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本編
16・公爵の裏をかけ!
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「本日はお招きいただきありがとうございます」
「フィー。今日はパスティーナ嬢も一緒なんだね」
「来る途中でお会いしましたの。今日は量も多いですしご一緒されたらどうかと」
急遽用意された一脚の椅子にソフィアとパスティーナを座らせてニキフォロスも席についた。
かの日から空いた時間には何故か調理をするようになったソフィア。
腕前は素人そのものであるが、不格好な菓子も味わいがあると茶の席には欠かせないものとなっている。
しかし今日はいつもならソフィアが「生地を練るのに苦労した」「具材が偏った」と自身で批評を加えながらバスケットから出す菓子を出さない。
「ネズミがかかったのかな?」
「えぇ。ニール。特大のネズミですわ」
「何の事ですの?まさかバスケットの中身はチューと鳴くアレですの?」
パスティーナは訳が判らず、2人顔を交互に見た。
「中身が差し替えられております。どういたしますか?」
「最後の最後で‥‥耐えてくれるかと思ったんだがな」
ニキフォロスとソフィアはソフィアの父であるカシム公爵が動き出すのを待っていた。武力で弾圧をしたビャルム国と取引を始めるかと様子を伺っていたものの、そちらに触手を伸ばす事はなく平穏に時が過ぎていた。
カシム公爵家の財政が傾き始めた事はとうのソフィアもだがニキフォロスも情報は得ていた。隠そうとしていても何処かに「いつもと異なる」部分は出てくるものだ。
2、3年の間、翌年度の作付けの苗をいつもの苗とは変えた。
所謂B級品と呼ばれるもので、Aランクの種苗とは病気への強さや1つの苗から取れる作物の量にさしたる違いはない。ただ実をつけない苗もあって全体的に見れば「買う量は多いのに価格が変わらない」現象が起きる。
実らない分を見越して多く買い付けるためにその苗の分だけ耕地面積が増える。
種苗が増えれば肥料も増える。ただ運搬に使う荷馬車の数は増やす事が出来ない。言ってみれば帰りの荷物となる収穫量は変わらないのに行きの荷物が多い事は旅行ではないのであり得ない。
だから1台当たりの荷馬車に積み込む量が多くなる。
ニキフォロスは出入りの商人などを観察がてら、視察で回る商会も観察をしていた。
荷馬車の台数が変わらなければ貰える金も変わらない。
なのに馬の疲弊が顕著だとぼやく声を拾ったのだ。
書類を見れば1回あたりは僅かな量だがカシム公爵家の経営方針としての事前報告書とは食い違う点があぶり出された。数字としては誤差の範囲だが、誤差も続けばその意味を考える。
義父として接触を図ってくる機会も増えたがけんもほろろにあしらえば何時かは足を出す。そう考えていた。
「どうされますの?毒を盛ったのが公爵となればっ」
パスティーナはニキフォロスに詰め寄った。
「死んでもいい」と切り捨てられたソフィアは直視出来なかったのだ。
「毒を盛られた事にしてもいい。だが、それだけでは動くまい。単純に先ず菓子を作ったソフィアが口にすると考えればその様子を目の当たりにしているのに、続いて僕が口にするのは不自然だ」
「確かに。でもイレギュラーで参入したわたくしはどうなるのです?」
パスティーナの疑問にはソフィアが応えた。
「だからこそ、ニールはわたくしを溺愛する振りをされていたのですわ」
「え?お二人の関係はフェイクですの?!えぇっ?!そちらの方が驚きですわ」
「まさか。僕がフィーを大事に思っているのは本当だよ」
「ご冗談を。ニールが愛してやまないのは害虫駆除でしょうに。わたくしはその為の撒き餌ですわ」
プイっとそっぽを向くソフィアだが、ニキフォロスはそんな仕草も目を細めて愛おし気に眺める。
「フィーのご機嫌はまた後日挽回させてもらうとして。作ってきた菓子に毒があるかどうかは食べて見なければ判らない。だが食べてしまえばどうなる?」
「カシム公爵家の非が問われてしまいますわね。厳密に言えば持ち込んでしまっているこの現状も大いに問題があると考えますが」
「流石はチュリオス伯爵家の令嬢だ。そう、だからこそ公爵を騙す必要がある。公爵は間違いなく【毒殺】されたという筋書きだからね。死ななくてもいいんだ。傀儡が欲しいだけだろうから次に狙うのは――」
「ティグリス様?」
「武術に長けたという点は聞き及んでいるだろうが、こっちの出来は変わっていないと踏んでるだろう。失礼な話だがね」
「本当!ティグリス様は辺境でも頑張っていらっしゃるのに。父である事が恥ずかしいですわ」
「いえ…当たらずしも遠からずかなぁ~なんて…」
パスティーナは最近届いた手紙に書いてあった内容を思い出した。罠にかかったウサギを横取りしようとした野良犬と格闘したと挿絵付きで書かれていた。
勿論挿絵のウサギは野良犬の3倍ほどの大きさがあったので挿絵だけ見れば、ウサギに襲われるティグリスを野良犬が助けたようにも見える。
最近気が付いたのだが、ティグリスの描く動物は何故が全て眉毛がある。そして横顔の筈なのに全てが正面を向いた顔になっている。要は絵が下手だと言う事だ。
内容の9割は食べ物に関する事で、残りの1割が「今日は雪が降って寒い」と言う気象である。もしかすると食べ物を与えれば傀儡どころかペットに出来るんじゃないかとすら思えてくる。
「菓子には使い道がある。だが、公爵のご希望通り僕たちは暗殺された事にしようじゃないか。偶々チュリオス伯爵令嬢も巻き込まれたとなればティグリスも辺境から戻らざるを得ない。幸運な事に僕は常日頃から刺客に狙われているんだよ」
「ニール。お顔が悪人になっておりますわよ」
「まさか!そのために警護の人数を減らしていらっしゃったの?!」
「パティ本当はね?ニールは物凄く怖がりですの。なのに強がっちゃうんですわ。何より物申す時にわたくしがいない時は「え~」「あ~」「うーん」ってはっきりしないんですの。だから背中や脇腹を隣にいる時は抓ってるんですのよ。偉そうなことを言うけれど本当は小心者のくせにっ!」
「フィー。人前に出ると緊張すると言っただろう?だが警備の件は本当だ。母上の周りにも間者は多いからね。炙り出しには効果があったよ。母上まで騙されてしまったのには聊か驚いたが」
パスティーナはなんだかんだ言いながらもお互いを思い合う2人を見て少し羨ましくなった。遠い地にいるティグリスから手紙は来るけれど、こんな企みでもない限り会えないのかと思うと寂しさも感じる。
「で、話を戻そう。毒殺は公爵家に対して少々罰を与えたい事があるので茶会の前に庭園を散策する事に切り替え、その途中刺客に襲われた事にする」
「王宮内に刺客がいる事になってしまいますわよ?」
「パティ。居るんですわ。むしろ王宮内の方が気が抜けないのです。騒ぎとなればその刺客の中には手柄欲しさに主に向かう者もいるかも知れません。王妃殿下の周りにも間者はいると申しましたでしょう?」
「毒殺ではなく刺客に狙われたとなれば…フィーには申し訳ないがカシム公爵も油断して網にかかるだろう。母上が譲位を進めている今、これは一網打尽とまではいかずともチャンスでもあるんだ。この手の情報は第一報から錯綜するものだ。それを狙いたい」
「王宮内にも…嘆かわしい事ですわ。承知致しました。殿下の意のままに」
だが、予定外は何処にでも起きうることである。
