声でおおよそどんな環境で育ったのかがわかる。
第1王子とはいえ常に気を張らねばならない王宮。
「でも、リザ。王子宮の食事は温かくて美味しいよ」
「そうで御座いますね」
「一緒に食べればもっと美味しい。だから‥‥」
その先は眠ってしまったミカエルの口からは聞く事は出来なかった。
王子領で必要以上の消費カロリーだったミカエルは疲れて寝てしまった。
無防備に眠るミカエル。ちょっとだけ可愛いと思ってしまったのはきっと、自分の膝の上なら何も考えずにただ眠れるからなのだろうと思うとクスっと笑ってしまうのだった。
馬車は山を越えて、街道を走り、瘴気の吹き出す領にひた走る。
そこでパイプライン工事について職人たちとパッツィオ家当主ローレンが待っている。
ミカエルとエリザベートが王子領などへの視察旅行に出かけて1週間目。
第3王子の王子宮ではちょっとした騒ぎになっていた。
昨日からサリアが帰らないのである。
「まだ帰らないのか?全く…どこを遊び歩いているんだ」
「申し訳ございません。手を尽くして探しているのですが一向に」
「騎士団と憲兵団にも連絡を入れて市井も探させろ…全く手間ばかりかけおって」
第3王子アルバートはサリアを失踪させるための計画を練っていた。
しかしまだ行動には移していない段階である。
計画は街に買い物に行かせたサリアを破落戸に襲わせ、船で沖合まで運びそこで捨てる。潮流を考えれば岸に流れ着く事はまずない。
問題は、破落戸と、片道2日ほど往復で4,5日船を貸してくれてサリアを投げ込んでくれる口の堅い者をどうやって用意するかであった。
幾らかの金が必要な事は勿論、こちらの素性がバレないようしなくてはならない。
人選をしていた所なのである。
まさか計画がバレてサリアが逃げたのではと焦りを隠せない。
見つかったとしてもしばらくはまだ動けないだろう。悔しさをにじませる反面思う事もあった。
もし、亡骸となって見つかってくれればまさに天の啓示ではないかと。
見つかれば見つかったで反省させるために地下の懲罰房に入れて衰弱死でもさせるかと目論む。
――どこかで暴漢にでも嬲り殺しにされていれば悲劇の夫を演じてやるのに――
どちらにしても、サリアを探すしかないアルバート。
「しっかり探すんだ」
「畏まりました」
しかし、捜索の範囲はおそらく出ていないだろうと思われた広い第3王子の王子宮の敷地内から市井にまで広げたが、3日経ってもサリアは見つからなかった。
35
お気に入りに追加
3,311
あなたにおすすめの小説

出生の秘密は墓場まで
しゃーりん
恋愛
20歳で公爵になったエスメラルダには13歳離れた弟ザフィーロがいる。
だが実はザフィーロはエスメラルダが産んだ子。この事実を知っている者は墓場まで口を噤むことになっている。
ザフィーロに跡を継がせるつもりだったが、特殊な性癖があるのではないかという恐れから、もう一人子供を産むためにエスメラルダは25歳で結婚する。
3年後、出産したばかりのエスメラルダに自分の出生についてザフィーロが確認するというお話です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

侍女から第2夫人、そして……
しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。
翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。
ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。
一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。
正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。
セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる