29 / 43
世界屈指の借金王
しおりを挟む
王子宮に戻ってからもミカエルは上の空である。
「エル様、どうなさったの?」
「どうって‥‥いや、なんか…」
「借金の事でしたらご心配なく。ちゃんと返済計画も出来ております」
「60年ローンとか言うんじゃ…」
「まさか!そんな年齢までお考えですの?ならば保険のかけ替えをしなくては」
「あと、エル様は初年度は多分お小遣いしか渡せないと思いますがパイプラインの敷設工事は直ぐに着手しますしガスを売る先はもう決まっておりますの。初年度だけで3兆のうち半分は返済が終わりますわ。翌年には鉄道が部分的に開通しますから少しは配当を渡せますわね」
「配当?なんだそれは」
「株式会社にしますのよ?帝国一部上場企業にいきなりの参入ですわ。エル様は借金王でもありますがおそらくは3年のうちには世界でも5本の指に入る富豪になりますのよ?全て全体の7割の株式を所有しますからね。で、売り上げが出ればバルブン国にホースレースについては運営権を売り渡しますわ」
ウキウキと話をしてくるエリザベートだがミカエルは今一つ理解が出来ない。
「ちゃんと聞いていますの?」
「あ、うん…多分」
「多分ではダメで御座いましょう?それではこの国は救えません!」
「えっ?国を救う?」
「そうですわよ?ちゃんとお聞きになって?」
「判った。ちょっと理解は遅いかも知れないが聞くよ」
「ガスの売り上げがほぼ安定するのは5年後で御座います。それまでの期間にも庶民の生活水準は何もしなければそのままなのです。これはお判りになる?」
「わかるよ。今の苦しい生活は何もしなければ続くんだろう?」
「そうです。それで王子領に鉄道を敷いて外貨を稼ぐのです」
「そのためにはこの国の通貨の価値をあげる必要があります。今のレートで言えば隣国でパンを買うのにあちらではワンコイン。そのワンコインにするのにこちらは札束が必要なのです。外貨を稼ぎ、まずは…エル様が走り回った山を買い取りますわ」
「えっ??あの山を?何故」
「自然保護区にします。なんでもかんでも開発すれば良いものではありません。調査したところあの広大な領、と言っても平野面積は本当に少ない地…ですよね?」
「確かに…山しかないところだったけど」
「あの地は絶対に残さねばならないのです。地形的に見てもあの山岳地帯はこの国だけでなく世界的にも研究者にとってはお宝なのです。幾つか崖を見られたでしょう?何がありました?」
「何って…崖は崖だけど」
「困った人ですね。これを御覧なさいまし」
エリザベートは起伏図の他に世界地図に似たような図を出してくる。
「規模は大きくなりますが、世界は大陸の移動を繰り返しています。大陸と大陸がぶつかって出来たのがあの山岳地帯。そして移動してくる前に地殻変動を万年単位で繰り返した痕跡があの崖には残っています。縞々なのは都度隆起と沈降を繰り返したから。それがぶつかった時にググっと持ち上がり目で見られる状態なのです」
「そうなんだ‥‥凄いな」
「えぇ。それにほぼ手付かずですから動植物の生態研究の価値もあるんです。珍しいんですよ。内陸でそれが残っているのは。孤島などなら影響を受けにくいので幾つかありますけどね。
保護区にする事で各国から支援金を頂きます。研究費込の支援金。それで領民は山の手入れをして頂くのです。保全のための仕事をして頂きます。その為に近いうちには辺境の地へも学校を建設します。読み書きだけではなく語学も必要ですからね。大義名分がないと動けないのは国というシステムの悪いところですわ」
地図を見ながら、へぇ~ほぉ~と呟くミカエル。理解度は気にしてはいけない。
そしてパっと顔をあげエリザベートの手を握る。
「俺さ、リザを連れて行きたいところがあるんだ」
「まぁ、何処でしょうか」
「この地図にある小さい村なんだけどさ。結婚式の前の日までいて、こんなデカいウサギを獲ったんだ。で、叱られて馬を走らせて‥‥礼も言ってないから…ダメかな?」
「ダメではありませんが、今!は無理ですわね。エル様は手ぶらで行くつもりですの?」
「土産かぁ…そうだな。あるといいかな」
「でしょう?明日には世界の借金王になるんですもの。そんな姿は見せられませんわ」
「え…明日なの…怖いんだけど…」
「大丈夫です。わたくし1人なら2兆8000億しか借りられませんでしたの。エル様がいたから3兆という切りのいいお話になったのです」
「え?ちなみに俺単体ならどうだったのかな?」
「500億は貸して頂けたと思いますわ。わたくしが保証人になる事で2千億です」
「なんか‥‥桁が…違う気がするんだが」
「大丈夫です。わたくしの夫ですから3兆貸して頂けるのです。胸をお張りなさいまし」
「やっぱりディスられてるのかな…俺」
ショボンとなるミカエルの肩をパンっと勢いよく叩くエリザベート。
捨てられた子犬のような目で見上げると・・・。
「貸してくれると言う事はそれだけの価値があると言う事です。これを利息揃えて返し終わった時、エル様の信用が太陽に到達するほどに上がるのです!」
「そう言われれば…そうだな」
「ねっ?そしたら次は更に倍!」
「え?また借金するの?倍って…6兆?まるで博打みたいだな」
「大丈夫。その時は、はらたいらさんに全部!って賭けますわ」
「篠●教授じゃないだけマシか…」
「そこまでの博打は出来ませんわ。エル様が旦那様ってだけで無謀な賭けですもの♪」
待て!やはりディスられているのか?
困惑したミカエルにエリザベートはご褒美を忘れない。手綱はしっかり握るのである。
「世界屈指の借金王の妻になるんですもの。死亡保険金も増額してますわ(ちゅっ♡)」
柔らかい唇が触れた頬に思わず手をやるミカエル。
エリザベートからキスしてくれた?マジ?‥‥難しい話はすっぽり抜け落ちる。
流石ポンコツ王子である。
「そうそう、王子領への視察は5日後ですわ。新婚旅行ですわね」
「えっ?‥‥やった!リザと旅行だ」
「しっかりテントなどの野宿の準備はしてくださいませね?」
「はっ?宿屋じゃないのか?」
「何を言ってますの?エル様が何もしていないから宿屋などありませんわよ」
「じゃ、工事をしてる者はどこで寝泊まりを?」
「ふふっ。土木工事ならではの飯場ですわ。意外に快適らしいですわよ?」
何もしていないツケがついに目の当たりになるミカエル。
しかし野宿はお手の物。あれもしてあげようかな?これは笑ってくれるかな?
能天気である。
その頃、ミカエルの弟にあたる1人の王子宮では異国から来た護衛が正式採用された。
「よろしく頼むよ」
「ありがとうございます。殿下をお守りする事を誓います」
「ところで、住むところは決まったのかい?」
「明日でも手ごろなアパートメントを契約しようと思っています」
「ここの離れに空き部屋がある。そこでも構わないが」
「いえ、大事な妻がおりますのでご迷惑をおかけするわけにはまいりません」
「妻?‥‥君は妻帯者だったのか?」
「いえ、内縁と言いますか…籍は入れておりませんので」
しっかりと礼をして出て行くその背中を見送って王子は呟く。
「アイザック・マルペス・ロードン‥‥どんな声で啼くのかな。愉しみだ」
履歴書の配偶者ありの部分に蝋燭の炎をあてるとあっという間に灰になる履歴書。
「君はここで僕に愛されるんだよ?ロードン君…フフフ」
燃え尽きた履歴書の残骸を足で砕いていく。
窓の外を見ると第2王子と皇帝の一行が帰ってきたのが見える。
「兄上の妻‥‥目の前で兄上も嬲ってあげたくなるなぁ」
恐ろしい呟きは静かな執務室に消えて行った。
「エル様、どうなさったの?」
「どうって‥‥いや、なんか…」
「借金の事でしたらご心配なく。ちゃんと返済計画も出来ております」
「60年ローンとか言うんじゃ…」
「まさか!そんな年齢までお考えですの?ならば保険のかけ替えをしなくては」
「あと、エル様は初年度は多分お小遣いしか渡せないと思いますがパイプラインの敷設工事は直ぐに着手しますしガスを売る先はもう決まっておりますの。初年度だけで3兆のうち半分は返済が終わりますわ。翌年には鉄道が部分的に開通しますから少しは配当を渡せますわね」
「配当?なんだそれは」
「株式会社にしますのよ?帝国一部上場企業にいきなりの参入ですわ。エル様は借金王でもありますがおそらくは3年のうちには世界でも5本の指に入る富豪になりますのよ?全て全体の7割の株式を所有しますからね。で、売り上げが出ればバルブン国にホースレースについては運営権を売り渡しますわ」
ウキウキと話をしてくるエリザベートだがミカエルは今一つ理解が出来ない。
「ちゃんと聞いていますの?」
「あ、うん…多分」
「多分ではダメで御座いましょう?それではこの国は救えません!」
「えっ?国を救う?」
「そうですわよ?ちゃんとお聞きになって?」
「判った。ちょっと理解は遅いかも知れないが聞くよ」
「ガスの売り上げがほぼ安定するのは5年後で御座います。それまでの期間にも庶民の生活水準は何もしなければそのままなのです。これはお判りになる?」
「わかるよ。今の苦しい生活は何もしなければ続くんだろう?」
「そうです。それで王子領に鉄道を敷いて外貨を稼ぐのです」
「そのためにはこの国の通貨の価値をあげる必要があります。今のレートで言えば隣国でパンを買うのにあちらではワンコイン。そのワンコインにするのにこちらは札束が必要なのです。外貨を稼ぎ、まずは…エル様が走り回った山を買い取りますわ」
「えっ??あの山を?何故」
「自然保護区にします。なんでもかんでも開発すれば良いものではありません。調査したところあの広大な領、と言っても平野面積は本当に少ない地…ですよね?」
「確かに…山しかないところだったけど」
「あの地は絶対に残さねばならないのです。地形的に見てもあの山岳地帯はこの国だけでなく世界的にも研究者にとってはお宝なのです。幾つか崖を見られたでしょう?何がありました?」
「何って…崖は崖だけど」
「困った人ですね。これを御覧なさいまし」
エリザベートは起伏図の他に世界地図に似たような図を出してくる。
「規模は大きくなりますが、世界は大陸の移動を繰り返しています。大陸と大陸がぶつかって出来たのがあの山岳地帯。そして移動してくる前に地殻変動を万年単位で繰り返した痕跡があの崖には残っています。縞々なのは都度隆起と沈降を繰り返したから。それがぶつかった時にググっと持ち上がり目で見られる状態なのです」
「そうなんだ‥‥凄いな」
「えぇ。それにほぼ手付かずですから動植物の生態研究の価値もあるんです。珍しいんですよ。内陸でそれが残っているのは。孤島などなら影響を受けにくいので幾つかありますけどね。
保護区にする事で各国から支援金を頂きます。研究費込の支援金。それで領民は山の手入れをして頂くのです。保全のための仕事をして頂きます。その為に近いうちには辺境の地へも学校を建設します。読み書きだけではなく語学も必要ですからね。大義名分がないと動けないのは国というシステムの悪いところですわ」
地図を見ながら、へぇ~ほぉ~と呟くミカエル。理解度は気にしてはいけない。
そしてパっと顔をあげエリザベートの手を握る。
「俺さ、リザを連れて行きたいところがあるんだ」
「まぁ、何処でしょうか」
「この地図にある小さい村なんだけどさ。結婚式の前の日までいて、こんなデカいウサギを獲ったんだ。で、叱られて馬を走らせて‥‥礼も言ってないから…ダメかな?」
「ダメではありませんが、今!は無理ですわね。エル様は手ぶらで行くつもりですの?」
「土産かぁ…そうだな。あるといいかな」
「でしょう?明日には世界の借金王になるんですもの。そんな姿は見せられませんわ」
「え…明日なの…怖いんだけど…」
「大丈夫です。わたくし1人なら2兆8000億しか借りられませんでしたの。エル様がいたから3兆という切りのいいお話になったのです」
「え?ちなみに俺単体ならどうだったのかな?」
「500億は貸して頂けたと思いますわ。わたくしが保証人になる事で2千億です」
「なんか‥‥桁が…違う気がするんだが」
「大丈夫です。わたくしの夫ですから3兆貸して頂けるのです。胸をお張りなさいまし」
「やっぱりディスられてるのかな…俺」
ショボンとなるミカエルの肩をパンっと勢いよく叩くエリザベート。
捨てられた子犬のような目で見上げると・・・。
「貸してくれると言う事はそれだけの価値があると言う事です。これを利息揃えて返し終わった時、エル様の信用が太陽に到達するほどに上がるのです!」
「そう言われれば…そうだな」
「ねっ?そしたら次は更に倍!」
「え?また借金するの?倍って…6兆?まるで博打みたいだな」
「大丈夫。その時は、はらたいらさんに全部!って賭けますわ」
「篠●教授じゃないだけマシか…」
「そこまでの博打は出来ませんわ。エル様が旦那様ってだけで無謀な賭けですもの♪」
待て!やはりディスられているのか?
