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第16話 至福のハーモニーは大義名分あってこそ
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「謝って済むとは思っていない!申し訳ないッ!」
扉が開いた瞬間、床を滑るように部屋に入って来るなり床に突っ伏す美丈夫。それは国王の異母弟ザカライアだった。
数歩遅れて部屋に入って来た従者は「申し訳ない!!」何度も繰り返すザカライアを立たせた方がいいかな?と思いつつも「殿下、お立ち下さい」と言えば通常は頭を下げない王族の謝罪を公的に認める事にもなると言葉を飲んだ。
そうしないと「少し2人にしてくれないか」と人払いをされない限り、発言は「誰が何を言った」と記録されてしまうので公文書に自分の名前が記入されてしまう。
――王族の謝罪を認めた男・・・なんて書かれる訳にはいかない!――
「こちらは我らが希望の光、国王陛下の弟君でザカライア様で御座います」
「は、はぁ…?」
少し驚いたモルス伯爵夫妻だったが。直ぐに夫人が「あなた!立たないと!」と伯爵を促す。ソファに腰かけたまま体を捩じっただけの姿勢は非常に不味いとザカライアの向かいでザカライアを真似て「初めてお目にかかります!」とモルス伯爵は土下座で挨拶を返した。
但し、夫人はしゃがみ込むとドレスのスカート部分に頭がめり込んでしまう格好になるため、腰を落としただけだったが。
――あ、さっきの美丈夫だわ。殿下って本当だったんだ――
クラリッサだけは変に冷静だった。
その時クラリッサの脳内は「もう食べられない」と目の前の菓子に心の全てを奪われていて「どうでもいいや」と思っていたからである。
「あのぅ。殿下はどうしてこのような謝罪を?」
「それはだな…(汗ダラダラ)実はこの後、伯のご息女と私の婚約発表が行われるからだ」
「婚約発表、そうでしたカァーッ!?エェーッ?!」
「驚かれるのも無理はない。私も驚いている・・・いや、なるようになったと言うか…本当に申し訳ないッ!」
土下座のまま後ろにひっくり返った夫、モルス伯爵を起こそうとして夫人もバランスを崩し転んでしまう。起き上がろうとするがドレスのパニエが邪魔をして「起き上りこぼし」状態。
ドレスの膨らみを重視した今回は鋼製の枠組みのため、ドレスがボールになってゴロンゴロンと部屋を転がってしまう。
従者が夫人を起こす頃には息も絶え絶え。
夫人は「二度とこんなドレスは着ない」と心に誓った。
「娘と殿下が婚約・・・何時の間に?」
「さっき決まった」
「え?・・・」
「この夜会が終わり屋敷に帰宅された時に目にすると思うが兄上から色々と書類やら面倒事が届いていると思われる。その点も申し訳ないのだが一番の被害者はご息女だ。実はご息女の事を知ったのは時間にして30分ほど前なのだ」
「さ、30分・・・もしや世に言う一目惚れというものですか?」
「いいや。それを言うならトバッチリだな」
「トバッチリ・・・」
「伯、すまないがご息女と話をさせてもらえないだろうか」
「それは構いませんが‥‥トバッチリ・・・トバッチリ・・・」
男女の出会いや結婚の形もこの頃は色々とあるが「トバッチリ」での出会い、そして婚約つまり結婚となる形をモルス伯爵は知らなかった。
「すまないが2人にしてくれないか」
ザカライアがそう言えば従者は混乱するモルス伯爵夫妻を連れて部屋から出ていく。2人きりになった事を確認するとザカライアは立ち上がり、クラリッサの目の前のテーブルを動かした。
クラリッサの視界から菓子が小さな揺れを伴って横滑りする。
ザカライアはクラリッサの斜め横に膝をついた。
「あ。お菓子が・・・」
「判っている。おかしな話だ」
「そうじゃ無くて・・・お菓子が・・・」
「菓子は後で用意させよう。その前にもう時間がない。この後直ぐに私と貴女の婚約が発表される。不本意だと思うが許して欲しい」
――え?婚約?――
クラリッサはあと少し!まで来てオアズケを食らった菓子の事で頭がいっぱいで雑音は聞こえていなかった。
「婚約って…先程お会いしたばかりですよね?」
「そうなんだが…説明をしている時間も今はない。生涯をかけてゆっくり説明をするつもりだ」
「生涯!?明らかに先程お会いしてからの今。そちらの方が短い時間だと思いますが」
「そうなんだが、私は国王の異母弟であるという面倒な立場にあってだな…私の失言が貴女の人生を狂わせてしまう事になってしまったんだ。その説明は背景とか色々あって…要約したとて3時間はかかるんだ」
――要約で3時間!?どんな背景があるの?!――
