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本編
5・タイプの違う毒親
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2年経ち、8歳になると王子教育も半ばに差し掛かる。
初級は学問を習い始めた子供が、学問を嫌いにならないような簡単なもの。
算術も1桁の足し算引き算で解答の数字が両手両足の指の数を超える事はないし、読み書きも少し文字の多い絵本が読めれば難なくこなせる。
ティグリス以外の3人は問題なく中級から上級に進んだが、ティグリスだけは初級のまま。
マナーと所作、言葉遣いが壊滅的、算術も語学も苦手なのだ。
4人の中でティグリスだけが所謂「スラング」を日常会話で使っている。
原因はカリスである。
不正を持ち掛ける商人に碌な者はいない。気が付けば身綺麗な格好をした破落戸のような商人が出入りをするようになってしまっていた。
僅かな金額であっても、納品した品と請求書の名目が違う事に納得のできない商人は来なくなってしまった。ティグリスが使うからと3歳児用の高額な知育玩具の名前で指輪が1つ増え、情操教育用だとヴァイオリンの名目でドレスが1着増える。
請求書の内容だけなら、オーケストラが演奏できる楽器が揃っている事になっているが、カリスの宮にはカスタネットもない。音を立てるとすれば躾棒だけだ。
アレコスもカリスの宮に帰って来るとそのまま私室に籠り、食事も私室で済ませる。カリスは商人の男達と明け方近くまで葉巻の煙で霧がかかったようになったサロンで賭け事に興じる。
父親との会話はなく、サロンから聞こえてくる会話がティグリスの日常会話。
従者のジップルも毎日いる訳ではない。
ティグリスはジップルの勤務がない日は食事もとらず部屋に籠るようになった。
学ぶ内容もティグリスだけが初級のため、部屋も分けられてしまい行くのも億劫になってしまいサボりがちになってしまっていた。
今日も講義には行かず、庭から拾ってきた小枝を麻縄と蝋でつないで鳥の巣箱を作っていた。
そこに昼過ぎになりやっと起きてきた母のカリスがやってきた。
「あら?今日はお勉強会には行かないの?」
「休み」
「嘘吐きな子ね。父親にそっくり」
「・・・・なに?何か用?」
カリスは胸元に大きくスリットの入った寝間着を羽織ったガウンで隠しながらティグリスが机の上に出しっ放しにしている教本を手に取った。
パラパラと捲り鼻で笑った。
「8歳にもなる王子殿下にしては難しい内容ねぇ」
「返せよ!触るなっ!」
カリスから取り返そうとするが、まだカリスのほうが上背がある。
教本を高くあげられては、ティグリスが背伸びをしても届かない。
「やっぱり種が悪いとこうなるわねぇ。8+7が12?バカじゃないの?」
「返せよ!」
「あららぁ。スペルも違うわね。MとNの区別も出来てないし…アッハッハ。Sが2になってるわよ?それにこれ何?正解じゃないの?」
カリスは教本を取り戻そうとするティグリスの首に腕を回して動きを止めると声を出してティグリスの回答を音読し始めた。
「なになに??【今日は部屋でチルする】【同じ服だった。きまZ】なんで正解なのにバツを貰ってるの?講師がバカなの?」
「いいから!返せよ!」
「待って、待って。【ちょえ、かなりエモい】え?どうしてこれもバツなのよ。嫌がらせじゃないの?っていうかさ、なんで2年もお勉強、お勉強ってやってるのにダメだしばかりじゃない。あ、まさか、まさかのティグリスは出来損ない?やっだぁ~やる意味あるの?」
カリスはまともな教育を受けておらず、読み書きも簡単なものなら出来る程度。
ティグリスの習う初級の教本を手に取ると、勝手に採点をはじめてしまった。
得意気に1桁の算術の答えを書き込むと教本をティグリスの頭に押し付けた。
「父親譲りの空っぽな頭にこの本も入っちゃえばいいのにね~」
「やめろよ!」
