8 / 43
予期せぬ来訪者
しおりを挟む
まったりと日当たりのよいサロンでまどろむエリザベート。
あの婚約解消になった夜会から4カ月が経とうとしていた。
その間に元婚約者の結婚式とパレードがあったと聞いたが、それよりも隣国で上演されている歌劇が見たくて足を運んでいたためどんなものであったかは聞く気も起らない。
興味の度合いはと聞かれると、
父の職場近くに店を構えるパスタ店に気が向いた時に訪れる客の隣の家に住んでいる従兄弟の友達の結婚式があると聞かされたくらいの興味である。つまりは全く興味がない。
婚約も解消できた事もあって、のんびりとした日々を満喫している。
婚約者でない以上、王宮で議会に出席する必要もないし大量の決裁書類を精査するために膨大な資料を片っ端から読み漁ったり、学識者に意見を伺ったりする必要もない。
近いうちに侯爵家は王都にある屋敷と土地を売り払い領地に戻るのである。
その領地はつい先日、帝国の大使館の所有になった。この国で初めて領規模の【治外法権区域】が出来たのだ。その辺の一画ではなくかなりの広さである。
山や川もある事から敷地面積だけで言えば王都よりも広い【外国】が出来たのだ。
使用人達は【外国】へは移住させられないので退職金として時価数千万の宝飾品や絵画などを順番に渡していく。
母のドレスもエリザベートのドレスも教会などに寄付をした。
大量なので怪しまれるかと思ったが【婚約時の事を思い出すので】と言えば引き取ってくれるだけでなく、今後の幸せまで祈ってくれるというサービス付きだ。
次第に空っぽになっていく侯爵家。このサロンも家具があった時も広かったが今はもっと広く感じる。
小出しに荷を減らしていく。そうすれば運び出す荷物が少なくて済むからである。
引っ越し代も馬鹿にならない。自前で移動できるのが一番なのだ。
なんせ引っ越し先は【大使館領】なのだから口の堅い業者に頼んでもどこかから漏れる。
侯爵は慰謝料として3年の税の免除と言ったが、既に財産は金融資産のみ。
実際は半年を過ぎた辺りからはこの国などどうでもいいのである。
右に倣えで3大公爵家も水面下で動いている。こちらはこの国に居座るほうだが隣国との関係を強めるために頻繁に各隣国へ出向き始めている。
何事も足元が揺るげば終わり。この国の通貨も外貨に半分ほど変換していると言う。
このくらいは捨てても仕方ないほどのこの国の通貨を置き、その残りは金などを購入している。
誰も損はしたくない。
本格的にそれが見える頃にはハイパーインフレが起きるか…大恐慌となるか。
領民たちも何かを感じ取り、一家で公爵領などに移住するものも出てくる。
当然商人たちはもっと敏感である。どこが生き残るのか見定めて商売を始めた。
その経緯でたった4カ月なのにアイザックの実家であるロードン侯爵家が傾き始めた。
元々自転車操業の噂があったロードン侯爵家である。
早かったとみるべきか、よく持った方と見るべきか。
エリザベートがそんな事を考えながら歌劇のパンフレットに見入っていると来客の知らせを執事が運んできた。両親と目を合わせるが今日、訪問予定の客はいない。
「先に連絡もなく失礼な客ね。どちらかしら?」
「ロードン侯爵ご夫妻とそのご子息でございます」
「あら?一家総出で何の御用なのかしらね」
面倒くさそうに侯爵夫人は扇をパチンと閉じたり開いたり。
「暇つぶしにはなるんじゃない?」
「なればいいけど、どうせ金の無心よ。あの家かなりの角度ですもの」
そう言って立てた指先を徐々に傾けていく。
「わたくしは部屋にもどりましょうか?」
「いいんじゃない?エリーも暇でしょう?」
「そうだな。茶葉も早く使い切りたいしいればいいだろう」
消耗品すら使い切って荷物を減らそうとする父に呆れてしまいながらも実は楽しみでもある。
だが、通されたロードン侯爵家が口にしたのは金の融資ではなかった。
「我が家のアイザックと貴家のご令嬢、エリザベート嬢との婚約を是非考えて頂きたい」
――あら?ご両親、息子は男色家と言う事をご存じないの?――
切羽詰まった表情のロードン侯爵夫妻と少し不機嫌さを感じるアイザック。
アイザックにしてみれば嫌々この場に来ているという事だろう。
「殿下との婚約の件はこちらも承知している。貴家に瑕疵など全くなかった。それに同じ侯爵家ですし息子とご令嬢の年齢も近い。見知った仲でもありますから是非に」
全く何も考えていない癖に首を傾げる父にまたも呆れてしまう。
「エリー。お前はどうしたい?」
――お~い!丸投げかぁい!――
そう思ったのはエリザベートだけではなく隣の侯爵夫人もである。
向かいに座るロードン侯爵家ご一同もエリザベートを注視する。
――仕方ないわね。なんて面倒なのかしら――
そう思いつつもエリザベートはニコリと微笑みロードン侯爵家ご一同に返事をする。
【お断りいたしますわ】
予想通りのエリザベートの回答だと思ったのは両親。
予想外だと思ったのはロードン侯爵夫妻である。
アイザックも少々驚いてはいるが、これは【少し考えさせてほしい】という時間的猶予を言い出すと思っていたのだろうという反応である。
「いや、あの、突然なので驚いたと思いますから考慮頂いても…」
「考慮?必要御座いません。考えるまでもなく、お断りですの」
「えっ?どなたか他の方と婚約を?」
「いいえ?そのような方は今現在存在を致しませんわ」
「ロードン侯爵、申し訳ないがお引き取り願おうか」
「いや、でもこのアイザックはこの年齢で王太子の護衛にも…」
【で?王太子の愚行を窘められず、その王太子は今は王子‥‥ではなくて?】
「グッ…それは…だが!」
「ロードン侯爵、それ以上は何も言われない方が宜しいかと。ちなみに我が娘の縁談に付いては王家は一切の口出しをしないと確約済み。どなたにも相談は時間の無駄ですよ」
肩を落とし帰っていくロードン侯爵夫妻。アイザックは姿勢は良かった。
ロードン侯爵一行が帰った後、執事が書類を持ってくる。静かに紙をめくる侯爵。
「なるほどね」
「何なの?」
「見てごらん。我が家も舐められたものだ」
母と一緒に書かれている文字に目を落とす。なるほどと頷く2人。
ロードン侯爵家は間近に迫った支払いのために奔走しているのである。
アルトーレ侯爵家との縁談が成立したとなれば借金取りは支払いを猶予するだけでなく更に融資をする事は目に見えている。
「あら?買い取りに陛下から賜った金杯までいれちゃってるわ」
「えぐいわね…見つかったらどうするつもりなのかしら?」
「あんな首3つ差し出したところで足しにもならないのにねぇ…オホホ」
「旦那様、茶葉があと1缶になりましたが如何いたします?」
「おぉ!やっとストックがなくなったか。早速淹れてくれないか」
「承知致しました」
ロードン侯爵家の報告書を見ながら茶を飲むアルトーレ侯爵家の面々であった。
あの婚約解消になった夜会から4カ月が経とうとしていた。
その間に元婚約者の結婚式とパレードがあったと聞いたが、それよりも隣国で上演されている歌劇が見たくて足を運んでいたためどんなものであったかは聞く気も起らない。
興味の度合いはと聞かれると、
父の職場近くに店を構えるパスタ店に気が向いた時に訪れる客の隣の家に住んでいる従兄弟の友達の結婚式があると聞かされたくらいの興味である。つまりは全く興味がない。
婚約も解消できた事もあって、のんびりとした日々を満喫している。
婚約者でない以上、王宮で議会に出席する必要もないし大量の決裁書類を精査するために膨大な資料を片っ端から読み漁ったり、学識者に意見を伺ったりする必要もない。
近いうちに侯爵家は王都にある屋敷と土地を売り払い領地に戻るのである。
その領地はつい先日、帝国の大使館の所有になった。この国で初めて領規模の【治外法権区域】が出来たのだ。その辺の一画ではなくかなりの広さである。
山や川もある事から敷地面積だけで言えば王都よりも広い【外国】が出来たのだ。
使用人達は【外国】へは移住させられないので退職金として時価数千万の宝飾品や絵画などを順番に渡していく。
母のドレスもエリザベートのドレスも教会などに寄付をした。
大量なので怪しまれるかと思ったが【婚約時の事を思い出すので】と言えば引き取ってくれるだけでなく、今後の幸せまで祈ってくれるというサービス付きだ。
次第に空っぽになっていく侯爵家。このサロンも家具があった時も広かったが今はもっと広く感じる。
小出しに荷を減らしていく。そうすれば運び出す荷物が少なくて済むからである。
引っ越し代も馬鹿にならない。自前で移動できるのが一番なのだ。