困惑したミカエルにエリザベートはご褒美を忘れない。手綱はしっかり握るのである。
「世界屈指の借金王の妻になるんですもの。死亡保険金も増額してますわ(ちゅっ♡)」
柔らかい唇が触れた頬に思わず手をやるミカエル。
エリザベートからキスしてくれた?マジ?‥‥難しい話はすっぽり抜け落ちる。
流石ポンコツ王子である。
「そうそう、王子領への視察は5日後ですわ。新婚旅行ですわね」
「えっ?‥‥やった!リザと旅行だ」
「しっかりテントなどの野宿の準備はしてくださいませね?」
「はっ?宿屋じゃないのか?」
「何を言ってますの?エル様が何もしていないから宿屋などありませんわよ」
「じゃ、工事をしてる者はどこで寝泊まりを?」
「ふふっ。土木工事ならではの飯場ですわ。意外に快適らしいですわよ?」
何もしていないツケがついに目の当たりになるミカエル。
しかし野宿はお手の物。あれもしてあげようかな?これは笑ってくれるかな?
能天気である。
その頃、ミカエルの弟にあたる1人の王子宮では異国から来た護衛が正式採用された。
「よろしく頼むよ」
「ありがとうございます。殿下をお守りする事を誓います」
「ところで、住むところは決まったのかい?」
「明日でも手ごろなアパートメントを契約しようと思っています」
「ここの離れに空き部屋がある。そこでも構わないが」
「いえ、大事な妻がおりますのでご迷惑をおかけするわけにはまいりません」
「妻?‥‥君は妻帯者だったのか?」
「いえ、内縁と言いますか…籍は入れておりませんので」
しっかりと礼をして出て行くその背中を見送って王子は呟く。
「アイザック・マルペス・ロードン‥‥どんな声で啼くのかな。愉しみだ」
履歴書の配偶者ありの部分に蝋燭の炎をあてるとあっという間に灰になる履歴書。
「君はここで僕に愛されるんだよ?ロードン君…フフフ」
燃え尽きた履歴書の残骸を足で砕いていく。
窓の外を見ると第2王子と皇帝の一行が帰ってきたのが見える。
「兄上の妻‥‥目の前で兄上も嬲ってあげたくなるなぁ」
恐ろしい呟きは静かな執務室に消えて行った。
39
お気に入りに追加
3,311
あなたにおすすめの小説

出生の秘密は墓場まで
しゃーりん
恋愛
20歳で公爵になったエスメラルダには13歳離れた弟ザフィーロがいる。
だが実はザフィーロはエスメラルダが産んだ子。この事実を知っている者は墓場まで口を噤むことになっている。
ザフィーロに跡を継がせるつもりだったが、特殊な性癖があるのではないかという恐れから、もう一人子供を産むためにエスメラルダは25歳で結婚する。
3年後、出産したばかりのエスメラルダに自分の出生についてザフィーロが確認するというお話です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

侍女から第2夫人、そして……
しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。
翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。
ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。
一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。
正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。
セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。
【完結】見返りは、当然求めますわ
楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。
伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかし、正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。
※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる