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表の裏は裏、裏の裏は表
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結婚式まで10日を切ったある日、エリザベートはデイジーを呼び出した。
「妃殿下。お呼びと伺いましたが」
「えぇ。これをパッツィオ家に届けてほしいの」
パッツィオ家と聞いてデイジーの眉がピクリと動く。デイジーの彼氏はそこに潜入している捜査官だからと言う事もあるが、バロビン国の裏の国王と呼ばれているのはパッツィオ家の当主である。
「何かご用件であれば…チャールズに連絡を取りますが」
「いいえ?そういうのは必要ないわ」
「ですが、妃殿下が…その…パッツィオ家と関りを持つのは危険です」
「デンジャー。デンジャラス大いに結構。単なるビジネスよ。パッツィオ家だってフロント企業はあるでしょう?裏の稼ぎは大きいでしょうけどそれだけじゃこの世は渡っていけないわ」
確かにその通りではあるが、表の顔として経営している商会だとは言っても王子妃が関りを持つのはやはり危険だとデイジーは首を縦に振らない。
「デイジー。言いたくはないけれど…言っちゃうわよ?」
「命令ですか?‥‥ですが主の行いを正すのも臣下の務めです。譲れません」
「困ったなぁ…悪い話じゃないんだけどなぁ‥‥はい!」
思わず「あざっす」と手が出そうになる帝国から届いたキャンディを差し出される。
珍しい菓子ではあるが定期的に届くのでこの王子宮ではかなり普通に食べられる。だが!美味しいものは美味しい。実はデイジーの好物なのだ。
「ひ、妃殿下…それには釣られませんよ」
「あら?困った。これ新製品というか‥‥限定品なのになぁ」
「限定品?」
「そうなの。生乳100%なんだって。何かねぇ…まろやかさが違う?みたいな?」
「ハグァ‥‥いやっ!でもダメです。こればかりはダメ!絶対にだ…」
デイジーの口の中に柔らかい生キャラメルをポンと放り込むエリザベート。
「あまぁい♡」
「でしょ?食べちゃったよねぇ?お使いよろしくね」
「ダメですって!本当にパッツィオ家は危険すぎます」
エリザベートは幾つか机の隅に揃えられた書類から一綴りになった束を取り出す。
書類の頭には【第2街道整備改良工事計画書】と書かれている。
「理由もなく、コンタクトをしようと言う訳じゃないのよ」
「まさかこの計画を‥‥」
「わたくしは夫である第一王子ミカエル殿下の名が確実に残せる事業をするの。第2街道ねぇ…難所も多いが隣国に行くには瘴気のある地を経由せず、かつ最速で到達できる街道整備…だそうよ?つまらない計画ね」
デイジーは発する言葉の意味は分かるが【難所】を誤解していないか確認をする。
「妃殿下、その難所…」
「そうよ?だからパッツィオ家にコンタクトを取るのよ」
第2街道が通る地域にはパッツィオ家の領地はない。
領主に払う分とは別に【護衛のついた通行料】をパッツィオ家に払わなければ危険を伴う。それを払えばスムーズに隣国に到着できるが、払わない場合は到着先は隣国ではなく天国。
エリザベートは他の国よりも30年は発展が遅れているこのバロビン国を憂いている。このままでは直ぐに立ち行かなくなる。
しかし人は目の前の問題は先送りするか見ない振りをする。それではいけないのである。
「兎に角、大事な話だから早めに。結婚式もあと9日後でしょう?時間がないわ」
「わかりました。でも向こうに行かれる際は同行します」
「えぇ。それは勿論。目線で交わす愛…歌劇のようだわ」
「いえ、しませんけどね?」
「えっ?しないの?折角チャールズに会えるのに?つまんないわね」
「そういう問題ではありません。では、届けてきます」
しっかり生キャラメルを追加で1つ口に放り込むのを忘れない。
そしてキャンディも限定品をしっかり3粒手にしている。
流石デイジーである。自他ともにも認める激甘信者だ。
結婚式6日前。
パッツィオ家より返事が届いた。何故かその返事を届けに来たのは第5王子だった。
警戒をするなと言うのが無理な注文である。
手渡された封筒を見る限り開封された形跡はない。
そして目の前で肘を膝に引っ掛けるように前のめりになって指を組み合わせている第5王子の表情から読み取れるのは【希望】そして【野心】である。
――気持ち悪いわね。目元がヘビみたい。スネイキ―って呼ぼうかしら――
「本日は第5王子自らのご訪問、如何いたしましたの」
「これはこれは。手厳しい。あっとそうでしたね。名乗っておりませんでした」
「お互い自己紹介など今更でございましょう?不愉快です」
「いえいえ、是非妃殿下には私を知って頂きたい」
「まさか、諜報に長けた第5王子カサリウス殿下。それ以上に何を知れと?」
「直球ですか」と言うとクックックと喉を鳴らして笑う第5王子。
「あぁ、そうでしたわね、過日はよく躾けられた使用人を回して頂き感謝しますわ」
「その件につきましては、大変に失礼を致しました」
「いいえ?おかげで王家を見る目が変わりましたもの。オホホ」
「厳しいな‥‥いや、本当に申し訳ない。この通りだ」
立ち上がり、ソファの後ろに回った第5王子は頭を深々と下げた。
パンジーの顔を見る限りかなり珍しい事象である事は確かなようである。
「頭を上げてくださいませ。謝罪される謂れはございません」
「いや、本当に申し訳ないと思っているのだ」
「思うだけなら心に止め置きくだされば良いのです」
「本当に手厳しい。貴女がわたしの妃なら絶対の服従を誓いそうだ」
「そのような趣味は御座いませんの。で?本日のご用件はなんでございましょう」
チラリとエリザベートに渡った封書を見る第5王子カサリウスは「第2街道工事ですか」と口にするがエリザベートは微笑むだけで何も言わない。
「整備工事の計画でしょう?アルバート兄上が鳴り物入りでやろうとしている」
「あらそう。それは大変ね」
「私と組みませんか?そしたら工事中の妨害は何とかできる」
どうやらエリザベートの思惑とは違う方向を考えているようである。
デイジーが茶請けの菓子と共に茶を運んでくる。
「従者の方にも差し上げて。チョコレートですわ。毒は入っておりませんが癖になりますの」
チョコレートを手渡され驚く従者。第5王子も入手困難な菓子が盛られた籠に驚く。
確かに帝国という後ろ盾があるにしても【格の違い】は見せて牽制するに越したことはない。
エリザベートの計画を他の王子に譲るつもりはない。
「第2街道の計画。アルバート様と言うと第3王子殿下ですか?どうぞ共同で成さるもよし、第5王子殿下が単独で成さるもよし。ご自由に。当王子宮、つまり第一王子殿下は第2街道には興味御座いませんもの」
「えっ?この工事をやるという事でパッツィオ家に連絡をしたのではないのか?」
「何故そのような事をわたくしがせねばならぬのです?」
「しかし、そうやって回答が来ているではないか!」
「そりゃ王子妃から手紙が来れば返事もするでしょうねぇ。不敬になりますもの」
カサリウスの様子からすれば、パッツィオは書簡の内容を洩らしてはいないようである。
封を切らずとも確信に至る。
パッツィオ家はエリザベートの提案に乗ったと言う事だ。
「ご安心ください。第2街道については一切干渉致しませんわ」
「いや、待ってくれ。ならばどうしてパッツィオ家に?おかしいだろう?」
「おかしいのはパッツィオ家に連絡を取った事を知っている殿下では?」
「あ、いや‥‥そうだが…」
「諜報をされている事は知っておりますよ?それを咎める事も致しません」
明らかに動揺を始めるカサリウスの目の前で優雅に茶を飲み、茶器を置く。
「殿下、一つだけ教えて差し上げますわ」
「なっ何だろうか?」
籠から1枚のクッキーを無造作に取りだし、カサリウスの目の前に突きつける。
「お手にどうぞ」と言われクッキーを手にするカサリウス。
「表の裏は何かご存じ?」
「裏だが…」
「では裏の裏は?」
「えっ?」
【表ですわ。ホーッホッホ】
「殿下がお帰りよ」とエリザベートは立ち上がる。
王子宮を出たカサリウスは馬車の中で渡されたクッキーを齧った。
「旨っ」
従者は「内緒ですよ?限定品♡」と渡されたキャンディの入ったポケットをそっと触った。
「妃殿下。お呼びと伺いましたが」
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「デイジー。言いたくはないけれど…言っちゃうわよ?」
「命令ですか?‥‥ですが主の行いを正すのも臣下の務めです。譲れません」
「困ったなぁ…悪い話じゃないんだけどなぁ‥‥はい!」
思わず「あざっす」と手が出そうになる帝国から届いたキャンディを差し出される。
珍しい菓子ではあるが定期的に届くのでこの王子宮ではかなり普通に食べられる。だが!美味しいものは美味しい。実はデイジーの好物なのだ。
「ひ、妃殿下…それには釣られませんよ」
「あら?困った。これ新製品というか‥‥限定品なのになぁ」
「限定品?」
「そうなの。生乳100%なんだって。何かねぇ…まろやかさが違う?みたいな?」
「ハグァ‥‥いやっ!でもダメです。こればかりはダメ!絶対にだ…」
デイジーの口の中に柔らかい生キャラメルをポンと放り込むエリザベート。
「あまぁい♡」
「でしょ?食べちゃったよねぇ?お使いよろしくね」
「ダメですって!本当にパッツィオ家は危険すぎます」
エリザベートは幾つか机の隅に揃えられた書類から一綴りになった束を取り出す。
書類の頭には【第2街道整備改良工事計画書】と書かれている。
「理由もなく、コンタクトをしようと言う訳じゃないのよ」
「まさかこの計画を‥‥」
「わたくしは夫である第一王子ミカエル殿下の名が確実に残せる事業をするの。第2街道ねぇ…難所も多いが隣国に行くには瘴気のある地を経由せず、かつ最速で到達できる街道整備…だそうよ?つまらない計画ね」
デイジーは発する言葉の意味は分かるが【難所】を誤解していないか確認をする。
「妃殿下、その難所…」
「そうよ?だからパッツィオ家にコンタクトを取るのよ」
第2街道が通る地域にはパッツィオ家の領地はない。
領主に払う分とは別に【護衛のついた通行料】をパッツィオ家に払わなければ危険を伴う。それを払えばスムーズに隣国に到着できるが、払わない場合は到着先は隣国ではなく天国。
エリザベートは他の国よりも30年は発展が遅れているこのバロビン国を憂いている。このままでは直ぐに立ち行かなくなる。
しかし人は目の前の問題は先送りするか見ない振りをする。それではいけないのである。
「兎に角、大事な話だから早めに。結婚式もあと9日後でしょう?時間がないわ」
「わかりました。でも向こうに行かれる際は同行します」
「えぇ。それは勿論。目線で交わす愛…歌劇のようだわ」
「いえ、しませんけどね?」
「えっ?しないの?折角チャールズに会えるのに?つまんないわね」
「そういう問題ではありません。では、届けてきます」
しっかり生キャラメルを追加で1つ口に放り込むのを忘れない。
そしてキャンディも限定品をしっかり3粒手にしている。
流石デイジーである。自他ともにも認める激甘信者だ。
結婚式6日前。
パッツィオ家より返事が届いた。何故かその返事を届けに来たのは第5王子だった。
警戒をするなと言うのが無理な注文である。
手渡された封筒を見る限り開封された形跡はない。
そして目の前で肘を膝に引っ掛けるように前のめりになって指を組み合わせている第5王子の表情から読み取れるのは【希望】そして【野心】である。
――気持ち悪いわね。目元がヘビみたい。スネイキ―って呼ぼうかしら――
「本日は第5王子自らのご訪問、如何いたしましたの」
「これはこれは。手厳しい。あっとそうでしたね。名乗っておりませんでした」
「お互い自己紹介など今更でございましょう?不愉快です」
「いえいえ、是非妃殿下には私を知って頂きたい」
「まさか、諜報に長けた第5王子カサリウス殿下。それ以上に何を知れと?」
「直球ですか」と言うとクックックと喉を鳴らして笑う第5王子。
「あぁ、そうでしたわね、過日はよく躾けられた使用人を回して頂き感謝しますわ」
「その件につきましては、大変に失礼を致しました」
「いいえ?おかげで王家を見る目が変わりましたもの。オホホ」
「厳しいな‥‥いや、本当に申し訳ない。この通りだ」
立ち上がり、ソファの後ろに回った第5王子は頭を深々と下げた。
パンジーの顔を見る限りかなり珍しい事象である事は確かなようである。
「頭を上げてくださいませ。謝罪される謂れはございません」
「いや、本当に申し訳ないと思っているのだ」
「思うだけなら心に止め置きくだされば良いのです」
「本当に手厳しい。貴女がわたしの妃なら絶対の服従を誓いそうだ」
「そのような趣味は御座いませんの。で?本日のご用件はなんでございましょう」
チラリとエリザベートに渡った封書を見る第5王子カサリウスは「第2街道工事ですか」と口にするがエリザベートは微笑むだけで何も言わない。
「整備工事の計画でしょう?アルバート兄上が鳴り物入りでやろうとしている」
「あらそう。それは大変ね」
「私と組みませんか?そしたら工事中の妨害は何とかできる」
どうやらエリザベートの思惑とは違う方向を考えているようである。
デイジーが茶請けの菓子と共に茶を運んでくる。
「従者の方にも差し上げて。チョコレートですわ。毒は入っておりませんが癖になりますの」
チョコレートを手渡され驚く従者。第5王子も入手困難な菓子が盛られた籠に驚く。
確かに帝国という後ろ盾があるにしても【格の違い】は見せて牽制するに越したことはない。
エリザベートの計画を他の王子に譲るつもりはない。
「第2街道の計画。アルバート様と言うと第3王子殿下ですか?どうぞ共同で成さるもよし、第5王子殿下が単独で成さるもよし。ご自由に。当王子宮、つまり第一王子殿下は第2街道には興味御座いませんもの」
「えっ?この工事をやるという事でパッツィオ家に連絡をしたのではないのか?」
「何故そのような事をわたくしがせねばならぬのです?」
「しかし、そうやって回答が来ているではないか!」
「そりゃ王子妃から手紙が来れば返事もするでしょうねぇ。不敬になりますもの」
カサリウスの様子からすれば、パッツィオは書簡の内容を洩らしてはいないようである。
封を切らずとも確信に至る。
パッツィオ家はエリザベートの提案に乗ったと言う事だ。
「ご安心ください。第2街道については一切干渉致しませんわ」
「いや、待ってくれ。ならばどうしてパッツィオ家に?おかしいだろう?」
「おかしいのはパッツィオ家に連絡を取った事を知っている殿下では?」
「あ、いや‥‥そうだが…」
「諜報をされている事は知っておりますよ?それを咎める事も致しません」
明らかに動揺を始めるカサリウスの目の前で優雅に茶を飲み、茶器を置く。
「殿下、一つだけ教えて差し上げますわ」
「なっ何だろうか?」
籠から1枚のクッキーを無造作に取りだし、カサリウスの目の前に突きつける。
「お手にどうぞ」と言われクッキーを手にするカサリウス。
「表の裏は何かご存じ?」
「裏だが…」
「では裏の裏は?」
「えっ?」
【表ですわ。ホーッホッホ】
「殿下がお帰りよ」とエリザベートは立ち上がる。
王子宮を出たカサリウスは馬車の中で渡されたクッキーを齧った。
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