なんせ引っ越し先は【大使館領】なのだから口の堅い業者に頼んでもどこかから漏れる。
侯爵は慰謝料として3年の税の免除と言ったが、既に財産は金融資産のみ。
実際は半年を過ぎた辺りからはこの国などどうでもいいのである。
右に倣えで3大公爵家も水面下で動いている。こちらはこの国に居座るほうだが隣国との関係を強めるために頻繁に各隣国へ出向き始めている。
何事も足元が揺るげば終わり。この国の通貨も外貨に半分ほど変換していると言う。
このくらいは捨てても仕方ないほどのこの国の通貨を置き、その残りは金などを購入している。
誰も損はしたくない。
本格的にそれが見える頃にはハイパーインフレが起きるか…大恐慌となるか。
領民たちも何かを感じ取り、一家で公爵領などに移住するものも出てくる。
当然商人たちはもっと敏感である。どこが生き残るのか見定めて商売を始めた。
その経緯でたった4カ月なのにアイザックの実家であるロードン侯爵家が傾き始めた。
元々自転車操業の噂があったロードン侯爵家である。
早かったとみるべきか、よく持った方と見るべきか。
エリザベートがそんな事を考えながら歌劇のパンフレットに見入っていると来客の知らせを執事が運んできた。両親と目を合わせるが今日、訪問予定の客はいない。
「先に連絡もなく失礼な客ね。どちらかしら?」
「ロードン侯爵ご夫妻とそのご子息でございます」
「あら?一家総出で何の御用なのかしらね」
面倒くさそうに侯爵夫人は扇をパチンと閉じたり開いたり。
「暇つぶしにはなるんじゃない?」
「なればいいけど、どうせ金の無心よ。あの家かなりの角度ですもの」
そう言って立てた指先を徐々に傾けていく。
「わたくしは部屋にもどりましょうか?」
「いいんじゃない?エリーも暇でしょう?」
「そうだな。茶葉も早く使い切りたいしいればいいだろう」
消耗品すら使い切って荷物を減らそうとする父に呆れてしまいながらも実は楽しみでもある。
だが、通されたロードン侯爵家が口にしたのは金の融資ではなかった。
「我が家のアイザックと貴家のご令嬢、エリザベート嬢との婚約を是非考えて頂きたい」
――あら?ご両親、息子は男色家と言う事をご存じないの?――
切羽詰まった表情のロードン侯爵夫妻と少し不機嫌さを感じるアイザック。
アイザックにしてみれば嫌々この場に来ているという事だろう。
「殿下との婚約の件はこちらも承知している。貴家に瑕疵など全くなかった。それに同じ侯爵家ですし息子とご令嬢の年齢も近い。見知った仲でもありますから是非に」
全く何も考えていない癖に首を傾げる父にまたも呆れてしまう。
「エリー。お前はどうしたい?」
――お~い!丸投げかぁい!――
そう思ったのはエリザベートだけではなく隣の侯爵夫人もである。
向かいに座るロードン侯爵家ご一同もエリザベートを注視する。
――仕方ないわね。なんて面倒なのかしら――
そう思いつつもエリザベートはニコリと微笑みロードン侯爵家ご一同に返事をする。
【お断りいたしますわ】
予想通りのエリザベートの回答だと思ったのは両親。
予想外だと思ったのはロードン侯爵夫妻である。
アイザックも少々驚いてはいるが、これは【少し考えさせてほしい】という時間的猶予を言い出すと思っていたのだろうという反応である。
「いや、あの、突然なので驚いたと思いますから考慮頂いても…」
「考慮?必要御座いません。考えるまでもなく、お断りですの」
「えっ?どなたか他の方と婚約を?」
「いいえ?そのような方は今現在存在を致しませんわ」
「ロードン侯爵、申し訳ないがお引き取り願おうか」
「いや、でもこのアイザックはこの年齢で王太子の護衛にも…」
【で?王太子の愚行を窘められず、その王太子は今は王子‥‥ではなくて?】
「グッ…それは…だが!」
「ロードン侯爵、それ以上は何も言われない方が宜しいかと。ちなみに我が娘の縁談に付いては王家は一切の口出しをしないと確約済み。どなたにも相談は時間の無駄ですよ」
肩を落とし帰っていくロードン侯爵夫妻。アイザックは姿勢は良かった。
ロードン侯爵一行が帰った後、執事が書類を持ってくる。静かに紙をめくる侯爵。
「なるほどね」
「何なの?」
「見てごらん。我が家も舐められたものだ」
母と一緒に書かれている文字に目を落とす。なるほどと頷く2人。
