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居場所のない茶会
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「では、今回の件よろしくお願いいたします」
「承知致しました。これからどちらに?」
「殿下との茶会ですわ。王妃殿下より申し使っておりますので」
書類を抱えた文官の「まだですか」という視線を感じて早々に話を切り上げる。
簡略をしていても、丁寧に見えるカーテシーで国務大臣を見送ると側付の侍女と共に王宮の庭園を歩き始める。
エリザベート・ブランチェスカ・アルトーレ侯爵令嬢。
この国の王太子であるカ―セル・ローディス・ヘイスティグズの婚約者でもある。
お互い21歳。18歳で王家からの申し出により結ばれた婚約はその10年前にアルトーレ侯爵家が隣国との間に領地への鉄道乗入を計画し鉄道の敷設工事が始まった事が起因する。
鉄道の整備をする中で掘削した山から石炭が発見された。これにより国内の製造業は可燃するための原料を国内調達できるようになり、僅か1年で王家の資産に匹敵する私財が出来る。翌年以降も順調に生産を続け婚約を結ぶ年には独立国家並みの資産となり、またアルトーレ侯爵家の納める税は国家の収入の70%近くになっていた。
隣の領境までの鉄道の敷設を行い、アルトーレ侯爵領に繋がる街道沿いは発展。
アルトーレ侯爵領にあるトーレの街は第二の王都と呼ばれている。広さこそ王都の方が大きいが商業の要、交通の要所となり遷都の話が出た事も1度や2度ではない。
独立をされるのも困るが、もっと困るのはアルトーレ侯爵領は隣国も狙っている土地であるということ。
その上アルトーレ侯爵夫人は隣国の出身でもあり、帝国へ領地を持って移住されては堪ったものではない。王家はそれを阻止し隣国への牽制の為、王太子カ―セルとエリザベート侯爵令嬢の婚約を打診。実質王命による婚約が結ばれたのである。
カ―セルもエリザベートも18歳という年齢でともに学院、学園は既に卒業しており、接点と言えば父の政務の傍らにエリザベートが登城する程度であった。
妃教育は19歳の1年間で終了したのも、元々エリザベートは隣国の王立学園に通学するため留学をしており、その際のカリキュラムの方が、この国の妃教育よりもかなり高度であった事が原因である。
「こちらで御座います」
侍女に案内されて薔薇で作ったゲートをくぐると白いテーブルが見えてくる。
テーブルの形が丸くなく長方形であるのは王太子カ―セルたっての希望。
そしてカ―セルの隣に、没落し現在は貴族籍もない元子爵令嬢のクララが座っているのもカ―セルの希望。
エリザベートの席がその向かいで、位置的に2人の中央あたりに配置されているのもカ―セルの希望だった。
元子爵令嬢のクララ。家が没落をしたのはカ―セルとエリザベートが婚約をする数年前である。
理由は子爵の実弟による借金である。
小さな領しか持たず鉄道が整備された事で子爵領を通る商人も少なくなり、飢饉で農作物も不作。追い打ちをかけるように子爵の弟が借金により破産。保証人となっていた子爵が領地と身分、屋敷を売って清算をした事により平民に落ちた。
元子爵令嬢の身分で王太子カ―セルの元に未だにクララが来るのは、クララの母、元子爵夫人がカ―セルの王子教育担当だったからである。
エリザベートとの婚約が結ばれる前から仲の良かった2人であるが、身分差は当時からあったのでクララが妾妃以外でカ―セルに召し上げられる可能性はゼロだった。
「あっ!エリザベート!こっち!遅かったのね」
馴れ馴れしく話しかけられる関係ではないし、呼び捨てにする以前に名を呼ぶ許可は勿論出していない。クララにそう呼べと言ったのは王太子カ―セルである。
「遅かったな。茶会の時間は連絡をされていたはずだ」
「申し訳ございません。茶会の連絡を受ける2か月も前から本日は議会で諮問の日と決まっておりましたので」
「もぉ!カルがそんなに言うとエリザベートが困るでしょう?」
――そうね。本来は王太子が出席すべきものなのだし――
「俺の代役でも務まる議会の出席なんだ。その程度の能力しかないとは情けないな」
「だからぁ、カルはそんな喧嘩腰に話をしちゃダメだってば。ね?アイザック?」
話しかけられたアイザックはちらりとクララを見るだけである。
目は笑っていない。
妃教育中もだったが、カ―セルがここまでご執心なのだからクララを何処かの伯爵家、侯爵家へ養女にして正妃として召し上げ、婚約を解消して欲しいとアルトーレ侯爵家は何度も申し出ている。
それに王子教育をするほどの母なのである、喋り方もであるがもっとどうにか出来なかったのか。いや、明らかに元子爵夫人は力不足なのだろう。教育を受けたと言うカ―セルがアレなのだから。
誰もが思う事であったが、一人娘のため子爵が溺愛し好きなようにさせた結果がこれである。
矯正の見込みはないと誰もが判断を下していた。
既に平民落ちしている元子爵夫妻も「王太子に嫁ぐ事などあり得ない」と娘には手をかけない。
案外、王太子の妾妃にもなれないけれど寵愛だけを受ける愛人枠狙いだと誰もが噂をしている。
――今日も見事な三角関係。いつもながら感心するわね――
カ―セルの護衛騎士アイザックは隠しているつもりでも誰もが知る男色家である。
その視線はいつも王太子カ―セルに向けられている。
――あの視線を何とも思わない程にならないと王太子は務まらない…まさかね?――
そして王太子カ―セルは熱い眼差しをクララに向けている。
隙あらば事に及んでもおかしくはないため、必ず3人以上の従者や侍女がつく。
肝心のクララはというと…。
アイザックにご執心で、カ―セルに茶の席を設けてもらうのもアイザック目当てである。
アイザックが休日であったり、所用で護衛につかない時の茶会はその場でお開きになる事さえあるほどである。それでも気がつかないカ―セルは余程に恋の熱に浮かされているのだろう。
「おい!折角クララが淹れてくれたのに飲まないのか!」
「香りを楽しんでいるところですわ」
「そんなに匂うかな?(くんくん)匂わないなぁ…」
「気にするな。こいつの鼻は犬並みなんだろうよ」
「やだぁ。カルそんなエリザベートを犬だなんて可哀そうよ。酷ぉい」
「折角クララが休日なのに、その辛気臭い顔はなんだ?もっと笑えないのか」
「申し訳ございません。そのような教育は受けておりませんので」
「だからぁ!だめだってば。カル!お口悪ぅい!ねぇ、アイザック?」
ポットに入れられたままで、ぬるいのもあるが茶葉からは渋みが溶けだした茶を平気で出してくるクララ。残念だがクララは茶を淹れる事すらも学んでいない。
注いでくれるのはありがたいが、とても飲む気にはなれない。見るのも不快である。
エリザベートが来なければこの場を設けた言い訳が立たないから無理やり呼び出しただけ。
市井で働くクララの休日に合わせるカ―セルの我儘に他ならない。
そんな茶番に付き合わされ、婚約者様は口を開けば嫌味ばかり。
心で盛大なため息を吐いて、エリザベートは立ち上がる。
「なんだ、来たばかりで。失礼だろう」
「申し訳ございませんが、本日はこれより陛下に報告がございますので」
「父上に?」
カ―セルの顔色が一瞬悪くなる。言われて困るような行動に心当たりがあるのだろう。
しかし時間がほぼ分刻みでスケジュールが組まれているのである。
その中、数分でも時間を作り出向いた事を褒めて欲しいくらいだとエリザベートは扇をパチンと閉じる。
「陛下に報告をするのは国にとり、民にとり必要な事のみ。それ以外のどうでもよい事に陛下の時間を無駄には出来ませんので。時間もございます。これにて失礼を」
優雅なカーテシーでその場をしめる。
踵を返し歩き始めれば、王宮でエリザベートに付けられている従者や侍女が後ろをついて歩く。
茶番会場に声が届かない位置まで来ると従者が詫びる。
「申し訳ございません」
「仕方ありません。何事にも大義名分は必要だと言う事は理解されているのでしょう」
「面目次第も御座いません」
「そろそろ…かしらね」
エリザベートの言葉に従者や侍女の顔が強張る。
それが何を意味しているのか。この3年間、思い当たる事しかないからである。
「承知致しました。これからどちらに?」
「殿下との茶会ですわ。王妃殿下より申し使っておりますので」
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簡略をしていても、丁寧に見えるカーテシーで国務大臣を見送ると側付の侍女と共に王宮の庭園を歩き始める。
エリザベート・ブランチェスカ・アルトーレ侯爵令嬢。
この国の王太子であるカ―セル・ローディス・ヘイスティグズの婚約者でもある。
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隣の領境までの鉄道の敷設を行い、アルトーレ侯爵領に繋がる街道沿いは発展。
アルトーレ侯爵領にあるトーレの街は第二の王都と呼ばれている。広さこそ王都の方が大きいが商業の要、交通の要所となり遷都の話が出た事も1度や2度ではない。
独立をされるのも困るが、もっと困るのはアルトーレ侯爵領は隣国も狙っている土地であるということ。
その上アルトーレ侯爵夫人は隣国の出身でもあり、帝国へ領地を持って移住されては堪ったものではない。王家はそれを阻止し隣国への牽制の為、王太子カ―セルとエリザベート侯爵令嬢の婚約を打診。実質王命による婚約が結ばれたのである。
カ―セルもエリザベートも18歳という年齢でともに学院、学園は既に卒業しており、接点と言えば父の政務の傍らにエリザベートが登城する程度であった。
妃教育は19歳の1年間で終了したのも、元々エリザベートは隣国の王立学園に通学するため留学をしており、その際のカリキュラムの方が、この国の妃教育よりもかなり高度であった事が原因である。
「こちらで御座います」
侍女に案内されて薔薇で作ったゲートをくぐると白いテーブルが見えてくる。
テーブルの形が丸くなく長方形であるのは王太子カ―セルたっての希望。
そしてカ―セルの隣に、没落し現在は貴族籍もない元子爵令嬢のクララが座っているのもカ―セルの希望。
エリザベートの席がその向かいで、位置的に2人の中央あたりに配置されているのもカ―セルの希望だった。
元子爵令嬢のクララ。家が没落をしたのはカ―セルとエリザベートが婚約をする数年前である。
理由は子爵の実弟による借金である。
小さな領しか持たず鉄道が整備された事で子爵領を通る商人も少なくなり、飢饉で農作物も不作。追い打ちをかけるように子爵の弟が借金により破産。保証人となっていた子爵が領地と身分、屋敷を売って清算をした事により平民に落ちた。
元子爵令嬢の身分で王太子カ―セルの元に未だにクララが来るのは、クララの母、元子爵夫人がカ―セルの王子教育担当だったからである。
エリザベートとの婚約が結ばれる前から仲の良かった2人であるが、身分差は当時からあったのでクララが妾妃以外でカ―セルに召し上げられる可能性はゼロだった。
「あっ!エリザベート!こっち!遅かったのね」
馴れ馴れしく話しかけられる関係ではないし、呼び捨てにする以前に名を呼ぶ許可は勿論出していない。クララにそう呼べと言ったのは王太子カ―セルである。
「遅かったな。茶会の時間は連絡をされていたはずだ」
「申し訳ございません。茶会の連絡を受ける2か月も前から本日は議会で諮問の日と決まっておりましたので」
「もぉ!カルがそんなに言うとエリザベートが困るでしょう?」
――そうね。本来は王太子が出席すべきものなのだし――
「俺の代役でも務まる議会の出席なんだ。その程度の能力しかないとは情けないな」
「だからぁ、カルはそんな喧嘩腰に話をしちゃダメだってば。ね?アイザック?」
話しかけられたアイザックはちらりとクララを見るだけである。
目は笑っていない。
妃教育中もだったが、カ―セルがここまでご執心なのだからクララを何処かの伯爵家、侯爵家へ養女にして正妃として召し上げ、婚約を解消して欲しいとアルトーレ侯爵家は何度も申し出ている。
それに王子教育をするほどの母なのである、喋り方もであるがもっとどうにか出来なかったのか。いや、明らかに元子爵夫人は力不足なのだろう。教育を受けたと言うカ―セルがアレなのだから。
誰もが思う事であったが、一人娘のため子爵が溺愛し好きなようにさせた結果がこれである。
矯正の見込みはないと誰もが判断を下していた。
既に平民落ちしている元子爵夫妻も「王太子に嫁ぐ事などあり得ない」と娘には手をかけない。
案外、王太子の妾妃にもなれないけれど寵愛だけを受ける愛人枠狙いだと誰もが噂をしている。
――今日も見事な三角関係。いつもながら感心するわね――
カ―セルの護衛騎士アイザックは隠しているつもりでも誰もが知る男色家である。
その視線はいつも王太子カ―セルに向けられている。
――あの視線を何とも思わない程にならないと王太子は務まらない…まさかね?――
そして王太子カ―セルは熱い眼差しをクララに向けている。
隙あらば事に及んでもおかしくはないため、必ず3人以上の従者や侍女がつく。
肝心のクララはというと…。
アイザックにご執心で、カ―セルに茶の席を設けてもらうのもアイザック目当てである。
アイザックが休日であったり、所用で護衛につかない時の茶会はその場でお開きになる事さえあるほどである。それでも気がつかないカ―セルは余程に恋の熱に浮かされているのだろう。
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「折角クララが休日なのに、その辛気臭い顔はなんだ?もっと笑えないのか」
「申し訳ございません。そのような教育は受けておりませんので」
「だからぁ!だめだってば。カル!お口悪ぅい!ねぇ、アイザック?」
ポットに入れられたままで、ぬるいのもあるが茶葉からは渋みが溶けだした茶を平気で出してくるクララ。残念だがクララは茶を淹れる事すらも学んでいない。
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エリザベートが来なければこの場を設けた言い訳が立たないから無理やり呼び出しただけ。
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そんな茶番に付き合わされ、婚約者様は口を開けば嫌味ばかり。
心で盛大なため息を吐いて、エリザベートは立ち上がる。
「なんだ、来たばかりで。失礼だろう」
「申し訳ございませんが、本日はこれより陛下に報告がございますので」
「父上に?」
カ―セルの顔色が一瞬悪くなる。言われて困るような行動に心当たりがあるのだろう。
しかし時間がほぼ分刻みでスケジュールが組まれているのである。
その中、数分でも時間を作り出向いた事を褒めて欲しいくらいだとエリザベートは扇をパチンと閉じる。
「陛下に報告をするのは国にとり、民にとり必要な事のみ。それ以外のどうでもよい事に陛下の時間を無駄には出来ませんので。時間もございます。これにて失礼を」
優雅なカーテシーでその場をしめる。
踵を返し歩き始めれば、王宮でエリザベートに付けられている従者や侍女が後ろをついて歩く。
茶番会場に声が届かない位置まで来ると従者が詫びる。
「申し訳ございません」
「仕方ありません。何事にも大義名分は必要だと言う事は理解されているのでしょう」
「面目次第も御座いません」
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