カシム公爵の動きを知る者は、蛇の道は蛇。同じ穴の狢でもあり幾つもの目がヒソヒソと話をする3人のテーブルに向けられている。
菓子が片付けられ、庭園にある池の方に向かって歩いてくる3人に「毒殺を免れた」と安堵した刺客もゼロではない。
「誰だ!」
従者の声にパスティーナはニキフォロスを背にした。
ソフィアはサッと落ちていた枝を震えながらも拾った。
広い庭園の中にある池が見えた頃、3人と数人の従者は刺客に囲まれた。
しかし、刺客にとっても予想外だったのはそこにパスティーナがいた事である。
斬りかかってきた刺客の前にしゃがみ込んで足払いをしたパスティーナは転んだ刺客の持っていた剣を奪い取り、ビュンと音を立てて剣を振った。
「チュリオス伯爵家が娘、パスティーナ。お相手致しますわ」
茂みの中にも数人の刺客の気配を感じるが派閥が違うのか。それとも様子見か。
目の前の刺客に間合いを詰めるパスティーナはニキフォロスとソフィアを背に目の前の刺客の太ももを狙ってまた風を斬るように剣を振った。
「ぐあぁぁ!!」
両側から飛び掛かってくる2人の刺客を剣で払い、同じように足を狙う。
騒ぎとなれば王宮から従者も駆け込んでくる。
人数が増えれば分が悪いのか刺客は散っていく。
「従者の質が落ちてますわね。当家で鍛え直しましょうか?」
従者に扮した騎士の護衛は無傷ではあるが、誰一人刺客を斬った者はいない。騎士たちはパスティーナの言葉に悔し気に顔を反らした。地面に転がって呻き声を上げているのはパスティーナの斬った刺客である。
「これで刺客に襲われたと言うのは嘘ではなくなりましたわね」
「そ、そうだね…」
パスティーナが振り返ると、腰を抜かしたニキフォロスと枝を拾ったソフィアを見た。
「あは、アハハ…枝じゃ剣の代わりにはなりませんわね?オホホ」
ソフィアがポイっと投げた枝をパスティーナは拾った。
「鳥の巣造りにいい大きさの枝ぶりだわ」
そう言って先程まで持っていた剣を放り投げて小枝をブンブンと振った。
「フィー。今日はパスティーナ嬢も一緒なんだね」
「来る途中でお会いしましたの。今日は量も多いですしご一緒されたらどうかと」
急遽用意された一脚の椅子にソフィアとパスティーナを座らせてニキフォロスも席についた。
かの日から空いた時間には何故か調理をするようになったソフィア。
腕前は素人そのものであるが、不格好な菓子も味わいがあると茶の席には欠かせないものとなっている。
しかし今日はいつもならソフィアが「生地を練るのに苦労した」「具材が偏った」と自身で批評を加えながらバスケットから出す菓子を出さない。
「ネズミがかかったのかな?」
「えぇ。ニール。特大のネズミですわ」
「何の事ですの?まさかバスケットの中身はチューと鳴くアレですの?」
パスティーナは訳が判らず、2人顔を交互に見た。
「中身が差し替えられております。どういたしますか?」
「最後の最後で‥‥耐えてくれるかと思ったんだがな」
ニキフォロスとソフィアはソフィアの父であるカシム公爵が動き出すのを待っていた。武力で弾圧をしたビャルム国と取引を始めるかと様子を伺っていたものの、そちらに触手を伸ばす事はなく平穏に時が過ぎていた。
カシム公爵家の財政が傾き始めた事はとうのソフィアもだがニキフォロスも情報は得ていた。隠そうとしていても何処かに「いつもと異なる」部分は出てくるものだ。
2、3年の間、翌年度の作付けの苗をいつもの苗とは変えた。
所謂B級品と呼ばれるもので、Aランクの種苗とは病気への強さや1つの苗から取れる作物の量にさしたる違いはない。ただ実をつけない苗もあって全体的に見れば「買う量は多いのに価格が変わらない」現象が起きる。
実らない分を見越して多く買い付けるためにその苗の分だけ耕地面積が増える。
種苗が増えれば肥料も増える。ただ運搬に使う荷馬車の数は増やす事が出来ない。言ってみれば帰りの荷物となる収穫量は変わらないのに行きの荷物が多い事は旅行ではないのであり得ない。
だから1台当たりの荷馬車に積み込む量が多くなる。
ニキフォロスは出入りの商人などを観察がてら、視察で回る商会も観察をしていた。
荷馬車の台数が変わらなければ貰える金も変わらない。
なのに馬の疲弊が顕著だとぼやく声を拾ったのだ。
書類を見れば1回あたりは僅かな量だがカシム公爵家の経営方針としての事前報告書とは食い違う点があぶり出された。数字としては誤差の範囲だが、誤差も続けばその意味を考える。
義父として接触を図ってくる機会も増えたがけんもほろろにあしらえば何時かは足を出す。そう考えていた。
「どうされますの?毒を盛ったのが公爵となればっ」
パスティーナはニキフォロスに詰め寄った。
「死んでもいい」と切り捨てられたソフィアは直視出来なかったのだ。
「毒を盛られた事にしてもいい。だが、それだけでは動くまい。単純に先ず菓子を作ったソフィアが口にすると考えればその様子を目の当たりにしているのに、続いて僕が口にするのは不自然だ」
「確かに。でもイレギュラーで参入したわたくしはどうなるのです?」
パスティーナの疑問にはソフィアが応えた。
「だからこそ、ニールはわたくしを溺愛する振りをされていたのですわ」
「え?お二人の関係はフェイクですの?!えぇっ?!そちらの方が驚きですわ」
「まさか。僕がフィーを大事に思っているのは本当だよ」
「ご冗談を。ニールが愛してやまないのは害虫駆除でしょうに。わたくしはその為の撒き餌ですわ」
プイっとそっぽを向くソフィアだが、ニキフォロスはそんな仕草も目を細めて愛おし気に眺める。
「フィーのご機嫌はまた後日挽回させてもらうとして。作ってきた菓子に毒があるかどうかは食べて見なければ判らない。だが食べてしまえばどうなる?」
「カシム公爵家の非が問われてしまいますわね。厳密に言えば持ち込んでしまっているこの現状も大いに問題があると考えますが」
「流石はチュリオス伯爵家の令嬢だ。そう、だからこそ公爵を騙す必要がある。公爵は間違いなく【毒殺】されたという筋書きだからね。死ななくてもいいんだ。傀儡が欲しいだけだろうから次に狙うのは――」
「ティグリス様?」
「武術に長けたという点は聞き及んでいるだろうが、こっちの出来は変わっていないと踏んでるだろう。失礼な話だがね」
「本当!ティグリス様は辺境でも頑張っていらっしゃるのに。父である事が恥ずかしいですわ」
「いえ…当たらずしも遠からずかなぁ~なんて…」
パスティーナは最近届いた手紙に書いてあった内容を思い出した。罠にかかったウサギを横取りしようとした野良犬と格闘したと挿絵付きで書かれていた。
勿論挿絵のウサギは野良犬の3倍ほどの大きさがあったので挿絵だけ見れば、ウサギに襲われるティグリスを野良犬が助けたようにも見える。
最近気が付いたのだが、ティグリスの描く動物は何故が全て眉毛がある。そして横顔の筈なのに全てが正面を向いた顔になっている。要は絵が下手だと言う事だ。
内容の9割は食べ物に関する事で、残りの1割が「今日は雪が降って寒い」と言う気象である。もしかすると食べ物を与えれば傀儡どころかペットに出来るんじゃないかとすら思えてくる。
「菓子には使い道がある。だが、公爵のご希望通り僕たちは暗殺された事にしようじゃないか。偶々チュリオス伯爵令嬢も巻き込まれたとなればティグリスも辺境から戻らざるを得ない。幸運な事に僕は常日頃から刺客に狙われているんだよ」
「ニール。お顔が悪人になっておりますわよ」
「まさか!そのために警護の人数を減らしていらっしゃったの?!」
「パティ本当はね?ニールは物凄く怖がりですの。なのに強がっちゃうんですわ。何より物申す時にわたくしがいない時は「え~」「あ~」「うーん」ってはっきりしないんですの。だから背中や脇腹を隣にいる時は抓ってるんですのよ。偉そうなことを言うけれど本当は小心者のくせにっ!」
「フィー。人前に出ると緊張すると言っただろう?だが警備の件は本当だ。母上の周りにも間者は多いからね。炙り出しには効果があったよ。母上まで騙されてしまったのには聊か驚いたが」
パスティーナはなんだかんだ言いながらもお互いを思い合う2人を見て少し羨ましくなった。遠い地にいるティグリスから手紙は来るけれど、こんな企みでもない限り会えないのかと思うと寂しさも感じる。
「で、話を戻そう。毒殺は公爵家に対して少々罰を与えたい事があるので茶会の前に庭園を散策する事に切り替え、その途中刺客に襲われた事にする」
「王宮内に刺客がいる事になってしまいますわよ?」
「パティ。居るんですわ。むしろ王宮内の方が気が抜けないのです。騒ぎとなればその刺客の中には手柄欲しさに主に向かう者もいるかも知れません。王妃殿下の周りにも間者はいると申しましたでしょう?」
「毒殺ではなく刺客に狙われたとなれば…フィーには申し訳ないがカシム公爵も油断して網にかかるだろう。母上が譲位を進めている今、これは一網打尽とまではいかずともチャンスでもあるんだ。この手の情報は第一報から錯綜するものだ。それを狙いたい」
「王宮内にも…嘆かわしい事ですわ。承知致しました。殿下の意のままに」
だが、予定外は何処にでも起きうることである。
カシム公爵の動きを知る者は、蛇の道は蛇。同じ穴の狢でもあり幾つもの目がヒソヒソと話をする3人のテーブルに向けられている。
菓子が片付けられ、庭園にある池の方に向かって歩いてくる3人に「毒殺を免れた」と安堵した刺客もゼロではない。
「誰だ!」
従者の声にパスティーナはニキフォロスを背にした。
ソフィアはサッと落ちていた枝を震えながらも拾った。
広い庭園の中にある池が見えた頃、3人と数人の従者は刺客に囲まれた。
しかし、刺客にとっても予想外だったのはそこにパスティーナがいた事である。
斬りかかってきた刺客の前にしゃがみ込んで足払いをしたパスティーナは転んだ刺客の持っていた剣を奪い取り、ビュンと音を立てて剣を振った。
「チュリオス伯爵家が娘、パスティーナ。お相手致しますわ」
茂みの中にも数人の刺客の気配を感じるが派閥が違うのか。それとも様子見か。
目の前の刺客に間合いを詰めるパスティーナはニキフォロスとソフィアを背に目の前の刺客の太ももを狙ってまた風を斬るように剣を振った。
「ぐあぁぁ!!」
両側から飛び掛かってくる2人の刺客を剣で払い、同じように足を狙う。
騒ぎとなれば王宮から従者も駆け込んでくる。
人数が増えれば分が悪いのか刺客は散っていく。
「従者の質が落ちてますわね。当家で鍛え直しましょうか?」
従者に扮した騎士の護衛は無傷ではあるが、誰一人刺客を斬った者はいない。騎士たちはパスティーナの言葉に悔し気に顔を反らした。地面に転がって呻き声を上げているのはパスティーナの斬った刺客である。
「これで刺客に襲われたと言うのは嘘ではなくなりましたわね」
「そ、そうだね…」
パスティーナが振り返ると、腰を抜かしたニキフォロスと枝を拾ったソフィアを見た。
「あは、アハハ…枝じゃ剣の代わりにはなりませんわね?オホホ」
ソフィアがポイっと投げた枝をパスティーナは拾った。
「鳥の巣造りにいい大きさの枝ぶりだわ」
そう言って先程まで持っていた剣を放り投げて小枝をブンブンと振った。
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