婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた

cyaru

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第05話  第3回FIGHT!

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第3回目の茶会はボラツク侯爵家で行われた。

玄関に出迎えてくれたのはケインだったが、用意された場に行くとロザリアは「ケイン君っ!こっち!」先に椅子に座り、手を振っていた。

ソシャリーには「いらっしゃい」とも声を掛けずガン無視である。


――もう帰っていいかなぁ――

席に案内される前にテーブルセットに視線は釘付け。

テーブルセットの椅子は3脚あるのだが、2脚はテーブルとセットになった椅子で1脚は間に合わせだと直ぐに解る。

キュレット伯爵家では椅子が4脚あるテーブルセットで椅子は3脚と入れ替えたがボラツク侯爵家ではそこまで気を使わないのだなと思っていたら…。


「今日の席はロザリアが考えてくれたんだ」
「へ、へぇ…そうなんですね」
「初めてだから足りない面も目に付くと思うが大目に見てやってほしい」

――目に付くっていうか椅子が1脚全然違いますけどね――


そして、配置も問題ではなかろうか。
時計の針で言うならソシャリーが12時の位置。ケインは5時の位置でロザリアは7時の位置。

足りない所ではなく、足りない所ではなかろうか。いや、これでいいと侯爵夫人がOKを出したのなら嫁姑戦争がもう勃発してるんだろうかと考えてしまう。


「母上が何か言ってたんだが…これも勉強の内だと私がGOを出したんだ」

――アンタかい!!――

そして、メイドが茶を淹れ始めると何を思ったかロザリアが「アタシがやるぅ!」と言い出す。

――えぇっと…16歳?17歳だっけ?――


まるで小さな子供が駄々を捏ねるように自分がやると言い出し譲らない。
ケインに「やらせてやって」と言われればメイドも引き下がるしかない。

表面張力を試すように注がれた茶。ソーサーを持ってくれればいいのに右手にソーサー、左手に満タンの茶が入ったカップを持ってブルブル震えて持ってくる。

当然零れてしまうが「あっ!どうしよう」そう言って袖に零れた茶を吸わせて「熱いっ!」

――そうなるでしょうに――

「大丈夫ですか?」

そう声を掛けて「腕を冷やすように」と言おうとしたが、テーブルに水たまりを作った零れた茶。指先に触れると「熱い<<<普通<<<ぬるい」で考えればぬるかった。


「どうしよぉ~ケインくぅん。粗相しちゃった…ソシャリーさんがカップ取ってくれたら良かったのに」

――は?私?手から手で茶器を受け取れと?――

当然そこでケインが「そうじゃないよ」と言ってくれるかと思いきや…。
ケインはソシャリーに向かって言ったのだ。

「彼女は慣れてないんだ。でもロザリアが一生懸命だったのは解ってやって欲しい。頼むからそんなに怒らないでやってくれ」


ソシャリーは瞬時に思った。

――解せぬ――

先ほどの茶が零れた云々の件は100歩譲ったとして、ケインに問いたい。

「貴方は茶器を手渡しでいつも受け取っているのか?」と。

その上で更に言うなら「何故、私が怒った事になってるのか?」と問いたい。

茶の席だから茶番なのか。

ソシャリーは全く釈然としないまま「今日はお開きでいいかな?」と早々に追い返されるように玄関へ案内をされた。

茶は一口も飲んでいないし、椅子に腰かけてせいぜい2分。
何のためにボラツク侯爵家まで来たんだろう?自問自答するが答えが出ない。

――もう婚約、やめていいかな?――

この時、婚約をしてまだ3か月半。ソシャリーはもう諦めの境地にいた。
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