「ムキになっちゃって。どうせ何やったってダメなんだし、婚約者のご機嫌でも取ってきたら?結構な資産家だそうじゃないの。はい、戻してあげる。頭に入らないんだから破って食べてみたら?それ以上はバカにならないから賢くなるかもよ?」
ティグリスを揶揄った後は、商人が来るからと部屋から出て行こうとするカリスだが、ティグリスが作っていた鳥の巣を見つけて手に取ると、指でクルクルと回し放り投げた。
床に落ちて何本かの小枝が取れてしまった。
「こんなもの作ってる暇があるなら、婚約者から金でも引っ張ってきなさいよ。ほんと。使えないわね」
カリスが去った後、ティグリスは床に散らばった小枝を拾い集めた。
――また、枝を拾って来ないといけないな――
そう思って窓の外を見る。
幾つか作った巣からヒナが顔を出しているのが見えると、ティグリスは窓から身を乗り出すようにしてその光景を眺めた。
――鳥はいいなぁ。空を飛べて何処にでもいけるもんなぁ――
しばらく、窓の外を眺めているとニキフォロスが手を振っているのが見えた。
――多分、今日も行かなかったからかなぁ――
従者ジップルが早番の時は、「さぁさぁ!」と連れて行かれるけれど遅番や休みの時は講義を休んでしまう。
無断で休んで叱られたのはもう随分と前の事である。
ここ半年は【何故来ないのだ】と講師に叱られる事もなくなった。
「い・ま・か・ら・い・く」
2人だけに通じる暗号の手振り。
ニキフォロスに向かって手を振って応えるとティグリスは部屋を出た。
「今日は僕だけだったんだよ」
「え?2人は来なかったってこと?」
「うん。午後はダンスだったけど先生じゃ身長が合わないから休みになったんだよ」
「なら行けばよかったなぁ」
そう答えてみるものの、カリキュラムが異なるティグリスは座学だっただろう。
「具合でも悪いのかな」
「うーん。ソフィア嬢の様子が最近変だったからじゃないかと思うんだ。パスティーナ嬢に相談してたみたいだし」
「女はよく判んねぇからな」
ティグリスに講義は休みになったと言ったニキフォロス。
実はニキフォロスもサボりだった。
ニキフォロスは座学の成績も良く、マナーや所作も4人の中では突出していた。
ただ、疲れていたのだ。
講師が帰った後、ニキフォロスには予習と復習が義務となっていた。
どんなに寝る間を惜しんで頑張っても母親のエカテリニはニキフォロスを褒める事はしない。
この程度は出来て当たり前。
もっと出来るはずだ。
やる気と成し得ようとする努力が足りない。
満点でなければ間違った箇所を何度も復習させられる上に、同じような間違いを繰り返すと夜間講師が来て真夜中まで講義を受けねばならない。
この頃はティグリスを引き合いに出す言葉が増えた事もニキフォロスには苦痛だった。ティグリスの住む宮に抜け出しては通っている事を知ってからは特に酷い物言いになった。
「あの子とニックは違うの。生きる世界もこの先の未来も違うの」
「母上、そんな言い方はしないでください」
「あぁ~。そうやってお母様を悲しませる口答えを覚えてしまったのね」
「違います。私は…ティグリスとは兄弟ですが友達なんです」
「ニック。貴方に今、必要なのは学び。友達なんかいらないのよ?考えてごらんなさい。貴方と対等の立場の人間はこの国にはいないのよ?」
ニキフォロスは段々と息をするのも疲れてしまうようになってしまっていた。
「僕、今日は帰りたくないな」
「じゃ、俺の部屋に泊まる?」
「いいの?叱られない?」
「わかんねぇ。大人は昨日はいいって言っても今日は叱るし」
結局、帰ってしまうニキフォロスだったが、安易に誘った事をティグリスは夜勤の従者ジップルに少しだけ叱られるのだった。
「殿下、お泊りはちゃんと手続きをしないと大変な事になります」
「大変って?」
「誘拐だとか、事件に巻き込まれたかも知れないと騎士団も捜索をしますので」
「そうなのか。はぁ~ジップルが先生だったら判りやすいのになぁ」
「私の仕事を増やさないでください。あ、来週はお茶会ですよ」
「フェッ?!」
「逃がしませんからね。その日は早番ですから」
しかし、その茶会でティグリスはパスティーナからも相談をされ、知恵熱を出す事になるのだった。
初級は学問を習い始めた子供が、学問を嫌いにならないような簡単なもの。
算術も1桁の足し算引き算で解答の数字が両手両足の指の数を超える事はないし、読み書きも少し文字の多い絵本が読めれば難なくこなせる。
ティグリス以外の3人は問題なく中級から上級に進んだが、ティグリスだけは初級のまま。
マナーと所作、言葉遣いが壊滅的、算術も語学も苦手なのだ。
4人の中でティグリスだけが所謂「スラング」を日常会話で使っている。
原因はカリスである。
不正を持ち掛ける商人に碌な者はいない。気が付けば身綺麗な格好をした破落戸のような商人が出入りをするようになってしまっていた。
僅かな金額であっても、納品した品と請求書の名目が違う事に納得のできない商人は来なくなってしまった。ティグリスが使うからと3歳児用の高額な知育玩具の名前で指輪が1つ増え、情操教育用だとヴァイオリンの名目でドレスが1着増える。
請求書の内容だけなら、オーケストラが演奏できる楽器が揃っている事になっているが、カリスの宮にはカスタネットもない。音を立てるとすれば躾棒だけだ。
アレコスもカリスの宮に帰って来るとそのまま私室に籠り、食事も私室で済ませる。カリスは商人の男達と明け方近くまで葉巻の煙で霧がかかったようになったサロンで賭け事に興じる。
父親との会話はなく、サロンから聞こえてくる会話がティグリスの日常会話。
従者のジップルも毎日いる訳ではない。
ティグリスはジップルの勤務がない日は食事もとらず部屋に籠るようになった。
学ぶ内容もティグリスだけが初級のため、部屋も分けられてしまい行くのも億劫になってしまいサボりがちになってしまっていた。
今日も講義には行かず、庭から拾ってきた小枝を麻縄と蝋でつないで鳥の巣箱を作っていた。
そこに昼過ぎになりやっと起きてきた母のカリスがやってきた。
「あら?今日はお勉強会には行かないの?」
「休み」
「嘘吐きな子ね。父親にそっくり」
「・・・・なに?何か用?」
カリスは胸元に大きくスリットの入った寝間着を羽織ったガウンで隠しながらティグリスが机の上に出しっ放しにしている教本を手に取った。
パラパラと捲り鼻で笑った。
「8歳にもなる王子殿下にしては難しい内容ねぇ」
「返せよ!触るなっ!」
カリスから取り返そうとするが、まだカリスのほうが上背がある。
教本を高くあげられては、ティグリスが背伸びをしても届かない。
「やっぱり種が悪いとこうなるわねぇ。8+7が12?バカじゃないの?」
「返せよ!」
「あららぁ。スペルも違うわね。MとNの区別も出来てないし…アッハッハ。Sが2になってるわよ?それにこれ何?正解じゃないの?」
カリスは教本を取り戻そうとするティグリスの首に腕を回して動きを止めると声を出してティグリスの回答を音読し始めた。
「なになに??【今日は部屋でチルする】【同じ服だった。きまZ】なんで正解なのにバツを貰ってるの?講師がバカなの?」
「いいから!返せよ!」
「待って、待って。【ちょえ、かなりエモい】え?どうしてこれもバツなのよ。嫌がらせじゃないの?っていうかさ、なんで2年もお勉強、お勉強ってやってるのにダメだしばかりじゃない。あ、まさか、まさかのティグリスは出来損ない?やっだぁ~やる意味あるの?」
カリスはまともな教育を受けておらず、読み書きも簡単なものなら出来る程度。
ティグリスの習う初級の教本を手に取ると、勝手に採点をはじめてしまった。
得意気に1桁の算術の答えを書き込むと教本をティグリスの頭に押し付けた。
「父親譲りの空っぽな頭にこの本も入っちゃえばいいのにね~」
「やめろよ!」
「ムキになっちゃって。どうせ何やったってダメなんだし、婚約者のご機嫌でも取ってきたら?結構な資産家だそうじゃないの。はい、戻してあげる。頭に入らないんだから破って食べてみたら?それ以上はバカにならないから賢くなるかもよ?」
ティグリスを揶揄った後は、商人が来るからと部屋から出て行こうとするカリスだが、ティグリスが作っていた鳥の巣を見つけて手に取ると、指でクルクルと回し放り投げた。
床に落ちて何本かの小枝が取れてしまった。
「こんなもの作ってる暇があるなら、婚約者から金でも引っ張ってきなさいよ。ほんと。使えないわね」
カリスが去った後、ティグリスは床に散らばった小枝を拾い集めた。
――また、枝を拾って来ないといけないな――
そう思って窓の外を見る。
幾つか作った巣からヒナが顔を出しているのが見えると、ティグリスは窓から身を乗り出すようにしてその光景を眺めた。
――鳥はいいなぁ。空を飛べて何処にでもいけるもんなぁ――
しばらく、窓の外を眺めているとニキフォロスが手を振っているのが見えた。
――多分、今日も行かなかったからかなぁ――
従者ジップルが早番の時は、「さぁさぁ!」と連れて行かれるけれど遅番や休みの時は講義を休んでしまう。
無断で休んで叱られたのはもう随分と前の事である。
ここ半年は【何故来ないのだ】と講師に叱られる事もなくなった。
「い・ま・か・ら・い・く」
2人だけに通じる暗号の手振り。
ニキフォロスに向かって手を振って応えるとティグリスは部屋を出た。
「今日は僕だけだったんだよ」
「え?2人は来なかったってこと?」
「うん。午後はダンスだったけど先生じゃ身長が合わないから休みになったんだよ」
「なら行けばよかったなぁ」
そう答えてみるものの、カリキュラムが異なるティグリスは座学だっただろう。
「具合でも悪いのかな」
「うーん。ソフィア嬢の様子が最近変だったからじゃないかと思うんだ。パスティーナ嬢に相談してたみたいだし」
「女はよく判んねぇからな」
ティグリスに講義は休みになったと言ったニキフォロス。
実はニキフォロスもサボりだった。
ニキフォロスは座学の成績も良く、マナーや所作も4人の中では突出していた。
ただ、疲れていたのだ。
講師が帰った後、ニキフォロスには予習と復習が義務となっていた。
どんなに寝る間を惜しんで頑張っても母親のエカテリニはニキフォロスを褒める事はしない。
この程度は出来て当たり前。
もっと出来るはずだ。
やる気と成し得ようとする努力が足りない。
満点でなければ間違った箇所を何度も復習させられる上に、同じような間違いを繰り返すと夜間講師が来て真夜中まで講義を受けねばならない。
この頃はティグリスを引き合いに出す言葉が増えた事もニキフォロスには苦痛だった。ティグリスの住む宮に抜け出しては通っている事を知ってからは特に酷い物言いになった。
「あの子とニックは違うの。生きる世界もこの先の未来も違うの」
「母上、そんな言い方はしないでください」
「あぁ~。そうやってお母様を悲しませる口答えを覚えてしまったのね」
「違います。私は…ティグリスとは兄弟ですが友達なんです」
「ニック。貴方に今、必要なのは学び。友達なんかいらないのよ?考えてごらんなさい。貴方と対等の立場の人間はこの国にはいないのよ?」
ニキフォロスは段々と息をするのも疲れてしまうようになってしまっていた。
「僕、今日は帰りたくないな」
「じゃ、俺の部屋に泊まる?」
「いいの?叱られない?」
「わかんねぇ。大人は昨日はいいって言っても今日は叱るし」
結局、帰ってしまうニキフォロスだったが、安易に誘った事をティグリスは夜勤の従者ジップルに少しだけ叱られるのだった。
「殿下、お泊りはちゃんと手続きをしないと大変な事になります」
「大変って?」
「誘拐だとか、事件に巻き込まれたかも知れないと騎士団も捜索をしますので」
「そうなのか。はぁ~ジップルが先生だったら判りやすいのになぁ」
「私の仕事を増やさないでください。あ、来週はお茶会ですよ」
「フェッ?!」
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