「私は国王の異母弟だが、貴女が妃と言う扱いになるわけではない。しかし妃並みの生活を約束しよう。何不自由ない生活を君には提供する。出来ることは何でもする。それが君の人生計画を狂わせた私の贖罪だ」
クラリッサには贖罪をと思わせるような事はなにもされていないと感じる。
明らかに重すぎる。しかし、何処かでそこまで感じる事をされてしまっているのか?と考えた。が、やはり思いつかない。
贖罪をせねばと思うのならザカライアではなくエミリオだと思うのだ。
「贖罪‥‥それで結婚とかおかしいです!そこまでして頂かなくても!」
「そこまでしなきゃいけない事態になってしまったんだ」
「いったい何をしたんです?」
「だから!それを説明するのに要約すると3時間かかると言ってる」
「だけど殿下は先ほど助けてくれただけですよね??」
「行動はな。その時に君の事を ”連れ” と言ってしまった事で妄想を膨らませた公爵夫人が兄上に・・・そのあたりも説明をせねばならないが…時間がかかる」
「もしや、聞かれては困る言葉を偉い人に聞かれてしまって後戻りできない・・・とか?」
「君は素晴らしいな!!要約を更に端的に表現して頂き感謝だ。その通りだ」
――なんだ3時間もかからないじゃないの――
しかし、公爵夫人、国王、国王の異母弟・・・雲の上の人ばかりだがこの状況は不味い事は理解出来る。
「回避できない?」
「出来ない。出来るならしてる」
「婚約・・・貴方と私?」
「そうだ。おそらく結婚も半年以内だ。救いは今日明日じゃないって事くらいだ」
「あ~‥‥」
クラリッサはもう混乱はしていなかった。
何故なら考えることを放棄したからである。
もうどうでもいいや。貴族令嬢なら国王の決定に背く事がどのようなことなのかは知っている。今できる事は1つだ。
「判っていないんですけど判りました。それで…お願いがあるんですけど」
「何だろう」
「お菓子・・・食べていいですか?ライチ水もまだ飲んでいないので」
「菓子・・・あぁいいよ」
「やった!!」
目の前から少し横に動いてしまったが、そんなものは自分の位置を菓子に合わせて動かせばいいだけ。クラリッサは自分の為に持って来てもらった菓子をこのままにしておけないという大義名分のもと、やっと待望の菓子を1つ指で抓んで口の中に放り込んだ。
――フォォォ!!美味しいッ!――
口の中で蕩ける生クリーム。一口ライチ水を飲めば脳内で「きゃはは♡うふふ♡」な至福のハーモニーが奏でられる。
1口サイズなので2つ目、3つ目と違う種類をまた口の中に放り込めばもう止まらない。
「菓子・・・好きなのか?」
「だいふふふぃでふぅ」
「そうか。なら・・・毎日君の為に菓子を用意する事を約束しよう。ライチ水だけではなく色々な果実水も取りそろえるよう善処する」
バッっとクラリッサはザカライアを見た。
勢いの良さにザカライアは驚いて目を見開いた。
「約束ですよ!!」
「も…勿論だ」
こうして2人の中で「とばっちり婚約」が調ったのだった。
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そうしないと「少し2人にしてくれないか」と人払いをされない限り、発言は「誰が何を言った」と記録されてしまうので公文書に自分の名前が記入されてしまう。
――王族の謝罪を認めた男・・・なんて書かれる訳にはいかない!――
「こちらは我らが希望の光、国王陛下の弟君でザカライア様で御座います」
「は、はぁ…?」
少し驚いたモルス伯爵夫妻だったが。直ぐに夫人が「あなた!立たないと!」と伯爵を促す。ソファに腰かけたまま体を捩じっただけの姿勢は非常に不味いとザカライアの向かいでザカライアを真似て「初めてお目にかかります!」とモルス伯爵は土下座で挨拶を返した。
但し、夫人はしゃがみ込むとドレスのスカート部分に頭がめり込んでしまう格好になるため、腰を落としただけだったが。
――あ、さっきの美丈夫だわ。殿下って本当だったんだ――
クラリッサだけは変に冷静だった。
その時クラリッサの脳内は「もう食べられない」と目の前の菓子に心の全てを奪われていて「どうでもいいや」と思っていたからである。
「あのぅ。殿下はどうしてこのような謝罪を?」
「それはだな…(汗ダラダラ)実はこの後、伯のご息女と私の婚約発表が行われるからだ」
「婚約発表、そうでしたカァーッ!?エェーッ?!」
「驚かれるのも無理はない。私も驚いている・・・いや、なるようになったと言うか…本当に申し訳ないッ!」
土下座のまま後ろにひっくり返った夫、モルス伯爵を起こそうとして夫人もバランスを崩し転んでしまう。起き上がろうとするがドレスのパニエが邪魔をして「起き上りこぼし」状態。
ドレスの膨らみを重視した今回は鋼製の枠組みのため、ドレスがボールになってゴロンゴロンと部屋を転がってしまう。
従者が夫人を起こす頃には息も絶え絶え。
夫人は「二度とこんなドレスは着ない」と心に誓った。
「娘と殿下が婚約・・・何時の間に?」
「さっき決まった」
「え?・・・」
「この夜会が終わり屋敷に帰宅された時に目にすると思うが兄上から色々と書類やら面倒事が届いていると思われる。その点も申し訳ないのだが一番の被害者はご息女だ。実はご息女の事を知ったのは時間にして30分ほど前なのだ」
「さ、30分・・・もしや世に言う一目惚れというものですか?」
「いいや。それを言うならトバッチリだな」
「トバッチリ・・・」
「伯、すまないがご息女と話をさせてもらえないだろうか」
「それは構いませんが‥‥トバッチリ・・・トバッチリ・・・」
男女の出会いや結婚の形もこの頃は色々とあるが「トバッチリ」での出会い、そして婚約つまり結婚となる形をモルス伯爵は知らなかった。
「すまないが2人にしてくれないか」
ザカライアがそう言えば従者は混乱するモルス伯爵夫妻を連れて部屋から出ていく。2人きりになった事を確認するとザカライアは立ち上がり、クラリッサの目の前のテーブルを動かした。
クラリッサの視界から菓子が小さな揺れを伴って横滑りする。
ザカライアはクラリッサの斜め横に膝をついた。
「あ。お菓子が・・・」
「判っている。おかしな話だ」
「そうじゃ無くて・・・お菓子が・・・」
「菓子は後で用意させよう。その前にもう時間がない。この後直ぐに私と貴女の婚約が発表される。不本意だと思うが許して欲しい」
――え?婚約?――
クラリッサはあと少し!まで来てオアズケを食らった菓子の事で頭がいっぱいで雑音は聞こえていなかった。
「婚約って…先程お会いしたばかりですよね?」
「そうなんだが…説明をしている時間も今はない。生涯をかけてゆっくり説明をするつもりだ」
「生涯!?明らかに先程お会いしてからの今。そちらの方が短い時間だと思いますが」
「そうなんだが、私は国王の異母弟であるという面倒な立場にあってだな…私の失言が貴女の人生を狂わせてしまう事になってしまったんだ。その説明は背景とか色々あって…要約したとて3時間はかかるんだ」
――要約で3時間!?どんな背景があるの?!――
「私は国王の異母弟だが、貴女が妃と言う扱いになるわけではない。しかし妃並みの生活を約束しよう。何不自由ない生活を君には提供する。出来ることは何でもする。それが君の人生計画を狂わせた私の贖罪だ」
クラリッサには贖罪をと思わせるような事はなにもされていないと感じる。
明らかに重すぎる。しかし、何処かでそこまで感じる事をされてしまっているのか?と考えた。が、やはり思いつかない。
贖罪をせねばと思うのならザカライアではなくエミリオだと思うのだ。
「贖罪‥‥それで結婚とかおかしいです!そこまでして頂かなくても!」
「そこまでしなきゃいけない事態になってしまったんだ」
「いったい何をしたんです?」
「だから!それを説明するのに要約すると3時間かかると言ってる」
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「行動はな。その時に君の事を ”連れ” と言ってしまった事で妄想を膨らませた公爵夫人が兄上に・・・そのあたりも説明をせねばならないが…時間がかかる」
「もしや、聞かれては困る言葉を偉い人に聞かれてしまって後戻りできない・・・とか?」
「君は素晴らしいな!!要約を更に端的に表現して頂き感謝だ。その通りだ」
――なんだ3時間もかからないじゃないの――
しかし、公爵夫人、国王、国王の異母弟・・・雲の上の人ばかりだがこの状況は不味い事は理解出来る。
「回避できない?」
「出来ない。出来るならしてる」
「婚約・・・貴方と私?」
「そうだ。おそらく結婚も半年以内だ。救いは今日明日じゃないって事くらいだ」
「あ~‥‥」
クラリッサはもう混乱はしていなかった。
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――フォォォ!!美味しいッ!――
口の中で蕩ける生クリーム。一口ライチ水を飲めば脳内で「きゃはは♡うふふ♡」な至福のハーモニーが奏でられる。
1口サイズなので2つ目、3つ目と違う種類をまた口の中に放り込めばもう止まらない。
「菓子・・・好きなのか?」
「だいふふふぃでふぅ」
「そうか。なら・・・毎日君の為に菓子を用意する事を約束しよう。ライチ水だけではなく色々な果実水も取りそろえるよう善処する」
バッっとクラリッサはザカライアを見た。
勢いの良さにザカライアは驚いて目を見開いた。
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