ロードン侯爵家は間近に迫った支払いのために奔走しているのである。
アルトーレ侯爵家との縁談が成立したとなれば借金取りは支払いを猶予するだけでなく更に融資をする事は目に見えている。
「あら?買い取りに陛下から賜った金杯までいれちゃってるわ」
「えぐいわね…見つかったらどうするつもりなのかしら?」
「あんな首3つ差し出したところで足しにもならないのにねぇ…オホホ」
「旦那様、茶葉があと1缶になりましたが如何いたします?」
「おぉ!やっとストックがなくなったか。早速淹れてくれないか」
「承知致しました」
ロードン侯爵家の報告書を見ながら茶を飲むアルトーレ侯爵家の面々であった。
42
お気に入りに追加
3,311
あなたにおすすめの小説

出生の秘密は墓場まで
しゃーりん
恋愛
20歳で公爵になったエスメラルダには13歳離れた弟ザフィーロがいる。
だが実はザフィーロはエスメラルダが産んだ子。この事実を知っている者は墓場まで口を噤むことになっている。
ザフィーロに跡を継がせるつもりだったが、特殊な性癖があるのではないかという恐れから、もう一人子供を産むためにエスメラルダは25歳で結婚する。
3年後、出産したばかりのエスメラルダに自分の出生についてザフィーロが確認するというお話です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね
江崎美彩
恋愛
王太子殿下の婚約者候補を探すために開かれていると噂されるお茶会に招待された、伯爵令嬢のミンディ・ハーミング。
幼馴染のブライアンが好きなのに、当のブライアンは「ミンディみたいなじゃじゃ馬がお茶会に出ても恥をかくだけだ」なんて揶揄うばかり。
「私が王太子殿下のお茶会に誘われたからって、今更あわてても遅いんだからね! 王太子殿下に見染められても知らないんだから!」
ミンディはブライアンに告げ、お茶会に向かう……
〜登場人物〜
ミンディ・ハーミング
元気が取り柄の伯爵令嬢。
幼馴染のブライアンに揶揄われてばかりだが、ブライアンが自分にだけ向けるクシャクシャな笑顔が大好き。
ブライアン・ケイリー
ミンディの幼馴染の伯爵家嫡男。
天邪鬼な性格で、ミンディの事を揶揄ってばかりいる。
ベリンダ・ケイリー
ブライアンの年子の妹。
ミンディとブライアンの良き理解者。
王太子殿下
婚約者が決まらない事に対して色々な噂を立てられている。
『小説家になろう』にも投稿しています
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
離婚した彼女は死ぬことにした
まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。
-----------------
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
-----------------
とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。
まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。
書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。
作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

侍女から第2夫人、そして……
しゃーりん
恋愛
公爵家の2歳のお嬢様の侍女をしているルイーズは、酔って夢だと思い込んでお嬢様の父親であるガレントと関係を持ってしまう。
翌朝、現実だったと知った2人は親たちの話し合いの結果、ガレントの第2夫人になることに決まった。
ガレントの正妻セルフィが病弱でもう子供を望めないからだった。
一日で侍女から第2夫人になってしまったルイーズ。
正妻セルフィからは、娘を義母として可愛がり、夫を好きになってほしいと頼まれる。
セルフィの残り時間は少なく、ルイーズがやがて正妻になるというお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる